執行役社長CEO交代記者会見要旨

2024/12/12  三菱マテリアル 株式会社 

プレスリリース

2024年12月12日

三菱マテリアル株式会社

執行役社長CEO交代記者会見要旨

1. 執行役社長CEO 小野 直樹

本日(11日)開催した取締役会において、田中 徹也 現執行役常務が2025年4月1日付で、新たに執行役社長CEOに就任することを決議いたしました。これに伴い、私、小野は執行役社長CEOを退任し、非業務執行取締役となります。
当社では、2023年度をスタートとし2030年度をゴールとする、「中期経営戦略2030」を策定、「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを私たちの目指す姿とし、その実現に取り組んでいます。
中経2030では、2023年度から2025年度までの3年間をフェーズ1としており、来年2025年度はフェーズ1の最終年度となると同時に、その後のフェーズ2への準備を行う年度となります。
足元の世界を取り巻く、政治、経済、地政学的、地経学的な情勢は目まぐるしく変化しており、中経2030のフェーズ2はこうした情勢変化に呼応したビジネス環境の変化に即応することが求められます。来る2025年度はフェーズ2に向けた重要な節目となると考えます。
こうした観点から、新しい経営チームによって、この複雑、かつ目まぐるしく変化する時代に向かっていくことが望ましいと考え、経営トップのCEOを含む、経営チームの刷新をおこなうことにしたものです。

当社は、指名委員会等設置会社であり、CEOの後継計画、CEO指名は指名委員会によって進めてきました。本日は、若林指名委員会委員長に同席願っており、後ほどCEO選任のプロセス、CEO選任理由についてご説明させていただく予定です。

今回退任する私は、2018年6月に社長に就任しました。その前年度に発覚した品質不正問題を受けての就任でしたが、社長就任にあたり、コミュニケーションの量・質両面の不足、脆弱なコンプライアンス、ガバナンス体制、不十分な資源配分といった、大きく3つの課題認識を持ち、その改善に取り組むことがまず必要と考えて経営を進めてきました。
不十分な資源配分については、事業ポートフォリオの最適化を進めました。セメント事業の分社化、アルミ及びアルミ缶事業、多結晶シリコン事業、焼結品事業の譲渡を行う一方、チリのマントベルデ銅鉱山への出資、小名浜製錬所の100%子会社化を通じて銅を中心とした資源循環体制の強化に努め、加えてタングステン粉末の製造・販売、タングステンリサイクルをグローバルに展開するドイツに本社を置くH.C. Starck社の買収によりタングステン事業、タングステンリサイクルの拡大の道筋をつけました。また、資源循環ビジネスの地域戦略の橋頭保として、資源循環の先進地域である欧州に三菱マテリアルヨーロッパ社を設立したほか、国内では再生エネルギー電力供給の拡大のため安比地熱発電所の建設などを実施し、当社の目指す姿の実現に取り組んでまいりました。
コンプライアンス体制の改善、強化に向けては、業務遂行上の優先順位がSCQDE*にあることを徹底し、自律的な課題解決ができる組織を志向してきました。
*SCQDEは業務遂行における優先順位を示す概念。何を優先すべきかを迫られる、差し迫った状況ではこの優先順位に従って行動する。(S: Safety & Health, C: Compliance & Environment, Q: Quality, D: Delivery, E: Earnings)
ガバナンスの面では、2019年度6月に指名委員会等設置会社に移行し、社外取締役を主体とする取締役会としました。
コミュニケーションの面では、タウンホールミーティングの開催や様々なコミュニケーション施策の展開により、従業員と経営層の距離を縮めることに努め、風通しの良い組織の構築に努めてきました。

一方で、業績の面では、事業構造改革による大幅な赤字計上があったほか、全般的に収益力の向上、資本効率の改善は十分とは言えず、それが株価の低迷にもつながっていると認識しています。中期経営戦略は、意欲的かつ、資源循環を中心とした会社の進むべき方向性を明確に示してはいるものの、その実現可能性を十分に示せていないと考えます。
本年8月には、全世界の従業員16,000人が参加し、目指す姿を実現するための行動指針となる新たな価値観を制定しました。その骨子は「挑戦し、変化を起こし、共に成長していく。その成長を称賛と感謝の言葉で後押しし、より良い明日をつくっていく」というものです。
新たなCEOには経営チームの先頭に立ち、この価値観に基づく行動で、目指す姿実現に向けた諸施策の実行、収益力向上、資本効率の改善を進め、企業価値向上を図ることを期待します。また、それができる、強いリーダーシップを持ったCEOを指名委員会が選任したものと確信しています。

