石破内閣総理大臣記者会見
更新日:令和6年12月24日 総理の演説・記者会見など
【石破総理冒頭発言】
よろしくお願い申し上げます。
本日、臨時国会が閉会をいたしました。この臨時国会に臨むに当たりまして、所信表明演説をいたしたのでありますが、その冒頭、石橋湛山(たんざん)元総理の言葉を引用させていただきました。すなわち、「国政の大本について、常時率直に意見をかわす慣行を作り、おのおのの立場を明らかにしつつ、力を合せるべきことについては相互に協力を惜しまず、世界の進運に伍(ご)していくようにしなければならない」、このような石橋湛山元総理の言葉を紹介し、私ども比較第一党として、他党の皆様方の御意見、これを丁寧に承り、可能な限り幅広い合意形成を図るように一生懸命努力をいたしてまいりました。
今国会では、与野党が侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論を行いました。正に「熟議の国会」、それにふさわしいものになったのではないかと感じておるところでございます。会期末に当たりまして、与野党の皆様、そして、国民の皆様方に心から厚く御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
先般の選挙で示されました国民の皆様方の厳しいお声、これを踏まえまして、政治改革には特に強い思いを持って取り組んでまいりました。
衆議院選挙が終わりました後に、自由民主党総裁として、政策活動費の廃止、いわゆる旧文通費、調査研究広報滞在費と申しますが、この使途公開と残金の返納、改正政治資金規正法に基づく第三者機関の早期設置と、そのような政治改革につきまして、党派を超えた議論を行い、速やかにその実現を図っていく、このような方針を強い決意の下で申し上げた次第でございます。
党内の政治改革本部におきましては、身内の論理、あるいは身内の理屈、このようなものを排除して、自由民主党としての案をまとめたところでございます。国会の政治改革特別委員会におきましては、各党から9本の法案が提出され、与野党で真摯に御議論をいただきました。結果、本日、政治改革法案が成立をしたところでございます。
我が党としての案が採用されなかった論点もございますが、少数与党でございますので、自分たちの意見がそのまま通るわけではないということもよく承知をいたしております。100パーセントでなくても、一歩でも前に進むことが大事であり、それが政治のあるべき姿だと、このように考えておるところでございます。
企業・団体献金につきましては、私どもは「禁止よりも公開」と、このような方針の下、透明化に向けた取組が何よりも重要であると、このように考えておるところでございます。党によって考え方は様々でございまして、今年度末、すなわち、来年の3月末日までには結論を得てまいるということでございます。
また、旧文書通信費につきましては、国会において、各党各会派の合意の上で、使途公開・残金返納に向けた法改正が、これは全会一致で実現をしたところでございます。
自民党総裁として申し上げました改革メニューは、いずれも年内の法制措置を実現することができました。改めまして、お力を頂きました皆様に心から感謝を申し上げる次第でございます。
令和6年度の補正予算につきましても、審議の過程におきましては、国会修正として28年ぶり、補正予算としては初めてとなります国会による修正が可決をし、一部の野党の皆様方の御賛同を得ると、このような形で成立をいたしました。このような国会は与党も野党も初めての経験ではございましたが、審議に参加をして、言いっ放し、あるいは聞きっ放しではない、本当にお互いに議論をするという意味での熟議になったというふうに私は思っておるところでございます。
我が国経済は、これも国会中、何度も申し上げたことでございますが、長きにわたったデフレマインドを払拭する。そして、「賃上げと投資が牽引(けんいん)する成長型経済」、これに移行できるかどうかの分岐点であるという認識を持っております。今般の経済対策を実行し、「コストカット型経済」から「高付加価値創出型経済」へと移行をいたしてまいります。物価上昇を上回る賃上げを実現するため、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めてまいりますとともに、省力化・デジタル化投資の促進などを強力に支援いたしてまいります。最低賃金の引上げに向けた取組を強化いたしてまいります。
人への投資、あるいは官民連携の国内投資によって、賃上げの原資となります企業の稼ぐ力、これを高めますとともに、将来も継続的に所得が増加する手立てを講じてまいります。
