ブロックチェーンゲームに関するガイドライン

2024/07/10  一般社団法人 モバイル・コンテンツ・フォーラム 

ブロックチェーンゲームに関するガイドライン

一般社団法人 コンピュータエンターテインメント協会
一般社団法人 日本オンラインゲーム協会
一般社団法人 モバイル・コンテンツ・フォーラム


はじめに(基本理念・目的)

本ガイドラインは、日本国内で提供されるブロックチェーン技術を用いたゲームについて、一般社団法人 コンピュータエンターテインメント協会(以下「CESA」という)、一般社団法人 日本オンラインゲーム協会(以下「JOGA」という)および一般社団法人 モバイル・コンテンツ・フォーラム(以下「MCF」という)(当該三団体を総称して、以下「当協会」という。)に加盟する事業者向けに、「ブロックチェーンゲームに関するガイドライン」を改訂するものである。

当協会は主にオンラインゲーム事業者あるいはオンラインコンテンツ提供事業者で構成されていることから、本ガイドラインの作成にあたってはゲームにおける長年にわたる知見と消費者保護のノウハウを活用し、暗号資産の取り扱いやブロックチェーン上で発行されるトークン等の売買の適法性の観点に留まらず、ユーザーに安心、安全にゲームを楽しんでもらい、健全な市場成長や充実したユーザープレイ環境の提供を目指し、一層踏み込んだ内容とするため「ブロックチェーンゲームに関するガイドライン」の内容および構成を見直した。

すでにブロックチェーンゲームを開発運営している事業者だけでなく、従来からオンライン

ゲーム事業を実施しておりこれからブロックチェーンゲームを企画しようという事業者、新たにブロックチェーンゲームをもってゲーム産業に参入しようという事業者を主な対象としているほか、消費者においても利用するブロックチェーンゲームが遵法意識や顧客保護の観点を持って安心安全なサービス提供に取り組んでいるかのガイドとして、サービス選択の参考となるよう記載している。

事業者が遵守すべき関連法制についてを「3.関連する法制」で、サービス事業者としてのあり方、売買を含む事業者と利用者との関わり、取り扱うデジタルデータそのもの等ブロックチェーンゲームならではの留意点を「4.ブロックチェーンゲーム事業について」に記載しているほか、事業者向けにこれらと対照できる別途の「事例集」を用意することで、より詳しい内容までフォローできるようにした。

日進月歩で変化する技術的な環境の中で、一時的なビジネス流行に囚われることなく、持続可能なゲーム提供および事業者における実務の手がかりとして活用されたい。

なお、本ガイドラインを参考にしたうえでの各事業者の最終判断は、各事業者の責任においてなされるものである。

特に、本ガイドラインは日本法の適用を前提としているため、日本国外向けにサービスを提供する場合には、対象国の法令確認等が各事業者の責任においてなされるべきであることに留意されたい。

今回の改訂にあたっては、最終ページに記載された有識者の皆様から様々な観点での貴重な助言とご支援を頂き、より一層内容を充実させることができた。この場を借りて、関わってくださったすべての方々に心から感謝申し上げたい。

1.用語の定義

本ガイドラインにおいて、各種用語の定義は以下のとおりとする。

1-1 ブロックチェーンゲーム

ゲームにおけるアイテム等のデジタルデータをブロックチェーン上のトークンに表章し、当該トークンの移転を通じて当該デジタルデータの取引や交換等を可能とする仕組みを要素として含むゲーム。

1-2 トークン

ブロックチェーン技術を用いてブロックチェーン上で発行される電子的証票。

1-3 NFT

トークンのうち、非代替性トークン(Non-Fungible Token)。

1-4 暗号資産

トークンのうち、資金決済に関する法律(以下「資金決済法」という)に定められる「1号暗号資産」(同法第2条第 14 項第1号)又は「2号暗号資産」(同法第2条第 14 項第2号)に該当するもの。

1-5 有償ポイント

資金決済法に定められる「前払式支払手段」(同法第 3 条第 1 項)に該当するもの1。

1-6 アイテム

ブロックチェーンゲーム上で使用できるキャラクター、アバター、装備品、カード、その他アイテム等、形態や効果を問わず、パラメータ、文字、絵、符号、音声、映像等を電磁的に表示したものの総称。

