国債補完供給の利用状況からみた国債市場の機能度
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2025年3月21日
金融市場局 井出穣治、高橋優豊、増田朋晃
要旨
日本銀行では、国債市場の流動性向上と円滑な市場機能の維持に貢献する観点から、国債補完供給制度(SLF)のもとで、市場参加者に国債を一時的・補完的に供給している。SLFの利用は、イールドカーブ・コントロール撤廃を見込んだ国債の売り圧力と、それを受けた日本銀行の大規模買入れから国債市場の流動性が大きく低下した2023年初に急増し、その後も高止まりの状況が続いたが、2024年半ば以降は減少している。利用額減少の背景としては、投資家のポジション動向の変化に加え、日本銀行の国債買入れ減少やレポレートの安定により、国債の現物・先物市場やレポ市場の機能度が幾分改善していることが指摘できる。もっとも、10年既発債を中心に、日本銀行の国債保有比率が極めて高い銘柄が残存する中、SLFは引き続き国債市場の流動性を下支えする役割を果たしている。日本銀行としては、今後も、SLFの利用状況に映し出される国債市場の機能度について、丁寧にフォローしていく。
日本銀行から
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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