第82回 財務省政策評価懇談会(3月12日開催)議事録

2025/04/30  財務省 

第82回 財務省政策評価懇談会(3月12日開催)議事録

1日時令和7年3月12日(水)13:28~15:02

2場所財務省第3特別会議室及びWEB会議

3出席者

懇談会メンバー
(懇談会メンバー)

秋池玲子

ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表

秋山咲恵

株式会社サキコーポレーション ファウンダー

伊藤元重

東京大学 名誉教授

江川雅子

成蹊学園 学園長

翁 百合 株式会社日本総合研究所 理事長

田中直毅

国際公共政策研究センター 理事長

田辺 国昭

東京大学大学院法学政治学研究科 教授

広瀬道明

東京ガス株式会社 相談役

山本清

東京大学名誉教授、
一般社団法人青山公会計公監査研究機構 主任研究員

座長吉野直行

慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター顧問、
東京都立大学経済経営学部 特任教授

(敬称略、五十音順)

(財務省)

新川事務次官、坂本官房長、寺岡総括審議官、中山主計局次長、青木主税局長、高村関税局長、窪田理財局長、土谷国際局長、小宮財務総合政策研究所長

(国税庁)

奥国税庁長官、中村国税庁審議官、松代監督評価官室長

(事務局)

渡邊政策立案総括審議官、佐藤政策評価室長

4議題

(1)令和7年度財務省政策評価実施計画等(案)について

(2)令和7年度予算編成等における政策評価の活用状況について

5議事録

○吉野座長
それでは、時間よりちょっと早いんですけれども、皆様おそろいということですので、ただいまから第82回の財務省政策評価懇談会を開催させていただきます。
今回も、前回と同様に対面とオンライン併用のハイブリッド形式とさせていただきます。オンラインの方々で音声が聞こえなくなるなどトラブルがございましたら、事務局まで御連絡いただきたいと思います。
なお、主計局次長は国会の関係で遅れての参加となることですので、回答についても後程調整させていただく予定でございます。
それでは、今日の主な議題であります、こちらに示しております議題(1)と(2)、1番目は令和7年度の財務省政策評価実施計画等の案について、それから、2番目が令和7年度予算編成等における政策評価の活用状況につきまして議論していただきたいと思います。
まず、令和7年度の財務省の政策評価実施計画等の案につきまして、渡邊政策立案総括審議官から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○渡邊政策立案総括審議官
それでは、資料1「令和7年度財務省政策評価実施計画等(案)について」に沿いまして概要を御説明いたします。資料右下に通しで番号を付してございます。
まず、4ページでございます。財務省の政策評価の基本的枠組みということでございます。財務省の政策評価実施計画は、政府全体の政策評価法等及び計画期間を5年間とする財務省の政策評価基本計画に基づきまして、毎年度、外部有識者の御意見を踏まえつつ作成することとなってございます。
具体的には、財務省の主要な政策分野全てを対象として、目標ごとに事前分析表を作成いたしまして、実績評価方式により政策評価を実施してございます。実施計画の策定に当たりましては、外部有識者の方々の御意見を踏まえ、3月末までに公表することとしております。
続きまして、5ページでございます。令和7年度の政策目標の体系図となります。その基本的体系に変更はなく、直近の施政方針演説等を踏まえた変更を行っておりまして、変更箇所には下線を付してございます。御覧ください。
続きまして、6ページでございます。先ほど御説明いたしました施政方針演説等を踏まえた変更のほかに、今回、令和5年3月に政策評価に関する基本方針というものが改正されまして、行政事業レビュー等の評価関連情報を集約することで評価書等の充実を図り、意思決定過程における活用を推進するとされたことから、政策評価と行政事業レビューの対応関係を、別冊の令和7年度財務省政策評価実施計画及び政策評価の事前分析表がございますが、この中の資料5として一覧表の形で整理するとともに、行政事業レビューの指標のうち、政策評価の施策に関連の深い14の指標を参考指標に追加してございます。
加えまして、事前分析表と評価書の様式がこれまで別であったため、評価書作成時に重複項目を転記する作業が生じてございました。今後、様式を統合することで、情報量を落とすことなく作業の効率化を図っております。
続いて、7ページでございます。総合目標は、財務省として当面取り組んでいる大きな課題を国民に示すものとされておりまして、特定の年度において執行する事務処理的なものではなく、内閣の基本的方針などを踏まえまして、数年程度の中期かつ大局的な視点で財務省として取り組む大きなテーマを内容とするものでございます。総合目標1、2、6におきまして、骨太の方針や施政方針演説等を踏まえた文言への変更を行ってございます。
続きまして、8ページでございます。こちらでは、政策目標及び施策についての主な変更点について取り上げてございます。こちらに記載しておりますとおり、政策目標や施策についても、施政方針演説等を踏まえた文言への変更をはじめ、取り巻く環境や情勢の変化に対応した取組などを盛り込んでございます。
次の9ページでございます。こちらは測定指標の変更についてでございます。令和7年度における税関手続におきまして、測定指標の廃止や参考指標への変更を行う項目が合計で4点ございます。
まず、測定指標5-3-2-A-1でございます。これは、不正薬物の水際押収量の割合、国内全体での不正薬物取締りにおける税関の貢献度を図る目的として使用されてきた測定指標でございます。これまで一定の説明力を持つものと考えてございましたけれども、分母である不正薬物の国内全押収量と分子である税関の水際押収量につきましてそれぞれ異なる計上方法を用いていたことから、測定指標としての正確性、適切性について疑義が生じたため、検討を行った結果、当該指標を廃止することといたしました。なお、この施策につきましては、定量的な測定指標はなくなりますが、定性的な測定指標や社会悪物品の摘発実績など参考指標を活用することで、この施策の効果を図ることは可能と考えてございます。
続きまして、測定指標5-3-3-A-1です。この指標は、貿易額に占めるAEO事業者の割合を測定指標にすることで、国際物流全体のセキュリティ向上と円滑化にどの程度の貢献をもたらしているか、的確に把握することを目的として使用してきたものでございます。今回改めて検証したところ、輸出入総額は外部要因である為替や経済情勢などによって大きく変動することなど、評価期間中のAEO事業者の新規承認数よりも輸出入額によって結果が大きく左右されることとなっていることがございまして、定量的な測定指標としての適切性について再検討をした結果、その位置づけを見直すことといたしまして、今後はこの指標を参考指標として活用しながら評価することといたします。今回の参考指標への変更に伴いまして、指標の名称も変更してございます。
続きまして、5-3-4-A-1と5-3-4-B-1でございます。こちらは、税関手続システムの機能拡充及び利用者利便向上についての測定指標でございます。上段のシステム処理率につきましては、目標値である99.9%を達成し続けているということがございまして、指標としての役割を終えていると考えまして、今後は参考指標として継続的に状況を把握していくことといたしました。
なお、この変更に伴いまして、下段の定性的な指標、NACCSセンターの監督というものを主要な指標へ変更するとともに、目標の内容に5-3-4-A-1を取り込む形で文言を修正してございます。
続きまして、11ページでございます。こちらは、財務省におけるデジタル化の取組一覧というものでございますけれども、事前分析表に記載されている財務省の政策・施策におけるデジタル化への取組一覧となります。財務省は、政府全体の方針、財務省中期計画等を踏まえて、行政サービスの利用者等の利便性向上と行政事務の効率化の観点から、行政手続のオンライン化の取組を積極的に進めてきてございます。
続きまして、13ページでございます。これは参考として、財務省における働き方改革・業務改善(デジタル化の推進)というものでございます。こちらには、政策評価法上の政策評価の対象となっていない内部管理事務におけるデジタル化の推進について記載してございます。こちらは昨年の第80回政策評価懇談会におきまして、財務省の業務手続、あるいは業務そのもののオンライン化の状況についていただいた御意見を踏まえまして作成した資料でございます。
財務省の情報通信基盤であります行政情報化LANシステムの更改時に新たな機能追加を行い、ここに記載がありますとおり、クラウドや各種デジタルツールを積極的に活用しつつ業務効率化を進めてございまして、さらにペーパーレス化も促進してございます。
業務改善につきましては、財務省、国税庁では毎年、カイゼン活動として各ラインが自らの働き方や業務を見直して、必要な改善案を策定し実行しておりまして、そのうち優れたものを表彰してございます。この資料掲載の取組は、この活動から得られたものが多く、引き続き若手や現場の職員の提案を生かしながら、組織全体でデジタル技術を活用して業務が効率化していく職場となるよう、一層取り組んでまいります。
次の14ページは、過去5年間における測定指標の推移でございます。先ほど御説明しましたとおり、税関手続におきまして、定量的測定指標がマイナス2となっておりまして、合計も昨年度の143指標から141指標へマイナス2となってございます。
以上が資料1でございます。
資料2につきましては、予算編成等における政策評価の活用ということで用意しているもので、御参考として資料の配付にとどめさせていただきます。
以上、私からの説明でございます。よろしくお願いいたします。

