「抗FGF23抗体ブロスマブ(burosumab)の研究開発」が2024年度日本薬学会創薬科学賞を受賞

2024/03/28  協和キリン 株式会社 

「抗FGF23抗体ブロスマブ(burosumab)の研究開発」が2024年度日本薬学会創薬科学賞を受賞

2024年3月28日

協和キリン株式会社(本社:東京、代表取締役社長:宮本昌志、以下「当社」)は、当社が創製した抗FGF23抗体ブロスマブ(製品名:クリースビータ(R)、以下「ブロスマブ」)の研究開発が、2024年度日本薬学会創薬科学賞を受賞したことをお知らせします。

日本薬学会創薬科学賞は、医薬品の創製あるいは医薬品の創製に関連した応用技術研究開発や実用化により,医療の進歩に貢献した優れた研究業績をあげた研究者に授与される賞です。当社は、2008年に抗アレルギー薬塩酸オロパタジンの創製、2015年に成人T細胞白血病リンパ腫治療薬モガムリズマブの研究開発で同賞を受賞しています。

受賞理由としては、産学共同研究による低リン血症性くる病・骨軟化症の病因となるFGF23(線維芽細胞増殖因子23)の同定、受容体機構を含むその生体内での作用解明や測定法開発に始まり、疾患概念の確立、さらにはFGF23に対する強力な中和活性を有する完全ヒト抗体を取得し、臨床試験を進めることで治療薬の創製に成功したことがあげられ、基礎研究に始まり医薬品創出に至る長年の研究開発は新規性や独創性、革新性に優れるとともに、既存治療法と比較して患者のQOL(生活の質)を大きく改善したという点で医療現場へのインパクトが絶大であることが評価されました。

ブロスマブは2018年に欧州委員会で最初に承認され、日本においては2019年9月にFGF23関連低リン血性くる病・骨軟化症の治療薬として厚生労働省から承認を受けました。2023年末の時点で、当社は46の国と地域でブロスマブを販売しており、6000名以上の患者さんに使用されています。当社は引き続き、世界中のより多くの患者さんにブロスマブが持つLife-changingな価値をお届けすることを目指します。

協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。

受賞タイトル 抗FGF23抗体ブロスマブ(burosumab)の研究開発
受賞者 山崎 雄司 協和キリン 研究本部 研究ユニット 疾患サイエンス第1研究所 所長
福本 誠二 たまき青空病院 名誉院長
山下 武美 協和キリン 取締役専務執行役員
島田 孝志 協和キリン 研究本部 研究企画部 部長
浦川 到 協和キリン 研究本部 東京リサーチパーク IT インフラグループ マネジャー
注:FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
FGF23 関連低リン血症性くる病・骨軟化症は、低リン血症性くる病・骨軟化症のうち、FGF23というホルモンの作用が過剰になって起こるものをいいます。FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は、生まれつき特定の遺伝子に変異があるために起こる先天性と、生まれた後に発症する後天性とに分けられます。先天性の代表であるX染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症(XLH)は、遺伝的な原因によって血中のFGF23が過剰になり、体内のリンが尿中に過剰に排泄され低リン血症となる疾患です。また後天性疾患として、腫瘍がFGF23を過剰に分泌することで低リン血症を呈する腫瘍性くる病・骨軟化症(TIO)があります。推定発症率は、XLHが2万人に1人、TIOが1~5万人に1人で、いずれも非常に希少な疾患です。

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