福井県知事記者会見 2024年11月29日 - ●令和6年度12月補正予算 ●第9回「山の日」全国大会FUKUI2025大会テーマ・ロゴマークの決定

2024/11/29  福井県庁 

知事記者会見の概要(令和6年11月29日(金))

最終更新日 2024年12月16日 | ページID 059273

令和6年11月29日(金曜日)

10:30~11:45

県庁 特別会議室

[知事]〔配付資料:令和6年度12月補正予算案について令和6年度12月補正予算案の概要

まず最初に私の方から二点ご報告をさせていただきます。一点目は、12月補正予算案についてです。大きな内容としては、人事委員会勧告を踏まえた職員給与費の増額、併せて、その他の事業として、緊急にやっておかなくてはいけないものとして、福井梅の産地における新たな施肥体系の転換への支援と、こういったことを考えております。総額は34億円でして、年間の予算規模としては5,161億円となっています。昨年からの比率が10.2%減となっていますが、これについて、大きくは経済対策に基づく公共事業等の費用がまだ国の予算の中身が確定していないので、その部分がこれから乗ってくるというところです。給与費については、全体として平均で2.62%の増で、特に若い方、給与表上で2万3千円余り初任給が上がるということです。今回非常に大幅でして、すべての年代にプラスになって、数千円から月額で2万3千円程度まで上がるということです。それから期末勤勉手当についても、一般職については0.1月、そして特別職については0.05月、これは国家公務員に準じてということです。

そしてもう一つの柱であるその他の事業の一つが、福井梅の産地の緊急対策ということです。実は今年の梅の収穫量は昨年に比べて、7割減というものすごい状況になりました。状況を伺うと、もちろん暑かったということもあるのでしょうが、春先の段階から、花芽が少なかったとも伺っていて、通常梅を育てるときには、三度肥料をあげるというところもあるわけでして。ただ、福井はもともと芽出肥とお礼肥という、肥料のあげ方だったものに対して、春の花芽、翌年の花芽が増えるようにということで花芽肥というのをあげているところもあるということで、今回、これをできるように。これ来年の秋の話なので、なぜ今からかというと、生産者が肥料の注文・購入を行う1月、2月に間に合うように、来年の分を今回の12月補正予算で措置をしておくというものです。その他にも、例えば、久々子湖の漕艇場のコースの整備事業費、そして旧優生保護法の補償費の支給が始まりますので、これへの対応といったことを考えているところです。それとこの後、国の経済対策、要は補正予算案を見ないと編成できないところがあり、これを見て、これから検討する項目として、物価高対策、子育て世帯などの県産米の購入の支援、生活困窮者難対策など、また事業者に対する電気ガス燃料価格の高騰対策。そして公的な機関に対する食材費の支援、合わせて防災・減災・国土強靭化ということで、避難所における環境改善をできるだけ進めたいということ。またこれが公共事業の増額部分ということになるわけでして、今のところ12月議会の一般質問の初日に追加提案できればということで、作業を進めているというところです。

[知事]〔配付資料:第9回「山の日」全国大会FUKUI2025大会テーマ・ロゴマークの決定について

二点目ですが、来年、山の日に全国大会を福井で開催するということです。8月11日の山の日に向けて、福井で開催する大会のテーマとロゴマークを決定しましたので、発表させていただきます。大会のテーマとしては、「未来へつむぐ、ふくいの山々 -感謝と共生のこころを次世代へ-」ということで、応募総数172点の中から、清らかな水、豊かな生態系、美しい景観のような山の恵み、感謝の心、こういったものを次の世代に伝えていくというような大会にしたいということで、福井市内の岡田知士さんという方が受賞をされたものです。

そしてロゴマークはこういう形のもので、応募総数は99点あり、福井の山並み、そして平野があって、それを山が取り囲んでいるようなイメージ。また手前側が昼間で奥側は夜の景色で恐竜や、奥越も参加してきますので、星空など。こちらの方はこういったものを、福井らしいものを可愛らしくまとめている。こういったことを委員会の方でも評価されて、片桐智子さんという坂井市の方が受賞されたというところです。

~質疑~

[記者]

追加上程予定の方の予算ですが、だいたいの規模、どれぐらいを見込まれていますか?だいたい前年並みと考えたらよろしいですか。

[知事]

これはまさに今、補正予算の中身を見て、項目も考えているところですので、もう少し待たないと国の方も明らかになってきませんので。今、対策として枠だけが出ていますので、まだお待ちいただきたいと思っています。いずれ、どこかの段階で私ももちろんご説明すると思いますが、併せて事務的にも発表はさせていただくと思っています。

[記者]

「山の日」の方ですが、ロゴも可愛らしいものだと思いますが、今後、テーマやロゴマークはどういった部分で活用されるのか、決まっていたら教えてください。

[知事]

まずはチラシやパンフレットなど、のぼりを作ったり、ホームページに掲げたり、SNSで発信したり、ちょっとしたグッズを作るとすればそれに貼るなどです。大きくは、先催県などを見ているとそのような活用をされていたと思います。機運醸成、そして実際の運営にうまく使っていこうと思っています。

[記者]

追加補正を予定している総合経済対策で、一点補足でお伺いしたいのですが、詳細を確認調整できた事業からということでおっしゃっていると思います。これも国の総合経済対策の一部の事業だとは思いますが、12月の一般質問の初日までという時間が限られてる中で、どのような事業を優先的にというか、この12月議会で取り組まれる予定なのか、お考えをお聞かせください。

[知事]

やはり大きいのは、この賃金と物価の好循環ができるようにといったことが必要なのだろうと思います。そういう意味では、これまでも申し上げましたが、要は高騰しているエネルギー価格や、食料品などでお困りのところ、公共性のあるところにそういった支援をさせていただくということ。そして子育て世帯や生活困窮者対策。こういった皆さんがしっかりと生活を続けられるような環境を作っていくというようなことが、まず物価高対策はあるでしょうし、内容的にも国土強靭化というのがあります。防災・減災も総理もだいぶ力を入れておっしゃっています。そういうことから避難所などの環境の改善をどうやっていくのか、合わせてやはり例年通りの社会基盤の整備。こういったことに財源を当てていくというところです。