国民の皆様方にこれらをお届けしていくため、迅速かつ適切な執行に努めてまいります。
来年度に向けまして、国民の皆様方のための施策を切れ目なく講じていかなければなりません。令和7年度予算案も最後の詰めを行っておるところでございまして、(12月)27日には概算決定を行うと、このような予定でおるところでございます。
政府における政策の進捗についてでありますが、本日、新しい地方創生本部におきまして、「基本的考え方」を決定いたしました。当面は人口・生産年齢人口が減少するという事態を正面から受け止めました上で、人口規模が縮小しても経済が成長し、社会を機能させる適応策を講じていくための基本的な視座を整理いたしたところでございます。
私も、生前、随分と御指導を頂いたのでありますが、亡くなられた堺屋太一先生が最後に著されました著書「三度目の日本」という本であります。お読みになった方もおられるかもしれません。この「三度目の日本」という著書において堺屋先生は、明治維新の中央集権国家体制において、「富国強兵」というスローガンの下で「強い日本」というものが目指されたと。戦後、敗戦からの復興や高度経済成長期で目指されたのは、「強い日本」に代わる「豊かな日本」というものでございました。「強い日本」や「豊かな日本」を実現するために、合理的な選択として、あえて国策として一極集中が進められてきたと、このように堺屋先生は論じられておったと記憶をいたしております。それが終わったのが平成という時代であったと。それではこれから先、強いことも豊かなことも、それは価値観として評価すべきではありますが、我々はどういう日本を目指していくのかということであります。堺屋先生はこの本の中で、「楽しい日本」、これを目指すべきだというふうに論じておられます。私はこれを読んだときに、「強い日本」とか「豊かな日本」というのは感覚として分かるのですが、「楽しい日本」というのは何だろうかとずっと考え続けてまいりました。
地方において、人口が増えていません。経済的にも豊かで、それは、国土交通省が出しました、いわゆる所得分布の中央値からプラス・マイナス10パーセント、全体で20パーセントの中間的な御家庭、ここに焦点を絞ってみると、それは、地方も経済的に豊かであるということでございます。もちろん、地方は風光明媚(ふうこうめいび)で、食べ物もおいしくて、人情も豊かで、だけれども、何でそういう地方において人口減少が止まらないのだろうか、ということでございます。問題の本質はそこにあるだろうと私は考えております。特に、人口減少は、若い世代、そして女性の方々、そういう方々が地方から都市へ流出していくと、こういうことが極めて顕著でございます。今の多様性の時代にあって、自己実現の場として地域の魅力を高め、都市と結びついた「楽しい日本」を実現すると、そのような観点から地方創生の検討、そして実現、これを図ってまいりたいと思っております。
防災・減災対策、これを抜本的に強化いたします。今年、元旦に能登半島のあのような地震があり、9月には同じ被災地に豪雨が襲いました。何で自分たちだけがこんな目に遭わねばならんのだと、その悲痛な叫びは多くの人の耳朶(じだ)に残って離れないものだったというふうに思っております。防災対策の抜本的な強化に向けまして、新たに「防災立国推進閣僚会議」を設置し、議論を開始いたしました。国による災害対応の強化、被災地における福祉支援の充実、ボランティアの皆様方との連携促進のための法案を次期通常国会に提出すべく、検討を進めてまいります。「本気の事前防災」、それはもう本当に全身全霊、真剣な、という意味であります。もちろん、今がそうではなかったということを申し上げるつもりはありませんが、全身全霊で、本当に最大限の努力をしてという意味でございます。「本気の事前防災」を推進し、人権というものを基本に置いたスフィア基準(人道憲章と人道対応に関する最低基準)というものがございますが、このスフィア基準を踏まえ、避難所の環境改善を強力に進めるべく、「防災庁」の在り方も具体的に検討を深めてまいります。本格的な冬が、能登半島には訪れております。その被災地に、改めまして、関係省庁の職員を派遣いたしまして、避難所の状況を確認したところでございます。引き続き復旧・復興や被災者の皆様方の御要望の把握に取り組んでまいります。「政府は本当に分かっているんだね」というふうに思っていただくことが、何より重要だと私は考えております。
