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2024年12月2日 | プレスリリース 阪大発スタートアップのユー・メディコに出資
分析・評価手法を確立して遺伝子治療薬事業に本格参入へ
島津製作所は、医薬品開発業務受託機関(CRO)である株式会社ユー・メディコ(本社:大阪府、以下ユー・メディコ)との間で、同社への出資契約を締結しました。出資に伴い当社は、2024年12月より同社と製薬企業・医薬品開発製造受託機関(CDMO)・教育研究機関などに向けた「遺伝子治療薬製造プラットフォーム」の共同開発と、同プラットフォームの国内外への提供を開始します。当社が遺伝子治療薬の製造支援事業に本格参入するのは初めてです。
遺伝子治療は、治療用遺伝子を搭載したウイルス「ウイルスベクター」を投与し、遺伝子を正常化する治療法です。遺伝子異常に起因する希少疾患の治療法として実用化が進んでおり、他の疾患向けにも応用が期待されることから、遺伝子治療薬の市場は年率20%以上の成長が見込まれています。遺伝子治療薬は、一度の投与で遺伝子自体を治療することが可能で、繰り返しの投与が求められないケースが多くあります。先行するバイオ医薬品よりも製造規模は小規模ながら、高度な製造・品質管理技術が求められるほか、遺伝子治療薬に必要な「ウイルスベクター」の製造過程において、細胞の培養、不純物の除去・精製、完成した原薬の評価といった工程ごとの分析・評価手法が十分に確立されていないのが現状です。このため、高品質な遺伝子治療薬の安定製造は依然として大きな課題となっています。
ユー・メディコは、抗体医薬・遺伝子治療薬などのバイオ医薬品に特化したCRO事業を展開する、大阪大学発のスタートアップ企業です。同社の創業者である大阪大学大学院工学研究科の内山進教授は生体高分子の溶液物理化学を基礎に「超遠心分析」や「蛋白質複合体質量分析」を活用した研究と応用において世界をリードしており、同社ではこの技術を駆使し、様々な分析サービスを提供しています。また、ユー・メディコは、バイオ医薬品の物理化学的特性評価に関する豊富な技術・知見を持ち、これまで抗体医薬の品質分析、製剤開発を中心に多くの実績を積み重ねてきました。近年では、ウイルスベクターの製造プロセス開発サービスを展開しており、2025年にはGMPに準拠した品質分析サービスも開始予定です。当社とは2023年から大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所で遺伝子治療薬の製造品質の管理に関する研究を進めています。
当社とユー・メディコは今後共同で、内山研とユー・メディコが開発してきた分析・評価技術を基に、高品質な遺伝子治療薬の安定製造を可能とする「遺伝子治療薬製造工程での分析・評価手法の確立」と、当社の液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)や培養最適化支援ソフトウェア「CellTune」などを遺伝子治療薬製造に最適化する「機器・ソフトウェアの開発」を行います。また、島津はこれらを統合した「遺伝子治療薬製造プラットフォーム」や、「CellTune」などを用いて製造したカスタム培地を販売します。カスタム培地はユー・メディコにも提供し、当社はリカーリングビジネスの拡大も図ります。同社はこれを用いて製薬・CDMOなどに向けて「高品質なウイルスベクターの製造支援サービス」を行います。
当社は、中期経営計画で製薬市場を最重要セグメントと位置付け、バイオ医薬品向けトータルソリューションの開発を目指しています。本年11月からは「精製クロマトグラフィー事業」を手掛ける米Sepragen社と協業してバイオ医薬品製造工程で利用される製品の販売に進出しました。また、島津グループの臨床事業における製造・販売子会社である株式会社島津ダイアグノスティクスは、細胞培養用の培地を顧客ごとにカスタマイズして開発・販売する事業を展開しています。今後も、島津グループ全体で、バイオ医薬品向け製品・技術を速やかに社会実装して、バイオ医薬品の迅速な開発と安定した製造に貢献していきます。
ユー・メディコの概要
株式会社ユー・メディコ
代表者 |
: |
代表取締役 CEO 福原彩乃
創業者・取締役 CSO 内山進(大阪大学大学院工学研究科教授) |
所在地 |
: |
大阪大学フォトニクスセンター502(大阪府吹田市) |
事業内容 |
: |
医薬品開発業務受託機関(CRO)
バイオ医薬品やウイルスベクターの品質分析・製剤開発サービス、ウイルスベクターの開発・製造支援サービス |
設立 |
: |
2006年 |
URL |
: |
https://u-medico.co.jp/ |