[記者]

北陸新幹線について伺いたいのですが、敦賀以西に関する与党整備委員会でヒアリングが予定されていると思いますが、福井県がヒアリングを受ける日程がもし決まっていたら教えていただきたいのと、福井県としてどのような意見を伝えられるご予定か簡単に教えていただけたらと思います。

[知事]

日程はもう間もなくだと思います。予算が決まる時までに全部終わっていなければいけませんし、その前にヒアリングをやるということですので、間もなくだと思いますが、今のところはまだ日程は伺っていません。来週ぐらいにあるだろうとは思っています。内容的には、いつも私は申し上げていますが、小浜・京都ルートを一日も早く全線開業させるということの意義を強く強調させていただこうと思っています。その上で、この内容について、年内にまずは駅の位置と詳細ルートを一本に絞っていただくことが大事であるということ。合わせて、今度の年末の予算編成で与党がおっしゃっている来年度中の認可着工ができるような予算の編成をお願いしたいということ。併せてそこまでが、とにかく年内急いでいる部分だと思いますので、その上で、来年に入ったらすぐに着工5条件の議論を本格化させていっていただいて、中でもやはり地方負担を効果に見合った負担にしていただく。もしくは負担に見合った効果が出るような形ということをしっかりと訴えながらやらせていただくのだと思います。やはり北陸新幹線は国土強靭化に、国レベル、国家全体としての必要な新幹線だということが明らかになってきましたので。こういうことを訴えながら地域の課題とは少し違う国策の部分を、もう全体としても国がそれを準備していくことは当然だと思いますので、こういったことも求めていく。しかし、あまり焦点がボケてもいけないので、まずは年内に必要なことを強く求めていきたいと思っています。

[記者]

駅位置に関して、例えば京都に関しては3案出ているかと思いますし、小浜の駅位置はある程度示されていると思いますが、駅位置に関して何かおっしゃられるようなご予定はありますか。

[知事]

福井県内については基本的に今おっしゃっていただいたルートというのは、みなさん受け入れていただいていると思いますので、私たちとして異論がないという方向だと思います。後のところはそれぞれの地域が、いろいろな住民の皆さんのご意見等あると思いますので、小浜・京都ルートの中であるということを前提に、その地域でお考えいただくということだろうと思います。

[記者]

北陸新幹線の敦賀以西のことです。先ほど知事が言及された地方負担のことについて確認です。建設費に関しては、まず貸付料を充てた上で残りの3分の2を国費、3分の1を地方負担となっていると思いますが、今後、京都府や大阪府は国費の部分をもっと増やしてほしいと要望をすると考えていますが、知事も同じようなお考えでしょうか。

[知事]

そのような詳細は、またヒアリングの際に申し上げるか、もしくは今年の議論というよりは着工5条件をまとめる時の議論ですので、来年、年が明けたらすぐにこういった議論になってくると思いますので、その中で詳細な議論が整備委員会でもされると思います。いずれにしても、財源として地方負担を除けば、国費とJRの使用料になりますので、使用料を合理的に増やしていく。それともう一つは国費を増やす。ただ、国費をやみくもに増やすと、今の整備新幹線の仕組みは2対1なので、そのまま国費が増えただけでは地方費は逆に膨らんでいくことになりますので、国費の入れ方ということをよくお考えいただく必要があります。いつも申し上げているように、今までの新幹線は地域振興新幹線で、とにかく来ていただき、社会増減で言えばプラスに進むための新幹線というところが大きかったです。これに対して残りの2割のところは、なくてはならない国土強靭化のための国策新幹線だと申し上げていますが、国として必要で、沿線だけではなくて東西の行き来ができるかできないかというのは、全体の問題ですので、当然、国が国としてのお金として見ていくべきだということは今後申し上げていきます。

[記者]

他府県の動きについて、福井の場合は県と県議会の思いが一致しているかと思いますが、他府県では必ずしもそうではなくて、例えば最近だと京都府議会の自民会派からルートに関する要望書を提出していたと思いますが、こういった他府県での動きが敦賀以西の議論に与える影響についてお聞かせください。

[知事]

沿線の、特にこれから先の福井・京都・大阪は直接的な意見など、着工5条件のそのものではないですが、当然お金を出す団体ですので、そういったことについて尊重されなければいけないのは当然のことだと思います。各府県、国や機構に対してもしっかり説明をしていただく必要があります。また、機運の醸成のため、メディアのみなさんにぜひお願いしたいのは、対立の話だけでなくて、小浜・京都ルートでないと2700億の経済効果や、1910万人の行き来や交流人口、一回乗るごとに乗り換えが続いて20分以上長くかかり、2000円以上お金を払わなければならないといった議論をもう少し冷静に伝えていただく。私たちも発信をしなくてはならないと考えています。このような両面で、ご理解を得ながら進めていくのかなと思っています。

[記者]

先日、全国知事会議と石破首相との懇談会がございまして、その中で石破茂首相が、ルートについては与党PTで小浜・京都と決まっておりますと明言されました。そしてこの北陸新幹線というのが、国土軸を多重化させる上で非常に重要であって、国家的プロジェクトであるというお話もされました。石破首相の発言というのは、やはり一大臣、例えば国交大臣の発言よりも、はるかに当然重いものであって、重要な発言なのかなと私は認識していますが、知事のご認識を改めて伺います。

[知事]

まさに私が質問する際に思っていた、こう答えてくれたらいいなと思う真ん中を、総理は言葉にしていただいているなと思いました。私がいつも東京へ行って政府や与党を回らせていただいている感触は、総理の言葉そのものだと感じていましたが、おっしゃっていただいた通りで、政権の一番トップの石破総理が言葉にしていただくということの意味は、非常に大きいと思っています。とはいえ、いずれもそういった手続きも大切にしながら、もしくは沿線の皆さんの議論も大切にしながらやっていくということは、民主主義そのものの必要な部分だと思いますので。だからこそ、ちゃんと手続きもしっかりと踏みながら、これを一日も早く、まさに言っていただいた通り全線開業できるように、進めていっていただきたいと思っているところです。