自衛官の確保にも政府を挙げて取り組んでまいりました。新たに立ち上げました閣僚会議におきまして、基本的な内容を取りまとめたところであり、令和7年度予算案に計上すべきもの、法律・制度の改正が必要なものについて速やかに検討し、可能なものは次期通常国会に提出をいたします。自衛隊員や御家族が、これもまた、「ああ、政府は分かってくれたんだね」というふうに思っていただくこと。そして、「自衛隊にいて、自衛隊に入って本当によかった」と思っていただける、そういう環境を整備することで充足率を向上し、我が国の防衛力の基盤を強化してまいりたいと思っておるところでございます。
厳しく複雑な国際情勢におきまして、この臨時国会中にも首脳外交を展開いたしてまいりました。G7各国との電話協議、あるいは来日されたフィンランド、スウェーデン、北欧各国首脳との会談を通じまして、ウクライナ情勢や中東情勢への対応につき改めて連携と協力を確認いたしました。韓国におきましては、内政上の動きがございましたが、先般、韓悳洙(ハン・ドクス)大統領(権限)代行と電話会談を行い、日韓・日米韓の緊密な連携を維持していくこと、来年の日韓国交正常化60周年に向けた準備を引き続き進めていくということを確認した次第でございます。来年の1月20日には、合衆国におきまして第2期トランプ政権が立ち上がります。トランプ次期アメリカ合衆国大統領とも早期に会談を行い、日米同盟を更なる高みに引き上げていきたいと、このように考えております。
少数与党ではございますが、ハング・パーラメント、日本語に訳せば、宙吊り議会ということになるのでしょうか、ハング・パーラメントの妙味を最大限にいかしながら、多くの方々、様々な方々の御意見を聞いて、目指すべき日本を確立してまいりたいと考えております。
引き続きまして国民の皆様方の御理解と御協力をよろしくお願いを申し上げます。
今国会、お世話になりまして、誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、これから皆様より御質問を頂きます。指名を受けられました方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただき、社名とお名前をおっしゃった上で一人1問、御質問願います。
この後の日程がございますので、進行に当たりましては御協力をお願いいたします。
まず幹事社から御質問を頂きます。
最初に共同通信、下山さん、お願いいたします。
(記者)
共同通信の下山です。よろしくお願いします。
本日、政治改革関連3法が成立しました。先ほど総理御自身から言及がありましたけれども、企業・団体献金の扱いは与野党間で結局折り合わずに結論が先送りとなりました。自民党の中には一連のアクションを通じて、「政治とカネ」に対して一定の説明責任を果たしたという声がある一方で、野党は更なる真相解明を求めています。
総理は臨時国会の成果をもって、これら諸問題に対する国民の不信が払拭されたとお考えになりますでしょうか。来年は参院選が控えています。不信払拭がまだ不十分であるというふうに感じているとするのであれば、年明け以降、信頼回復に向けて具体的にどのように動き、また、自民党に対してどのような指示を出すお考えでしょうか、お聞かせください。
(石破総理)
ありがとうございます。信頼回復が果たされたかどうかは、私どもが判断をしてはなりません。それは国民の皆様方が御判断になることであります。私どもとして、先ほど来申し述べておりますように、政策活動費の廃止、あるいは旧文書交通費の公開、残金の返納、第三者機関の設置、そして、政治資金規正法1条、2条の趣旨にのっとって収支報告書の内容がどなたであっても簡単に確認できる、容易に確認できるデータベースの構築、あるいは調査研究広報滞在費の使途公開等々、そういうことはやってまいりました。これで十分に御理解を頂けたか、このことについては国民の皆様方の御判断に待ちたいというふうに考えておるところでございます。
なお、今、御指摘がありましたように、企業・団体献金についてはどうなのだということの議論は、来年もっと深めていかねばならないと思っております。かつて政治改革の議論をしておりましたときに、それは選挙制度に議論が集中しがちでございましたが、公費助成というものを採り入れました。しかしながら、公費助成に全て頼る政党というのはどうなのだろうかと。国民の税金で全て運営される、そういう政党というのは本当にどうなんだろうか、という議論もございました。じゃあ、企業・団体献金でやったらいいじゃないか。それも企業・団体献金に依存する。そういう政党も独立性について問題はあるだろうと。じゃあ、自己資金でどうなんだということになりますと、有名人とか、世襲議員とか、大金持ちとか、そういうのしか出られないということになる。そうすると、やはり公費助成、政党に対します企業・団体献金、あるいは自分で一生懸命、何とか何とか浄財を集める、そういう形でバランスを取っていくのが良いのではないかと考えております。
