小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法
印刷用ページを表示する掲載日2025年5月8日
【目次】
- はじめに(がん患者さん・ご家族の方へ)
- 広島県小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業
- がん患者さんとご家族向けリーフレット
- 広島県がん患者妊孕性温存治療費助成事業(令和2年度末で終了)
- 参考になるページ
妊孕性(にんようせい)とは、「妊娠するための力」のことであり、女性にも男性にもかかわることです。
がんの治療では、妊娠に関わる臓器にがんができた場合だけでなく、一見妊娠と関係のないような臓器にがんができた場合でも、抗がん剤や放射線治療による影響で妊孕性が低下したり、失われたりすることがあります。
現在は、医療の進歩によって多くの患者さんが、がんを克服できるようになってきており、将来自分の子どもを持つ可能性を残すために、この妊孕性を「温存する」という選択肢も加わってきました。
がんと診断されてすぐは、がん治療のことで頭がいっぱいかもしれません。また、まずはがんの治療を受けることが前提ですので、必ずしも希望どおりにならないこともあります。
しかし、ひとつの選択肢として、がん治療の開始前に、将来、子どもを授かることについて考えてみることも大切です。
まずは、がん治療の主治医に気持ちを伝え、がん治療による妊孕性への影響や今後のがん治療の見通しを確認してみてください。そして、あなたの妊孕性の今後の変化についてよく理解した上で、場合によってはご家族やパートナーの方を含めて話し合い、妊孕性温存療法について考えてみてはいかがでしょうか。
参考になるサイト
令和3年4月1日から開始された国の事業に準じて、「広島県小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」を開始しました。県では、将来子どもを産み育てることを望む小児・AYA世代(43歳未満)の患者さんが希望をもって治療に取り組めるよう、妊孕性温存療法に要する費用の一部を助成し、経済的負担の軽減を図るとともに、臨床データ等に基づく有効性・安全性の高い妊孕性温存療法の普及等に取り組んでいます。
また、令和4年4月1日からの国事業の助成対象拡充に伴い、妊孕性温存療法による凍結保存後に実施した温存後生殖補助医療についても、費用の一部を助成しています。
令和7年度から、国事業の実施要綱が一部改正されたことから、国の改正に準じて、県事業の実施要綱も改正しました。
【この項目の目次】
1 妊孕性温存療法の助成
- (1)対象治療
- (2)対象者
- (3)助成対象費用
- (4)助成額
- (5)助成回数
- (6)申請時期
- (7)申請書類
2 温存後生殖補助医療の助成
- (1)対象治療
- (2)対象者
- (3)助成対象費用
- (4)助成額
- (5)助成回数
- (6)申請時期
- (7)申請書類
3 指定医療機関
4 提出方法
5 実施要綱
6 医療機関の方へ
(1)対象治療
県が指定する指定医療機関(「3 指定医療機関」参照)で行う、次の治療を対象とします。
- 胚(受精卵)凍結に係る治療
- 未受精卵子凍結に係る治療
- 卵巣組織凍結に係る治療(組織の再移植を含む)
- 精子凍結に係る治療
- 精巣内精子採取術による精子凍結に係る治療
(2)対象者
次の1~4の条件を全て満たす方とします。
- 「1 対象となる妊孕性温存療法に係る治療」に定める治療の凍結保存時に43歳未満の方。
- 対象となる原疾患の治療内容について、以下のいずれかに該当する方。
・「小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン」(日本癌治療学会)の妊孕性低下リスク分類に示されているがん治療
・長期間の治療によって卵巣予備能の低下が想定されるがん疾患
【例】乳がん(ホルモン療法)等
・造血幹細胞移植が実施されるがん以外の疾患