[記者]

アリーナ構想を巡って開業が遅れる見通しと整備費の上振れの可能性が示されているかと思います。率直な知事の受け止めを伺いたいのと、もし、整備費が増額になった場合、県から支援する考えがあるのかもお聞かせください。

[知事]

これについて私も、いろいろ市議会での状況なども報告も受けていますし、また報道等でも承知をしています。もちろん物価高騰がまだ止まっていないという状況が1つあると思いますし、また、音漏れなどの対策、周辺環境の対策も念頭において、何よりも住民の皆さんに、まだ日程ありきじゃないかなど、このようなご議論もあったかと思いますが、そうではなくて、丁寧に、対策も含めてご説明しながらといった部分で、遅れてきていると思います。1日も早くと思う心もありますが、一方で理解を得ながら進めるということはとても大事だとも思いますし、また、後からどんどん値上げになっていくというか、事業費が膨らむということもよろしくないと思いますので、一定の期間をかけて、丁寧にご説明をしながら中身を詰める。これはとても大事なことだろうと思っています。仮に事業費が膨らんだらということについて、これは仮にですので、あまり申し上げるべきでないかもしれませんが、ただその点については経済界の方からも、県や市に負担を求めるということは考えていないというようなこともおっしゃっていただいているようですので、そういった範囲内で考えていくのかなと思っています。しかし、いろいろな形で応援ということはあると思います。その本体もあるでしょうが、周辺に行きやすいような環境を作っていくということも公共の仕事だと思いますので、いろいろな形で、そういった実施計画が出てくれば、また相談しながらやっていきたいと思っています。

[記者]

年収103万円の壁についてお聞きできればと思います。今、非課税枠を国で178万円に引き上げるということが議論されていると思いますが、一面では県民の手取りが増えることにもつながることが、期待されるところがあると考えております。知事として、この点はどのように考えていらっしゃるのかお聞かせください。

[知事]

1つは、103万円の「壁」っていうのを昔は言われていました。非常に言われたのは、配偶者控除とセットになっていて、配偶者控除は103万円で一気になくなる。そうすると、課税は個人でやっているのですが、世帯で考えた時の身入りというのが、配偶者の方の年収で大きく下がる。こういうことについて「壁」だという言葉は言われました。現状は配偶者控除のところは皆さんご案内の通り、配偶者特別控除というのが大分精緻になってきまして、逆転していかないような構造になっています。そういう意味では103万円の「壁」というのは本当にあるのかなという気はしますが、一方で、大半の方には103万円の「壁」というのもほぼなくなって、その水準を超えても、概ね入ってきたお金の9割は手取りになっていくということですので、通常の所得税の体系に入っていくと思います。1つあるのが、一部の、例えば大学生のお子さんなどがいらっしゃる、特定扶養控除、ここのところは確かに、お子さんの収入が103万円を超えてくると、その部分の特定扶養控除の63万円がなくなっていく。これが非常に大きな壁になるということは伺っています。そういう意味では課題としてあると思いますので、この議論も現状されているのだろうと思います。住民税の関係で申し上げますと、同じように103万円のところが、正確には98万円、住民税の場合は設定されていますが、そこに非課税限度額という少し別の制度がありまして、100万円という水準になっています。これも先ほど申し上げた通り、「壁」というのかどうかというのは、正直申し上げて、少し昔使っていた言葉ということはよく分かっていますので、今も使われていることも知っていますが、本当の壁ってどこにあるのかなとも思っています。特定扶養控除のところをうまく考えていくというのが1つあるのかと思いますが、まずは減税ですし、そして物価が上がっている中ですので、経費の部分がある、もしくは最低限の生活の保障という意味のある基礎控除。それと申し上げた給与所得控除。ここのところの最低水準というものを徐々に引き上げるというのは、今まではずっとデフレの時期でしたので、上げる必要性は乏しい部分はありましたが、これからはそういったものはある程度見直すということは、重要だと思いますし、結果として物価高ですので、手取りが増えるということも、経済にとってもプラスが大きいと思います。しかし一方で、いくつかの課題があると思うのは、住民税については、そもそも所得税のように累進構造になって所得の再分配というのとは少し性格が違っていまして、住民生活を支える財源として、住民の地域の会費的な性格、こういったことが特に三位一体の改革のときに3兆円の税源移譲がありましたが、この時からは強化をされまして、税率が10%の定率になっています。こういった地域の会費的性格というようなことがあるということと、そして住民税の非課税世帯に向けての、いろいろな経済的な対策が打たれていると思います。今度は、こういった歳出の方の影響というのも非常に大きいと認識をしていますので、こういったことは十分に念頭に置いた議論をしていただく必要があると思っています。もちろん税金は安ければ一番いいのですが、そういうことは十分に認識をしていますが、そうすると行政サービスが運営できないというところが出てくるということを、両方をしっかりと頭において議論をしていただく必要があるかと思っています。今は国策として、国の経済的な対策も含めて議論がされているということですので、こうした地方における現実的な財源の不足、こういったものは生じるわけでございますので、これに対しては全国知事会議でも大変議論になりましたが、これはもう国として真水で補填をしていっていただく。こういったことを基本に検討していただく必要があるのではないかと思っています。