○吉野座長
御説明、どうもありがとうございました。
それでは、委員の方々からいつものように御意見を伺いたいと思います。
最初は、対面で御出席されておられます田中委員、広瀬委員にお願いして、それからオンラインであいうえお順に御指名させていただきたいと思いますので、御発言になりましたらマイクをオンにしていただき、あるいはミュートボタンを解除して御発言いただきたいと思います。時間の関係でお一人当たり5分以内で御意見をいただければと思います。
それでは、会場の田中委員からお願いいたします。

○田中委員
どうもありがとうございます。関税局に少し意見を聞きたいことがあります。我々は、財務省の在り方、また行政手続について、国民的視点に立って、また納税者の視点に立ってどうあるべきかというレビューをずっと続けてきています。これ自身、もちろん重要なことなんですが、昨今の国際情勢に鑑みますと、例えばトランプ2.0の下でいろいろな思わざる展開になっています。その中で合成麻薬が排除できているかどうかという論点に関わって、カナダとメキシコに対して大変な関税をかけるという議論に今なっています。これは我々と無関係なのかというと、決してそうは思いません。
NAFTAができたときに、メキシコの知識人がどのくらいこのNAFTAで自分たちの意欲を高めたか、米国と同じ基盤に立って経済活動ができるということが、自分たちの明日を考える上でこれほど刺激になることはないと受け止めました。要するに、今までは何となくアメリカで国際会議をやっても、メキシコの人は「ランクが我々は少し低いな」という感じで、その知識量とか見識とは全く無関係に彼らは控えめだった。しかし、NAFTA結成以降、彼らの目覚ましい貢献と言いますか、会議における発言を見ていて、NAFTAというのはすごく良い効果を持ったなと思いました。
現在はUSMCAということなのですが、中国に発すると言われる合成麻薬の材料をちゃんと排除していないのではないかということから始まるこの嫌疑に対してどう対処するか我々日本から、日本にもこの関税の話は振りかかっていますけれども、もともとは北米自由貿易協定に関わるカナダ、メキシコに対してでさえ、こういう扱いをしているということです。これに対して我々が黙っているということはないと思っています。特に関税局の皆さんは、ドメイン・ノレッジ(Domain knowledge)、自分たちの仕事を通じていろんな知識や経験をお持ちですから、それを通じて、例えばカナダ、あるいはメキシコの当局者との間でこういう問題を議論することは非常に重要じゃないかと思います。
今の国際情勢の中では、日米緊密な連帯が必要です。特にアジアをめぐる情勢からいくとこれは当たり前です。我が内閣もアメリカとの緊密な関係を前提としています。したがいまして、我が内閣が改めてカナダとメキシコ、日本と3者の間で何かを協力してやるというのは、なかなかそんな簡単な話ではないことは分かります。
しかし、Trans Pacific Partnership(TPP)について言うと、いろんな経緯がありましたけど、アメリカは外で座敷の中に入ってきていません。しかし、カナダ、メキシコ、日本は、TPPの中で大きな役割を負っていますので、そのドメイン・ノレッジに関わって、カナダ、メキシコの当局者との間で、合成麻薬の話を国境で排除するのは、一体何をどうすれば、あるいはアメリカに対してどういう共通のアプローチがあるのかという議論をすることは、私は極めて重要だと思います。
しかも、TPPのフレームワークを使えば、我が内閣がアメリカとの間で、日本は事を荒立てて北米自由貿易協定に手を突っ込んで何か言おうとしているのかという猜疑心を彼らに持たせることはありませんので、私はこれは出番だと思っています。
財務省の政策評価懇談会は、20年ほど前につくった枠組みに従って各役所と同様、いろんなチェックをしています。それはそれで良いのですが、今、国民の目線からいくと、財務省に関わって専門的な知識、あるいは経験値というものを持っていて、国際社会、国際経済秩序が大きく揺らごうとするときに、日本はどういう球を打つんですか、役所にドメイン・ノレッジは何もないんですかという言い方をするかどうかはともかく、何か貢献してくれよと。知恵もあるだろう、経験値も積み重なっているではないかということがあると思います。
私は、タリフマンならぬタリフパーソンズでこのベースをつくって、無用な摩擦要因は知識のところでチェックをする。そのための役割は求められていると思います。関税局だけじゃないけれども、関税局が中心になり、国際社会に対する呼びかけをすることは、国民にとっての財務省評価に大きく関わってくると思いますので、少し御意見をいただければと思います。
以上です。

○吉野座長
田中委員、ありがとうございました。
引き続きまして、対面で御参加の広瀬委員、お願いいたします。

○広瀬委員
ありがとうございます。まず今回、幾つか目標項目の変更がありましたけれども、この評価制度の意義、それから目的からすれば当然というか、むしろ歓迎すべきことではないかなと。この評価制度というのは、結果の評価もさることながら、私は、半分以上の目的は、目標設定の段階でそれぞれどういう意味があるのか、どういうふうに軽重をつけるのか、あるいはどういう優先順位をつけるのかといったことを検討、議論するということに非常に意味があるのではないかなと。たくさんあるわけですけれども、それをどういうふうに厳選してこういう体系にしていくかという意味では、当然のことながら、時代時代に合わせて変更があるべきではないか。実際にはなかなか難しいと思うんですけれども、そういう面では歓迎したいと思います。
本論に入りますけれども、今、世界というか、日本は本当に激しい変化にさらされているわけですけれども、我々は、こういうときによく不透明・不確実な時代と、こういうふうな言い方をするんですけれども、今の変化は、そういう表現を超えてお先真っ暗というか、一寸先は闇というか、出口の見えないトンネルに入っちゃったというか、大変今大きな変化がある。その変化の影響を最も受けるのは財政というか、歳入と歳出面でいろいろな影響があるんじゃないかなと。
特に今回、今お話もありましたけど、トランプ政権、タリフで関税がかかると当然のことながら景気が冷えて、株価はもう落ちていますけれども、法人税、消費税、所得税等々の縮小ということにならなければ良いなと思いますし、それから、支出面では何といっても防衛費ですね。そういったことで、トランプさんの影響がこれからどういうふうな財政に影響があるのかというのは、一般の国民も非常に心配しているところではないかなと思います。
それから、何といっても、今の国内的な少数与党による国会運営の難しさというのを改めて多くの方が感じているのではないかなと思っています。良いところは、これまでは国会に提出されるまでが公式戦で、その後は消化試合のような感じがあったんですけれども、その公式戦があまりよく見えなかった。今回は提出されるまでがオープン戦で、提出されてから公式戦と。この公式戦が良く見えるようにはなったんですけれども、一方で、良く見えるものですから、どうしてもパフォーマンス的になるというか、特にキャスティングボートを握っているところが看板政策といったものをどうしても通す。そうなると、当然のことながら予算が総花的に膨らんでいく、こういう危険性が改めてあるんじゃないかなということをすごく危惧しております。今回は初めてですからしようがないと思うんですけれども、こういう状態がもし続くようであれば、例えば国会に提出する前に、与野党で総額ぐらいは、規模ぐらいは合意していくとか、そのようなことも必要になるのではないかなと思います。
一方で、そういう提案に対して、財源をどうするんだという議論が出てくるようになったというのは非常によかったかなと。それから、予算に絡むいろんな制度、言葉が出てきて、例えば暫定予算とか、あるいは予算修正、予算修正も減額修正。本来、増額修正なのかと思ったら、結果的には減額修正と。これは予備費的なものだと思いますけれども、それから、税と年金の関係とか、壁とか、崖とか、いずれにしても、今、いろいろ収拾がつかなくなっておりますけれども、国民、特に若い人がそういうところに関心が出てきたというふうな面もあったのではないかなと。
いずれにしても、よく政局よりも政策と言いますけれども、政治の世界は政局になるのはやむを得ないのではないか。それがまさに国民の声、民主主義だといえばそういうことになるわけなので、そういう意味で、財政当局、特に財務省の役割は大変重要になってきているんじゃないか。今回の一連の動きで改めて財務省の存在というか、ぜひこれからしたたかに、しなやかにやっていただければ良いのではないかなと思います。
各論で一、二点ちょっと申し上げたいと思います。1点目は、PBの黒字化です。2025年度に実現するというふうに見られていたんですけど、残念ながら総裁選等の影響もあって、2026年度以降に先送りになったわけですけれども、ぜひ2026年度は実現していただきたいと思います。
それから最後に、各論で、実は今、田中委員からもお話があったんですけれども、不正薬物の取締りについてでございます。今回、目標として、分子と分母の整合が取れないので廃止するというのは制度として理解しておりますけれども、私は、この水際対策というのは非常に大事だなというふうに思っております。日本がこれだけ安全・安心な国でインバウンドがこれだけ増えているのは、円安の影響ももちろんありますけれども、一番大きな理由は、やっぱり日本は安全・安心だということだと思うんですね。その安全・安心のもとというのが、日本は拳銃と薬物の規制が強い、入れないということが非常に大きな要因になっているのではないかなと思っております。
まさにトランプさんが、メキシコ、カナダの関税を麻薬・薬物を理由にしてやっているというぐらい影響が大きいというのが改めて分かったんですけれども、先日テレビで、たしか横浜だったと思うんですけれども、大量の密輸を摘発したというニュースがありまして、私は見ていて、日本はこういうのを入れるのは非常に厳しいんだぞということを改めて、そういう人たちと言うとおかしいんですけれども、それを今回証明してくれたということで、非常にありがたかったなと。制度は少し変わりますけれども、そういう方たちの日頃の努力というか、なかなか目立たない仕事なんですけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。
以上でございます。