1-7 NFT アイテム

アイテムのうち、特定の NFT に紐づけられたアイテム(一般アイテムとして入手後、所定の手続を行うことで NFT と紐づけられた場合を含む)。

1 なお、ゲームログインやゲームプレイなどを契機に無償で発行されるポイント等がある場合、区分管理や区分表示などの所定の条件を満たしていれば、通常、当該ポイントは前払式支払手段に該当しないものとして取り扱うことができる。

1-8 一般アイテム

アイテムのうち、NFT アイテムに該当しないもの 2。

1-9 ランダム型アイテム販売

一般的には「ガチャ」と呼ばれる、アイテムを、偶然性を利用して当該アイテムの種類または数量が決まる方法によって提供する販売方式のこと。

1-10 NFT マーケット3

NFT または NFT アイテムを利用者同士で交換や取引ができる二次流通市場サービス。

1-11 事業者

ブロックチェーンゲームを提供する者。法人または個人を問わない。

1-12 利用者

ブロックチェーンゲームの提供を受ける者。主として一般消費者を想定する。

2特定の NFT に紐づけられていないので、事業者のサーバーやデータベースあるいはゲームソフトウェアに記録される一方、ブロックチェーン上には記録されていない。

本ガイドラインにおいては、NFT マーケット内部での利用者間取引については適用範囲外とする

2.本ガイドラインの適用範囲

2-1 適用範囲について

本ガイドラインの適用範囲は、事業者(国内外に所在するかを問わない)が日本国内の居住者向けに提供する、又は国内に所在する事業者が(国内外の居住者向けかを問わず)提供するブロックチェーンゲームとする。

2-2 当協会の他のガイドラインとの整合について

当協会が定める本ガイドライン以外のガイドライン(今後定めるものも含む)は、上記 2-1に該当するガイドラインに定める適用範囲に含まれる限り、ブロックチェーンゲームにも適用する。

ただし、CESA「リアルマネートレード対策ガイドライン」および JOGA「オンラインゲーム安心安全宣言」のリアルマネートレード禁止の規定についてはブロックチェーンゲームには適用しないものとし、本ガイドラインが適用されるものとする。

3.関連する法制

事業者は、ブロックチェーンゲームで取り扱うアイテム等、提供する各サービスやコンテンツ等について、関連法規に照らしてその法的性質や適法性等を確認し、適法にサービスを提供する。

3-1 暗号資産該当性について

3-1-1(暗号資産該当性)

事業者がブロックチェーンゲーム上で取り扱うトークン等に関しては、これらの用途、財産的価値の価格・数量、技術的特性・仕様等を考慮して、暗号資産に該当するかどうかを個別具体的に検討する必要がある。 また、暗号資産該当性に関する具体的な解釈等については、事例集(2.ガイドライン 3-1-1(暗号資産該当性)について留意すべき具体的事例)を参照すること。

「暗号資産」に該当した場合、その取扱いについては次項を参照する。

3-1-2(暗号資産交換業)

暗号資産の売買または他の暗号資産との交換、暗号資産の管理等の行為のいずれかを業として行う場合、これらの行為は資金決済法における暗号資産交換業に該当する(資金決済法第 2条第 15 項)。事業者がブロックチェーンゲームにおいて暗号資産交換業に該当する機能・サービス等を実装する場合には、自ら同業の登録を行ったり(資金決済法第 63 条の 2)、暗号資産交換業者と連携のうえ提供したりするなど、暗号資産の取扱いに関して資金決済法に抵触しないよう十分に留意する。

また、暗号資産交換業該当性に関する具体的な解釈等については、事例集(3.ガイドライン 3-1-2(暗号資産交換業)について留意すべき具体的事例)を参照すること。

3-2 前払式支払手段該当性について

3-2-1(前払式支払手段該当性)

事業者がブロックチェーンゲームに関連して取り扱うトークン等が以下の 3 要件を満たす場合、前払式支払手段に該当する可能性がある(資金決済法第 3 条第 1 項)。

