高分子・電池材料、ナノ素材などの観察・評価で新規開発に貢献従来比10倍高速の走査型プローブ顕微鏡「SPM-9700HT Plus」を発売

2025/01/14  株式会社 島津製作所 

報道関係の皆様からのお問い合わせはこちら

掲載されている内容はすべて発表日当時のものです。その後予告なしに変更されることがありますのであらかじめご了承ください。

2025年1月14日 | プレスリリース 高分子・電池材料、ナノ素材などの観察・評価で新規開発に貢献
従来比10倍高速の走査型プローブ顕微鏡「SPM-9700HT Plus」を発売

Tweet

Share

「SPM-9700HT Plus」(本体のみ)

島津製作所は、1月14日に走査型プローブ顕微鏡「SPM-9700HT Plus」を国内外で発売いたします。本製品は、当社の従来機種と比べて10分の1の時間で局所的な物性情報を取得できます。操作性と効率性を兼ね備えた走査型プローブ顕微鏡(SPM=Scanning Probe Microscope)の汎用モデルとして、ナノ材料の評価・研究に貢献します。

走査型プローブ顕微鏡は、先端が10nm(ナノメートル)程度の探針(プローブ)を試料に近づけて、試料と探針間の力学的・電磁気的な相互作用力を検出しながら走査し、試料表面の三次元形状や物性情報を取得します。原子間力顕微鏡(AFM=Atomic Force Microscope)とも呼ばれます。電子線を使う電子顕微鏡は真空中での観察が必要ですが、SPMは大気や溶液中の観察・測定ができます。高分子材料や電池材料、生体などの形状観察や物性評価といった用途で、ナノテクノロジー・ナノサイエンスの研究に必須の手法として利用されています。

本製品は、信号処理速度の向上と制御方法の最適化で、物性画像取得速度の高速化を実現しました。従来機種では6時間程度かかっていた物性観察結果のマッピング画像が、専用ソフトウェア「ナノ3DマッピングFast」(オプション)を利用することで30分以下で取得できます。また、観察条件を自動で設定して安定的な画像取得を支援する「NanoAssist」機能をソフトウェアに搭載しました。スピーディーに試料を交換できる「ヘッドスライドメカニズム」、消耗品である探針の取り付けが容易な「カンチレバーマスター」(オプション)など操作性を高める機構も備えています。

島津製作所は本製品を通じて、ナノテクノロジー・ナノサイエンスの革新を支援します。測定時間の短縮と作業効率の向上によって、当社の重点領域であるヘルスケアやGX分野の研究の進展に貢献していきます。

新製品の特長

1. 測定時間を10分の1に短縮

局所的な弾性率や吸着力などの物性を測定して、その分布を画像化する専用ソフトウェア「ナノ3DマッピングFast」(オプション)が、当社従来機種と比べて10倍の高速観察を実現します。制御系と駆動部の改良により、性能をそのままに作業時間を10分の1に短縮して、研究開発の効率化に貢献いたします。

2. 観察条件を自動設定

ソフトウェアに、観察条件(パラメータ)を自動で設定する「NanoAssist」機能を搭載しました。観察範囲を指定するだけで、条件を設定できます。操作に慣れていないユーザーでも安定的な画像取得が可能です。

3. ベストセラー機種「SPM-9700HT」のユーザビリティを継承

従来機種「SPM-9700HT」において好評いただいている、簡単かつ確実な消耗品交換を可能にする「カンチレバーマスター」と、一度設定すれば試料交換ごとの再調整が不要な「ヘッドスライドメカニズム」を、本機種も搭載しました。従来機種のユーザビリティを継承しています。

希望販売価格 1650万円~(税抜き)
販売目標 2025年度に国内外合わせて30台

「SPM-9700HT Plus」(制御部およびPC込み)

詳しい製品説明についてはこちら

    他の画像

    関連業界