○吉野座長
広瀬委員、ありがとうございました。
それでは、オンラインの委員の方々にあいうえお順でお願いしたいと思います。
最初は、秋池委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○秋池委員
お願いいたします。全体の評価、また確認された事項について異論ございません。
内容についてですけれども、作業効率化の取組が評価そのものについても行われた。長いこと行われていたものではありますけれども、かなりの業務量であるということは都度都度承っておりましたので、情報量を減らさずに効率化ができたということはよかったと思っています。
それから、御紹介いただいたデジタル化による働き方改革ができたことも、そうやって働き方が改善したり、また、そこで生み出された時間がより人間がやるべき高度な仕事に使われたりしているというような状況ができていくように、継続的な取組が行われるのは大変よいことだと思っております。
最後ですけれども、7ページなどにもありますが、総合目標というのは、御説明にもあったとおり、長期に取り組むものとして設定されているものですので、例えば財政について「取組の進捗・成果を後戻りさせることなく」というのが加わるのはよいことだと思うのですが、世界的にも政治が難しい時代になってきているということであったり、日本も様々な議論があったりするという情勢の中で、毎回何か新しい文言を付け加えることがよいのかというのは、慎重な議論も必要かと思いました。
例えば今年、「今回の骨太の方針」という言葉が入るわけですけれども、骨太の方針自体がどういうものに変わっていくかということは予見できない部分も将来に向けてはないとは言えないわけですので、こういった辺り、変えることと変えないでおいておくことというものについて都度慎重な議論があるとよいかと思いました。今年の分につきましてはこれでよろしいかと思いますが、今後に向けてそのようなことも御検討いただければと思います。
財務省は、どうしてもいろいろ大変なことをお引き受けする省であるということもありまして、本当に皆様を含め、各職員の皆様もお仕事が大変だと思うんですけれども、ぜひ変わらずお取り組みいただければと思います。
以上でございます。

○吉野座長
どうもありがとうございます。
続きまして、秋山委員、お願いいたします。

○秋山委員
秋山でございます。既に御発言の中に私が申し上げたいと思っていたことが幾つもありましたので、重複しない部分だけ追加でお話をさせていただきます。
全体として毎回思うのですが、日々の業務、あるいは毎年毎年のこういった業務を大変真摯に取り組んでいただいているということは、この会議に参加するたび、御報告を受けるたびに感じているところです。逆に、政策を評価する立場でこういう会議に参加してそのように感じているからこそ、昨今の政治状況の変化によって引き起こされている財務省に対する国民の批判の矢面に立たされている状況をどういうふうに受け止めたら良いのかという問題意識を個人的に持っております。
もちろん国民の声を聞くというのは、政治家の皆さんにまず第一義的にしっかり持っていただきたいとは思うのですが、選挙を前提にした政治家にしかできない、あるいは、政治家だからこそ限界があるものとは違った行政としての国民の声をしっかり、あるいは政策をしっかり伝えて、国民の声もしっかり受け止めるという、最近は広報という言い方から広く聴くという意味の広聴という考え方が出てきているようですけれども、こういったものが改めて必要な時代に入っているのではないのかと思います。
とりわけ、いろいろな物事の枠組みがつくられた時代と、今、国民が置かれている状況はかなり変化も大きいと思いますし、特にワーキングプア層と呼ばれている国民の負担感が増えている問題だとか、あるいは次世代の若い人たちの見方、考え方が変化している状況だとか、こういったものも含めて広く国民の声を聞くことによって、財務省としてもよりよい具体的な政策立案のために役立てていただけるような機能の充実ということも必要なのではないのかと思っている次第です。
以上です。

○吉野座長
どうもありがとうございます。
それでは、伊藤委員、お願いいたします。

○伊藤委員
どうも、伊藤でございます。
いつも申し上げているんですけれども、非常に丁寧に検討されて今回のこれが出てきたものですから、特にそれについては異論はございません。ただ、政策目標、特に総合目標みたいなところというのは、先ほどからお話に出ているように中長期の流れの中で大きく捉えるということであって、そういう点で見たときに、例えば財政の総合目標の1のところで、「プライマリーバランス黒字化を目指すとともに、その取組の進捗・成果を後戻りさせることなく」、この表現はほかから来たので別にこれに異論はないですけども、プライマリーバランスを黒字化するとはどういうことなんだろうかということを考えると、デフレの状況でやったことと、インフレに移行しつつある中でやれることの間は大きな違いがあるわけですよね。
もうちょっと別の言い方をすると、財政運営というのは、その時々の経済環境の変化によって、何をやるべきなのかとか、どこまでやれるのかということが違ってくるわけで、気になっているのは、デフレからインフレに少し動きが変わりつつある中で、当然財政運営のやり方みたいなものは違ってくるんですけど、その場合にプライマリーバランスのことをどう考えたら良いのかとか、あるいは債務とGDPの関係をどう考えたら良いかということについて、もし何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。
総合目標の2のところでも、「デフレからの完全脱却と経済の新たなステージへの移行を実現するとの基本的な考え方の下」、まさにこのとおりなんですけども、今の時点でデフレ対策ということにどこまで大きくウエートを置くのか。むしろデフレ脱却の次のステージのところが大きな問題になってくるのか。
申し上げたかったことはどういうことかというと、一般論で申し訳ありませんけれども、デフレに比べてインフレのほうが一般的には財政運営に対してフォローの風が吹くはずなんですよね。ですから、先ほどから話題になっているように、2025年度のプライマリーバランスも黒字になるかもしれないという期待感もあったわけで、そういうフォローの風の中で、そのフォローをどう生かしていくのかということが非常に重要な話になっているわけで、政府の債務に関しても、名目金利と名目GDPにも関係しますから、あまり簡単な話はできませんけれども、一般論としてみたら、債務残高対GDP比率を下げる非常にいいチャンスであるわけで、そういう意味で、環境の変化みたいなものをこの政策目標の中に入れるのは非常に難しいので、そこをお願いするわけではないんですけど、今日はせっかく財務省の幹部の方がいらっしゃっているので、今の状況の中で財政運営について新たな視点とか、新たな論点があるということであればぜひ教えていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。

