株式会社アイックス様に対して「ポジティブインパクトファイナンス」によるシンジケートローンを組成しました

2024/09/12  株式会社 北洋銀行 

2024 年9月12日
株式会社北洋銀行

株式会社アイックス様に対して
「ポジティブインパクトファイナンス」に基づくシンジケートローンを組成しました


株式会社北洋銀行 (取締役頭取 津山 博恒)は、株式会社アイックス様(北海道札幌市、代表取締役:伊藤 一也様)に対し、シンジケートローンによる「ポジティブインパクトファイナンス」(以下、本ファイナンス)を組成しました。

本ファイナンスは、企業活動が環境・社会・経済にもたらすインパクトを包括的に分析・評価し、ネガティブインパクトの抑制とポジティブインパクトの拡大について目標を設定し、その実現に向けた継続的な対話や支援を重視することでSDGs達成に貢献していく金融手法です。当行は、国連環境計画金融イニシアチブが提唱するポジティブインパクト金融原則に基づき、「ポジティブインパクトファイナンス評価書」を発行し、株式会社格付投資情報センター様から第三者評価として「セカンドオピニオン」を取得しています。

本件では、コア・インパクトの一つを「生活インフラの維持による安心な暮らしの提供」と特定し、過疎地域においてエネルギーインフラを維持していくことなど、環境・社会・経済へ好影響を与えている点などを評価させていただいています。

当行は、今後もほくようサステナブルファイナンス等を通じて環境・社会課題の解決を図るお客さまやプロジェクトを積極的に支援し、脱炭素社会の実現やSDGsの達成に貢献してまいります。

※「ポジティブインパクトファイナンス評価書」および「セカンドオピニオン」は別紙をご参照ください。



【株式会社アイックス様の概要】
所 在 地 北海道札幌市白石区本通12丁目南3-10
代 表 者 伊藤 一也様
設立 1973年8月
業種 石油製品販売業 ほか

【本件の概要】
組成方法 コミットメントライン
組成金額 13億円
契 約 日 2024年9月11日
アレンジャー 株式会社北洋銀行
エージェント 株式会社北洋銀行
参加金融機関
株式会社北海道銀行
株式会社三菱UFJ銀行
株式会社北洋銀行

【契約記念の様子】

右:株式会社アイックス
代表取締役 伊藤 一也 様
左:北洋銀行
取締役副頭取 増田 仁志

北洋銀行グループは、2018 年 12 月「北洋 SDGs 宣言」 を表明し、地域の持続的成長支援と社会的課題の解決に取り組んでおります。なお、SDGs に関連するプレスリリースには、該当するSDGsのアイコンを明示しております。

【SDGs】2015年の国連サミットで採択された、持続可能な世界を実現するための2030年までの国際目標。17のゴールと169のターゲットで構成される。

北洋銀行グループ経営理念:お客さま本位を徹底し、多様な課題の解決に取り組み、北海道の明日あすをきりひらく

以 上











































発行日:2024年9月11日




株式会社アイックスホールディングス

ポジティブインパクトファイナンス評価書
ポジティブインパクトファイナンス評価書

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北洋銀行ならびに株式会社北海道共創パートナーズは、株式会社アイックスに対してポジティブインパクトファイナン
ス(以下、「PIF」)を実施するにあたって、株式会社アイックスホールディングス(以下、「アイックスHD」または「同
社」)の事業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブインパクト/ネガティブインパクト)を分析・評
価した。
この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)が提唱したPIF原則およびPIF実施ガイド
(モデル・フレームワーク)、ESG金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまと
めた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、北洋銀行が独自に開発した評価体系に基づいてい
る。
ポジティブインパクトファイナンス評価書

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目次
1.企業概要 .................................................................................................................................. 3
(1)企業概要 ........................................................................................................................ 3
(2)経営理念 ........................................................................................................................ 6
(3)事業概要 ........................................................................................................................ 7
(4)サステナビリティ方針と活動 ............................................................................................... 12
2.インパクトの特定 ..................................................................................................................... 17
(1)バリューチェーン分析 ........................................................................................................ 17
(2)インパクトレーダーによるマッピング ....................................................................................... 18
(3)インパクトニーズの確認 .................................................................................................... 21
(4)当行が認識する社会課題との整合性 ............................................................................... 27
3.インパクトの評価 ..................................................................................................................... 28
4.インパクトのモニタリング ........................................................................................................... 31