2. 社外取締役 指名委員会委員長 若林 辰雄

指名委員会にてCEO後継者の選定プロセスを実施し、今回後継者を選任するに至りましたので、ご説明いたします。

約2年前の2022年度に、現CEOからCEO後継候補者を執行役及び執行役のすぐ下の階層である、グレード7~グレード6のポジションにいる者の中から提示することを求めました。合わせて、社外の候補者の可能性についても議論をしました。
結果、その時点の判断として、当社にとっては社外から迎えるよりも社内出身者とすることに合理性があるとの結論に至りました。
その後、指名委員によるグレード7~グレード6の後継候補者との面談を実施し、その結果、この階層が次を担うにはまだもう少し経験を積むことが必要との判断から、後継候補者は執行役の階層からの複数名に決定しました。
2023年度に入り、決定した後継候補者に対し外部機関による面談を実施し、指名委員会は外部機関としての評価内容についてのレポートを受けました。
次のステップとして、個々の指名委員と後継候補者の1対1の面談を実施、引き続き指名委員会に現CEOを招き、現CEOへのヒアリングも実施しました。
その後、指名委員会でそれぞれの面談結果、情報をもとにCEO後継者を絞り込みました。
今回、田中 徹也氏をCEO後継者に選定した主な理由は、

  • 加工事業カンパニーのトップとして、困難なビジネス状況を打破するため、スピード感をもって、人が嫌がる決断であっても果敢に実行し、強力なリーダーシップを発揮してきたこと
  • ものづくり現場の経験が豊富であること
  • 高いIntegrityをもち、安全、品質、コンプライアンスに対して常に厳しい態度で臨んできたこと

が挙げられます。
足元で、実行力、成果実現力が特に問われる当社の状況において、高い志と情熱をもったリーダーとして、田中氏が適任であるという結論に至ったものです。

なお、こうした指名委員会でのCEO後継選定プロセス、進捗状況については、適宜、指名委員以外の社外取締役とも共有し、情報格差が生じないように留意して取り進めてきました。
また、CEOの交代時期については、先ほど現CEOから説明があったとおり、2025年4月1日が適切であると指名委員会としても判断しました。

3. 次期執行役社長CEO(現執行役常務CSuO)田中 徹也

本日はお忙しい中、当社のCEO交代の記者会見にご出席いただき、誠にありがとうございます。このような機会をいただけたことを大変光栄に思います。

2025年4月より、三菱マテリアル株式会社の執行役社長に就任することになりました、田中 徹也と申します。
私は1986年の入社以来、36年間加工事業に携わってまいりました。その間の大半は工場勤務で製品開発や生産技術、製造に関わってきた技術屋であります。志と情熱をもって仕事を遂行することをモットーに、常に世界最強を目指して技術を磨いてきました。
2年前からコーポレート部門に異動し、現在はガバナンスやサステナビリティに関する事項をCSuO(Chief Sustainability Officer)として担当しています。
これまでの間、当社を支えてくださった皆様、特に従業員、取引先、株主の皆様に、心より感謝申し上げます。また、現職のCEO小野が2018年以降当社のガバナンス体制の強化や事業ポートフォリオの整理を推進し、事業基盤を強固なものとしてくれたことに感謝し、さらなる企業価値の向上に向けて、全力を尽くしてまいります。

私の就任の抱負は、三菱マテリアルの持続的な成長と社会への貢献です。私は社会のニーズに応えるために、「現場力」、いわゆる製造現場だけではなく、営業部門や開発部門、本社など、経営に携わる者全てを含めた現場力を磨き上げ、全員が会社の未来のために自らの役割をオーナーシップをもって果たしていくことによって世界を相手に戦っていきたいと考えています。そして非鉄金属をベースとした新たなマテリアル、すなわちお客様の想像を超える製品やサービスを提供する会社、言い換えると、夢を作る会社にしたいと思っています。

日本の製造業はバブル崩壊後に選択と集中という名のもとに効率化を重視しすぎた結果、様々な問題を抱えてきましたが、私は日本の現場力はまだまだ捨てたものではないと認識しています。ベースになる教育水準、意欲、まじめさ、細かいところへのこだわり、向上心、チーム力などを持ち合わせている日本の製造業は世界と戦える能力を持っていると思います。現在の低迷した状況を打開するために人材育成のさらなる強化や研究開発への効率的な投資、働き方改革を推進し、現場力を最大限に磨き上げていきたいと考えています。

この先枯渇していく金属資源を当社の持つ製錬技術を生かしてリサイクルすることによって資源循環のループを作り、世の中に必要とされる金属資源を供給し続ける。その金属資源を用いて高性能で高付加価値の製品やサービス、すなわち新たなマテリアル、を提供し豊かな社会の実現に貢献することを目指します。

私は、以下の3点に重点を置いて取り組んでまいります:

  • 意思決定のスピードアップ
  • オペレーショナルな現場力と、画期的イノベーションを担う現場力を磨き、新たな未来を築くイノベーションのために全社員の力を結集する
  • サステナビリティ経営の推進(災害ゼロの職場づくり、GHG削減、DE&Iの推進)

これらを通じて、持続的な成長を実現し、全てのステークホルダーの皆様に価値を提供していきたいと考えております。

これからの挑戦に向けて、皆様のご支援とご理解を賜りますようお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。

以上

<本件に関するお問い合わせ>

コーポレートコミュニケーション室:03-5252-5206

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