○吉野座長
伊藤委員、ありがとうございました。
それでは、次に江川委員、お願いいたします。

○江川委員
ありがとうございます。私も、今回の政策評価、内容について特に異論はございませんので、同意いたします。
今回、政策評価のプロセス自体を見直して、効率化していただいたのも非常に良いと思います。今後も環境に応じて見直していくことも必要だと思いますし、そのときにあまり細かい形式的なことにとらわれずに、実質的にどうやって政策評価を着実に進めていくかという観点で見直しをしていただければと思います。
それから、デジタル化を進めていただいて、それによって行政サービスがより効率的に、あるいは環境に負荷をかけずに提供されたり、あるいは皆さんの業務の効率化につながったりしているのも非常に良いことだと思います。
最近、公務員を志願する人が減っているという報道がございましたけれども、やはりそういったものを見ても、働き方改革を進めるのは重要だと思いますので、デジタル化の取組はぜひ進めていただきたいと思います。
先だって、事前説明のときにAIのことを少しお伺いしました。自分が今いる成蹊学園でAIの利用が必ずしも進んでいるわけではないので、私もあまり偉そうなことは言えないのですが、いろいろお聞きしてみると、文書の管理などには使えるものになってきているということを聞いております。霞が関では本当にいろいろな文書の作成・管理をやっていらっしゃいますから、積極的に活用してさらに働き方改革を進めていただくと良いと思います。
4点、手短に申し上げます。1点目は、財政健全化です。これは何度もお話ししているんですけれども、今、私は学校におりまして若者と向き合っていますが、若者の7割以上が公的年金制度の維持に懸念を持っている、将来不安を持っているというこの状況というのは、大変憂慮すべきことだと思います。将来世代にツケを回しているということなので、若い世代が将来に希望を持てるようにするために、早期の財政健全化は本当に大きな課題だと思います。
2点目は、補正予算で、金額ありきで思いつきの政策が多いのではないかということが気になっています。私は数年前から会計検査院懇話会の委員をしていますが、そこでも政策目的と実際の施策が適合していないという指摘が多くあります。補助金などは十分に練られていない政策が従来の制度と整合的でなかったり、あるいは地方の実状と合わなかったり、過度に複雑で間違いが起きたりするなど、そんな問題があります。
近年、ポピュリズムによって補助金がどんどんつくられているわけですけれども、特に補正予算はそういうものが多くなりがちです。そもそも補正予算自体本当に必要なのかと、一国民としても強い問題意識を持っていますので、財政健全化の観点からも、きちっと政策目標と合致したものにお金をつけるということを徹底していただければと思います。
3点目は、官民ファンドです。政策目標の3-2-1だと思います。以前、財政投融資分科会の委員をしていたときに、官民ファンドが縦割りの省庁ごとに1つずつできたので多くなってしまいました。その後うまくいっていないものも出てきて、中には大きな累積赤字をため込んでいるものもあったので、統合できないか、もっと効率化できないかという議論をしましたが、あまり進みませんでした。
私は2年前に委員を退任したので直近の状況はよく分かりませんけれども、最近もJOINが1,000億円近くの累積赤字があるが、存続が決まった、これから定期的に見直しが入るというようなことは報道で見ております。このリスクマネーも国民のために本当に必要な投資なのかということを財務省としてしっかり問いかけながら切り込んでいただきたいと思います。
最後は、地震保険です。昨日、東日本大震災の日だったので、このことを特に考えました。142ページに地震保険制度のことがございます。その中に普及促進を目標として設定しましたと書いてあるので、具体的にどういう取組をしていらっしゃるのか教えていただければと思います。それから、付帯率は7割近くに上がってきていますが、世帯の加入率がまだ35%とかなり低いので、やはりこれは上げていく必要があるのではないかということで、御質問した次第です。
以上です。ありがとうございました。

○吉野座長
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして翁委員、お願いいたします。

○翁委員
翁でございます。よろしくお願いいたします。
私も、政策評価実施計画自体に異論があるわけではございませんが、コメントを幾つか申し上げたいと思います。
さっき秋山さんが、ワーキングプアの方とか、就職氷河期の方とか、広聴というお言葉を使われましたけれども、そういった人々の声もしっかり受け止めながら推進していく姿勢が求められるんじゃないかということをおっしゃっておられましたけれども、財務省の今の使命というのを読むと、しっかり健全で活力ある経済、安心で豊かな社会を実現するということが書いてあるわけでして、財務省の使命に対して総合目標がいかに結びついていくかということについての説明がなかなかうまくできていない部分があるのかなという感じがいたします。
例えば、さっきのプライマリーバランスの黒字化ということが、どういう形で健全で活力ある経済、安心で豊かな社会を実現して、希望ある社会を次世代に引き継ぐという形になっていくかということをもっと分かりやすい形で発信していく努力をさらに続けていくことがとても大事なのかなという感じを受けております。
それから、2点目ですけれども、今いろいろ負担の議論が出てきておりますが、以前、ちょっとこちらでも申し上げたことがあるんですけれども、保険料のような厚生労働省の分野での負担と税の部分、それから様々な手当の部分、本当はこれができるだけ即座に把握できて、可処分所得がすぐ把握できるという制度を、とにかくインフラを早く進めていくということがいろんな問題を解決する非常に重要なことだと思っていますので、これはぜひ進めていただきたいと思いますし、また、それは多分財務省だけでなく、今の負担の議論につきましても手当と関係してきますので、主税局と主計局が関係あると思いますし、また厚生労働省も関係する議論だと思いますので、省内、また省庁横断的にこういう議論をしっかり進めていっていただきたいなと思っております。インフラの整備ということについても、マイナンバーもできまして、以前から給付がすぐできるようになったら良いというような議論はずっとあったんですが、これを進めていただきたいなと思っております。
それから3つ目は、EBPMが重要であるということとか、資料2では予算編成で政策評価を活用しているということで具体例が示されております。20ページにもありますけれども、租税特別措置などにつきましては、EBPMでしっかりと検証して、それでデータで出していくということが非常に重要だと私も思っておりますし、政府税調でもこういった専門家会合ができているわけですけれども、やはりしっかりデータで検証して明らかにしていく。それで公正な税制を考えていくということは大変重要ですし、税制だけでなくどの分野におきましても、EBPMでいろいろな政策を考えていくということを専門家も拡充しながらしっかり進めていっていただきたいなというのが3点目です。
最後ですけれども、デジタル化のところでさっき江川さんもおっしゃいましたけれども、AIなどもうまく活用しながら業務の効率化を進めていただきたいと思いますし、また、働き方改革などを通じて職員の方のエンゲージメントがどのぐらい変わってきているのかというようなことは計測をされているんでしょうか。エンゲージメントというのは働きがいという言葉になりますけれども、多分それは働き方改革だけでなく、自分のミッションをどういうふうに働きがいを持ってやっているかということにもつながることだと思うんですけれども、そういった取組についても、もしおありでしたら教えていただきたいと思います。
以上になります。

