商事始め式で社長あいさつ

2025/01/06  日本郵船 

  • プレスリリース

商事始め式で社長あいさつ

2025年01月06日

皆さん、明けましておめでとうございます。いよいよ2025年が始まりました。
こうして日本郵船グループの皆さんとともに新年を迎えられること、大変うれしく思います。年頭にあたり、一言ごあいさつ申し上げます。

昨年の元日は能登半島を大地震が襲い、9月には追い打ちをかけるように大豪雨が発生し多くの方々が犠牲になりました。また、天災ではありませんが、人が人の命を奪うという行為がガザやウクライナでも今なお続いています。世界中の人々の暮らしや生活を守り、支えるという私たちの使命を考えると本当に心が痛みます。1日でも早く、戦闘行為に頼らない、天災の少ない平和で穏やかな日々が戻ってくることを祈るばかりです。

2024年は世界各地での異常気象、地政学上の対立の継続、主要な国々で与党が敗北し首脳が交代するなど、自然、政治、経済、全ての側面から混迷の年であったと言えますが、わが社の業績は皆さんのたゆまぬ努力と頑張りによって、昨年度を大きく上回る経常利益4100億円を計上できる見込みです。多くの混乱の中にあっても、社員の一人一人が粘り強く、しなやかに自分の能力を発揮してくれたおかげであり、心から敬意を表したいと思います。

さて、本年2025年は一体どんな年になるのか。世界経済の要であるアメリカの景気はトランプ大統領になっても好調が維持されるというのが大方の見方です。物の流れという点では、輸入関税の引き上げがあってもアメリカの景気が続く限り、その購買量を大きく減らす方向には行かないので、なにがしかの形で輸送需要は維持されるでしょうし、規制緩和政策によって追加的な資源に関わる輸送需要が見込めるものと考えます。また、もしもロシア・ウクライナ問題が和平の方向で収束するとすれば、これを本当に望んでいますが、そのあとに来るウクライナの復興需要はかなり大きなものになるでしょう。こういった需要をしっかりと捉えていくことが、わが社グループにとってのオポチュニティーとなります。ただし、トランプ大統領の移民政策のかじ取り次第では、人口の1%とはいえ300万人もの移民の持つ労働力や購買力がそがれることで景気への悪影響を及ぼしかねないとする見方もあり、今後注意深く見ていく必要があります。

一方、内需の低迷を輸出拡大で補おうとしている中国や、国によって経済力がまだら模様となっているEU諸国、最近ややスピードが鈍化しているとはいえ中長期目線で大きな成長が見込まれるインドやアフリカなど、それぞれの国や人々が、今そしてこれからどういうValueを求めているのか、心を研ぎ澄ませてビジネスチャンスをうかがい、わが社グループの事業の維持・拡大につなげていきたいと思います。

冒頭に触れた異常気象ですが、地震は別としても、超大型台風やハリケーン、ゲリラ大豪雨、洪水、山火事など、今までは考えられなかったような形で含め世界各地に自然災害をもたらしています。わが社の自動車船のLNG燃料化を検討し始めたのは2016年ですが、ちょうどこの年はイギリスの産業革命時に比較して世界の平均気温が1度上昇したと言われる年であり、日本でも異常気象による自然災害が目立つようになっていました。LNG焚きとすると新造コストは2割アップ、CO?の排出量削減は3割程度とされ、費用対効果の面でも中途半端であり、業界ではアンモニアなどのゼロエミッション船の開発まで待つべきとの議論もありました。しかし、1日でも早く少しでも多くCO?の排出を減らしてこの異常気象の世の中を何とかしたいという熱い思いから、誰よりも早く自動車船のLNG燃料化を実現し業界のムードを一変させました。私たちは今、2030年に45%削減、2050年にはネットゼロという目標を掲げ、脱炭素に向けたさまざまなアクションを実行していますが、「社会の要請」・「産業の要請」というような堅苦しい言い方ではなくて、本当に私たちのまさに身近で起きている異常気象・自然災害を少しでも減らすのだという気持ちになれば、今まで以上に自分事としてEXの活動にまい進できると思います。

2025年度は現中計の3年目となります。両利きの経営ということで、中核事業の深化と新規事業の進化を計画通り力強く進めることはもちろんですが、今年特に力を入れていきたいのは支えの経営としているCX/DX(人事・組織の変革/デジタルトランスフォーメーション)です。CXでは世界中の仲間がどうすればもっと生き生きと自律的に働いてもらえるか。東京の言っていることさえやっていればよいという、いわば代理店的な思考から脱却し、それぞれの地域や国が自発的かつ自律的に日本郵船グループの企業価値をアドオンできるような環境や制度を備えていきたい。そのためには日本人が駐在として世界各国に出向くだけではなく、世界の意欲ある希望者が東京で働ける機会を増やしたり、各事業部の現法管理を各地域のマネジメントに権限委譲したりするなど、世界中の仲間がやる気になれる体制作りを深めていきたいと思っています。またCX-NEO(注1)で言っているように、海技者の皆さんがどれほど深く企業価値に貢献してくれている存在なのかも世界中の仲間と共有していきたいと思います。

DXについてですが、先日のビデオメッセージでも言いましたが、省人化を目的とした技術力の展開にDXをしっかりと応用していきたいと思います。肉まんプロジェクト(注2)もしかり、自律運航船開発もしかり、自動化倉庫や自動化カープールもしかりですが、もっと身近な業務プロセスでも機械ができることは機械にやらせる意識で、一人一人が工夫することが重要だと思います。

本年は蛇年、干支(えと)と十干(じっかん)を合わせると「乙巳(きのとみ)」と言われるそうです。蛇年はまさしく蛇の脱皮のイメージから「再生と変化」の年と言われ、また十干での乙(きのと)はしなやかな草木のイメージから「困難があっても紆余(うよ)曲折しながらしっかりと成長する」年と言われています。困難に直面してもしなやかに対応し幾つもの変革をしっかり進めていく、2025年を皆さんとともにそんな年にしていきたいと思います。そして今年日本郵船は創業140周年を迎えます。みんなでお祝いできる企画を検討中です。

最後になりますが、日本郵船グループの社員の皆さん、そしてご家族の皆さんが健康で安全にこの1年を過ごせますよう、さらに日本郵船ならびに各グループ会社が事故なく着実に発展する2025年となることを祈念して、私の新年のあいさつと致します。ご清聴ありがとうございました。

(注1)海技者を対象にした社内プロジェクト。海技者がより前向きに会社人生を歩めるように「海技者の働き方」「キャリアパス」「船内環境」など、多面的に海技者を取り巻く課題を洗い出し、検討・改善することで、海技者の離職率を抑え、中期経営計画達成をCXの面から支えてゆくもの。

(注2)業務変革、働き方の次世代化を目指す社内プロジェクト。

以上

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