例えば福井県で現状を申し上げますと、もしも同じように基礎控除と、給与所得控除の最低限のところを75万円引き上げるということになった場合、福井県では県と市町合わせて、その部分だけで250億円。それから所得税の一定割合が、地方交付税の原資になっていますので、この部分で60億円、合わせて310億円が減ります。県にとっては住民税部分で100億円、そして交付税部分で40億円の減収があります。140億円というのは非常に大きくて、県内では、例えば福井県で身近なところで申し上げますと、2人目のお子さんからゼロから2歳の保育料を無償化したり、高校の授業料を無償化したりなど、大学でも県内の大学行った場合は2人目3人目のお子さんに国に上乗せしてこの奨学金を出させていただく。こういったようなことをさせていただいているその部分で、大体280億円ほどあるわけでして、その半分がちょうどなくなっていくとすると、相当子育て政策に大きな影響がある。なかなかこう乗り越えられない額だと認識をしています。そのために交付税があるじゃないかという議論も伺いますが、交付税はさっきも申し上げましたが原資や総額がもう先に決まっています。国税五税の一定割合が入っているわけですので、それがまず総額が決められてしまうということになれば、それが十分確保されてこない。税収が減った分の25%は実際に一般財源が減っていくという、そういう環境にもなるわけですので、こういったことを十分踏まえて、しっかりと真水でやっていただく必要があると思っているところです。

[記者]

先ほどは年収の壁の減収部分のところで、県による試算だと思いますが、頭の中の整理でもう一度お伺いしたいです。毎年所得税と住民税分の非課税枠が75万円も引き上げられたという計算だと思うんですが、それによる減収が県の分が140億円で市町の分が残りを差し引いて170億円の減収ですね。

[知事]

そうです。

[記者]

また先ほどおっしゃられたと思うのですが、個人住民税がその非課税枠が減って減収というのはわかります。所得税が減って、それによって地方交付税交付金の額が減るという話だと思うんです。

[知事]

そうです。

[記者]

それぞれの140億円と170億円の内訳をもう一度お願いします。

[知事]

まず住民税の減収分が県と市町全体で250億円ありまして、4:6で分けているので、県が100億円、市町が150億円の影響がある。まずそれで100億円県に影響があります。それと地方交付税の影響額を計算すると、県全体で60億円影響がありまして、所得税が減ることで交付税の原資が減って、福井県分が60億円減る中の県が40億円、市町が20億円です。そうすると、県が100億円と40億円、市町が150億円と20億円減るということです。

[記者]

子育て政策を例に、それの約半分が減るというご説明だったと思いますが、県全体から見たらこの140億がどれぐらいの割合に当たるのか教えてください。

[知事]

おおむね1割、もう少し大きいかもしれません。今1300と数10億円ですので、だいたい140億だと1割です。ただし、交付税が入っていて、交付税は一般財源で別の括りになりますので、税収だけで言えば1340億円くらいだったと思いますが、そこの100億円が減るということです。交付税も1300億ぐらいです。そこから40億円減るという感じです。

[記者]

敦賀2号機について、地元としては安全であることが最優先であり、規制を一元的に司る原子力規制委員会が科学的・技術的に安全であると認めないものは運転してはならないというのは当然かと思いますが、知事として規制委の判断に何か言うものではないという考えでしょうか。

[知事]

今回の判断そのものは、いつも申し上げていますが、原子力発電所は安全最優先ということなので、原子力規制に一義的に責任を持つ原子力規制委員会が、科学的・技術的な観点から慎重にしっかりと審査を行った上での判断だと認識しており、事業者はしっかり守っていただくということは大事だと思っています。

[記者]

一方で、日本原子力発電が本年度内に追加調査について計画を地元自治体などに説明するというような方針を示しています。今回の審査でも、データの書き換えや資料の誤りなど、一般の不信感を強めるような不手際が目立ったところです。日本原電が今後何かするにしても、同じ轍を踏まないようにというのが一般的な感覚かと思いますが、県として日本原電側に今後の方針とかに望むことは何かありますか。

[知事]

前段おっしゃったことはまさにその通りなので、もう言語道断、きちっと申請手続き、審査には誠実に対応する、当然のことだと思います。そのことと、客観的に、科学的・技術的に審査基準に適合しているのかどうかについての議論は、これから調査した結果が、それに耐え得るというふうに判断されることはあり得ると思います。そういう意味では、今きっちりとした調査をこれから行っていくということであれば、それについては、まずは正確に調査を行って、さらに誠実に対応していく、これは当然のことだと思います。

我々が求めたいのは、その上で、地域に対して十分な説明をしていただくということと、現状の管理が行われているが、ここの管理が手薄にならないようにして、安全性をしっかりと担保しながら進めていただくということが大事だと思っています。

[記者]

次期エネルギー基本計画を今議論している基本政策分科会の議論は大詰めのところで、年内に次期計画の素案が示されるところと把握しています。知事も、今の計画では矛盾した表現もあって、原子力の将来像が明らかになっていないというような認識をお持ちかと思うが、改めて現状の考えと、これまでの議論を踏まえて、新しい計画への感触とか期待感みたいなものを伺いたいです。

[知事]

内容については、おっしゃっていただいたように、大臣からも年内にも素案を出していきたいというような話です。もうずっといつも私の方から申し上げているのは、原子力発電の必要な規模をしっかりと明確にしながら、じゃあ現実に口ばっかりではそういかないじゃないかと、一体どうやってその道筋を描くのか、ここを明らかにしないと人材の育成もままならないという状況に至っていると思います。こうしたところをGX推進戦略や原子力基本法といったところとの整合性をピタリと合わせて、国としての方針を明確にしていただくのが、次のエネルギー基本計画の重要な部分だと思っているので、こういったことをまずは明らかにしていただく。

さらに、私どもが申し上げているのは、地域の振興は、約束ばっかりしているが、定性的な話はあっても、現実に具体的にどういう内容にするのか、財源をどう確保するのか、また、そういったものを議論していくのに、場をしっかりと整備しながらやってほしいといったことも申し上げているので、こういったことも計画に反映するのかどうかは、いろいろ今後のあり方だとは思うが、方向性をしっかりと見出せるようなものにしていただく必要があるかなと考えています。

[記者]

今は依存度低減と持続的に活用というようなところが併記されていると思いますが、依存度低減というのが削除されるような方向という考えをお持ちですか。

[知事]

これは国の方でまずお考えいただき、素案から、また審議会でも議論する場はあると思いますので、そういったところで必要なご意見を申し上げていきます。

[記者]