○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、続きまして田辺委員、お願いいたします。

○田辺委員
田辺でございます。3点ほど申し上げたいと思います。
まず第1点は、関税局絡みのことですけれども、不正薬物に関する指標を落とすとか、それから、AEOの事業者制度に関する指標を参考指標のほうに持っていくとか、NACCS制度に関しても参考のほうに落としていくということでございますけれども、これ自体、私はそれで構わないのではないのかと思っております。
その裏にありますのは、関税局の通関業務におけるデジタル化というんでしょうか、システム化というのがかなり進んでいて、ほぼ完成形になってきているということなんだろうと思います。それによって従来よりもずっと負担がなく、かつ迅速な通関業務が可能になってきたということなんだろうと思います。
他方で、関税率をどうするかというのは、アメリカの影響なのかもしれませんけれども、いろいろまた、先方が上げてくるんだったら、こっちはどうするのというような問題というのが非常に多く、今後時間が取られそうな気がいたしますので、こういう業務の部分の安定化ということが、非常にこの時期重要なことだったのではないのかと思ったというのが、1点目でございます。
それから、2点目は国際局のところでございますけれども、例えば目標の中にユニバーサル・ヘルス・カバレッジであるとか、パンデミックに対する対応であるとか、それから気候変動に対する対応というところで、海外のディベロッピング・カントリーかもしれませんけれども、支援を行っていくぞということが非常に明確にうたわれております。
これは、ある意味、日本がどこを重視した国際支援というものをやっていくのかということを非常に明確に表しておりますし、また、日本の比較的強いところを挙げておりますので、この点は非常に高く評価してまいりたいと思います。逆に言うと、今のアメリカ政権が支援をいかにも打ち切りそうな領域に対して、きちっと日本は支援を続けていくんだということを明らかにしているという点でここのところは大切ですし、また維持していただければと思っているということでございます。
それから3点目は、関税と国際支援みたいなところを挙げていきますと、今の世界状況の中で、特にトランプ氏の発言なんかを見ていきますと、二国間のやりとりでもって決めていきたいぞということを強調しています。逆に申し上げますと、国際機関というものに対する不信感であるとか、それから地域協定に関するある種の不信感というのがその裏にあるんだろうと思います。
国際機関であるとか、地域協定というところは、ある意味、例えば関税率を引き下げていくときに、この機関等を使って協調的に下げてきた歴史がひっくり返されるという間際にあるのかなという感じがしないでもない。その中で、やはり日本に関しては、国際機関に対する貢献であるとか、決めたことを重視するということに関しては割と優等生だったのではないのかなと思っている次第でございます。
ここのところが結局破壊されますと、国VS国の、例えば近隣窮乏化の政策というのがガンガンいってしまうような、お互いにWin-Winではなくて全然Lose-Loseの関係になってしまいかねませんので、こういった点に関しても、ある意味、日本のスタンスというのは、どこが表明するのかというのは財務省だけではないのかもしれませんけれども、堅持していっていただきたいなと思ったということでございます。
以上、3点ほど申し上げました。

○吉野座長
どうもありがとうございました。
それでは、山本委員、お願いいたします。

○山本委員
ありがとうございます。3点ばかり申し上げて、細かい点は事前に事務局を通じて提出してありますので、参考にしていただければよいかと思います。
1点目は、翁委員がおっしゃったこととも関連するんですが、今、財務省解体デモとかいろいろ話題にはなっておるんですけれども、財務省の使命には、経済全体の成長なり、国民生活の安定であるとか、信認であるとかいうことも入っているわけでありますので、PB(プライマリーバランス)の最終的な黒字化というのは暫定的な良い指標にはなり得ると思うんですが、やはり経済成長とか経済再生のためのもう一方のロジックをワンクッション持ってこないと、財務省は財政再建だけを考えているんじゃないかというような国民の一種の誤解的なことが起こり得るわけですね。
そうすると、財務省の政策ロジック自身の中に、いやいや、そうじゃありませんと。こういう経済政策にも寄与するように、歳出面、あるいは歳入面、あるいは貿易、国際関係について、そういう経済成長を促すような施策がこういうふうに入っております、したがって、それが収入増にもなるし、歳出の効率化にもなって、差引きプライマリーバランスの改善にもつながるんだというふうに持っていくようなストーリーが必要ではないかと思います。
最近、特に年次報告書に対しましても、計画におきましても、諸外国は基本的にストーリーテラーでないと戦略目的の管理やアカウンタビリティに有用でないとされています。
2点目は、EBPMへの取組です。少し気になっておりますのは、総合目標の中に主税関係だけがEBPMというのが明示されておられるんですけれども、ほかの総合目標にはEBPMが、政策のところには少し入っているんですが、明確に明示されておられないものですから、EBPMをもし全省庁を挙げてやるというのであれば、そこら辺はもう少し包括的にカバーできないのかなという感じがいたしました。
3点目は、これも翁委員と少しかぶるんですが、財務省は非常に頑張っておられるんですけれども、一方においては、誤解的な国民世論もあることは事実であります。そういう意味からすると、職員の方々の働き方改革について、今回少しデジタル化の寄与等が出てきたんですが、エンゲージメントと翁委員はおっしゃったんですけれども、エンゲージメントでなくても、コミットメントなり、満足度の向上を図るような要素を総合目標の6の中にぜひ加えていただくと、職員のモチベーションにとっても良いのではないかという感じがいたしました。
以上でございます。