ポジティブインパクトファイナンス評価書

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1. 企業概要
(1) 企業概要
アイックスHDは、純粋持株会社である同社を親会社とした11社の企業グループであり、石油
SSオート事業(燃料販売、自動車販売・修理業など)、フード事業(飲食店運営)などを展開している。
石油SSオート事業は、ガソリンスタンド運営などの燃料販売事業(石油製品・LPガス)、自動車
販売および自動車修理業など、エネルギーおよびモビリティサービスを提供し、生活インフラを支
えている。フード事業は、居酒屋や焼鳥・串カツなどの専門店、回転寿司、カフェ等様々な外食ブ
ランドを展開している。
また、その他の事業として不動産賃貸業、運転代行業、警備業などを営んでいる。
売上高構成比は、石油SSオート事業およびフード事業で全体の95%を占めており、本評価書に
おいては、この2つの事業を評価対象とする。
企業名 株式会社アイックスホールディングス
本社所在地 北海道札幌市白石区本通12丁目南3番10号
代表者名 代表取締役会長 伊藤 豊
代表取締役社長 伊藤 一也
設立 1955年4月
従業員 2,980名(グループ合計、アルバイト含む) 2024年4月1日時点
資本金 33,200万円(グループ合計)
売上高 370億円(2024年3月期 グループ合計)
事業内容
【石油SSオート事業】
燃料販売業(石油製品・LPガスの販売、ガソリンスタンド経営)
自動車販売業および修理業(カーディーラー経営、車検・板金・塗装サービス)
レンタカー業
【フード事業】
飲食業(飲食店経営)
【その他】
保険業(損害保険・生命保険代理店)
不動産賃貸業
運転代行業
警備業
経営コンサルティング業
グループ会社
株式会社アイックスホールディングス(純粋持株会社)
株式会社アイックス(燃料販売業、自動車販売・修理業、飲食業)
株式会社アイックスフーズ(飲食業)
株式会社参集社(飲食業)
株式会社やすけ・フーズ(飲食業)
株式会社広報事務所(経営コンサルティング業)
アイックス管理株式会社(警備業)
株式会社スクラム運転代行(運転代行業)
株式会社エネルギーサービス札幌(燃料販売業)
株式会社ムラカミ(燃料販売業)
三協石油株式会社(燃料販売業)
沿革 【燃料販売、自動車販売・修理事業】
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1955年 出光興産㈱の特約店として伊藤晃商店を創業
1973年 ㈱伊藤晃商店を設立 資本金1,000万円
1999年 車検事業開始
2001年 板金塗装事業開始
2001年 中古車販売事業開始
2001年 ㈱アイックスに社名変更
2009年 国土交通省指定車検整備工場をオープン
2009年 レンタカー事業開始
2014年 スズキアリーナAIX新川をオープン
2018年 宮城県仙台市名坂にカーセブン仙台店をオープン
2022年 茨城県の株式会社ムラカミがグループ企業へ
2024年 北海道留萌市の三協石油株式会社がグループ企業へ
【フード事業】
2002年 「炭焼居酒屋 とりの介 アピア店」 札幌市中央区にオープン
2003年 「炭焼居酒屋 うずらや 札幌駅北口店」など
札幌市内に3店舗オープン
2004年 「酔食居酒屋 山の猿 札幌駅北口店」 札幌市北区にオープン
2005年 「炭焼居酒屋 もぐらの炭 駅前通り店」 など札幌市内に
3店舗オープン
2006年 「炭焼居酒屋 山の猿 極」 札幌市内に3店舗オープン
2007年 「立ち喰い呑み処 ちょっと 」、「WALL BAR DINNING」 など、
札幌市内に5店舗オープン
2008年 「WALL BAR DINNING」など札幌市内2店舗オープン
2009年 「炭焼ダイニング 鶏侍」など 札幌市内3店舗オープン
2010年 「炭焼居酒屋 山の猿 買物公園通り店」 旭川市にオープン
「ごはん酒場 山の猿 真駒内店」 など札幌市内3店舗オープン
2011年 「炭焼居酒屋 山の猿 小樽駅前店」 小樽市にオープン
「WineBar Dining 宙 ステラプレイス店] 札幌市中央区にオープン
「くつろぎのカフェ Tcafe」など 札幌市内3店舗オープン
2012年 「博多の酒呑み処 なかすっ娘 新札幌店」 札幌市厚別区にオープン
「炭焼居酒屋 とりの介 買物公園通り店」 旭川市にオープン
2013年 「博多の酒呑み処 なかすっ娘 時計台通り店」
札幌市中央区にオープン
「山の猿」、「カラオケ王国」など釧路市に6店舗オープン
「博多めし なかすっ娘 仙台一番町店」 仙台市青葉区にオープン
2014年 「山の猿千歳店」千歳市にオープン
「とりの介仙台一番町店」仙台市にオープン
「時計台記念病院職員専用食堂ハーフタイム」札幌市にオープン
「カフェメルカート」札幌市にオープン
2015年 「グランファームビュッフェ」旭川市にオープン
茨戸カントリークラブレストラン「THE GARDEN 茨戸」オープン
「ミートギャングアピア店」など札幌市内3店舗オープン
「山の猿函館昭和店」オープン
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「グランファームビュッフェタヴェルナ仙台市名坂店」オープン
2016年 「とりの介函館五稜郭店」オープン
「グランファームビュッフェモリモリ富谷店」オープン
「北海道市場 十勝晴れ」オープン
「山の猿」3店舗オープン(リニューアルオープン含む)
「& sweets! sweets! buffet! Alice仙台フォーラス店」オープン
2017年 「メルカートデセンダイ クラックス店」 オープン
「八重洲居酒場商店 札幌北一条チカホ店」オー プン
「十勝居酒場商店 ととと 帯広駅前店」オープン
「コメダ珈琲店 南34条石山通店」オープン
「&Sweets! Sweets! Buffet! ALICE 新さっぽろ店」オープン
2018年 「しゃぶしゃぶ十勝晴れ札幌東急店」 オープン
「伊達な料理おもてなし ほたる 仙台国分町店」オープン
「居酒屋 山の猿 苫小牧店」オープン
「野菜巻き串とれたす まいて 新さっぽろ店」オープン
「酒・銀シャリ・おだし やちよ 札幌狸小路店」オープン
2019年 「THE GARDEN エルム」オープン
「炭火居酒屋 たま 仙台稲荷小路店」オープン
「鶏・豆富・魚 ととと 札幌南3条店」オープン
「ろばた 焼鳥&串カツ たま 札幌アピア店」オープン
2020年 「山の猿ジュニア 札幌月寒店」オープン
「焼鳥 串カツ&飲み放題 たま」3店舗オープン
2021年 「焼鳥 串カツ&飲み放題 たま 札幌南1条店」 オープン
「居酒屋やちよ 仙台駅東口店」オープン
2022年 「焼鳥 串カツ&飲み放題 たま」 4店舗オープン
「北海道炉端 めんめ仙台パルコ2店」オープン
2023年 「kappou箸」オープン
2024年 「伊達な居酒屋 山の猿 tekuteせんだい店」オープン
【アイックスHD 全体図】













【出典:アイックスHDへのヒアリングにより北洋銀行作成】
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(2) 経営理念
アイックスHDは、「食べたい、飲みたい、遊びたい、笑いたい、出かけたい、会いたい、あふれ
る毎日を楽しもう。Aix holdings.」を経営理念としている。
新型コロナウイルスの蔓延により様々な価値観が激変したことをきっかけに、上記の経営理念を
策定。北海道の生活に欠かせないエネルギーおよびモビリティサービスを提供するインフラ企業と
しての責務と、外食事業を通じて地域を元気にすることを理念としている。
また、アイックスHDは、「挑戦」、「革新」、「進化」を経営ビジョンに掲げている。
2045 年までに年商1,000億円、従業員5,800人、店舗数300店を目標とし、お客様の「あふ
れる毎日」を創造するため、グループの進化に向け取り組んでいる。
経営理念
「食べたい、飲みたい、遊びたい、笑いたい、出かけたい、会いたい、あふれる毎日を楽しも
う。Aix holdings.」
経営ビジョン
「挑戦」、「革新」、「進化」
【出典:アイックスHDへのヒアリングにより北洋銀行作成】
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(3) 事業概要
A. 事業内容
アイックスHDは、石油SSオート事業(燃料販売、自動車販売・修理業など)、フード事業
(飲食店経営)などを主力事業としている。
石油SSオート事業は、ガソリンスタンド運営などの燃料販売事業(石油製品・LPガス)、自
動車販売および自動車修理業などエネルギーおよびモビリティサービスを提供する。
フード事業は、居酒屋やレストラン、デリバリー専門店、回転寿司、カフェ等様々な外食ブ
ランドを展開している。
 石油SSオート事業
石油SSオート事業は、ガソリンスタンド運営などの燃料販売業(石油製品・LPガス)、自
動車販売業、自動車修理業を営む。
燃料販売業では、出光興産株式会社の特約店として、全道各地および茨城県に34店舗の
ガソリンスタンドを展開。多店舗展開による元売事業者との強固なつながりにより、燃料の
安定調達が可能となっている。また、一般家庭および法人向けの灯油・LPガスの配達販売
も行っている。寒冷地である北海道では、灯油やLPガスは生活に密着したエネルギーであ
り、地域住民の安心・快適な生活をサポートしている。
自動車販売業は、SUZUKIアリーナやカーセブンブランドなどで全道各地および東北に8
店舗を展開し、新車や中古車の買取・販売を行っている。
自動車修理業は、札幌市の指定工場で車検・整備・板金塗装を行っており、札幌近郊エリ
アを営業基盤としている。同社の工場では、最新の設備を整え、工程毎に熟練した専門技術
者が作業を行い、高度なサービス提供を可能としている。
同社の強みは、多店舗展開によるネットワークと燃料販売・自動車販売・自動車修理サー
ビスの事業領域を活かしたシナジー構築である。具体的には、ガソリンスタンドでの燃料販
売によりお客様との関係を構築し、自動車販売・修理などその他サービスについてもワンス
トップでのサービス提供が可能となっている。また、自動車の買取時から販売まで同社ネッ
トワークで完結させることや、自社工場で板金塗装・メンテナンスを行うことで中間コスト
をカットした査定が可能となっている。上記に加え、同社独自の会員カード制度を導入し、
複合的にサービスを利用するお客様に対して満足度の向上につなげている。
■バリューチェーン
店舗
企画/開発
発注/仕入
物流/在庫
営業
プロモーション
販売
サービス提供
お客様サポート
廃棄/リサイクル
【出典:アイックスHDへのヒアリングにより北洋銀行作成】
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■事業俯瞰図
【出典:アイックスHDへのヒアリングにより北洋銀行作成】
■店舗と提供サービス
札幌市
江別市
北広島市
恵庭市
千歳市
北海道
岩見沢市
小樽市
旭川市
留萌市
苫小牧市
函館市
宮城県 仙台市
秋田県 秋田市
【店舗】
S
S