使用済燃料対策ロードマップの件で、関西電力が9月にこちらに来て、今年度中に計画見直しということで、年末がそろそろ折り返しの期間にはなると思いますが、現時点での関電の取り組みを県としてどのように把握して、どのように評価されているか。まだ具体的な案が出てくる段階ではないと思うが、この期間がもう差し迫り、折り返しを過ぎる中でどのように捉えられているか、教えてください。

[知事]

詳細に関西電力の中でどういう議論がされているかというところまでは把握をしていません。ただ一方で、元々の段階でも言われていたのは、日本原燃の六ヶ所再処理工場の2年半遅れたその処理が始まった後の暫定操業計画を見ないと、一体どの時期にどれだけ処理ができるのか、全国でどれだけ処理できるかっていうことになりますが、これが分からないので、大きく言えば、それをまず一つは待っているのだろうということがあると思います。

まずはその暫定操業計画を早く出していただくことが重要なので、先日武藤大臣にも、国として早く出すように指導してほしいと申し上げました。昨日、日本原燃の増田社長が、できるだけ早く、このことも意識して早く出さないといけない、年内にもできればということもおっしゃっていたように思いますが、それは年内を確約されたということではありませんが、そういう意味では前倒ししながら、暫定操業計画を出されるようなので、一つは、それは六ヶ所の部分なので、その他の部分も関西電力には遅滞なく検討していただき、年度末はロードマップが合意できてなければいけないわけなので、それに十分な時間を取って議論ができるような形で、確実に実現できるロードマップの見直し案というのを示していただく必要があるかなと思います。

[記者]

確か県議会の方でおっしゃられたと思いますが、いわゆる六ヶ所のその部分だけを変更しただけでは、実効性のある計画としては受け付けないという発言があったと思いますが、そこに関して、改めて知事のお考えを伺います。

[知事]

これは、いずれにしても、六ヶ所の暫定操業計画を見ながら、どういうような計画にしてくるかということの中身を聞いて判断するのだと、中身次第だというふうに思います。こちら側の、今からどうであるとかっていうことを申し上げることでもないかなと思います。

[記者]

エネルギー基本計画について、年内に示される素案に関して、先日の武藤経済産業大臣との面談でも、知事からエネ基に反映させてほしいというような要請が数多くあったが、素案が出てきた段階で、知事が評価するもしくは重視するポイントとしてはどういった点をまず考えますか。

[知事]

これは先ほど申し上げたような順番だと思います。やっぱり大きな絵がどう書かれているか。これは福井県にとってもですが、私はいつも申し上げているのは、全国の立地地域がいろいろ抱えている課題の大きなところは、やはり方向がどうなっていくのか、こういうところを見ていなければいけない。それが結果として、人材育成にもつながり、安全に原子力発電というのは継続できるのかどうか、こういったところをまず見なければいけないと思いますので、そこのところを最大重視しながら見させていただく。

あとはもちろんバックエンド対策もしっかりしていないと、目標だけがあっても現実にそこにたどり着けるのか。こういったところもしっかりと議論をしていただくこともあるのかなと思っています。

[記者]

関西電力の高浜1号機が運転開始から50年を迎えて、国内で初めて50年を超えた運転に入っています。来年には高浜3・4号機が40年超運転に入るということで、県内の原発は運転期間が長いプラントが多くなってくる状況の中で、改めて事業者に対し、今後しっかり監視していくなかで知事として求めることはありますか。

[知事]

その点については、先日の安全専門委員会でも鞍谷委員長がおっしゃっていただきましたが、国内では非常に最先端の部分を行っているところですが、海外にはいくつも50年を超えて運転しているものもあります。こういったものの客観的なデータや意見交換、そういったものに学ぶというのは、技術の世界はすでに非常にグローバル化していると認識していますが、そういったものを、現地も含めてしっかりと把握しながら、知見を生かしていくことがとても重要なんだろうと思います。それと併せて、人材をしっかり育成しながら、後に続けていくということも大事だと思いますので、こういったこともやっていただくのかなと思っています。

さらに、やはり、人間もそうですが、もちろん体は動くが、不具合なんかも起きやすいと、一般的にはそういうふうに我々も考えるので、そういった不安な部分を払拭できるように、しっかりと日頃からの運転にも安全性、慎重かつ安全に運転していただくことに努めていただいたり、あとは不安が増幅されないように、何か起きた時にはすぐに公表していく、こういったコミュニケーションも非常に重要だと思います。併せて、やはり安全性という意味では、原子力規制庁が日頃の審査、それから監査などいろいろな形でやっているので、こういったものもしっかりと行っていただく。これを県としても十分に監視をしていく。こういった体制で臨みたいと思います。

[記者]

乾式貯蔵施設について、高浜の1期目の審査が粛々と今進んでいます。ロードマップ見直しの議論の最中に、仮に審査に合格した場合、県として事前了解の最終的な判断をしなければならないと思いますが、ロードマップ見直しに対する県としての総合的な判断の前に、乾式貯蔵施設に関連した議論を取り扱う考えは知事としてありますか。

[知事]

乾式貯蔵の課題、問題というか、事柄というのは、まさにこれは安定的に使用済燃料を確実に県外に搬出する、そういったものが前提になければ、乾式貯蔵の議論そのものができるわけではないので、そういう意味では進まないというか、併せて我々が申し上げているのは、地域振興の部分も具体的に明らかにしていくいくつものハードルがあるので、これがすぐ議論の俎上に上るというようなことは全くないと思っています。

[記者]

あくまで、地域振興の具体化や、実効性のあるロードマップの見直しの判断が先決だという考えでよろしいでしょうか。

[知事]

同時並行はあるかもしれませんが、そういったものがなければ、その議論がないままに進むということはないということです。

[記者]

先日、関西電力美浜3号機で配管に小さな穴が見つかって停止したという事案がありました。経緯を調べた結果、その配管に施していたコーティングを変更したことが原因だったということですが、耐久性に劣る素材に変更したことが原因ということで、外から見ると安全サイドに立った対応とは言えないのではないかと感じました。この点について知事の所見を伺います。

[知事]

