広告 |2024年9月27日
株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田 晋、東証プライム市場:証券コード4751)は、人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」におけるリサーチインターンシップ参加者の清水龍廣氏※1および田中滉一氏※2ならびに研究員の冨田燿志らによる論文2本が、推薦システム分野の国際会議「RecSys 2024」(The ACM Conference on Recommender Systems)※3 に採択されたことをお知らせいたします。
「RecSys」は推薦システムに関わる世界中の研究者・データサイエンティスト・エンジニアが集う国際会議で、機械学習やデータサイエンスの応用に関して「KDD」「SIGIR」※4などと並び権威のある国際会議です。
このたび採択された論文は、10月にイタリア・バーリで開催される「RecSys 2024」にて発表予定です。
■採択された2本の論文について
「AI Lab」ではマーケティング全般に関わる幅広いAI技術を研究・開発しており、大学・学術機関との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取り組んでいます。
なかでも、機械学習領域における研究チームでは、高度な理論研究や社内外のデータを用いた応用研究を行うとともに、アカデミアおよび行政との連携による社会実装や学術貢献にも注力をしています。
推薦システムはtoCサービスにおいて必要不可欠な技術であり、当社ならびに当社グループ会社の実サービスにおいて幅広い運用実績があります。
「Effective Off-Policy Evaluation and Learning in Contextual Combinatorial Bandits」
著者:清水龍廣(イェール大学)、田中滉一(慶應義塾大学)、岸本廉(東京工業大学)、清原明加(コーネル大学)、野村将寛(サイバーエージェント AI Lab)・齋藤優太(コーネル大学/半熟仮想株式会社)
本研究は、「適切な組み合わせを提案する推薦システムのオフライン評価・学習」を目的としています。
インターネット広告など多くのウェブサービスにおいて、過去のデータを用いて新たに学習を行った推薦システムの性能を事前に検証(オフライン評価)そして学習(オフライン学習)したい場面は多く存在します。
従来のオフライン評価・学習では、推薦システムが提案する対象は一般に単一の種類に限定されていました。しかし実際の使用シナリオでは、広告のテキストや背景画像のように、複数の要素を組み合わせてユーザーに対象を提示する場面が頻繁にあります。このような場合、複数の要素の組み合わせによって選択肢の数が著しく増加するため、従来の手法では適切な性能評価・学習が困難でした。
この問題に対処するため、本研究では組み合わせ構造を有する場合により適切なオフライン評価・学習を可能にする手法を開発しました。これにより、サービスに最適な推薦システムを導入することが容易になり、結果としてユーザーにとってより良い体験を提供することが期待されます。
<論文リンク>
https://arxiv.org/abs/2408.11202 |
「Fair Reciprocal Recommendation in Matching Markets」
著者:冨田燿志(サイバーエージェント AI Lab)、横山智彦(東京大学)
求人情報サービスや恋活・婚活アプリをはじめとするマッチングプラットフォームにおいて、ユーザーに他のユーザーをおすすめする相互推薦システム(Reciprocal Recommender Systems)は重要な役割を果たしています。
従来の相互推薦システムは、主にプラットフォーム全体のマッチ数最大化を目的としてきました。しかしユーザーの得られるマッチングの機会は自分が他のユーザーにどれだけおすすめされるかに大きく影響を受けるため、ユーザー間で不公平感が生じないように推薦することも、マッチングプラットフォームにおいて実用上重要な課題となります。
本研究ではマッチングプラットフォームの相互推薦の問題において、公平分割理論(Fair Division Theory)における無羨望性の概念を用いて被推薦機会の公平性を定義しました。また公平分割理論の分野で知られるナッシュ社会厚生関数を応用することにより、より公平な相互推薦手法を提案しました。これによりマッチングプラットフォームにおいてユーザー間の不公平感を生じさせない、公平な相互推薦の実現が期待されます。
<論文リンク>
https://arxiv.org/abs/2409.00720 |
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