【例】再生不良性貧血、遺伝性骨髄不全症候群(ファンコニ貧血等)、原発性免疫不全症候群、先天代謝異常症、サラセミア、鎌状赤血球症、慢性活動性EBウイルス感染症等
・アルキル化剤が投与されるがん以外の疾患
【例】全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、多発性筋炎・皮膚筋炎、ベーチェット病等
- 指定医療機関の生殖医療を専門とする医師及び原疾患担当医師により、妊孕性温存療法に伴う影響について評価を行い、生命予後に与える影響が許容されると認められる方。
- 指定医療機関から、妊孕性温存療法を受けること及びこの事業に基づく研究への臨床情報等の提供をすることについて説明を受けて、この事業に参加することについて同意できる方。
※子宮摘出が必要な場合など、本人が妊娠できないことが想定される場合は除きます。
※上記2に示す原疾患の治療前を基本としていますが、治療中及び治療後であっても医学的な必要性がある場合には対象とします。
※対象者が未成年患者の場合は、できる限り本人も説明を受けた上で、親権者又は未成年後見人による同意を得る必要があります。
(3)助成対象費用
妊孕性温存療法及び初回の凍結保存に要した医療保険適用外費用
※入院室料(差額ベッド代等)、食事療養費、文書料等の治療に直接関係のない費用及び初回の凍結保存費用を除く凍結保存の維持に係る費用は対象外となります。
※この事業の対象となる費用について、他制度の助成を受けている場合は、この事業の助成の対象外とします。
※令和3年4月1日以降に実施した妊孕性温存療法の費用が対象です。
(4)助成額
治療毎の1回あたりの助成上限額については次のとおりです。
- 胚(受精卵)凍結に係る治療 35万円
- 未受精卵子凍結に係る治療 20万円
- 卵巣組織凍結に係る治療 40万円
- 精子凍結に係る治療 2万5千円
- 精巣内精子採取術による精子凍結に係る治療 35万円
(参考)各妊孕性温存療法の1回あたりの治療費の目安
- 胚(受精卵)凍結に係る治療 30万円~90万円
- 未受精卵子凍結に係る治療 20万円~45万円
- 卵巣組織凍結に係る治療 50万円~70万円
- 精子凍結に係る治療 2万円~6万円
- 精巣内精子採取術による精子凍結に係る治療 50万円~70万円
※この他、凍結保存の維持に係る費用(更新料)として約1~5万円/年が必要になります。
※実際に必要となる治療費や更新料は、患者さんの状態や医療機関によって異なりますので、詳しくは各指定医療機関にお問い合わせください。
(5)助成回数
対象者一人に対して通算2回までとします。
※異なる治療を受けた場合であっても、通算2回までです。
(6)申請時期
妊孕性温存療法に係る費用の支払日の属する年度内に申請してください。
申請が年度末に集中すると、審査や支給手続きに時間がかかる場合がありますので、申請書類が整い次第、速やかに申請していただきますよう、ご協力をお願いします。
※妊孕性温存療法実施後、期間を置かずに原疾患治療を開始する必要があるなどのやむを得ない事情により、当該年度内に申請が困難であった場合には、翌年度に申請することができます。
(7)申請書類
申請書類は、次の1~7のとおりです。
- 様式第1-1号 事業参加申請書(妊孕性温存療法分) (Excelファイル)(33KB)
※妊孕性温存療法を受けた方が未成年で未婚の場合、申請者は親権者又は未成年後見人となります。
- 様式第1-2号 妊孕性温存療法実施医療機関証明書 (Excelファイル)(32KB)
※様式第1-2号は、必ず両面印刷してご使用ください。
- 様式第1-4-1号 原疾患治療実施医療機関証明書 (Excelファイル)(18KB)
- 様式第1-4-2号 化学療法および放射線治療による性腺毒性のリスク分類表 (Excelファイル)(75KB)
- 住民票の写し(原本) ※本籍・個人番号(マイナンバー)は省略したもの 胚(受精卵)凍結で事実婚の場合は、両人の住民票の写し(原本)
(申請時に、広島県内に住所を有していることが確認できる書類)
- 様式第1-2号の領収金額に含まれない助成対象費用に係る領収書の写し