① 財産的な価値が金額または数量によって記載・記録されていること(価値保存性)

② 金額または数量に応じた対価を支払って発行される証票等、番号、記号その他の符号であること(対価発行性)

③ 発行者又は発行者が指定する者から物品等の購入や役務の提供を受けるに際して、代価の弁済のために提示、交付、通知その他の方法により使用できること(権利行使性)

前払式支払手段該当性に関する具体的な解釈等については、別途各団体で発行するガイドライン等を参照し、慎重に判断する必要がある。また、未使用残高算定における無償発行分の考え方については、脚注4を参照すること。

4 金融庁が公表する「事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係「5. 前払式支払手段発行者関係」I-2-1(3)によれば、前払式支払手段に関して、有償発行分と無償発行分のいずれもが存在する場合において、これらが区分して管理されかつ区分して表示されている場合において 前払式支払手段に該当した場合、その取扱いについては次項を参照する。

3-2-2(前払式支払手段の取り扱い)

事業者が前払式支払手段を発行するにあたっては、資金決済法に基づき、基準日(毎年9月30 日と3月 31 日)の当該前払式支払手段の未使用残高が 1,000 万円を超えるときは、必要な届出を行い、必要な額(未使用残高の2分の1以上の額に相当する額)の発行保証金の供託する、または当該供託に代えて発行保証金保全契約もしくは発行保証金信託契約による方法を講じる。

また、当該届出を行った場合、上記の供託等のほか、利用者に対する必要な情報提供、情報の安全管理、苦情処理に関する措置、帳簿書類の作成・保存等、資金決済法に基づき前払式支払手段発行者に課される義務を遵守する必要がある。

ただし、その発行する前払式支払手段が、発行の日から 6 か月未満に限り使用できる場合など、資金決済法上の規制の適用除外に該当する場合は、この限りではない。

3-2-3(払戻し等の制限)

原則として、事業者は、その前払式支払手段の発行に係るゲームの提供の全部が終了する場合等資金決済法で定める場合を除き、利用者に対し、当該前払式支払手段の払戻しをしてはならない。

また、不適切な利用を防止するため、利用者間での前払式支払手段(必要な場合は無償発行分を含む)の受渡しには一定の制限5を設け、適切に管理することが望ましい。

は、無償発行分のみ前払式支払手段には該当しないとすることが可能である。ここで、区分して管理され、区分して表示されている場合とは、次のいずれも満たす場合をいう。

①情報の提供内容やデザインによって、明確に区別することが可能であること

②帳簿書類上も、発行額、回収額、未使用残高について、区分して管理されていること

5 具体的には、受け渡しの量を制限したり、受け渡しができるアカウントの資格を作成後一定期間経過後または KYC 済みに限ることなどが考えられる。

3-3 有価証券該当性について

事業者がブロックチェーンゲーム上で取り扱うゲーム内通貨やアイテム等について、これらの用途、特性・仕様等次第では、金融商品取引法上の集団投資スキーム持分(同報第 2 条第 2項 5 号)に該当すると判断される可能性がある。

また、集団投資スキーム持分該当性に関する具体的な解釈等については、事例集(4.ガイドライン 3-3-1(有価証券該当性)について留意すべき具体的事例)を参照すること。

集団投資スキーム持分に該当した場合、金融商品取引法に基づき適法に取り扱う必要がある。

3-4 景品表示法について

事業者は、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)を遵守し、過大な景品の付与を行わないよう留意する(同法第 4 条)。また、サービス等に関する表示を行うに当たっては、十分な事実確認を行うとともに、表示内容が真実であり消費者の誤認を生じさせない適切な表示であることを確認したうえで表示する(同法第 5 条)。

3-4-1(景品類該当性)

事業者が、利用者に対し、有償取引を条件として、当該取引の本来的な対象とは別に、いわゆるおまけなどとしてアイテムやトークン等の経済的利益を付与する場合には、これらは景品類に該当し得る。また、有償取引を条件としない場合でも、利用者が有償取引をした場合に当該経済的利益を取得しやすくなるなど、当該有償取引に関連して経済的利益が付与される場合にも景品類に該当し得る。