19
4
2





















3
1
1
1
1
1
1
1
1
茨城県 笠間市
合計
2
34
1
1
1
1
8
4
1
1
1
7
10
1
1
1
1
1
1
1
1
18
【出典:アイックスHDのHPより北洋銀行作成】
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【店舗の風景(一例)】
■指定工場の風景
▲セルフ白石本通SS
▲スズキアリーナ aix 新川
【工場の風景】
▲セルフ北広島SS
▲カーセブン 白石店
【出典:アイックスHD HP】
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 フード事業
フード事業は、全道各地および宮城県仙台市に89店舗の飲食店を出店している。居酒屋
「山の猿」、「とりの介」や「焼鳥・串カツ&飲み放題 たま」などを主力ブランドに、居酒
屋、イタリアンレストラン、ビュッフェ、テイクアウト専門店、カフェ、回転ずし等様々な
外食ブランドを展開し、個人からファミリー層、学生、社会人とあらゆるお客様をターゲッ
トとしている。特に、ファミリー層に対しては、グループ会社のスクラム運転代行と連携し、
「3kmまでの運転代行無料サービス」を提供することで、お客様満足度の向上とともに、飲
酒運転撲滅に対する取り組みを実施している。近年は、新型コロナウイルスによる影響を受
け、テイクアウト専門店(天丼や韓国料理等)も出店し、多様な外食サービスの提供を行って
いる。
同社の強みは、多店舗展開によるメニュー開発力、提供する料理における味の均一化・安
定化に向けた体制確立、仕入先との関係構築による食材調達力である。
あらゆる業態の出店により多種多様なメニューを提供している同社では、これまでに蓄積
されたノウハウをもとに、社内のテストキッチンで随時メニュー開発が行われている。これ
により毎月新メニューを開発し、お客様への新たな価値提供を継続している。
同時に、全店舗における味の均一化・安定化に向け、調理マニュアルの策定や調理指導部
による調理ノウハウの共有により、社内での調理師育成体制の構築が行われている。今後は
サービス品質の向上を目指すとともに、継続的な調理マニュアルの改訂を計画している。
また、仕入先との関係構築により新鮮な生鮮品や地元食材の調達が可能。特に、地元食材
の活用については地元の生産者や漁業者との強固な関係により、同社が依頼した品種の生産、
地元でしか流通しない魚介類など、四季折々の旬な食材を調達し、これらを活かしたメニュ
ーを開発することで、他社との差別化になっている。
■バリューチェーン
店舗
企画/開発
発注/仕入
物流/在庫
営業
プロモーション
販売
サービス提供
お客様サポート
廃棄/リサイクル
■事業俯瞰図
【出典:アイックスHDへのヒアリングにより北洋銀行作成】
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【主なブランド】
【出典:アイックスHDの HPより北洋銀行作成】
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(4) サステナビリティ方針と活動
A. サステナビリティ方針
アイックスHDは、「経営理念」や「経営ビジョン」に基づく企業活動を通じて、全てのステ
ークホルダーと地域社会・環境の持続的発展に貢献するとともに、自社の中長期的な企業価値
の向上と持続的経営の実現に努めるべく「サステナビリティ・ビジョン」「サステナビリティ経
営方針」を策定している。
地球温暖化による脱炭素社会への変化などの環境問題や、人口減少・少子高齢化等の社会課
題、企業のコンプライアンス等のガバナンスの重要性を踏まえ、「働きがいのある職場づくり」、
「地域社会との調和による豊かな社会づくり」、「事業活動を通じた環境保全」、「安心安全な製
品・サービスの提供」、「コンプライアンスの実践」および「リスクマネジメント体制の構築」
を重要課題とし、それに紐づく取組内容や目標・KPIを定め、「あふれる毎日を楽しむ」ための
インフラ企業として、自社の企業価値向上とともに、持続可能な社会の実現に向けて挑戦を続
けている。
サステナビリティ・ビジョン
人と自然、社会と自然が調和する未来を実現し、真に価値ある企業となるためにアイックスHD
は、「あふれる毎日を楽しもう」を企業メッセージに掲げ、ステークホルダーとともにさまざ
まな活動を進めています。
サステナビリティ経営方針
アイックスHDは、「あふれる毎日を楽しむ」ためのインフラ企業としてかけがえのない地球
環境を守り、慈しみ、責任を持って次世代に伝えていくことが共存し、人と自然、社会が互い
によい影響を与え合って永く持続していく未来を目指します。持続可能な社会の実現に向けて
企業の積極的な取り組みが期待される中、日本、そして世界の課題にこれまで以上に向き合
い、「あふれる毎日」を皆様に楽しんで頂くために、持続可能な社会の実現に向けて挑戦を続
けます。
【出典:アイックスHD 提供資料より】
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B. サステナビリティ活動
① 環境面
 カーボンニュートラルへの貢献と循環型ビジネスモデルの構築
アイックスHDでは石油SSオート事業とフード事業が連携し、「バイオ混合燃料」
の製造・活用を検討している。プロセスとしては、フード事業部の各店舗から排出され
る廃食油を回収し、石油元売である出光興産㈱の協力のもと、使用済み食用油由来の
FAME(植物油や廃食用油などから化学反応によって生成されるもの)を燃料油と混合
した「バイオ混合燃料」を製造し、石油SSオート事業部の顧客に対して販売するとい
うスキームを検討。石油SSオート・フードの各事業部をもつ強みを最大限に生かした
新たなサーキュラーエコノミービジネスモデルの構築を目指している。
 省エネルギー機器の導入による気候変動対策
アイックス HDでは、環境に配慮した施設運営に取り組んでいる。運営する店舗で
は LED 照明の導入など省エネルギー化をすすめるほか、同社で所有する営業車輌の
HV/EV化を進めることで、営業活動時のCO₂削減にも取り組んでいる。
また、フード事業ではセントラルキッチンを活用し、店舗への一括配送による物流
時のCO₂排出量削減に貢献している。今後は、CO2排出量の可視化をすすめることで、
アイックスHDの脱炭素における取組みを推進していく。
 廃棄物の削減
石油SSオート事業では、節水型洗車機を導入し、水資源の効率的な利用に努めてい
る。導入している洗車機は、従来の洗車機と比較すると洗浄力を維持しながら水使用量
を2分の1以上節減することができる。現在、34店舗中25店舗の導入を進めている
が、今後は全店舗に節水型洗車機を導入する予定である。また、適切な廃棄物処理やリ
サイクルにも努めている。店舗や工場から発生する汚水や廃棄物は法令に基づき適切
な処理を行っており、今後は、社内にリサイクル事業部を設置することで自動車の部品
等のリサイクル比率の向上に取り組み、循環型経済の実現を目指していく。
フード事業では、独自の在庫管理システムを導入することで各店舗・セントラルキ
ッチンの在庫を一元管理し、食品ロスの削減に努めているほか、お客様の食べ残しによ
り発生する食品ロス削減を行っている。食品衛生法上の規定では、外食における「食べ
残しの持ち帰り」に対する規制はないが、飲食店は持ち帰りの希望者に対し、食中毒等
のリスクや取扱方法等、衛生上の注意事項を十分に説明する必要がある。アイックス
HDでは、食品衛生やお客様ニーズを考慮し、商品を限定したうえで食べ残しの持ち帰
りを実施することで、食品ロスの削減に取り組んでいる。
 環境配慮型製品の販売
アイックス HDは、ハイブリット車や電気自動車など環境負荷を低減する自動車を
積極的に販売している。広大な面積を有する北海道では、生活インフラとして自動車が
必要不可欠であり、環境負荷を低減する自動車の普及をすすめることで、CO₂の削減に
貢献することができる。
また、環境に配慮した車両の整備技術の向上に努めている。国内では、2050年のカ
ーボンニュートラル達成に向け、電気自動車およびプラグイン・ハイブリッド自動車等
の普及が進んでいる。自動車整備業界においても、法改正により2020年4月から特
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定整備制度が開始しているが、先述した自動車に対する整備技術の習得が喫緊の課題
となっている背景もあり、これら自動車への整備技術を向上させることで、持続可能な
地域づくりに貢献している。
② 社会面
 人材育成
アイックス HDでは、従業員一人ひとりが長期的視野で成長できる機会を提供し、
人材育成に努めている。
グループ全体としては、新入社員研修など階層別の研修を実施することで、ビジネ
スマナーやマネジメント、コンプライアンスに関する教育を実施している。
