高炉の脱炭素化を目指す水素シーケンスインパルスプロジェクトが180万ユーロの研究助成金受給【Primetals Technologies, Ltd.】

高炉の脱炭素化を目指す水素シーケンスインパルスプロジェクトが180万ユーロの研究助成金受給

• より一層CO2排出を抑えた製銑の新技術
• 革新的技術「シーケンス インパルス プロセス（SIP）」を推進
• 高炉シャフトへ水素パルスを直接注入
• カーボンニュートラル実現への業界の取り組みを加速

プライメタルズ テクノロジーズ（Primetals Technologies）がパートナーとして参画している製鉄産業の脱炭素化技術を確立する研究プロジェクトが、石炭・鉄鋼分野の研究プロジェクトを支援するEUの資金援助プログラムResearch Fund for Coal and Steel（RFCS）を通じて180万ユーロの研究助成金を取得しました。 このプロジェクトでは、「 シーケンス インパルス プロセス（Sequence Impulse Process: SIP） 」技術を活用し、シャフト経由で高炉に直接水素を注入するプロセスの確立を目指しています。 助成金に加え、各研究パートナーからの拠出もあり、プロジェクトの資金総額は350万ユーロに達しています。

グリーン変革の推進

世界のCO2排出量の7～10％を占める鉄鋼業界は、今後40年間でカーボンニュートラルの達成を目指すことを発表しています。一部のメーカーは、さらに短期間での達成を宣言しています。 低CO2生産ルートはまだ初期段階にあり、今後数年間は高炉ルートでの製鉄が主流となると予想されます。 したがって、高炉におけるCO2排出量削減技術の確立が急務となっています。

水素を利用した還元は、脱炭素化を支援するソリューションとして注目されています。 この技術は、高炉からの排出量を最大20％削減します。 しかし、羽口から注入する場合、大きな課題があります。 この研究では、既にドイツのティッセンクルップ スチール ヨーロッパのシュヴァルガン（Schwelgern）製鉄所にある大型高炉で採用され、実績のあるSIP技術を基盤に、水素の高炉シャフトへのパルス注入のシミュレーションを行います。

業界をリードするコンソーシアム

このプロジェクトは2028年に終了する予定で、製銑・製鋼部門における欧州の主要企業がコンソーシアムを組み、コンセプトを実験室から産業規模の実証へと発展させるものです。 主要技術はティッセンクルップAT.PRO tec GmbH （thyssenkrupp AT.PRO tec GmbH）が設計・提供し、高炉への統合設計とフルスケールの経済性評価はプライメタルズ テクノロジーズが行います。分析とモデリングは、プロジェクトコーディネーターでもあるVDEhドイツ鉄鋼協会鉄鋼研究所（VDEh-Betriebsforschungsinstitut）とK1-MET GmbHの研究所が担当します。ティッセンクルップスチールヨーロッパは、世界有数の鉄鋼・技術グループであるフェストアルピーネ（voestalpine）とコンソーシアムを構成し、オーストリア、リンツ製鉄所で稼働中の高炉で実施される、炉内でのガスの流れのシミュレーションを実証するヘリウム注入トライアルプロセスのホストとして、産業規模の実験用試作設備製作と原料装入装置を提供します。

RFCS－石炭・鉄鋼分野の研究プロジェクトを支援するEUの資金援助プログラム

RFCSは、石炭・鉄鋼分野の研究プロジェクトを支援するEUによる資金援助プログラムです。 毎年約5,500万ユーロがプロジェクト資金として、大学、研究センター、民間企業に支給されています。 支給対象は、2030年までにほぼ炭素ゼロの製鉄を目指す、大規模なクリーン製鉄研究と技術革新の画期的なプロジェクトです。

環境に一層優しいソリューションへの資金提供

プライメタルズ テクノロジーズは、水素ベース製鉄技術の他にも、 金属・鉄鋼産業における環境革新のマーケットリーダーとして数々のプロジェクトに取り組んでおり、資金を受給しています。

ティッセンクルップ スチール ヨーロッパのシュヴァルガン第1高炉に設置された酸素SIP

プライメタルズ テクノロジーズが参画する、シャフト経由で高炉に水素を注入するSIP技術開発プロジェクトが研究助成金を受給

シャフトに水素を注入するSIP技術を導入した高炉