まさにおっしゃる通りで、運転というのは本当に日々、運転そのものもされますが、いろんな修繕等を行う時の材質を変えるなど、ものがなくなったりして、変えざるを得ない時もあると思います。そういう時の慎重な判断と、作業というのは重要だなということをさらに認識しました。そういう意味では、ヒューマンエラーを含めて、いつでもこういったエラーが起きうるわけなので、そのためにはいろんな形で審査や検査があるわけです。大きな意味での審査があって、個別の検査もしっかりと行っていくことは大事だと思いますので、まずはその一つ一つの作業をきちっと安全サイドに立って、意識を持ってやっていただくというのは第一だし、併せて、仮に何か起きた場合はすぐに対応していく、それからそれを公表していく。こういったコミュニケーションの部分も含めてやっていただくことが、継続して安定して電力の供給ができる、そういう源になるんだろうということで、これを一つの教訓として肝に銘じて、事業者の皆さんには運転を行っていただきたいと思います。

[記者]

コミュニケーションという表現があったが、今後、そういった材質の変更等をする際に事前に県に報告を求めるような運用にする考えはありますか。

[知事]

私は専門的なところはよく知っていないので、その通りだと分かりませんが、今回のことは、一つ一つの部材について一回一回報告いただくのかどうか、もう一回専門的に考えてもらえばいいと思いますが、ただ、もしも必要があるときには、そういったこともあるでしょうが、一つ一つの作業はまずは現場で行っていただくということかなと思います。

[記者]

先ほどのエネルギー基本計画に関する質問の知事の答えの中で、地域振興の約束ばかりされていて、具体的にどのようにするのか、財源をどうするのかというのをしっかりと場を設けながらやっていただきたいという話がありましたが、この場というのは、共創会議とは別にそういうことを話し合う場がほしいということですか。

[知事]

場と言うか仕組みと言うか、私たちがずっと求めているのは、まず具体案ということですが、そういったものを決めていく場がないと、経産省にお願いして物が進むのかどうかということが、特に避難道路の関係は経産省だけで進められるのかどうかということがあるので、政府全体として、政府が一体としてどのようにこれに応えてくれるのか、そういった仕組みが必要だということは申し上げている。このことについてどのように考えるかということを明らかにしていただきたいということです。

[記者]

例えば、避難道路の整備というと、国交省で、別の省庁との連携の仕方や予算の組み方など、そういうところの仕組みが必要と考えているのでしょうか。

[知事]

経産省から言われているのは、密接に話し合う場というのを設けましょうと、こういうふうにも言っていただいて、そういう場もあると思います。ただ、やはり避難道路となると、先ほど申し上げたような国交省との関係や内閣府との関係なども出てくる。そういう意味では、新潟は協議の場というのを設けて、そうした経産省だけでなく内閣府とか国交省も入った形などあると思う。そういったことは、形をこだわるものではありませんが、確実に進んでいくという仕組みであったり財源確保、こういったものを明らかにしていただきたいということです。

[記者]

だいぶ期間が経ってしまいましたが、衆院選の総括のような話をお伺いしたいのですが、先ほどおっしゃったように、新幹線の駅、位置の詳細ルートが年内、関電のロードマップも年度内ということで、期限が切迫する課題が県内に多くあると思います。そういう中で、国とやり取りする、福井県、特に国とのパイプ役である国会議員という役割があると思うのですが、福井2区で、例えば長く原子力政策や新幹線で尽力していた方が、今回落選されたということで、そこからもう1か月経ちましたが、そこに対する県の影響、知事の受け止め、所感をお聞かせください。

[知事]

県内で国会議員の、衆議院議員の先生は2人から4人に増えたという意味の効果は一つあると思います。ウイングが広がって、いろいろな意見を野党の皆さんを含めて聞いていただく機会を作っていく、もしくはパイプ役としてのご活躍をいただくというのは大切なことだと思っています。一方で、物事、行政府の関係で言えば、与党の先生方にお世話になる部分というのは大きいと認識をしています。そういう中で、2区から高木先生なり、与党の関係の議員がいなくなっているということは、今後も含めて、非常に大きな影響があると考えています。しかしそうならないように、色々とウイングを広げながら、県選出の国会議員の先生、参議院のお二方もいらっしゃいますし、その上で、森山幹事長にお願いに行く、小野寺政調会長にお願いに行くなど、いろいろな形で私もつてを頼ってやらせていただいていますので、影響のないように、これから努力をしていきたいと思いますし、また何よりも、政治を安定化していただくことが、景況感にも大きな影響を与えないためにも、プラスの方に行くためにも重要だと思いますので、この年末の予算編成や103万円の壁の議論など、こういったことも与党やその政策を運営する、決定する枠組み、こういったものを早く確立をしていただくことが大事だと思います。やはり少数与党ということですので、これは必ず野党の皆さんの一部とは少なくとも連携しながらやっていかなければ政策を決められないということになるわけですので、十分に与党の皆さんにも野党の皆さんにも、その辺のところを頭において活動していただきたいです。そうしないと一方が、双方が自分のことだけを言っていると、物事が今度は進まないということになって国民への影響がありますので、ここのところも十分に国政に携わられる皆さま方にお願いをしたいと思っています。

[記者]

すみませんもう一点追加で、補足でお伺いしたいのですが、先ほどおっしゃったように国会議員として、衆議院議員としては、2人から4人に増えたということですが、そのうち野党が3人ということで、県としてどのようにコミュニケーション、お付き合いをしていきますか。今まで与党の先生方とは密にやられていたと思うのですが、野党の国会議員の方との向き合い方を県としてどのように考えているかお聞かせください。

[知事]

以前も野党の先生方がいらっしゃる時期は当然衆院選の1区2区の定数の中の人は与党でしたが、そうではなくて、比例で復活されることはよくありましたので、しっかりとお願いをしていくということだと思います。同じように、例えば今までの話を伺っていても、例えば斉木先生は新幹線に向けて、維新の会でいらっしゃるので、関西地域に話ができるようにしていくとおっしゃっていただいて、得意分野があると思いますので、十分にお願いできる状況にあると思いますから、いい方に捉えてお願いをしながら進めさせていただこうと思っています。