これは国会でも縷縷(るる)答弁をいたしたことでございますが、企業というのは、会社法、それはもう500条になんなんとする大変ないろいろな規制の中で、公的な存在として活動している。納税もしている。しかし、こういう社会であるべきだ、こういう政治であるべきだということについて、参政権を持っておりませんので、そういう立場を表明することができない。だとすれば、憲法21条の表現の自由というものに淵源(えんげん)を求めて、企業・団体献金というものはあるのではないか。しかし、政治資金規正法によって、それは厳しい国民の監視の下にあらねばならないということでございます。そういう議論を、来年、本当に正面から、民主主義は一体誰の負担によって賄うべきか、民主主義に必要なコストは何か、あるいは政党とは何かという議論を深めることによって、国民の皆様方の御理解を賜ることができればと考えております。
私ども政治に携わる者が本当に襟を正して政治活動を行っていくべきことは当然のことでございます。
(内閣広報官)
続きまして、同じく幹事社の東京中日新聞、坂田さん。
(記者)
東京中日新聞の坂田です。よろしくお願いします。
来年の通常国会に向けて、選択的夫婦別姓制度に関して伺います。足元では、長らく導入を求めてきた野党のみならず、公明党からも導入に向けた取組の加速が求められています。少数与党の国会で配慮が不可欠かと思いますが、今後、自民党内の意見集約をどのように図るお考えでしょうか。石破首相はこれまでに「いつまでも引きずっていいとは思っていない」などと発言されていますが、結論を出す時期についての見解をお伺いします。
(石破総理)
自由民主党におきましては、家族の形、家族の形態、あるいは国民の皆様方の意識、これが変わってきているのだから、夫婦別姓、別氏、選択制というものを導入するべきではないかという御意見がございます。一方において、家族の一体感、あるいはお子さんへの影響、兄弟で氏が違うというのはどうなんだい、というような影響を懸念する観点からの御意見もございます。そのようなものを氏制度の在り方に関する検討ワーキングチームで議論を行ってまいりました。
今国会におきましては、予算もある、法律もあるというようなことで、なかなか議論の頻度が高まらなかったというところはございますが、これから議論の頻度を高めることによって、熟度というのですかね、その議論の成熟の度合いは高まると思っておりますし、高めなければなりません。これの開催頻度を上げるようによくお願いをいたしておるところでございます。
その推移によって党内の意見は変わるのかもしれません。あるいは変わらないのかもしれません。それはやってみなければ分かりません。しかし、御指摘のように野党のほとんどがこれをやるべきだと、あるいは与党、公明党もそういう御意見であると、そして、経済界もそういう御意見であるという背景をよく認識をしました上で、我々自由民主党としては議論の頻度を上げ、熟度を高めるということに力を入れてまいりたいと考えておるところでございます。
(内閣広報官)
それでは、幹事社以外の方で御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。
NHKの岩澤さん。
(記者)
NHKの岩澤です。よろしくお願いします。
少数与党となる中で、臨時国会では、一部の野党の賛成で補正予算が成立しました。来年度予算は政権の姿勢そのものを示すものとも言われ、補正予算よりも野党が賛成するハードルが上がることも予想されますが、成立に向けてどのような道筋を描いているのでしょうか。
また、内政や外交で課題が山積する中で、来年、最も重視して進めていく政策は何か、お考えをお願いします。
(石破総理)
それは、本予算であれ、補正予算であれ、国民の皆様の税金を使わせていただく以上は、国家の在り方について、それを体現したものとして、全身全霊で審議に臨むということは変わるものではございませんが、御指摘のように、本予算ということになりますと、額も多い、範囲も広範にわたるということでございます。
これは、補正予算のときがそうでありましたように、いろいろな御質問に対してどれだけ丁寧にお答えするかということだと思っております。それは、質問者の方の後ろには、その方を出された大勢の方々がおられるわけであって、さればこそ、全国民の代表者と位置付けられるわけでございますから、丁寧な御説明に努める、誠実な御説明に努めるということに尽きるのだと思っております。その国会の論戦というものを御覧になって、国民世論というのは変化をしていくのであって、これは賛成したほうがいいなというような国民世論というものが醸成されるように、一生懸命努めるということに尽きるのではないかと考えております。
