エブリスディ、5年データにおいて重度脊髄性筋萎縮症(SMA)の小児の半数以上が座る、立つ、歩く能力いずれかを獲得または維持したことを示す

2024/06/19  中外製薬 株式会社 

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2024年06月19日

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エブリスディ、5年データにおいて重度脊髄性筋萎縮症(SMA)の小児の半数以上が座る、立つ、歩く能力いずれかを獲得または維持したことを示す

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が6月7日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2024-06-07をご覧ください。

ロシュ社は6月7日、I型脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)の小児に対するエブリスディ®(一般名:リスジプラム)の有効性と安全性プロファイルを評価したピボタル試験FIREFISH試験の非盲検延長パートについて、新規の5年データを発表しました。5年経過時点で、エブリスディによる治療を受けた小児の91%が生存しており、81%は永久的な人工呼吸器を必要とせずに生存しており、半数以上の小児が少なくとも30秒間(59%)支えなしに座ることができました。5年経過時点では7人の小児が立つことができ、うち3人は支えがあれば、4人は補助なしで立つことができ、また6人は支えがあれば歩くことができました。疾患修飾治療を行わない場合の自然経過では、I型SMAの小児は支えなしに座る・立つ・歩くことができないだけでなく、通常2歳を超えて生存することが難しいとされています。本データは、2024年6月5~7日に開催されたCure SMA Research & Clinical Care Meetingで発表されました。

エブリスディによる治療を受けた小児の運動機能は、Bayley Scales of Infant and Toddler Development Third Edition(BSID-III)とHammersmith Infant Neurological Examination 2(HINE-2)による評価において、維持または継続して達成されました。FIREFISH試験の結果は、エブリスディによる治療を受けた小児の大部分が摂食能力及び嚥下能力を維持していることを示し、5年時点で評価された小児の96%が嚥下することができ、80%が経管栄養なしで摂食できました。

投与中止または試験からの脱落に至った治験薬と関連のある有害事象はありませんでした。主な有害事象は、上気道感染(64%)、発熱(64%)、肺炎(50%)でした。5年間の治療期間を通じて入院の頻度は減少し、エブリスディによる治療を開始して以来、全く入院が必要なかった小児は22%いました。

エブリスディは、経口投与可能な低分子SMA治療薬で、中枢神経系と末梢組織の両方に作用し、全身に働きかけるよう設計されています。

ロシュ社は、SMA FoundationとPTC Therapeuticsとの協業の一環として、エブリスディの臨床開発をリードしています。

エブリスディについて
エブリスディ(一般名:リスジプラム)は、5q染色体の変異により生存運動ニューロン(Survival Motor Neuron:SMN)タンパク質が欠乏することで引き起こされるSMAを治療するために設計された、SMN2スプライシング修飾剤です。液剤であるエブリスディは、経口または経管投与で毎日自宅で服用します。
エブリスディは、中枢神経系と末梢組織でSMNタンパク質の産生を増加させ、維持することによりSMAを治療することを目指して設計されました。SMNタンパク質は体全体に存在し、健康な運動ニューロンと基本的な運動機能(飲み込む、話す、呼吸など)を維持するために重要です。

エブリスディは、2018年に欧州医薬品庁(EMA)からPRIME指定を、2017年には米国食品医薬品局(FDA)からオーファン指定を受けました。2021年には、エブリスディが英国薬理学会から年間最優秀新薬賞を、また薬物研究学会から新薬発見賞を受賞しました。現在、エブリスディは100カ国以上で承認されており、13カ国で審査中です。

エブリスディに対しては、以下の5つのグローバル多施設共同試験が実施されました:

  • FIREFISH試験(NCT02913482) - I型SMAの乳児を対象とした二部構成のピボタルな非盲検試験。乳児は登録時に平均約5.5カ月で、1年間の治療を終えた58人の乳児のうち52人が非盲検延長試験に進みました。本試験は検証的な試験であり主要評価項目を達成しました。
  • SUNFISH試験(NCT02908685) - 2~25歳のII型またはIII型SMAの方々を対象とした二部構成の二重盲検、プラセボ対照のピボタル試験。本試験は検証的な試験であり主要評価項目を達成しました。
  • JEWELFISH試験(NCT03032172) - エブリスディを投与する90日前までに、他の治験薬または承認されたSMA治療薬の投与を受けていた6カ月~60歳のSMAの方々を対象とした非盲検の探索的試験。本試験は登録を完了しました(n=174)。
  • RAINBOWFISH試験(NCT03779334) - 遺伝学的にSMAと診断され、まだ症状が現れていない新生児(n=26)を対象とした非盲検の単群、多施設共同試験。エブリスディの有効性、安全性、薬物動態、薬力学を評価。本試験は検証的な試験であり主要評価項目を達成しました。
  • MANATEE試験(NCT05115110) - 2~10歳のSMAの方々を対象とした第II/III相の臨床試験で、筋肉成長をターゲットとした抗潜在型ミオスタチン抗体GYM329(RG6237)とエブリスディの併用療法の安全性と有効性を評価。2021年12月に、FDAのオーファン医薬品開発局は、SMAの治療を対象にGYM329にオーファン指定を付与しました。現在、本試験は登録を行っています。
    *訳注:日本から参加したあるいは参加中の試験はFIREFISH試験、SUNFISH試験、MANATEE試験です。現在、日本においてエブリスディは、FIREFISH試験、SUNFISH試験のデータを評価資料として「脊髄性筋萎縮症(遺伝子検査により発症が予測されるものを除く)」を効能又は効果として承認されています。

SMAについて
SMAは、生命にかかわりうる重度の進行性神経筋疾患で、約1万人の乳児のうち1人が本疾患による影響を受けます。SMAは、生存運動ニューロン(SMN)1遺伝子の変異により引き起こされ、これによりSMNタンパクが欠乏します。このタンパク質は体全体に存在し、筋肉と動きを制御する神経の機能に不可欠です。SMNタンパクがないと、神経細胞は正常に機能せず、時間とともに筋力が弱まります。SMAのタイプによっては、身体的な強さや歩く、食べる、呼吸する能力が大幅に減少したり、失われたりする可能性があります。

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

以上

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