石油SSオート事業では、職能別研修や資格取得制度に取り組んでいる。整備部門に
ついては自動車点検や洗車・コーティングなどの研修を実施し専門スキルの向上を支
援するとともに、自動車整備士や危険物取扱者などの資格取得のサポートを行ってい
る。また、販売部門では、自動車や損害保険等に商品知識の習得、ロールプレイング選
手権の実施など、知識力や提案力の強化や情報共有による人材育成に取り組んでいる。
フード事業では、人材育成による品質の均一化および環境配慮に努めている。上記
の通り、アイックス HD は様々な外食ブランドを展開しており、ブランドごとに提供
メニューが異なっていることから、調理担当者の人材育成が重要である。調理担当とな
る従業員は、本部で行われる社内研修により育成され、レシピに基づいた調理を行うこ
とで、品質の均一化、食品ロスの削減および消費エネルギーの削減を実現している。ま
たホールスタッフには、お客様のご案内や配膳練習などの実務研修や動画・マニュアル
の導入による研修に加え、各店舗の特色を理解するためのトレーニングを実施。飲食業
に従事したことがない従業員も早期に基礎的なスキルを習得できる体制を構築すると
ともに、あわせて外部講師を招聘した研修を行うことで、スキルアップにつなげてい
る。
 労働安全や健康管理の取り組み
アイックス HDでは、労働環境の変化に的確に対応した安全な職場環境づくりに努
めるとともに、従業員一人ひとりが健康で幸せに満ちた生活を実現できるよう支援し
ている。
石油SSオート事業では、自動車整備業務でリスクとなる部品の落下事故や「はさま
れ・巻き込まれ」事故を防止するため、従業員への研修等を実施している。板金塗装業
務では、病気のリスクを高めるシンナーなど有機溶剤を扱う作業場の定期的な作業環
境測定を行い、現場の有機溶剤濃度を確認するとともに、板金塗装業務を行う従業員の
健康診断を充実させることで、労働災害の防止に取り組んでいる。また、フード事業に
おいても、セントラルキッチンや店舗における調理設備・器具による労働災害を防止す
るため、研修を実施している。
勤務環境面では、デジタル化を推進することで働き方改革を行い、時間外労働の削
減による過重労働防止に取り組むほか、有給休暇が取得しにくい風土を一変させ取得
の推進を図り、心身の健康管理に取り組んでいる。
今後は、定期健康診断において、人間ドックや女性特有の病気に対する健診の補助
などを行うことで充実化を図り、健康経営を推進していく。
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 多様性のある職場づくり
アイックス HDでは、従業員一人ひとりが相互信頼・相互責任の精神に則り、互い
を思いやりそれぞれの立場や考え方を尊重することで、多様性のある職場づくりを目
指している。
この取り組みは店舗開発において効果が発揮されており、女性や若い従業員の意見
を反映させることで、新たな店舗ブランド開発や女性のお客さまが入店しやすい店舗
づくりが可能となり、お客様満足度の向上につながっている。今後も性別や年齢を問わ
ない役職への登用を行うことで、多様性のある職場づくりによる組織活性化を継続し、
商品・サービスの向上を図っていく。
③ 経済面
 エネルギーやモビリティサービスの提供によるインフラ基盤の構築
アイックスHDの石油SS オート事業は、地域の生活インフラに欠かせないサービ
スとなっている。広大な面積である北海道では、地域住民の豊かな暮らしに自動車が欠
かせないものとなっているが、さらなる人口減少・少子高齢化社会が到来する中で、公
共交通サービスや過疎地でのガソリンスタンドやモビリティサービスの維持が困難と
なっていくことが予想される。
アイックス HDでは、地域のインフラを維持していくために、事業承継に課題を抱
える事業者のM&Aなどを実施することで、地域住民の生活に欠かせないインフラの維
持に取り組んでいる。
 地域課題や多様なニーズに合わせた商品提案
アイックス HDでは、地域の課題や特性を考慮した商品・サービスの開発・提供に
努めている。
石油SSオート事業では、安全運転サポート車や福祉車輌の販売に努めている。北海
道は全国でも交通事故が多く、かつ高齢化の進行が加速している地域であり、上記の車
輌を普及させることで、社会課題の解決に貢献することができる。また、ライフスタイ
ルに合わせた商品提案を行っている。これまで、自動車は「所有」することが一般的で
あったが、レンタカーやリース、カーシェアリングなど、価値観の変化により多様なカ
ーライフが選択されている。そのような様々なお客様ニーズに合わせた商品提案を行
うことで持続可能な地域づくりに努めている。
フード事業では、多様な価値観やライフスタイルに合わせた店舗・メニュー開発を
実施している。社会構造の変化により様々なニーズが生まれており、アイックスHDで
は居酒屋、レストラン、回転寿司、カフェなど様々な外食ブランドを展開し、お客様に
価値提供を行っている。
 地域社会との調和
アイックス HDでは、地域社会との対話を大切にし、社会課題の解決や生活文化の
充実を積極的に推進することで、地域社会との調和ある成長を目指している。
石油 SS オート事業では、地域イベントへの協賛や元売りである出光興産㈱が主催
する『北海道apollo会「おえかきコンテスト」』への協力を行い、地域文化の形成に取
り組んでいる。また、地域の学生に対し職場見学・体験やインターンシップを実施し、
事業の重要性や面白さを発信するとともに、地元人材の雇用を継続している。
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ポジティブインパクトファイナンス評価書
フード事業では、地元食材を活用した積極的なメニュー開発に取り組んでいる。主
要エリアである北海道は食材の宝庫であり、道産食材の活用を推進するとともに、地元
の生産農家や漁業者と連携したメニュー開発を行うことで、地域の価値をアイックス
HDのお客様に伝えていく役割を継続している。出店エリアとしても、北海道を中心と
した店舗戦略を展開しているが、近年は宮城県にも仙台市を中心に 9 店舗を出店し、
北海道食材の魅力を伝えており、今後は関東エリアへの出店も計画している。また、人
材採用でも、展開しているエリア毎で地元人材の積極採用を行うほか、転勤を伴わない
地域限定社員制度を導入し、働きやすい制度を導入。インターンシップや地元の調理専
門学校に対する出前授業を実施することで、地域の学生にアイックス HD を理解して
もらう取り組みを実践している。その他、地域貢献活動として生産農家や漁業者と連携
したゴミ拾いなどのボランティアを実施している。
 安心安全なサービスの提供および品質の向上
石油SSオート事業では、給油設備の点検や在庫管理を徹底し、安全、安心な製品・
サービス提供に努めている。ガソリンスタンド運営においては、「揮発油等の品質の確
保等に関する法律」、「石油の備蓄の確保等に関する法律」など各種法令を遵守し、地域
社会のインフラを支える企業として社会的責任を果たしている。また、ガソリンスタン
ドには非常用電源を導入しており、災害時の稼働が可能とすることでBCP対策を講じ
られているとともに、地域インフラの維持にも貢献している。
お客様へのサービス品質の向上としては、コールセンターの設置によるサポートに
取り組んでいる。アイックスHDでは、年間8,000台以上の車検、3,000台以上の板
金塗装サービスを提供しているが、利用したお客様に対しコールセンターが品質に対
する満足度等のアフターフォローを実施することで、品質の向上に努めている。
また、フード事業でも品質の向上につながる体制を構築している。フード事業は多
様な店舗ブランドを102店舗展開しているため、あらゆる食材の管理が求められるが、
独自の在庫管理システムにより各店舗・セントラルキッチンの在庫を一元管理してい
る。セントラルキッチンでは、各店舗で行われる調理の前工程を行い品質の均一化や業
務効率化に努めるとともに、物流を管理することで生鮮品のフレッシュさを保持して
いる。店舗においてもマニュアルに基づいたレシピ・調理工程を遵守することで、お客
様に提供する料理の品質を維持できているが、本部に設置した調理指導部が各店舗の
指導や管理を行い、ノウハウを共有することで品質の向上を図っている。
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ポジティブインパクトファイナンス評価書
2. インパクトの特定
(1) バリューチェーン分析
インパクトの特定のためバリューチェーン分析を行った。具体的な手法として、バリューチェー
ン(主活動・支援活動)における環境、社会、経済の側面から与える影響について、同社のサステナ
ビリティ活動から分析を行った。
■バリューチェーンとESG要素
分類
環境、社会、経済に影響を与える活動
店舗
企画/開発
【環境】
・LED導入等による店舗の省エネルギー化
発注/仕入・
物流/在庫