他方で、アイテムやトークン等が取引の本来的な対象である場合には、通常、景品類に該当しない。

景品類該当性に関しては、ブロックチェーンゲームの仕組み、当該有償取引の内容、経済的利益の提供形態等を考慮して、個別具体的に検討する必要がある。

3-4-2 (景品類規制の遵守)

事業者が、上記 31 前段に定める景品類を提供する場合には、懸賞による場合および懸賞によらない場合のいずれについても、景品表示法が定める制限6に従うものとする。

3-4-3(価額の算定)

景品類としてアイテムを提供する場合、当該アイテムの景品類の価額の算定は、「景品類の価額の算定基準について」(昭和 53 年 11 月 30 日事務局長通達第9号)等を参照の上、個別具体的に検討する必要がある。

3-4-4(カード合わせの禁止)

ランダム型アイテム販売について、「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」第 5項(いわゆる「カード合わせ」)に違反する一切のサービスを提供してはならない 。

3-4-5(優良誤認表示・有利誤認表示等の防止)

ブロックチェーンゲーム内で提供するアイテムやサービス等の内容(ランダム型アイテム販売における販売条件やそれによって提供されるアイテムの利用条件等を含む)に関して、景品表示法上の優良誤認表示や有利誤認表示をはじめ、事実に相違する表示その他利用者に誤認されるおそれのある表示をしてはならない。

3-4-6(数量や期間の限定)

NFT アイテムの販売に際し、数量や期間の限定を行う場合、以下の点を考慮し、特に有利誤認等の不当表示が発生しないよう留意する必要がある。

6 懸賞による景品類の提供の場合には「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(昭和 52 年公正取引委員会告示第 3 号)第 2 項および 3 項等を、懸賞によらないで景品類を提供する場合には一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」(昭和 52 年公正取引委員会告示第 5号)第 1 項等を、それぞれ参照する。

① 数量の限定に起因する希少性については、利用者間の取引における高騰を招くような表記をしない。

② 期間の限定について、購買不能や利用不能となる日限の明確な表記をする。

③ 数量や期間の限定において、数量外、期間外の販売がされていないように留意する。

なお、ガチャの提供に関しては、消費者「オンラインゲームの「コンプガチャ」と景品表示法の景品規制について」の内容も参考になる。

3-5 刑法上の賭博に関する罪について

「賭博」(刑法第 185 条)とは、2 人以上の者が、偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為をいう。

例えば、ブロックチェーンゲーム上で取り扱われる NFT アイテムは、その用途や財産的な交換価値等に鑑みて、通常は「財産上の利益」に該当するものと考えられる。そして、ランダム型アイテム販売のように、「偶然」性、すなわち、当事者において確実に予見できず、または自由に支配し得ない状態によって勝敗が決される方法によって当該 NFT アイテムを販売する場合で、当事者間において「得喪を争う」関係が認められるときは、刑法上の賭博に関する罪(以下「賭博関連罪」という。)に該当する可能性が高いと考えられる。

そのため、事業者は、事例集(1.ガイドライン 3-5 刑法賭博関連罪について留意すべき具体的事例)を参照し、賭博関連罪に抵触しないよう十分な検討と実装をする必要がある。

3-5-1(偶然性を利用して NFT アイテムを販売する場合)

ランダム型アイテム販売等、偶然性を利用して NFT アイテム等を販売する仕組みを提供する場合、事例集(1.ガイドライン 3-5 刑法賭博関連罪について留意すべき具体的事例)を参照し、事業者と利用者間において「財物の得喪を争う」関係を生じさせないよう留意する。

また、ランダム型アイテム販売の場合に限らず、例えば、ブロックチェーンゲーム内で偶然性を利用した仕組み・機能を用いて、利用者が対価を支払い、その結果として NFT アイテム等が提供される場合についても、事例集(1.ガイドライン 3-5 刑法賭博関連罪について留意すべき具体的事例)を参照し、賭博関連罪に抵触しないよう設計する。

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