そのときには、各党の御主張がなぜ政府と違うのかということをよく理解した上で、その御主張というものも十分に理解した上で、論戦というものは展開したいと、そして、国民世論というものが、御理解が深まるように努力をしていきたいというふうに考えております。それに尽きます。
何を優先するかというのは、これが最優先というものがあるわけではございません。どれもこれも優先はするのでございますが、やはり能登半島に代表されますように、つらい立場、苦しい立場におられる方々にきちんと政治の光が届く、どんなに条件が悪くても国のいろいろな差し伸べる手というものが変わることがあってはならないと思っております。そういう意味で、防災対策というものは非常に急ぐと思っておりますし、それは福島の復興、東北の復興についても同じことでございます。
その後といいますかね、そういう順番をつけるわけではありませんが、やはりこれもデフレ型経済からの脱却、いろいろなコストをカットすることによって経済を回し利益を得てきたという形の経済から、付加価値を付けていく形の経済への転換、それは地方創生ともかなりオーバーラップするところがございますが、付加価値創出型の経済への移行というものは極めて重要だというふうに思っておりますし、急ぐべきことであるというふうに認識を持っております。
また、国会答弁におきましても、かつてない厳しい安全保障環境ということを申し上げてきたところでございますが、それに対して安全保障体制、それは防衛面だけに限りません。食料もそうですし、エネルギーもそうでございますが、安全保障体制というものは本当に強化されているのだろうか。装備においても、あるいは運用においても、備蓄においてもそうなのですが、安全保障体制の強化ということの必要性は非常に高いものだと思っております。
議論が前後して恐縮ですが、消費の過半は個人消費が占めております。個人消費。33年ぶりの賃金上昇ということになっておりますが、個人消費を更に上げていきますためには、付加価値を付けた商品・サービスを開発することと同時に、将来に対する不安の払拭ということに努めていかねばならないのは当然のことでございます。社会保障制度というものの在り方について国民の皆様方に得心していただけるような議論であり、予算であり、制度の構築というものは引き続いて極めて重要だと考えておる次第でございます。
(内閣広報官)
時間の都合がございますので、あと2問くらいになると思います。
産経新聞、千葉さん。
(記者)
総理、産経新聞の千葉です。よろしくお願いします。
総理の訪米の時期についてお伺いしたいのですけれども、トランプ次期大統領は1月20日の就任式の前の会談も可能であるというお考えを示しておられますけれども、日本政府内にはじっくりと準備をして、その上で就任式後の正式な会談としてやったほうがいいのではないかという意見もあるように聞いております。総理としての現在のお考えと調整状況についてお願いいたします。
(石破総理)
これは何らまだ具体的に決まっておるものではございません。先般、安倍元総理の御令室であられる昭恵さんがトランプ(次期)大統領夫妻と懇談をされて、そのときにそういうメッセージを託されたということでございます。その具体的な日取りについて、まだ政府部内で先方との調整がついておるものではございません。時期についてもいろいろな議論がございます。まだ正式に就任しておられないときに会うのはどうなのだという議論と、いやいや、2月になり3月になると国会日程も非常に厳しくなると、やはりそのときよりは早いほうがいいのではないかと、両論ございます。私といたしましては、先ほど冒頭の会見の中で申し上げましたが、日米同盟を更なる高みに引き上げていくために、この北東アジアの情勢、もちろん、ウクライナの情勢もガザの情勢もございますが、この北東アジアの情勢について認識を一(いつ)にするということは大事なことだと思っております。時期は最も適当な時期をこれから選んでまいります。相手のあることでございますので、こちらが一方的に言えることではございませんが、やはりこの地域情勢について、あるいは経済についてもそうでございますが、基本的な認識を一致させるということは極めて重要だと思っておりまして、適当な時期というものを模索してまいりたいと考えておるところでございます。
(内閣広報官)
それでは、後ろの神戸新聞の堀内さん。
(記者)
兵庫県の神戸新聞の堀内です。お願いします。