S
S

l



営業
プロモーション
販売
サービス提供 -
【環境】
・自社営業車輌におけるHV/EVへの入替
【環境】
・節水型洗車機の導入
【環境・社会/経済】
・HV/EVなど環境配慮型車両の販売
・安全運転サポート車や福祉車輌の販売
・カーリースの提供による様々なニーズへの対応
・廃食油を活用したバイオ混合燃料の製造
【社会】
・地域のインフラ構築に対する取り組み
(事業承継課題への対応、BCP対策)
お客様サポート
廃棄/
リサイクル
【環境】
・汚水や自動車部品等の産業廃棄物の適切な処理およびリサイクル
【経済】
・石油製品の提供に向けた体制整備による安心安全なサービス提供
・品質向上の取り組みによる付加価値の向上



店舗企画/開発
【環境】
・LED導入等による店舗の省エネルギー化
・節水コマの設置による水資源の有効活用
【社会/経済】
・多様な価値観やライフスタイルに合わせた店舗開発

l
発注/仕入・物流/
在庫
【環境】
・セントラルキッチンを活用した効率化によるCO₂排出量
削減およびフードロス削減



営業
プロモーション
【環境】
・営業車輌におけるHV/EVへの入替
販売
サービス提供
【経済】
・地域食材を活用したメニュー開発による地域活性化
お客様サポート
廃棄/リサイクル
【環境】
・お持ち帰りの活用によるフードロス削減
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ポジティブインパクトファイナンス評価書
分類
環境、社会、経済に影響を与える活動




全般管理
人事管理
技術管理
IT 管理
【環境】
・エネルギー使用量可視化によるCO₂排出量削減
【社会】
・充実した人材育成制度やワーク・ライフ・バランスの推進
による働きがいの向上
・労働安全衛生の取り組みによる従業員の健康推進
・地域人材の採用による地域活性化
【出典:アイックスHDへのヒアリングにより北洋銀行作成】
(2) インパクトレーダーによるマッピング
バリューチェーン分析に基づき特定したインパクトを整理することに加え、UNEP FIが提供する
インパクトレーダーによるマッピングを行う。
マッピング手法は、UNEP FIのインパクトレーダーによるポジティブインパクト(PI)及びネガ
ティブインパクト(NI)とバリューチェーン分析の結果により整理していく。
A. 石油SSオート事業
バリューチェーンにおける事業を国際標準産業分類にて、アイックスHDの事業を「専門店
による自動車燃料小売業(業種コード:4730)」、「自動車販売業(業種コード:4510)」、「自
動車整備・修理業(業種コード:4520)」、川上の事業を「精製石油製品製造業(業種コード:
1920)」、「自動車製造業(業種コード:2910)」と特定した。なお、川下の事業は対象が個人
であることから、本分類による特定はしていない。
同社の事業におけるインパクトについては以下の通りである。
a. エネルギーやモビリティサービスの提供や、製品・サービスの品質向上、同業他社の事
業承継問題などへの課題解決、およびBCP対策を通じて「エネルギー」、「移動手段」、
およびインパクトマッピングで特定されていないが「自然災害」、「インフラ」への PI
の増大が期待される。
b. HV/EVの積極的な販売とともに、同社の営業車輌のHV/EVへの切り替えや店舗のLED
照明導入等により温室効果ガス等の発生を抑制することで、インパクトマッピングで
特定されていないが「気候の安定性」へのPIの増大、および「気候の安定性」、「大気」
へのNIの低減が期待される。
c. 石油製品販売においては、自社フード事業で発生する廃食油由来のバイオ燃料を活用
した新たなビジネスの展開や、自動車修理サービス等で発生する廃棄物の適切管理お
よび削減により「気候の安定性」のPI増大、「資源強度」、「廃棄物」へのPIの増大・
NI の低減、およびインパクトマッピングで特定されていない「水域」、「土壌」へのNI
の低減が期待される。
d. 地元人材の雇用創出、従業員の人材育成、労働安全の取組みおよび健康への配慮により
「雇用」へのPIの増大、「健康および安全性」およびインパクトマッピングで特定され
ていない「雇用」へのNIの低減が期待される。
なお、インパクトマッピングでは「賃金」、「 零細・中小企業の繁栄」へのPIの増大、「賃金」、
「社会的保護」へのNIの低減が特定されているが、アイックスHDの事業により与える影響
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ポジティブインパクトファイナンス評価書

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は限定的のため特定していない。

また、川上の事業へのインパクトについては以下の通りである。
a. 同社が廃食油を活用したバイオ燃料を活用したビジネスを展開することで、石油製品製
造業における化石燃料の採掘が抑制されることから、「資源強度」へのNIが低減される。
なお、川上の事業で特定されているその他のインパクトについて、アイックスHDの事業に
より与える影響は限定的であることから特定していない。

■アイックスHDの事業が与えるインパクトのマッピング(UNEP FIインパクトレーダー)
下図によりマッピング内容を可視化した。インパクトカテゴリのうち、黄色塗りされた箇所は
バリューチェーン分析により特定されたカテゴリである。また、各事業において想定されるPI
及びNIをインパクトレーダーから抽出している。






