○吉野座長
山本委員、ありがとうございました。
それでは、最後に私からも、数点コメントというか、御意見を述べさせていただきたいと思います。
財務省がどうしても悪者になるというのは、きちんと財政を締めるというのは財務省しかいないわけですから、ある程度悪者になるのは仕方ないと思いますけども、歳出の中でも、R&Dとか、あるいは技術進歩のための歳出をして、経済成長に貢献しているというところもしっかり出していただくことによって、ただ単に財政をバランスさせるのではないというところをぜひ示していただいて、考えながらやっているんだというところが私は必要ではないかと思います。
それから、残念ながら、日本では公務員の方々の人気が下がっているんですが、フランスとか韓国は今でもきちんと公務員の方々の人気はあります。昔、フランスに行ったときに、日本とかフランスというのは英語が母国語じゃないんだから、官と民が一緒にならなきゃ勝てないんだと。だからこそ、フランスは官僚がきちんとしていなくちゃいけなくて、それは民と一緒になっているからどうにかできている。アメリカというのは、官がなくて、みんな英語でやりますから必要ないんですよ。だから、いろんなところでビジネスが取れちゃうんです。そうじゃない国というのは、やっぱりみんなが一緒にならないとできないということはぜひ認識の頭の中に入れていただいて、これは財務省ばかりじゃなくて、全ての省庁に当てはまると思います。
それから、関連ですけども、先週、アジアの会議が韓国であったんですけれども、アジアの学者や官僚の質がものすごく上がっているということです。これはデジタル化とも関係するんですけども、昔は本がないと勉強できなかったわけですけども、今はデジタルサイトに行けば、アメリカの全ての人の講演が聞けちゃうわけです。そうすると、どんな国にいようが、変な言い方ですけど、どんなに貧しい国でも、インターネットさえあればトップの方の話がすぐに聞ける。
これでびっくりしたのは、インドネシアの官僚の方の英語もすごくうまくなっているわけです。昔は、20年、30年前は全然差があったんですけれども、そういう意味では、デジタル化の影響というのをもっと日本は享受するようにしないといけないと思います。
特にデジタル化のところでは、必ずしもここにすぐ関連するものではないんですけれども、教育にもっとデジタル化が使えると思います。私は、物理でも、数学でも、やさしく教える先生と中級の先生の科目を全ての科目に対して24時間365日ただで流す。これができれば予備校は要らないわけです。どこの島に住もうが、どこに住もうが、勉強しようと思うお子さんであれば、それぞれの学年の科目が聞ける。こういうことにすれば、日本の教育問題というのは大きく変わっていって、一生懸命やる子は、どんな家庭に育とうが、とにかくインターネットさえあれば、今90何%、日本ではタブレット等が高校生に配られていますから、みんな勉強できるのだと思います。そういう意味では、いろいろな省庁の中でデジタル化がどこまで使われているか。
これもアジアの会議でびっくりしたんですけど、アジアの会議はボトムアップなんですね。それぞれのところでこういうので使いたい、こういうところで使うためにはどういうAIができるんだろうかというのがアジアの人たちが考えることなんです。日本はそうじゃなくて、偉い先生に現在の生成AIはどうなっていますかと聞いて、じゃあ、それで自分の会社にどこで当てはまるんだろうかと考えてしまっている。
そうすると、例えばこの会議ですけども、我々、皆さん先生方を含めてお話しされていますけど、生成AIを使えば、一切時間を費やさずにこの会議がすぐ終わった後にサマリーができちゃうわけです。財務省の方々がそういうことをやっていらっしゃるかどうか。そうすると、全ての審議会でそのコストは極限になくなってしまって、わざわざ一生懸命ノートを取るなんて必要ないわけです。そうすると、全ての日本の審議会でやっているのかどうか。ぜひそういうのを調べていただいて、そういうのが進んでいないところは予算をカットしちゃえばいいんですよ。それはまさにコストカットなんです。
私なんかも英語で書いていますけど、ただ言葉で言うと、それが文章にしてくれちゃうんです。英語のエディティングがあるので、パッと直してくれる。そうすると、結構きれいな英語になる。いろいろな文献を探そうとするときも、言葉を幾つかを言うとすぐ論文が出てきて、何もしないうちに要約も出てきちゃう。ものすごいことが進化でできているんですけども、それを日本のいろいろな省庁の方々がちゃんと使ってコスト削減につなげているのかどうか。それでつなげていなければ、そういうところの予算はもっとカットしていって良いような気がいたします。そういう意味では、生成AI、デジタル化がまだまだ使えると思います。
これが使えると、リモートワークがもっと各省で当たり前のように続けられますから、そうすると、東京に住まなくて週1回通えば良いので、山梨とか、静岡とか、群馬、そういうところに住みながら来られるので、住宅価格も下がる。やっぱり生成AI、デジタル化をどれくらい使っているのかどうか、これが1つです。
2番目は、それぞれの委員の方々から財政の問題がありましたけれども、残念ながら、プライマリーバランスの目標が来年度以降まで先送りになるわけです。本来やらなくちゃいけないのは、利払い費まで含めたバランスであって、更には、過去に貯めてきた財政赤字を返すために、それプラスアルファのバランスでないといけないわけでして、プライマリーバランスというのは遅過ぎるわけで、我々学者も含めて、それから中長期的にどういうふうにこれまで貯まってきた財政赤字を返していくのかというそのシナリオも、私は、学者も含めてやっていくことが必要ではないかと思います。
それから、今日はあまり御議論がなかったんですけど、環境に関しては、理論的には環境税が一番きれいなんです。それで、環境税を課しますと、例えば金融機関も、その税をかけた後のリスクとリターンを見ればビジネスができるわけです。今それがないものですから、各金融機関がどんなことをやっているんだろうという非常に複雑なことをやってしまいまして、環境税と同じことはカーボンプライシングでも達成することができるので、日本では環境税というと嫌がられますから、カーボンプライシングを使うことによってCO2問題を解決し、それができると、企業も金融機関もものすごく楽になります。今のスコープ1、スコープ2、スコープ3とかいろいろ言われているんですけど、そんなことは関係なく、カーボンプライズが引いた後のリスク、リターンを考えれば良いということになるのではないかと思います。ですから、必ずしも財務省との関連ではないんですけど、一番良いのは、本当はカーボンタックスだと思います。
それから、江川委員から官民ファンドのお話がありましたけれども、リスクマネーをどう提供するかということです。必ずしもこれは財務省の範疇ではないと思うんですけれども、元本保証の預金で集めたお金ではなくて、地域の投資信託とか、少しクッションができるお金を使って官民ファンドもやっていただけると、後で赤字ということにはならないわけで、やっぱり資金のソースのところをどうするかというのをリスクマネーの提供のときには考えていただければというふうに思います。
それから、最後に、国際機関への貢献というのは、私は日本は絶対に必要だと思います。これは外に言えないですけど、一応今アジア開発銀行の総裁というのは日本が取っているわけですけども、これがだんだんに日本が貢献できなくなってきて、そうすると、恐らく中国が手を挙げてくるでしょう。そうなると、日本の国際的な機関での発言力がどんどん弱まってくると思います。円安の関係でどうしても日本の円をドルに替えるときに資金が上がっていってしまうわけですけども、日本の発言力を維持するためには、国際機関での日本人の活躍がなければ、日本の持続的な成長なり、周りの国々との友好関係を結べないように思います。
最後は、今後のこういう政策評価に関してなんですけれども、各局ごとに例えば毎年これだけは胸を張って国民の方々に示せる政策だと。そういうものを毎年1ついろいろな評価と同時に出していただく。そうすると、国民の方々も、なるほど、財務省の国際局はこういうことをやっていたのか、理財局はこういうことをやっていたのかということが国民に分かって、それだったらやっぱり財務省は良いことをやっているんだなというふうに思える政策を、例えば毎年1つ政策評価書の中に入れていただければ、財務省ってカット、カットというふうに思っちゃいますから、そうじゃなくて、苦しい中でもこんなに良い政策をやっていて、その政策の成果というのはほかの省庁の政策より良いんだよというのを示せる政策をぜひ1つ必ず挙げていただいて、そうすると、私は国民の見方も変わってくるのではないかなというふうには思います。
以上、御意見を述べさせていただきました。
それでは、これから各省庁の方々、財務省、それから国税庁の皆様から御発言をいただければと思います。
まず最初は、青木主税局長、お願いいたします。

○青木主税局長
主税局長でございます。
翁委員からお話がありましたが、税だけではなく保険料、それから手当などの給付と併せて、全体の負担と給付の関係をしっかり見えるようにして、その上で税及び給付の話を議論していかなければいけないということは、そのとおり考えておりまして、政府税調、翁会長の下でしっかり議論していきたいと思っております。
インフレ下での財政運営、税のことについて少しお話しさせていただくと、まさに今回、基礎控除を物価調整することになります。これは、少数与党の政権下で、より幅広く議論しながら税制改正を行う中で対応することとしたものです。いろいろな形での対話をしっかりと行いながら税制改正の中身を決めていく必要があると思っています。
EBPMでお褒めの言葉を幾つかいただいているんですけれども、実は主税局でEBPMに本格的に取り組むようになったきっかけは、賃上げ促進税制を抜本的に拡充した際に、国会の議論の中でこれは本当に効果があるのかと厳しく問われまして、2年経って見直しをする際に、学者の方々のお知恵もいただきながら、EBPMをしっかり回して、分析する。それをオープンにして議論していこうということがありました。
今後は、賃上げ促進税制だけじゃなくて、様々な政策税制についてやる必要があると思っています。
働き方改革とエンゲージメントの話がありましたが、働き方改革は相当進んでいると思いますし、そういう意味でのエンゲージメントはあるかと思います。ただ、ここ数年ぐらい若い人たちと話をしていて、仕事が忙しいのはそれほど苦ではないのですが、こんなに頑張っているのに世の中から非常にバッシングを受けるということに対して落ち込むという意見を聞いています。更に最近のこういう状況の中で、4月以降落ち着いたら様々な人たちと対話をしながらやっていかないと、彼らがこれから将来を担っていくわけで、しっかり話をしていかなきゃいけないなと思っております。

○吉野座長
若い方とお話をされるときに、どういう形で財務省の一生懸命やっていることが国民に伝わるかというところを少し考えていただくと良いのかなと思います。どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして渡邊政策立案総括審議官、お願いいたします。

○渡邊政策立案総括審議官
皆様、御意見ありがとうございました。
私の担当に関わることを申し上げます。まず、翁委員から、財務省の使命と結びつきに関するお話がありました。財務省に入ってくる職員や現職員は志が高いと思われ、使命といったらここにあることをそのまま自然に受け入れることができるのでございますが、ただ、実際の業務はかなり専門的に分かれておりますので、ともすればその中に没入してしまうということがあって、自分なりには、PBの話とか財政の健全化がなぜ重要か、あるいは財政を放っておくと何で悪いのかという、そこの具体的なイメージがなかなか伝わっていない部分はあるのではないかという気がいたします。
例えば、大学生向けの財政教育プログラムの場面などを見ますと、一方的にこういう資料を説明していても何か響くものが伝わってこないこともあり、具体的な話までしなければいけないのではないかと思うこともあります。そのほかにもいろいろな場面で対外的に説明するような機会もあるので、そういうところまで注意しなければ、あるいはしたほうが良いのではないかと思っております。それを評価書の中に書くかどうかは、それはまたできる限りのことはしたいと思いますけれども、評価書は細部まで読まない方もいらっしゃると思うので、むしろ何らかの接点で伝えていくという努力が大切なのではないかと思いました。
次に、デジタル化のエンゲージメントの話に関しましては、具体的な取組については、再生プロジェクトの中で職員のアンケートを取ることや、公表をしているということでございますので、そうした観点の取組はしてございます。
また、山本委員のほうから総合目標の6に入れてはどうかという話がありました。確かに組織は人で動いておりまして、良い仕事をするには良い人がいないと、ということでございますけれども、ただ、政策評価書というのは自分たちがやっていることを対外的に説明する機会ということでもございますので、こうした内部管理事務とはちょっと趣旨が異なるのはないかという感じを持っております。いただいた御意見は受け止めますけれども、それはそれとして、今回デジタル化の推進という資料も付けておりまして、こうした取組を国民の方々に知っていただきたいという取組はしてございます。
それから、吉野座長から各局1つずつというお話がありまして、これも本当に国民の方々に理解してもらうのは重要だと思っております。これは受け止めなければいけないと思っておりますけれども、具体的なやり方については、評価書なのか、それとも評価書ではなくて参考の資料にするのか。そういうようなちょっといろいろやり方もあるので、考えてみたいと思っております。
最後、生成AIの話でありますけれども、現在、政府全体で利用方針の整備を進めているところでありまして、具体的な行政事務の中で十分な活用は現時点ではできておりませんが、今後の検討課題、検討しているところでございます。
以上でございます。

