抗体薬物複合体farletuzumab ecteribulin(FZEC)に関して、エーザイ単独でのグローバル開発・商業化に移行

2024/07/01  エーザイ 株式会社 

抗体薬物複合体farletuzumab ecteribulin(FZEC)に関して、エーザイ単独でのグローバル開発・商業化に移行ブリストル マイヤーズ スクイブとの戦略的提携を終結

エーザイ株式会社

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、葉酸受容体α(folate receptor α:FRα)をターゲットとした抗体薬物複合体farletuzumab ecteribulin(FZEC、開発コード:MORAb-202)について、ブリストル マイヤーズ スクイブ(本社:米国ニューヨーク)とのグローバルな共同開発・共同販促契約を終結したことをお知らせします。本契約の終結は、ブリストル マイヤーズ スクイブの保有するポートフォリオに関する優先順位の見直しによるものです。これに伴い、本剤に関する全ての権利は当社が有することとなり、本剤の開発・商業化は当社グループが単独で行います。当社は、本剤を患者様に一日でも早くお届けすべく、本剤の開発について優先度を高め、加速していきます。なお、本契約終結により、当社は、提携契約締結時に当社が研究開発費としてブリストル マイヤーズ スクイブから受領した預り金2.0億米ドルのうち未使用分について、一部をブリストル マイヤーズ スクイブに返金し、残る部分はその他の収益として計上する予定です。

FZECは、自社創製のFRαに対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であるファルレツズマブに、酵素切断リンカーを介して、同じく自社創製の抗がん剤エリブリンを化学結合させた当社にとって初の抗体薬物複合体です。現在、本剤を評価する固形がんを対象とした当社主導の臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験(NCT04300556)、ならびにブリストル マイヤーズ スクイブ主導の卵巣がん、腹膜がん、卵管がんを対象とした臨床第Ⅱ相試験(NCT05613088)および非小細胞肺がんを対象とした臨床第Ⅱ相試験(NCT05577715)を実施中です。

当社は、がん領域を戦略的重点領域の一つと位置づけており、ヒューマンバイオロジーを深く追求することにより、がんの「治癒」に貢献することをめざしています。難治性がんを対象としたFZECの開発は、がん患者様のアンメット・メディカル・ニーズに取り組む当社のコミットメントを示すものです。当社は、世界のがん患者様とそのご家族の皆様のベネフィット向上により一層貢献してまいります。

<参考資料>

1. Farletuzumab ecteribulin(FZEC、開発品コード:MORAb-202)について

FZECは、自社創製のFRαに対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であるファルレツズマブに、酵素切断リンカーを介して、同じく自社創製の抗がん剤エリブリンを化学結合させた当社にとって初の抗体薬物複合体です。FZECは、標的となるFRαが発現したがん細胞内に取り込まれた後にリンカーが酵素的に切断され、抗体からエリブリンが切り離されて抗腫瘍活性を示すと考えられます。非臨床試験において、FRα陽性がん細胞の周囲のFRα陰性がん細胞に対しても抗腫瘍活性を示すバイスタンダー効果*が確認されています。

ペイロードであるエリブリンは、初のハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤です。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出された天然物ハリコンドリンBの全合成類縁化合物であり、微小管の伸長(重合)を阻害・抑制することで、細胞分裂の停止作用を有しています。エリブリンは、日本、米国、欧州、中国、アジアなどにおいて、乳がんおよび脂肪肉腫(日本では悪性軟部腫瘍)に関わる適応で承認を取得しています。

*バイスタンダー効果(bystander effect):標的となる抗原陽性のがん細胞内で、抗体薬物複合体の抗体から放出された抗腫瘍薬剤が、周辺の抗原陰性のがん細胞やがん微小環境の構成細胞に対しても有効性を示す効果

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