B. フード事業
バリューチェーンにおける事業を国際標準産業分類にて、アイックスHDの事業を「レスト
ラン及び移動式飲食業(業種コード:5610)」、川上の事業を「食料品、飲料及びたばこ卸売業
(業種コード:4630)」、と特定した。なお、川下の事業は対象が個人であることから、本分類
による特定はしていない。
同社の事業におけるインパクトについては以下の通りである。
a. 多様な飲食店舗の展開による外食サービスの提供や、サービス品質の向上により安心
安全な食を提供することにより「食糧」へのPIの増大が期待される。
b. 北海道の食材を活用した積極的なメニュー開発に取り組み、付加価値提供を行うこと
川上の事業当社の事業川下の事業
精製石油製品製造業自動車製造業専門店による
自動車燃料小売業自動車販売業自動車整備・修理業
1920 2910 4730 4510 4520
三側面インパクトエリアインパクトトピックPI NI PI NI PI NI PI NI PI NI
紛争
現代奴隷
児童労働
データプライバシー
自然災害
健康および安全性-● ●● ● ● ●
水●●
食糧
エネルギー●● ●
住居
健康と衛生
教育
移動手段● ●● ● ● ●● ●●
情報
コネクティビティ
文化と伝統
ファイナンス
雇用● ● ● ● ●
賃金● ● ● ● ● ● ● ● ●
社会的保護● ● ● ● ●
ジェンダー平等
民族・人種平等
年齢差別
その他の社会的弱者
法の支配
市民的自由
セクターの多様性
零細・中小企業の繁栄● ●● ● ●
インフラ-●
経済収束
気候の安定性-●● ●● ● ●
水域●● ●
大気●● ● ●
土壌
生物種
生息地
資源強度●● ●● ● ●
廃棄物● ● ● ● ●
●●:主要なカテゴリ、●:関連のあるカテゴリ
:PIの増大またはNIの低減に係る箇所
バリューチェーン
業種
(国際標準産業分類)
【コード】
生物多様性と
生態系
サーキュラリティ
社会
社会
経済
自然
環境
人格と人の
安全保障
資源とサービスの
入手可能性、
アクセス可能性、
手頃さ、品質
生計
平等と正義
強固な制度、
平和、安定
健全な経済
ポジティブインパクトファイナンス評価書
で「文化と伝統」へのPIの増大が期待される。
c. 店舗における省エネルギー活動やフードロスの削減、廃食油のリサイクル、水資源の適
切な利用により「廃棄物」、およびインパクトマッピングでは特定されていない「気候
の安定性」、「水域」、「資源強度」へのNIの低減が期待される。
d. 地元専門学校への教育の提供や地元人材の雇用創出、従業員の人材育成、ダイバーシテ
ィの推進、労働安全の取組みおよび健康への配慮により「雇用」およびインパクトマッ
ピングで特定されていない「教育」へのPIの増大、「健康および安全性」およびインパ
クトマッピングで特定されていない「雇用」へのNIの低減が期待される。
なお、インパクトツールでは、「児童労働」「賃金」、「社会的保護」へのNIが特定されている
が、アイックスHDの事業により与える影響は限定的のため特定していない。
また、川上の事業へのインパクトについては、同社事業により与える影響は限定的であるこ
とから特定していない。
■アイックスHDの事業が与えるインパクトのマッピング(UNEP FIインパクトレーダー)
下図によりマッピング内容を可視化した。インパクトカテゴリのうち、黄色塗りされた箇所は
バリューチェーン分析により特定されたカテゴリである。また、各事業において想定される PI
及びNIをインパクトレーダーから抽出している。
バリューチェーン
業種
(国際標準産業分類)
【コード】
三側面 インパクトエリア インパクトトピック
川上の事業
食料品、飲料及び
たばこ卸売業
4630
PI
NI
当社の事業
レストラン及び
移動式飲食業
5610
PI
NI
人格と人の
安全保障
健康および安全性
社会
社会
経済
自然
環境
資源とサービスの
入手可能性、
アクセス可能性、
手頃さ、品質
生計
平等と正義
強固な制度、
平和、安定
健全な経済
インフラ
経済収束
気候の安定性
紛争
現代奴隷
児童労働
データプライバシー
自然災害

食糧
エネルギー
住居
健康と衛生
教育
移動手段
情報
コネクティビティ
文化と伝統
ファイナンス
雇用
賃金
社会的保護

● ● ●


●●



● ●
● ● ●
ジェンダー平等
民族・人種平等
年齢差別
その他の社会的弱者
法の支配
市民的自由
セクターの多様性
零細・中小企業の繁栄--
水域
大気
生物多様性と
生態系
サーキュラリティ
土壌
生物種
生息地
資源強度
廃棄物








●●:主要なカテゴリ、●:関連のあるカテゴリ
:PIの増大またはNIの低減に係る箇所
当社の事業
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ポジティブインパクトファイナンス評価書
(3) インパクトニーズの確認
A. インパクトカテゴリとSDGs及びサステナビリティ経営方針との関連性
下図によりインパクトカテゴリと SDGs の関連性を以下の通り可視化した。バリューチェー
ン分析(サプライチェーン及び管理部門)とインパクトレーダーによるマッピングを通じ、取組
内容を網羅的に整理している。
①石油SSオート事業
②フード事業
■管理部門でのマッピング
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ポジティブインパクトファイナンス評価書
アイックスHDが掲げるサステナビリティ経営方針では、以下6点を同社の重要課題(マテ
リアリティ)としている。これらは企業理念とSDGsの関連性及び外部環境等の考慮し、バリュ
ーチェーン分析を経て策定したものである。
■アイックスHDの重要課題(マテリアリティ)
A. 働きがいのある職場づくり
B. 地域社会との調和による豊かな社会づくり
C. 事業活動を通じた環境保全
D. 安心安全な製品・サービスの提供
E. コンプライアンスの実践
F. リスクマネジメント体制の構築心・安全な食の提供
<特定した重要課題(マテリアリティ)とSDGsの関連性>
B. アイックスHDのインパクト
以下ロジックモデルを基に、アイックスHDのインパクトを整理する。六つの資本(①財務、②
製造、③知的、④人的、⑤社会・関係、⑥自然)の投下により、二つの事業(①石油SSオート事
業、②フード事業)を行い、アウトプットとして①エネルギーの安心・安定供給、②モビリティサ
ービスの提供、③多様な外食サービスの提供、④働きがいのある職場を提供している。
また、アウトカムとして①地域における生活インフラの維持、②外食サービスを提供する顧客の
幸福度向上、③サプライチェーンを通じたCO2排出量や廃棄物の削減、④従業員の働きがい向上、
を創出し、インパクトとして、①生活インフラの維持による安心な暮らしの提供、②食の提供によ
る幸福度の向上、③カーボンニュートラルと循環型社会への貢献、④従業員の働きがい向上、がも
たらされる。なお、特定されたインパクトは重要課題と整合している。
また、インパクトのうち、事業別の売上構成、ビジネスモデル及びインパクトレーダーによるマ
ッピング結果から、より重要なものとしてコア・インパクトを特定する。
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ポジティブインパクトファイナンス評価書
<ロジックモデルによる整理>
・インプットの内容(六つの資本)の概要
① 財務資本:安定したキャッシュフロー創出による経営資源への分配
② 製造資本:店舗ネットワーク、自動車整備工場、セントラルキッチン
③ 知的資本:知名度の高いブランド力、ニーズに応えるノウハウ、メニュー開発体制
④ 人的資本:多様性、高いスキルを有する2,600人の従業員
⑤ 社会/関係資本:元売・お客様・地域等ステークホルダーとの信頼基盤
⑥ 自然資本:良質な食材を生み出す動植物や森林・海洋資源
「1」生活インフラの維持による安心な暮らしの提供:コア・インパクト
広大な面積の北海道では、地域住民の生活や地域経済にモビリティサービスが不可欠なも
のとなっている。アイックスHDの主力事業である石油SSオート事業は、地域の生活イン
フラを支えることで安心な暮らしを提供するとともに、地域経済にとって重要な位置づけ
となっていることから、コア・インパクトとして特定する。
「2」食の提供による幸福度の向上:コア・インパクト
アイックスHDの主力事業であるフード事業は、地域住民など多くのステークホルダーに
対し、食を通じた豊かな生活を提供するとともに、地域資源を活用することで経済活性化に
資するものであることから、コア・インパクトとして特定する。
「3」カーボンニュートラルと循環型社会への貢献
アイックスHDの主力事業である石油SS オート事業は、石油製品や自動車の販売およ
び関連サービスを提供する事業であり、気候変動対応による社会の変革の影響を受ける事
業である。同社は、排出するCO2の削減に向けた取り組みとともに、石油元売である出光
興産㈱と石油業界の変革に対応すべく、同社のフード事業と連携したサプライチェーンを
構築することで、新たなエネルギービジネスの創出を目指している。あわせて、食糧や水資
源の有効活用、廃棄物のリサイクルにより循環型経済を実現することで、環境負荷の低減
につながっている。このような取り組みは、同社の企業価値向上につながることから、イン
パクトとして特定する。
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ポジティブインパクトファイナンス評価書
「4」従業員の働きがい向上
アイックス HD が実践する人材育成の取り組みや、従業員がいきいきと、のびのびと働
けるような職場環境の整備により、健康経営の推進、長期的視野での成長機会が提供され、
従業員一人ひとりが健康で幸せに満ちた生活を実現につながることから、インパクトとし
て特定する。
C. 日本におけるインパクトニーズ
下図は、「SDGs インデックス&ダッシュボード 2024」を参照したものであり、SDGs の17
の目標別に日本の達成度を表している。「緑は目標達成」、「黄は課題が残っている」、「橙は重要
な課題が残っている」、「赤は主要な課題が残っている」としている。
アイックスHDのインパクトに対するSDGsのゴールは「2,5,7,8,11,12,13」であり、日本の
インパクトニーズに概ね整合していると判断できる。とりわけ「5,12,13」は主要な課題が残っ
ているもの、「2,7,8,11」は重要な課題が残っているものであり、特定されたインパクトは有意
義であると判断できる。
:アイックスHDのインパクトに関連するゴール
【出典:SDSNより】
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ポジティブインパクトファイナンス評価書
D. 北海道におけるインパクトニーズ
アイックスHDの主な事業エリアである北海道は、「北海道SDGs未来都市計画」を策定してお
り、SDGsのゴールとそれに紐づくKPIを設定している。
【出典:北海道「北海道SDGs未来都市計画(2021~2024)」】
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ポジティブインパクトファイナンス評価書