○吉野座長
御説明ありがとうございます。
それでは、順番に高村関税局長からお願いいたします。

○高村関税局長
関税局長の高村です。
まず、田中委員から、タリフパーソンズで協調を深めて、今の北米の合成麻薬をめぐる緊張緩和に何か貢献できないのかとご示唆をいただきました。非常に鼓舞される思いがいたします。もともと不正薬物等の水際取締りという分野は、国際協力には大変なじむ分野だと考えております。税収を国々で取り合うというようなゼロサムゲームではなくて、お互いに情報交換をして不正な薬物でもうけている犯罪組織を撲滅するというのは、各国にとっても共通の利益になりますので、そういう意味で日本税関もこの分野で積極的に協力関係を深めているところです。
ブリュッセルにはWCO(世界税関機構)という機関があります。これは貿易の手続の調和化とか、水際取締りの協力とかいろんなことをやっていますが、この機関のトップは、2023年まで御厨氏という日本人が15年ほど務めておりました。日本税関からもそこに12~13名の職員を送って、コアメンバーとして活躍しているという状況でございます。
そういう意味で、税関のキャパシティビルディングや水際取締りの技術協力は日本の強みと考えておりまして、この日本の強みを今の世界情勢の中でどう活用していくかという非常にエキサイティングな課題をいただきましたので、今後の取組において積極的に考えていきたいと思います。
それから、広瀬委員からは不正薬物の摘発の件について激励をいただきまして、本当にありがとうございます。現場は大変頑張っておりますが、他方でなかなか楽観視できない状況にもございます。令和6年、税関において、不正薬物全体の押収量というのは2年連続で2トンを超えており、極めて深刻な状況が続いております。日本社会は拳銃や薬物の規制が厳しいという良いレピュテーションを維持できるように引き続き頑張っていきたいと思いますし、良い摘発ができた場合にはしっかりPRもして、国民の皆様に認識してもらうと共に、今後の不正薬物密輸の抑止につなげていきたいと思っております。
それから、田辺委員には、通関手続のデジタル化がほぼ完了したという御認識をいただきまして、本当にありがとうございます。アメリカの動きに対応して今後関税率をどうするのかという課題があるとのコメントをいただきました。アメリカによる一連の関税措置につきましては、政府全体として措置の影響を十分に精査しつつ、適切に対応していく考えでございます。
他方で日本は、ルールに基づく自由貿易体制の維持拡大は我が国の経済外交の柱であると認識しております。例えば、CPTPPについては加入拡大の議論もしておりますし、それから、バングラデシュやUAE等とEPAの交渉もやっております。そういった国々との連携も強化しながら、ルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持拡大に努めていきたいと考えております。

○吉野座長
どうもありがとうございます。
それでは、窪田理財局長、お願いいたします。

○窪田理財局長
理財局長の窪田でございます。
官民ファンドにつきましては、各方面からいろいろと御意見をいただいております。御指摘のありましたJOINについてもここ数年の懸案でありましたが、財投分科会、さらには分科会のメンバーの少なからぬ方に国交省の検討会にも御参加いただき、一定の整理はできましたが、その評価が定まるのは今後かと思います。
官民ファンドにつきましては、既に行った投資の管理を強化することはもちろん、今後とも御指摘のあったような民間のマネーと併せて投資を進めるようにするといった、継続的に見直すべき課題を進める必要があるとは思っております。
一方で、成長型経済への移行ということを目指す以上、強みのある分野へのリスクマネーの投入は避けられないことかと思いますし、それが世界の潮流かとも思います。財政資金の効率的な活用と評価できる面もあるかとは思います。御批判は真摯に受け止めつつ、しっかりとした政策になるように努めてまいりたいと思っております。

○吉野座長
よろしくお願いいたします。
それでは、土谷国際局長、お願いいたします。

○土谷国際局長
国際局長の土谷です。
田辺委員から、パンデミックをはじめとする保健でございますとか、防災適応を中心とします気候変動についての国際局の取組についてそれぞれ発言をいただきまして、ありがとうございました。
これらはいずれも日本にとって強みを有している分野だと思っております。他方で、アメリカのトランプ政権発足で、この2つの分野について、非常に足元の状況、特に保健がそうでございますけれども、途上国からは不安視する声が上がっているところでございます。また、全体として、これまでどおりのこうした援助がそもそも続くのか、そういった声も聞かれるようになっていると認識してございます。
日本といたしましては、当然アメリカの貢献というのはこれまで莫大でございますので、これに取って代わるようなことはもちろんできないわけでございますけれども、日本として果たすべき役割、これまで約束したことをしっかりとこなしていくことによって、このことが、今の難しい環境でございますけれども、当たり前のことをしっかりとやることによって途上国の信頼をむしろ勝ち得ることができるのではないかと、そういう考えで取り組んでまいりたいと思ってございます。
あともう1点、田辺委員からは、これもまたトランプ政権の方針と関わりますけれども、日本はこれまで、ルールベース、あるいはマルチラテラリズムを軸にいろんな国際関係の分野に取り組んでまいったわけでございます。この点につきましては、先ほど関税局長からも話がございましたが、やはり軍事的貢献がそもそも難しい日本にとりましては、大国が力を持って世界を差配していくような世界は、率直に申し上げて日本の国益にとって全く反する世界像だと思いますので、こうしたルールベース、マルチラテラリズムは日本の柱であるという考えを強く持って今後も取り組んでまいりたいと思っております。
もう1点、吉野座長から、最後のほうで国際機関の重要性について強調いただきまして、特に足元、アメリカの関与が低下すると見込まれる中、あるいは中国の経済力がますます大きくなる中、日本の相対的地位が懸念されると。客観的な状況としては、誠にそのとおりだと思っております。そうした中で、お金の面の貢献ではなかなか日本としても厳しくなっていくのは、先を見ればそのとおりでございますので、やはり人の貢献は以前にも増して重要になっていくと思います。
今、アジア開発銀行とかIMF、世界銀行、それなりのハイレベルなポストで日本人が活躍してございますけれども、これを中期的にも維持していくためには、やはり日本人の職位の裾野を広げていくことが大事だと思っておりまして、これは引き続きしっかり力を入れてまいりたいと思っております。
最後、吉野委員から御指摘のありました人ということもありますが、やはりお金だけではなくてソフトパワーと言いますか、アイデアを出していく。こういうことが日本はこれからますます重要になっていくと思われます。安倍政権時代から推進しているFOIP(自由で開かれたインド太平洋)は人口に膾炙する概念になっているわけでございますけれども、我々国際金融の世界でも、例えば質の高いインフラは同様の趣旨の概念として導入したものでございます。あるいはユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、足元でいえば債務、これはG20の場に行けば日本印の言葉として知り渡っているところでございますので、やはり1つでもこういう新しいコンセプトを出して、日本は良いことをやっているなというふうにソフトで思われるということも大事だと思っています。
もう1点、田中委員の冒頭、関税の話に少し触発されまして申し上げますと、ベッセント財務長官は非常に関税については明確に整理いたしまして、今回3つ、トランプ政権の目的があるんだと。1つは、まさに今の話にありましたような交渉のツール、フェンタニル対策を実現するために関税をかけるんだ。あるいは、より伝統的かもしれませんけれども、不公正な貿易。自動車とか、カナダに対する木材とか、そういうものだと思いますけれども、それを是正するために関税をかける。最後はなかなか新規軸ですけれども、関税収入を上げるために関税をかけるんだと。
特に前2者につきましては、やはり具体的な懸念がございますので、先ほど関税局長から話がございましたような、一つ一つ何がアメリカにとって懸念なのか、それについて解消できるような材料があるのか、そういうことを経済産業省とも議論しながら、日本として交渉できる材料を提供していくということではないかと思っていますが、我々国際局は財務省でございますので、どちらかというと、マクロ経済に関わる立場から関税問題についてもやはり意見は言っていかなければいけないと思ってございます。
関税をこういうツールとして使うことがそもそもどうなのか。あるいは収入を得る手段として関税というものが、やっぱりいろいろあって廃れてきたわけですけれども、それが正しいのかというところもございます。いの一番に来ますのは、やはりこうした形で今アメリカが関税をかけてきていますのは、基本的に今までのMFNなどが培ってきたアメリカ自身が中心となってつくってきたルールとは異なる形でやってきているわけでございますので、少し青臭いかもしれませんけれども、ルールベースをどう考えるのか。かつ、ルールベースを離れることによって、最も重要である企業の予測可能性を損なっていて、逆にアメリカ経済がこれで足元を失速するのではないかというような懸念ももたらしているところでございます。
こうしたマクロ経済上の視点から関税問題についても物申していくことが大事だと思っていますし、あるいは、恐らくトランプ大統領が関税をかけているのは、国内に製造業を全部持ってきたいんだと国内回帰の視点で言っているんだと思いますけれども、そうであれば、本来別に関税という手段によらなくても、日本としては既に全世界の中で対米投資累積残高1位という状態でございますので、しかも、Win-Winという形で対米投資をしたい企業というのは幾らでもございますので、別に関税をかけなくても対米投資するよと、そういったことも話していかなくてはならないと思っております。
少しこれは技術的な話になりますけれども、そもそも付加価値税を対象に、これが非関税障壁だとして相互関税をかけるというのは理論的にもおかしいわけでございますので、仮にもそういうことになるようであれば、そこはいろいろな形で反論をしていかなければならないと思っておりますし、そういう場として、まさにG7でございますとか、日米のバイ、バイについては少し言い方は気をつける必要がありますけれども、そういうこととかでうまく発信していく必要があるのではないかというふうに考えてございます。