石破首相は総裁選で掲げていた「防災省」の創設に向けて準備を進めておられると思いますが、阪神・淡路大震災の被災地である兵庫県などは、県内への機能誘致を求めております。兵庫県への機能誘致に対するお考えと、改めてになりますけれども、「防災庁」の存在意義についてお聞かせください。
(石破総理)
何県にというようなことを申し上げる段階にはございません。もちろん阪神・淡路大震災から30年になりますでしょうか。ああいう震災を経験された兵庫県が「防災省」の設置、関西広域連合でもそうですけれども、その必要性を指摘されたと、そしてまた、いろいろ深い研究も行われたということは、私自身、よく承知をいたしております。ありがたいことであったと思っております。
これは「防災庁」に限らず、10年前の地方創生において中央省庁の地方移転ということを掲げました。成果として、京都に文化庁を移転するとか、金沢に国立工芸館が移転するとか、幾つかの成果がございましたが、もう一度そういう議論はあっていいのだと私は思っております。今の時点において。
「防災庁」の機能が、もちろん専任の大臣を置きますので、国会答弁は当然ございますので、主任の大臣がいる役所そのものが地方に移転していいということに相成りません。ただ、「防災庁」の性格から考えまして、やはり(地方)支分部局といいますか、そういう分局的なものの発想というのは当然あってしかるべきだというふうに考えております。先般、北陸のある知事さんからもそのような御提案を頂戴いたしました。あるいは震災を経験された兵庫県からそういう御提案があれば、もちろん真摯に承りたいと思っております。
ですから、それがやはりバックアップ的な機能を果たすものでなければいけないし、それは東京に一つだけというお話にはならんということは一般論として言えることでございますが、これから与党内あるいは各党、国会においての御議論を賜りたいと思っております。兵庫県からそのような御要望があれば、それは真摯に承らねばならないと考えておりますが、今の時点で、こことかあそことか申し上げる段階にはございません。
(内閣広報官)
すみません。最後に1問だけ多分取れると思いますので、では、静岡新聞の武田さん、ちょっと手短にお願いします。
(記者)
静岡新聞社の武田と申します。
南海トラフ地震臨時情報についてお尋ねいたします。8月の日向灘(ひゅうがなだ)の地震で初めて南海トラフ地震臨時情報が発生されました。政府は、先日の防災立国閣僚会議で臨時情報に関する防災対策の改善策をまとめました。柱の一つとして、平時からの周知・広報体制の強化を挙げられています。臨時情報は、予知情報と誤って捉える人が一定数いるなど、正しく理解されていない課題がございます。こうした実情や、来年度からの内閣府防災部門の抜本的な強化を踏まえて、どのように周知・広報をしていくのか、具体的にお聞かせください。よろしくお願いいたします。
(石破総理)
御指摘のように、何か予知情報と受け取られた方、随分おられたと思っております。それは、やはり南海トラフ地震臨時情報というと、何かそういうふうに語感として捉えちゃうところがございますので、そこのところは、私どもとして、平時からの周知・広報の強化を始めとします改善方策を取りまとめたところでございます。この臨時情報が出たので、予知情報と間違えて解釈をされて、過度な買いだめが起こったとか、そういうようなことも生じておりますので、私どもとして、そういう情報は出さねばならないのです、そういうときにどうするのだよということについて、よく御認識をいただくということの必要性は何ら変わるものではございませんが、広報のやり方、それからその中身については、よく見直していくことが必要だと思っております。ですから、臨時情報を出しましたときには、避難場所を確認していただくとか、あるいは家具を固定していただくとか、そういう日頃からの取組に加えまして、非常持ち出し品をいつも常時携帯しておくとか、そういうときに何が必要なのかということ、そういうことを周知させていただくことの重要性は何ら変わるものではございません。その必要性をよく認識をしながら、その出し方、やり方につきましては、更に改善をしていかねばならないのは当然のことだと考えておる次第でございます。
(内閣広報官)
予定のお時間になりましたので、以上をもちまして、記者会見を終了いたします。
今、挙手をいただいている方々に関しましては、本日中に担当の者まで質問をいただければ、追って書面にて回答を御連絡いたします。
御協力どうもありがとうございました。
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