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北海道SDGs未来都市計画において、「2030年のあるべき姿」の実現に向けた、特に優先的に取
り組むべき課題が共有されている。加えて北海道総合政策部計画局推進課による「北海道SDGs推
進ビジョン」においても北海道の課題が整理されている。今回特定したインパクトに対するSDGsの
ゴールは、これらとも概ね整合しており、北海道においても重要度が高いものと判断できる。























【出典:北海道「北海道SDGs未来都市計画(2021~2024)」】














【出典:北海道総合政策部計画局推進課「北海道SDGs推進ビジョン」】

ポジティブインパクトファイナンス評価書
(4) 当行が認識する社会課題との整合性
北洋銀行グループは、「お客さま本位を徹底し、多様な課題の解決に取り組み、北海道の明日をき
りひらく」という経営理念と行動規範に基づく企業活動を通じて、全てのステークホルダーと地域
社会・環境の持続的発展に貢献するとともに、当行グループの中長期的な企業価値の向上と持続的
経営の実現に努めることをサステナビリティ方針として掲げている。
本評価書で特定したアイックスHDのインパクトは、北洋銀行のサステナビリティ方針と全体的
に整合的である。とりわけ、ESG取組方針の「1.環境方針」「2.社会貢献方針」、SDGsに係る
重点テーマの「1.お客様との共通価値の創造」「2.環境保全」「5.ダイバーシティ」及び環境・
社会に配慮した投融資方針の「1.環境・社会にポジティブな影響を与えると考えられる事業に対
する取組方針」に整合している。
【出典:北洋銀行 提供】
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ポジティブインパクトファイナンス評価書

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3. インパクトの評価

特定されたインパクトに対し、インパクトの種類(PI(ポジティブインパクト)の創出可能性、NI
(ネガティブインパクト)の低減・管理)、インパクトカテゴリ、関連するSDGs、内容・対応方針及
び目標とKPIを整理する。

A. 生活インフラの維持による安心な暮らしの提供:コア・インパクト

B. 食の提供による幸福度の向上:コア・インパクト



インパクトの種類 社会的側面においてPIを増大
インパクトエリア
・トピック
PI:「資源とサービスの入手可能性、アクセス可能性、手ごろさ、品質
(エネルギー、移動手段)」、
関連するSDGs



取組内容 【石油SSオート事業】
① 過疎地域におけるエネルギーインフラの維持
目標とKPI
【石油SSオート事業】
① 2029年3月期までに事業承継を目的とした燃料販売事業のM&Aを3件
実施し、地域の生活に欠かせないエネルギーインフラの維持に貢献する
インパクトの種類 社会的側面においてPIを増大
インパクトエリア
・トピック
PI:「資源とサービスの入手可能性、アクセス可能性、手ごろさ、品質
(食糧、文化と伝統)」
関連するSDGs

取組内容
【フード事業】
① お客さまへの外食サービス提供機会の増加
② 商品・サービスの品質向上
③ 安心安全な商品提供体制の構築
④ 北海道食材の魅力発信
目標とKPI
【フード事業】
① 2029年3月期までに外食サービスを提供する飲食店を関東エリアに10
店舗出店する(2024年3月期 0店舗)
② 2029年3月期までに調理場担当従業員における調理師資格取得率を70%
以上にする(2024年3月期 45%)
③ 2027年3月期までに外部事業者による店舗の衛生検査において90点以
上の店舗を95%以上にする(2024年3月期 65%)
④ 北海道食材を活用したフェアを毎年10件実施する(2024年3月期 8件)
ポジティブインパクトファイナンス評価書

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C. カーボンニュートラルと循環型社会への貢献

D. 従業員の働きがい向上

インパクトの種類 環境的側面、社会的側面においてPIを増大
環境的側面においてNIを低減
インパクトエリア
・トピック
PI:「資源とサービスの入手可能性、アクセス可能性、手ごろさ、品質(エネル
ギー)」「気候の安定性」「サーキュラリティ(資源強度、廃棄物)」
NI:「気候の安定性」
関連するSDGs



取組内容
【共通】
① エネルギービジネスの新たなサプライチェーン構築
② 店舗のエネルギー管理体制の構築
目標とKPI
【共通】
① 2027年3月期までにフード事業部で排出している廃食油を活用したバイ
オ混合燃料を製造・配送し販売を開始することで、サーキュラーエコノミ
ーを実現する
② 2027年3月期までに自社のCO2排出量を可視化し、以降は削減計画を
策定のうえ具体的な削減施策を進める
インパクトの種類 社会的側面においてPIを増大
社会的側面においてNIを低減
インパクトカテゴリ PI:「生計(雇用)」
NI:「健康および安全性」、「生計(雇用)」
関連するSDGs



