防衛大臣記者会見 - 日尼防衛相会談後の中谷防衛大臣臨時会見 1 発表事項 2 質疑応答

2025/01/07  防衛省 

防衛大臣臨時記者会見

日時
令和7年1月7日(火)12:18~12:28(現地時間)
場所
ホテル・インドネシア・ケンピンスキー・ジャカルタ
備考
日尼防衛相会談後の中谷防衛大臣臨時会見

1 発表事項

昨日、北朝鮮が発射した弾道ミサイルにつきましては、これまでに得られている情報を総合的に勘案いたしますと、固体燃料推進方式の中距離ミサイル(IRBM)級であったと推定をしております。これ以上の詳細につきましては、発射されたミサイルが極超音速兵器であったかも含めて、引き続き分析中であります。これまでも申し上げているとおり、北朝鮮による核、ミサイルの開発は、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものでありまして、断じて容認できるものではありません。政府としては、引き続き、米国や韓国などとともに緊密に連携をしながら必要な情報の収集・分析に努めるとともに、警戒監視に全力を挙げていく考えであります。

もう1点発表があります。まず、本日午前10時から約1時間30分にわたりまして、シャフリ国防大臣との間で、防衛相会談を行いました。まず、私とシャフリ大臣との間で、マラッカ海峡、スンダ海峡、ロンボク海峡など重要な海上交通路を有するインドネシアと我が国が、防衛分野において関係を強化をしていくということは、両国のみならず、地域全体の平和と安定、繁栄にも寄与するものであり、戦略的に重要であるという点で、認識の一致を見ました。その上で、この共通の認識の下で、今後ハイレベルな形で、具体的な取組を強化をしていくということで合意をいたしました。具体的には4点あります。まず、第一に、防衛当局間で、閣僚級を含むレベルでの協力と意思疎通を強化をしていくということ。第二に、部隊間の協力について、特に、多国間の共同演習や人道支援・災害援助などの分野における連携を強化をしていくということです。第三に、人的交流の強化については、防衛大学校の留学生の受入れ、また、佐官級交流事業を含めて、次世代を担う人材の交流を強化をしていくということです。そして、第四に装備ですね。防衛装備と技術協力を含む両国の海洋安全保障について、防衛実務者間の協議を立ち上げるということで新たに一致をいたしました。以上に加えまして、ASEANを含む枠組での協力の強化そして、東シナ海や南シナ海を含む地域情勢についても、率直な意見交換をしました。本日はこれから、プラボウォ大統領に表敬をすることとなっております。なお、昨日は、プラボウォ大統領がかつて司令官を務めた陸軍戦略予備軍の司令部、そして、輸送任務等を担当する海軍施設、ここを訪問をいたしました。本日の防衛相会談を通じまして、11日に予定をされている首脳会談に向けて、防衛分野における日インドネシア関係の今後の道筋を打ち固めることができたということは、大変大きな意義があったと考えます。今後のことも踏まえまして、今回の防衛相会談や、来る首脳会談の成果を踏まえまして、インドネシアと連携の強化にしっかり取り組んでまいる考えでございます。

2 質疑応答

Q:インドネシアは、ASEANの南端に位置する大国です。南シナ海で中国が軍事活動を活発化させる中、日本の安全保障にとって、インドネシアと防衛協力を深めることの意義をどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。また、インドネシア国軍が、海洋を含めて強化を図ろうとしている中、日本として、防衛装備品移転を通じて協力する考えはありますでしょうか。ある場合、その意義と、今後の進め方についてお聞かせください。

A:まず、防衛協力の意義でありますけれども、先ほど御紹介したとおりですね、私とシャフリィ大臣との間で、マラッカ海峡、スンダ海峡、ロンボク海峡など重要な海上交通路を有しておりますインドネシアと我が国が、防衛分野において関係を強化をしていくことは、両国のみならず、地域全体の平和と安定、繁栄にも寄与するものでありまして、戦略的に重要であるという点で、認識の一致を見たところでございます。その上で、こうした共通認識、そして共通理解の下で、防衛当局の間で閣僚級を含む様々なレベルでの協力と意思疎通を強化をすること、そして、共同訓練や人道支援・災害救援などの部隊間の協力を強化をしていくということ、そして、次世代を担う人材の交流を強化していくことなど、今後、様々な形で具体的な取組を強化をしていくということで一致をいたしました。そして、防衛装備移転を通じて協力をする考え、意義、進め方につきましては、防衛装備移転については、今回の防衛相会談では、防衛装備と技術協力を含む両国の海洋安全保障について、防衛実務者間の対話を立ち上げることで新たに一致したところでありまして、具体的な協力の可能性については、今後、新たに立ち上げられる協議の中で議論をしていくということになります。

Q:インドネシアとの間では、海上自衛隊の護衛艦についてもかつて協議が行われてきました。今回の会談でも、同様の話題が上りましたでしょうか。一致した点や進んだ点ございましたらお願いいたします。

A:会談ではこの点が協議をされました。インドネシアというのは、我が国のシーレーンの要衝を占めるなどですね、戦略的に大変重要な位置にありまして、今回の会談でも一致したとおり、海洋安全保障の分野においては様々な具体的協力を強化をしていくということは、極めて重要であるということであります。そのような観点から、本日の会談においては、シャフリィ大臣との間で幅広い防衛協力・交流について議論を行いました。その中で、防衛装備・技術協力を含む両国の海洋安全保障について、防衛実務者間の対話を立ち上げるということで一致をしました。今後、この協議の中で具体的な協力の可能性について議論をしていくということになろうかと思います。

Q:インドネシアは伝統的に全方位外交を展開しており、日本や欧米に加え中国やロシアとの関係強化も図っています。一方、日本周辺では中ロの軍事活動が活発化しております。地域情勢を巡ってはどのような議論を交わし、認識の一致が見られたのか教えてください。

A:インドネシアは、非常に重要な海峡など、海上交通路におきましては、重要な地域でございます。その地域において、我が国とインドネシアが防衛分野において関係を強化していくことは両国のみならず地域全体の平和と安定、繁栄に寄与するものであるということです。本日の会談では、こうした観点から、力による一方的な現状変更の試みを含め、東シナ海、南シナ海を含む地域情勢について率直な意見交換を行いました。インドネシア側から同国の外交や安全保障についての考え方、インドネシアにおいては、全方位外交と、その原則も含めて、その立場についての説明があったところでございます。その上で、本日の会談では、先ほど紹介した4つの具体的な取組を実施をしていくということで一致したところでありまして、こうした取組をしっかり進めていくことが重要だと考えております。

以上