○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、寺岡総括審議官、お願いいたします。

○寺岡総括審議官
地震保険の普及率の向上についてお話がありました。そもそも地震保険の役割としては、保険金をきちんと支払っていくということに加えて、防災意識を高めるとか、制度としては自助・共助・公助が組み合わさった制度だと思いますけれども、そういった意味で自助の意識をきちんと持ってもらうという意味で、普及率が向上していくということは極めて重要な政策だと考えてございます。
恐らく昨今、防災グッズの売上げ向上ですとか、防災意識は極めて高まっていながら、この普及率がなかなか上がっていないといった御指摘だと思います。まず大事なことは、きちんと周知されるということでしょうし、周知の仕方も、ウェブサイトですとか、SNSですとか、そういったあらゆるものを活用しながら周知に努めていきたいと思ってございます。
そして、何よりも、地震保険は民間の火災保険に付帯する制度でございますので、そこでどう周知が図られるか、加入していただけるかというのが一番鍵であることは間違いございませんので、そういう保険会社等と連携して、周知を進め、加入率を高めるということが大事でございます。
家を買っていただいたときが最大のチャンスだと思いますので、今般、金融機関に対しましても、住宅ローン利用者へ地震等の災害リスクを適切に説明いただくということが今なされていますので、そうした際にきちんと地震保険についても説明していただけるような要請を図っているところでございまして、普及率の向上には努めていくべきと考えてございます。
それから、インフレをはじめ、経済環境が大きく変わる中で経済政策がどう変わっていくのかということで、所掌の中の範囲でだけ申し上げたいと思うんですが、インフレにはもちろん名目で賃金が上がっていくとか、売上げが伸びていくとか、そういった目に見えて向上する面があるとともに、借金主体にとっては実質負担が軽減される面があるわけで、その反面、家計の実質の購買力を減らす悪い影響が出るということだと思ってございます。
現在、GDPギャップも直近の統計で埋まりましたので、今後、日本経済の課題はむしろ供給制約ということになります。インフレの悪い影響をどう抑えていくかというのは、1つは財務省の使命といたしましても、財政のみならず経済・社会全体を考えていく上には非常に大きな課題になっていくのではないかと思ってございます。
一般的には、財政には追い風という見方もあるのかもしれませんが、財政の話だけを見ても、利払い費は足元では低いものでございますが、満期を迎えるまでは必ず利払い費は増大する仕組みですし、それから歳出の面においても、物価がすっとスライドするような年金みたいな予算もあれば、今後、賃金の上昇でありますとかそういったものに伴ってかなり歳出圧力が増えるものも当然ございますし、先ほど申し上げたような社会全体のセーフティネットをどうやって構築していくのかといった大きな財政上の課題も生じるのだと思いますので、そういった意味で、この問題にどう取り組んでいくかというのは、単に財政バランスがどうなるかという問題についても大きな問題でございますが、そういった視点で政府全体で考えていく必要があると考えてございます。

○吉野座長
どうもありがとうございます。
それでは、中山主計局次長、最後に新川事務次官からお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。

○中山主計局次長
各委員から、物価高、金利の上昇、2025年度のPB見通し等、足元の諸情勢を受けまして、PB目標の在り方等について御指摘いただきました。足元では金利の上昇が見られる中、我が国の債務残高対GDP比を安定的に下げていくためには、利払い費を考慮に入れて財政健全化に取り組んでいくことも非常に重要であると考えております。
先般の骨太の方針2024におきましても、物価・経済状況を適切に反映していくこと、これと併せて、金利のある世界への移行によって利払い費増加の懸念への備えが求められる中、財政に対する市場の信認を確保していくことが重要であるということが指摘されているところであります。財政健全化目標については、まずは早期のPB黒字化を目指し、御指摘の点も踏まえながら今後の具体的な検討を進めていきたいと思います。
併せて、予算編成、そして財政健全化の取組を通じて、経済の成長ですとか、年金を含めた持続的な社会保障制度の構築、また、貧困など各社会課題の解決に向け取り組んでいるという説明責任を財政当局としてもしっかり果たしていきたいと考えてございます。
また、補正予算の在り方ですとか、予算の質についての御指摘もいただきました。予算の質については、予算と行政評価のリンケージを高めているところでありますし、併せてデータベース化を進めているところであります。こうした取組を通じて、EBPM実現のための基礎をつくり、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。併せて、補正予算事業を含めて予算執行調査にしっかり取り組んで、個々の予算事業の改善を図っていきたいと思っております。
そして、補正予算全体につきましても、社会全体が平時化を進めていく中、補正予算の平時化に引き続き取り組み、PBの改善にもつなげていきたいと思っております。こうした取組を通じて、市場からの信認、さらには国民からの信認が得られるよう、財政健全化に取り組んでまいりたいと考えております。

○吉野座長
ありがとうございます。
最後に、新川事務次官からお願いいたします。

○新川事務次官
本日は、委員の方々、大変お忙しいところお時間を頂戴いたしまして、大変ありがとうございました。いつも非常に建設的で、非常に我々にとっては参考にさせていただくべき貴重な意見を賜りました。
特に昨今と言いましてもこの数か月かもしれませんが、非常に大きく動いています国際的な情勢とか、あるいは全国的に広がりを見せています財務省に対するデモですとか、厳しい御意見ですとか、そういったものを踏まえて我々としてどのように対応していくべきかということについても、今日はかなりな数の親身なアドバイス、御意見を頂戴したと思いますので、我々にとって何ができるか、あとどのように国民の理解を求めていけるのか、こういった点について今日の御意見も頂戴しながら、いろいろと我々のほうでも取り組んでまいりたいと思っております。
本日は大変ありがとうございました。

○吉野座長
ぜひ頑張っていただきたいと思います。
それでは、最後に、今後の予定につきましては、6月頃に次回は開催の予定でございます。令和6年度の政策評価書、それから国税庁の令和7事務年度の実績評価計画について議論を予定しておりますが、改めて日程に関しましては皆様に御相談させていただきます。
本日は、皆様から御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。それでは、財務省としても今日の御意見を踏まえながら、PDCAサイクルを回していただきたいというふうに思っております。
これで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

──了──

関連業界