取組内容
【石油SSオート事業】
① 従業員のスキルアップ支援
【フード事業】
① 多様な人材が活躍できる組織風土の確立
② 働き方改革の推進
目標とK P I
【石油SSオート事業】
① 従業員の資格取得(整備士資格/危険物乙四資格/ショベルローダー等運転
技能)を支援し、年間30名以上の取得・講習受講を実施する
(2024年3月期 28名)
【フード事業】
① 2026年3月期までに女性のマネージャーを2名、店舗責任者を新たに5
名登用する(2024年3月期 女性マネージャー 0名 店舗責任者 14名)
② 2027年3月期までに時間外労働時間を5%削減し、以降も削減に努める
(2024年3月期 44時間)
ポジティブインパクトファイナンス評価書
4. インパクトのモニタリング
アイックスHDは、代表取締役社長を最高責任者として主要事業の棚卸を行い、インパクトの特定、
取組内容・対応方針や目標・KPIを設定した。
本件で設定した目標・KPIの進捗状況については、アイックスHDと北洋銀行営業店及びソリュー
ション部が少なくとも年に1回は定期的に情報共有を行い、北洋銀行がその達成状況や課題をモニタ
リングするとともに、必要に応じて課題解決に向けた提案を行う。
5. 情報開示
モニタリング関連の情報開示は、北洋銀行および株式会社北海道共創パートナーズが定める「コミュ
ニケーションサポートシート」もしくはその内容に準拠するものを活用し、北洋銀行または株式会社
北海道共創パートナーズのホームページにて行うこととする。
以 上
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ポジティブインパクトファイナンス評価書
留意事項
1. 本評価書の内容は、北洋銀行ならびに株式会社北海道共創パートナーズが現時点で入手可能な公開
情報に加え、アイックス HD から提供された情報や同社への事業に関するヒアリングを通じて収集した情報
に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブ要素の成果及
びネガティブ要素の抑制等を保証するものではありません。
2. 本評価を作成するために活用した情報は、北洋銀行ならびに株式会社北海道共創パートナーズがその
何ら表明または保証するものではありません。
裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情報の正確性等について独自に検証してい
るわけではありません。北洋銀行ならびに株式会社北海道共創パートナーズは、これらの情報の正確性、
適時性、網羅性、完全性及び特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、
3. 本評価書に関する一切の権利は北洋銀行ならびに株式会社北海道共創パートナーズに帰属します。評
価書の全部または一部を自己使用の目的を超えての使用(複製、改変、翻案等を含む)は禁止されて
います。
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セカンドオピニオン
北洋銀⾏ ポジティブインパクトファイナンス
株式会社アイックスホールディングス サステナブルファイナンス本部
担当アナリスト︓新井
2024年9⽉11⽇
真美
格付投資情報センター(R&I)は北洋銀行がアイックスホールディングスに対して実施するポジティブインパクトフ
ァイナンスについて国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が制定したポジティブインパクト金融原則(PIF 原
則)に適合していることを確認した。
R&I は別途、北洋銀行のポジティブインパクトファイナンス実施体制が PIF 原則に適合していることを確認してい
る1。今回のファイナンスに関して北洋銀行および北海道共創パートナーズの調査資料の閲覧と担当者への質問
を実施し、実施体制の業務プロセスがPIF原則に準拠して適用されていることを確認した。
北洋銀行が実施するインパクトファイナンスの概要は以下のとおり。
(1) 対象先
社名
所在地
株式会社アイックスホールディングス
札幌市
設立
資本金
1955 年4月
33,200 万円(グループ合計)
事業内容 【石油SSオート事業】
燃料販売業、自動車販売および修理業
【フード事業】
飲食業(飲食店経営)
売上高
従業員数 2,980名(2024年4月1日時点、グループ合計、アルバイト含む)
370億円(2024年3月期)
(2) インパクトの特定
北洋銀行および北海道共創パートナーズは対象先の事業内容や活動地域等についてヒアリングを行い、バリ
ューチェーンの各段階において発現するインパクトを分析し、特定したインパクトカテゴリを SDGs に対応させてイ
ンパクトニーズを確認した。また、当社の事業活動が影響を与える地域におけるインパクトニーズとの整合性につ
いて、持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が提供するSDGダッシュボードなどを参照し確認した。
(3) インパクトの評価
北洋銀行および北海道共創パートナーズは特定したインパクトの実現を測定できるようインパクトの内容を整
理してKPIを設定した。ポジティブインパクトはSDGs達成に寄与する取り組みとして追加性があると判断した。ま
た、北洋銀行が掲げる重点課題(マテリアリティ)と方向性が一致することを確認した。
12022 年9月28日付セカンドオピニオン「北洋銀行 ポジティブインパクトファイナンス実施体制」
https://www.r-i.co.jp/news_release_suf/2022/09/news_release_suf_20220928_jpn_3.pdf
株式会社格付投資情報センター
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(お問い合わせ)サステナブルファイナンス営業部 TEL 03-6273-7408
セカンドオピニオンは、企業等が環境保全および社会貢献等を目的とする資金調達のために策定するフレームワークについての公的機関または民間団体等が策定する当該資金調達
に関連する原則等との評価時点における適合性に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありません。また、R&Iは、適合以外の事柄につき意見を表明するものではなく、資金調
達の目的となる成果の証明、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、セカンドオピニオンに際し関連情報の正確性等につき独自の
検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、セカンドオピニオンに関連して発生する損害等につき、何ら責任を負いません。セカンドオピニオンは、
原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につき本稿末尾をご覧下さい。
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セカンドオピニオン

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① 生活インフラの維持による安心な暮らしの提供
インパクトの種類 社会的側面においてポジティブインパクトを増大
インパクトカテゴリ 「資源とサービスの入手可能性、アクセス可能性、手頃さ、品質(エネルギー、移
動手段)」
関連するSDGs

内容・対応方針 【石油SSオート事業】
① 過疎地域におけるエネルギーインフラの維持
目標とKPI 【石油SSオート事業】
① 2029年3月期までに事業承継を目的とした燃料販売事業のM&Aを3件
実施し、地域の生活に欠かせないエネルギーインフラの維持に貢献する

② 食の提供による幸福度の向上
インパクトの種類 社会的側面においてポジティブインパクトを増大
インパクトカテゴリ 「資源とサービスの入手可能性、アクセス可能性、手頃さ、品質(食糧、文化と伝
統)」
関連するSDGs

内容・対応方針 【フード事業】
① お客さまへの外食サービス提供機会の増加
② 商品・サービスの品質向上
③ 安心安全な商品提供体制の構築
④ 北海道食材の魅力発信
目標とKPI 【フード事業】
① 2029年3月期までに外食サービスを提供する飲食店を関東エリアに10店
舗出店する(2024年3月期:0店舗)
② 2029年3月期までに調理場担当従業員における調理師資格取得率を70%
以上にする(2024年3月期:45%)
③ 2027年3月期までに外部事業者による店舗の衛生検査において90点以
上の店舗を95%以上にする(2024年3月期:65%)
④ 北海道食材を活用したフェアを毎年10件実施する(2024年3月期:8件)


セカンドオピニオン
③ カーボンニュートラルと循環型社会への貢献
インパクトの種類
環境的側面、社会的側面においてポジティブインパクトを増大
環境的側面においてネガティブインパクトを低減
インパクトカテゴリ
「資源とサービスの入手可能性、アクセス可能性、手頃さ、品質(エネルギー)」
「気候の安定性」「サーキュラリティ(資源強度、廃棄物)」
関連するSDGs
内容・対応方針
【共通】
① エネルギービジネスの新たなサプライチェーン構築
② 店舗のエネルギー管理体制の構築
目標とKPI
【共通】
② 2027年3月期までに自社のCO2排出量を可視化し、以降は削減計画を策
定のうえ具体的な削減施策を進める
① 2027 年 3 月期までにフード事業部で排出している廃食油を活用したバイオ
混合燃料を製造・配送し販売を開始することで、サーキュラーエコノミーを実
現する
④ 従業員の働きがい向上
インパクトの種類
社会的側面においてポジティブインパクトを増大
社会的側面においてネガティブインパクトを低減
インパクトカテゴリ
関連するSDGs
「生計(雇用)」「健康および安全性」
内容・対応方針
【石油SSオート事業】
① 従業員のスキルアップ支援
【フード事業】
① 多様な人材が活躍できる組織風土の確立
② 働き方改革の推進
目標とKPI
【石油SSオート事業】
① 従業員の資格取得(整備士資格/危険物乙四資格/ショベルローダー等運転
技能)を支援し、年間30名以上の取得・講習受講を実施する(2024年3月
期:28名)
【フード事業】
② 2027 年 3 月期までに時間外労働時間を 5%削減し、以降も削減に努める
(2024 年3月期:44時間)
① 2026年3月期までに女性のマネージャーを2名、店舗責任者を新たに5名
登用する(2024年3月期:女性マネージャー0名、店舗責任者14名)
(4) モニタリング
北洋銀行は対象先の担当者との会合を少なくとも年に1回実施し、本PIFで設定したKPIの進捗状況につい
て共有する。日々の営業活動を通じた情報交換も行い対象先のインパクト実現に向けた支援を実施する。
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以 上
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