歴史的風致維持向上計画(第2期及び第3期)の認定について

2025/03/18  農林水産省  

プレスリリース

歴史的風致維持向上計画(第2期及び第3期)の認定について

令和7年3月18日
農林水産省
文部科学省
国土交通省

高山市の歴史まちづくり計画(第3期)及び国見町、奈良市の歴史まちづくり計画(第2期)について、歴史まちづくり法に基づき、3月21日付けで主務大臣(農林水産大臣、文部科学大臣及び国土交通大臣)が認定します。
今回の認定により、歴史まちづくり計画認定98 都市のうち、第2期計画を完了し、第3期計画の認定を受けた都市が初めて誕生します。また、第1期計画を完了し、第2期計画の認定を受けた都市は44 都市となります。

1.歴史まちづくり計画の概要

岐(ぎ)阜(ふ)県(けん)高山(たかやま)市(し

(1) 第2期計画の取組による成果

高山市では、平成30年度から令和6年度(7年間)を計画期間とする歴史的風致維持向上計画(第2期)により、以下のような成果をあげています。

  • 歴史的建造物活用整備事業として、長らく空き家となっていた2軒の町家について、取得、改修し、地域の活動拠点として新たな活用を開始。(若者等活動事務所「村(むら)半(はん)」、飛騨高山にぎわい交流館「大(だい)政(まさ)」)
  • 無電柱化等整備事業として、景観を阻害している電線等を地中化するとともに、景観に配慮した道路整備を行うことで良好な景観と安全な歩行空間を確保。


飛騨高山にぎわい交流館「大政」

無電柱化整備路線(上一之町花里線)

(2) 第3期計画の概要

高山市では、現在も江戸時代の面影を残す貴重な建造物が数多く保存され、高山祭 をはじめとする伝統行事、一(いち)位(い)一刀(いっとう)彫(ぼり)や飛(ひ)騨(だ)春慶(しゅんけい)などの伝統工芸、さらには、歴史街道沿いの農山村集落においても独自の伝統文化が連綿と継承されており、周辺市街地と一体となって高山市固有の歴史的風致を形成しています。
第3期計画では、歴史的建造物の保存・活用や無電柱化等による歴史的景観の再生などを実施するとともに、市域全体においても日本遺産や農山村集落の歴史文化資産を活用した事業等を実施し、歴史的風致の活用による地域活性化を図ります。
また、居住者の減少・少子高齢化の進展を背景に、祭礼行事などの伝統文化等の担い手育成・確保に資する事業などを推進し、歴史的風致の維持向上を図ります。


重要無形民俗文化財「高山祭の屋台行事」

伝統工芸品「飛騨春慶」

福ふく島しま)県(けん)国(くに)見(み)町(まち

(1)第1期計画の取組による成果

国見町では、平成27年度から令和6年度(10年間)を計画期間とする第1期歴史まちづくり計画により、以下のような成果をあげています。

  • 道の駅、文化財センター、歴史公園の整備を行い、各施設が周遊の拠点となり相乗的な効果によって、交流人口が大幅に増加しました。

  • 歴史文化遺産の調査にもとづき、歴史文化基本構想の策定と文化財の新たな指定・登録が進み、文化財の保護・継承につながっています。

  • 歴史的風致・民俗芸能の継承と案内ガイドや文化財活用事業が、住民主体・協働により展開され、歴史まちづくりが大きく進展しました。


歴史公園(あつかし千年公園)
史跡と蓮池の一体的整備、地元団体による運営

子供たちに神楽を教える
内谷春日神社太々神楽保存会の取組

(2)第2期計画の概要

国見町には、文治5年(1189)、藤原泰衡が源頼朝の率いる鎌倉軍を迎え撃つために築いた国史跡「阿(あ)津(つ)賀(か)志(し)山(やま)防(ぼう)塁(るい)」や旧宿場町・農村集落の町並みの中で、顕彰や信仰・民俗芸能と人々の営みが残り、地域固有の歴史的風致が形成されています。
第2期計画では、引き続き阿津賀志山防塁と歴史的建造物及び周辺環境の保存・活用に向けた取組を進めるとともに、地域の民俗芸能の継承に対する支援の充実を図り、歴史的風致の維持向上を推進します。また、第1期計画の成果である住民による活動をさらに伸ばし、本町の魅力を発信するために、情報発信と人材育成・住民協働の取組を深めることで、自らの地域に誇りを感じる町民協働の歴史まちづくりを発展させます。


国史跡「阿津賀志山防塁」
案内活動による顕彰がつづけられる

鹿島神社の例大祭
神輿と山車がぶつかり合う「もみあい」

奈な良ら)県(けん)奈良(なら)市(し

(1)第1期計画の取組による成果

奈良市では、平成27年度から令和6年度(10年間)を計画期間とする第1期歴史まちづくり計画により、以下のような成果をあげています。

  • 文化財の調査に取り組み、建造物の3件が市指定文化財、45件が登録有形文化財になったほか、多数の歴史的風致形成建造物等の修理・修景事業を実施したことなどにより、歴史的な建造物の保存と景観づくりを推進できました。

  • 重点区域で、改修した町家や駅舎などを市民や観光客が訪れる施設として活かすとともに、それらを拠点としてまちづくり団体等の活動や多様な主体による各種イベントが活発に行われることで、地域の活性化につながりました。


観光や文化発信の拠点として活かされている、奈良町にぎわいの家(登録有形文化財)

改修して地域活性化の拠点となった、奈良市京(終駅観光案内所(歴史的風致形成建造物)

(2)第2期計画の概要

奈良市では、古代の平城京と大社寺がつくりだした空間がその後の都市の基盤となり、歴史的建造物と自然環境とが一体となった歴史的風土と、各時代の特徴を反映した多様な活動により、風格と魅力のある歴史的風致が形成されています。
第2期計画では、引き続き、文化財調査、歴史的風致形成建造物等の修理・修景、景観保全のための景観規制誘導などに取り組みます。さらに、多様な主体との連携により各種事業を展開し、伝統・文化を守り活かす機運を醸成して、奈良の歴史的風致の維持向上を図るとともに、その価値や魅力を共有・発信することで活気あるまちづくりや観光振興にもつなげてまいります。


重要無形民俗文化財「奈()良()豆()比()古()神社の翁(舞(」

多主体連携で歴史的建造物の特別公開等のイベントを行う、奈良町見知ル開催事業

2.歴史まちづくり法とは

全国各地には、城や神社仏閣とその周辺の町家や武家屋敷等から成る市街地と、祭礼行事、民俗芸能、昔ながらの生業等の人々の伝統的な営みや活動とが一体となって、地域の個性とも言える歴史的な情緒や風情を醸し出すまちが多くあります。
歴史まちづくり法では、これらを地域固有の資産として捉え、ハード・ソフト両面の取組により維持向上を図り、地域の活性化や歴史・伝統文化の保存・継承を支援しています。

お問合せ先

農林水産省農村振興局農村政策部農村計画課
担当者:稲生、風戸
代表:03-3502-8111(内線5534)
ダイヤルイン:03-3502-6004

文化庁文化資源活用課
担当者:池野、才木、蔵楽、奥野
代表:075-451-4111(内線9651、9668)
ダイヤルイン:075-451-9668

国土交通省都市局公園緑地・景観課景観・歴史文化環境整備室
担当者:宇川、國吉
代表:03-5253-8111(内線32983、32986)
ダイヤルイン:03-5253-8954

関連業界

S