[記者]

今県内の給食に混入物が含まれることが相次いでいるのですが、県として現状をどれほど把握して、今後どういう対策をするかというのは考えていらっしゃいますか。

[知事]

私が詳細に存じ上げている部分ではありませんが、大きく言うと報道等でされている、もしくは報道でされているということはこちらからも発表していますので、その範囲で今状況としてはわかってるのはそういう部分だと思います。一方でこれから、今のところどこから、いつ仕入れられたものかというところまでがまだ追い切れていないというようなお話のようですので、ここのところをしっかりと、まずはできるだけさかのぼって、どこで購入したのか、見ていると形式的に何かよく似たような状況になっているので、意図的にやられているのか、もしくはたまたま何かの状況で、一つのどこかにあったものに同じようなことが起きているのかわかりませんが、やはりそこのところを早く明らかにしないと、安心して食材が使えないということにもなりますので、まずはできるだけ原因のところをしっかりと把握できるように追求していって、その上で最善の策を講じます。これは給食の多くは、市や町、義務教育が多いので、これは市や町の皆さんと一緒に連携しながら県教委の方でも音頭を取ってやっていただくと思っています。

[記者]

では県としても、この一連の流れは危機感を持っているということでよろしいですか。

[知事]

そうですね。まさに給食を提供する人という意味では市や町が中心になりますが、これは福井市内だけではなく、他のところでも影響が出てきていると伺っていますので、そういったところは全体として、県としてもしっかりと市や町の皆さんと連携をとって、我がこととしながら考えていくことかと思います。

[記者]

もし対策など、具体的に決まりましたら県としても発表するということでしょうか。

[知事]

これは県がどういうやり方するか、基本は県教委の方でやっていただいていますので、こういったところを、県教委の方にも伝えて、もちろん皆さんにきちんとご理解いただけるように発表なども含めて考えていくと伝えたいと思います。

[記者]

私も選挙について、毛色は変わるのですが、先の東京都知事選で選挙の掲示板には無関係なポスターが大量に貼られたということを受けて、鳥取県で、選挙目的以外での掲示板の利用を制限するような、利用禁止を明確化する条例が先月17日に施行されました。またこれと別で、兵庫県知事選でも、自分自身の当選を目指さずに他の候補を応援するような候補が出たりしていた例もありましたが、鳥取の条例のようなやり方も含めて、県として選挙のあり方であったり、ルールについての見直しだったりなど、何か既定の明確化のようなところに動くお考えはありますか。

[知事]

非常に関心を持って注視をしています。選挙制度は、我が国が今、基本的なやり方としている民主主義の根幹なので、各地域で物事をどうするということとは少し毛色が違い、全国でしっかりとあり方ということ、もしくは、具体的な規制のあり方など、ここは自由にしておかないとという表現の自由も含めて、もしくは政治信条の自由も含めて憲法違反になるなど、こういったことを慎重かつ、丁寧に考える必要があると思いますので、まずは法律の議論を、すでに始まっているところもありますので、公職選挙法の見直しも含めて議論を前に進めていただくということが必要だと思います。鳥取県は、条例について、今の公職選挙法の中の解釈も含めて、基本的に使われている部分を条文化したところだと思いますので、規制的に必要なことは国でまず考えていただき、あわせて、それ以外でも、地域として何か個別に、その特色も含めて考えるべきことがあれば、大阪であったり、兵庫であったり、いろいろなところでも、東京のこともあるかもしれませんが、そういった例の対策についての手法や効果も見ながら、県独自の判断もあり得ると思っています。まず国としてしっかりと対策を行っていただきたいです。現状でも、すでに法律に則って、必要があれば警察が警告を出したり、命令を出したりもできますので、そういったことをさらに精緻にしていただきたいと思っています。

[記者]

11月に発表がありましたが、人口動態に関して、何十年かぶりに社会増になったということが報道されたと思うのですが、それについて去年からの変化を考えてみると、北陸新幹線が大きく影響したのではないかと個人的に思います。知事も別の会議でそのような認識をご紹介されたこともあったかと思うのですが、改めて知事のご認識をお聞かせください。

[知事]

本当に詳細に私が検討できているかというのはよくわかりません。これは専門家の方にもよく見ていただく必要があると思っています。私も中を見てみました。最初にこう聞いた時には、すぐに新幹線効果だと申し上げた時が1、2度あったかと思いますが、現実には、福井県の外国人を含む社会増減という意味ではプラスになったということが正しいと思います。その大半は外国人住民のみなさんの数が増えていることが大きな影響を与えています。日本人については、社会増減でマイナスになっていますが、昨年、一昨年よりは減ってきているという効果はあると少し感じているところではありますが、ただそれも大きく増えている、減り方が減っているという状況でもないので、やはりどちらかというとコンデンサーなど、いろいろなものの県内での産業が円滑に回り始めている中で、外国人労働者の方が増えている部分が大きく寄与しているかなということです。つまり社会増減のところは増えてはいるけれども、寄与は外国人が大きくて、国内の人は減り方が少し減ってきているという状況です。しかし一方で新幹線については、県民の意識、福井県がいい県だ、幸福だというような実感の統計も新幹線開業後で、デジタル庁が発表しているものが昨年12位から4位に上がり、それからブランド総研が発表している統計も19位から5位に上がるなど、別の意味でも効果が上がっていると思いますので、そういったマインドが変わっていけば、社会増減にも影響があると私は考えていますので期待をしています。

[記者]

日本人の減り幅は社会減で言うと少しましになったということですが、今後新幹線が開通した時から今に至るまでの人口減、東京に吸い取られるのではないかというような、新幹線がつながったことによるプラスもありますが、マイナス面も懸念されていたと思います。結局人口は社会減になってしまっているという現状が示されましたが、それについての認識とこれからの対策をどのようにお考えかお聞かせください。

[知事]

バキューム効果というのかストロー効果というのかわかりませんが、出て行ってしまうのではないかということについては、事前からよく私どもも過去の例を見させていただいていまして、例えば大学の進学の状況を見ますと、来年は注視しないといけないと思いますが、石川富山の状況も初年度に関西方面に行っていた人が関東に行くことが増えたということは事実としてあったと思いますが、2、3年でだいたい落ち着いて四年目以降は、逆に関西に行く人が増えている状況もありました。特に今回は富山石川に比べて少し関東から遠い福井ですので、急にストロー効果が大きく出るということはないようにしないといけないと思っています。一方で、社会減は依然として継続をしていて、福井県は非常に北陸三県の中でも厳しい状況だと認識しています。ここのところをどうするのか、いろいろな形で県内の子どもが県内の大学に行っていただくと、8割方県内に残り、県外から大学に来た子どもは、9割方帰ってしまうというような、明らかな統計もありますので、県内の子どもに残ってもらうためには新幹線でとても明るくなって、福井も住みやすくなった、もしくは将来に希望が持てるということもよくわかってもらえるようにするとか、それから県内の大学に行きやすい環境を作るなど、いろいろな形で課題に対してアプローチしていきたいと思います。

[記者]

県長期ビジョンがございまして、2040年の福井県の将来像を描くというもので、活力人口100万人にするという基本目標があってということで、今まさに次期実行プラン、25年度から29年度までの5年間の実行プランを検討中だと思います。まずこの県長期ビジョンに向けた5年間の実行プランの位置づけ、県政においてこのプランがどのような重要な位置を占めているのかということを、県政のベースとなる指針であるのかどうか含めて、知事のお考えを伺いたいと思います。

[知事]

まず長期ビジョンは、本当に大きな方向性を指し示して、これに対してみんなの意識を統一しながら、歩みを進めるという意味では大きな意味があると。しかしそれだけだとその都度、今どっちに行ったらいいかなど、どのように進めたらいいかがよくわからない。もしくは施策がなければ具体性が乏しくて、自分の投資も含めて現実な活動に踏み切れないということがあるので、5年ごとの実行プランを作ってやってきているということです。

長期ビジョンの基本理念は、「『安心のふくい』を未来につなぎ、もっと挑戦!もっと面白く!」。幸福度日本一の福井らしさというものを次の世代につないでいこうと、ミニ東京になるのではないよと言った上で、でも少し足りない「もっと挑戦!もっと面白く!」のところをやっていこうよ。その上で今度の実行プランの一つの大きな柱が「とんがろう、楽しもう、ふくい」で、両方とも大きな長期ビジョンの方向性を見ながら、それを5か年の中で「とんがろう、ふくい」と言葉で言っていて、この5年間は今のこういう状況をご覧いただいても、私も県民の皆さんからよく声をかけられますが、「とても福井が明るくなった」、「前向きになった」、「やる気になりました」など、こういう声を多くいただいています。そういう意味から言うと、やはり実行プランは「とんがろう、ふくい」。今までの福井とは少し違って、もしくは福井がということではなくて、自分が枠からどのように自分のいい方向にこう進んでいこうと、とんがるというのは何もこうとんがっているというよりは、殻を破るというか、一つ自分で限界だと思ったところを超えていこうというような趣旨だと思いますので。そういったことの意味では、施策もその中に並べて、必ずしもうまくいってない政策もありますが大きくは進んできたと思っています。ですから、次の計画においてもやはり20年の中の一里塚として、必要な内容もしくはその方向性を盛り込む必要があると思っています。

[記者]

次期実行プランは5年間ありまして、今おっしゃった「とんがろう、楽しもう、ふくい」はメインコンセプトとして非常によくわかるのですが、その施策として、何に重点を置くのかというところの議論で、今回の次期実行プランでは「次世代ファースト戦略」というものを最重点化プロジェクトとして、新たに位置づけたということが1つ目玉だと思います。この「次世代ファースト」というところについて、県がこの5年間、中心に据えるワードとして「次世代ファースト」を位置づけましたということですが、少し定義が私はひまひとつ理解ができていなくて、次世代というものが誰なのかと、何か若者なのか、子育て世代なのか。そしてファーストという意味ですが、何か県の財源やリソースを次世代育成支援のために重きを置いてやるのかどうか、この次世代とファーストの意味を、もう少し説明いただけたらと思っています。

[知事]

ご質問の意味はよく理解しましたので、また十分にそのことも踏まえながら、わかりやすくしていく必要があるということも十分に認識をしました。思いとして申し上げれば、やはり本当に若い人たち、要は福井を選んでもらうということの部分がとても大事だと、先ほどの社会増減のお話もありましたが、まさに福井を選んでもらう、その入り口というか、一つの大きな塊の部分が、高校生までが大学をどこに行くか、もしくは就職をどこでするか、ここのところが一つのポイントにあるということ。もう一つ、私どもがもう一方で今度は可能性として感じているのが今Uターン・Iターンで見ると、Iターンが7割ぐらいになってきている。こういうようなところを見ると、子育て世代という人たちに対して、アピールできる何か政策、もしくは福井県としての県民性などがこういうふうにちゃんと外に出ていけば、福井はきっと幸福度日本一だし、いろいろな形で外から来ていただける。そういう意味では次世代というのは大きく言えば、やはりこれからを背負っていただくというか、福井県にとって支えていただけるような人たち。こういった人たちというのは大きく言えばそういうことだと思っています。しかし世代というのは一つ一つにあるので、40代、50代でもそこから先、例えば有識者のような感じで言えば40代、50代で移り住んでいただくことも、次の世代にこう50代、60代が渡していくという世代から言えば、次世代にもなります。あまりごちゃごちゃにする気はありませんが大きくは若い世代。そういった子どもや、大人でも子育てしている世代を中心に。ファーストというのは少なくとも本当にそれに他の予算よりも多くものがいくかどうかはともかく、重点的に拡充していくところなどは重点的に予算を配分していく。こういった考え方に基づいているということかと思います。

[記者]

ありがとうございます。そういったお考えが、次の新年度の当初の予算など、具体的な政策として出てくると県から聞いておりますので、具体的な施策を期待しています。よろしくお願いします。

―― 了 ――

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