(妊孕性温存療法にあたり院外処方され、薬局で支払った薬代に係る領収書など)
※助成対象の治療の一部を指定医療機関の連携機関で行った場合、その治療と費用の内容が分る領収書及び治療明細又は様式第1-3号
様式第1-3号 妊孕性温存療法実施医療機関の連携機関用 (Excelファイル)(15KB)
- 振込口座が確認できる書類
(口座の名義、種別、番号、金融機関・支店名の確認できる通帳やキャッシュカードの写し等)
※胚(受精卵)凍結の場合、両人の戸籍謄本(原本)(事実婚の場合は事実婚関係に関する申立書(様式第1-5号) (Wordファイル)(9KB)を併せて提出)
留意事項(必ずご確認ください。)
- この事業は、「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用などに関する法律(いわゆるマイナンバー法)」の対象外事務です。添付書類(住民票の写しなど)は全て、個人番号(マイナンバー)及び本籍の記載のないものをご提出ください。
- 医療機関によっては、様式第1-2号、様式第1-3号、様式第1-4-1号及び様式第1-4-2号の発行に費用が掛かる場合がありますが、その費用は自己負担となります。(助成対象費用に含めることはできません。)
- 申請後は、参加決定通知書もしくは参加不決定通知書により、審査結果を県から文書で通知します。
(1)対象治療
県が指定する指定医療機関(「3 指定医療機関」参照)で行う、次の治療を対象とします。
- 妊孕性温存療法で凍結した胚(受精卵)を用いた生殖補助医療
- 妊孕性温存療法で凍結した未受精卵子を用いた生殖補助医療
- 妊孕性温存療法で凍結した卵巣組織再移植後の生殖補助医療
- 妊孕性温存療法で凍結した精子を用いた生殖補助医療
(2)対象者
次の1~4の条件を全て満たす方とします。
- 夫婦のいずれかが、妊孕性温存療法の助成対象の条件(上記1(2))を満たし、妊孕性温存療法を受けた後に、温存後生殖補助医療を受けた方。
- 温存後生殖補助医療の治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満の方。
- 指定医療機関の生殖医療を専門とする医師及び原疾患担当医師により、温存後生殖補助医療に伴う影響について評価を行い、生命予後に与える影響が許容されると認められる方。
- 指定医療機関から、温存後生殖補助医療を受けること及びこの事業に基づく研究への臨床情報等の提供をすることについて説明を受けて、この事業に参加することについて同意できる方。
(3)助成対象費用
温存後生殖補助医療に要した医療保険適用外費用
※入院室料(差額ベッド代等)、食事療養費、文書料等の治療に直接関係のない費用及び凍結保存の維持に係る費用(更新料)は対象外となります。また、主たる治療を医療保険適用で実施している場合における先進医療等の自己負担部分は対象外です。
※この事業の対象となる費用について、他制度の助成を受けている場合は、この事業の助成の対象外とします。
※令和4年4月1日以降に実施した温存後生殖補助医療の費用が対象です。
(4)助成額
治療毎の1回あたりの助成上限額については次のとおりです。
- 妊孕性温存療法で凍結した胚(受精卵)を用いた生殖補助医療 10万円
- 妊孕性温存療法で凍結した未受精卵子を用いた生殖補助医療 25万円 ※1
- 妊孕性温存療法で凍結した卵巣組織再移植後の生殖補助医療 30万円 ※1~4
- 妊孕性温存療法で凍結した精子を用いた生殖補助医療 30万円 ※1~4
※1 以前に凍結した胚を解凍して胚移植を実施する場合は10万円
※2 人工授精を実施する場合は1万円
※3 採卵したが卵が得られない、又は状態の良い卵が得られないため中止した場合は10万円
※4 卵胞が発達しない、又は排卵終了のため中止した場合及び排卵準備中、体調不良等により治療中止した場合は対象外
詳細は、実施要綱別紙1「温存後生殖補助医療毎の助成上限額の詳細」 (PDFファイル)(74KB)を参照。
(参考)温存後生殖補助医療の1回あたりの治療費の目安
- 妊孕性温存療法で凍結した胚(受精卵)を用いた生殖補助療法 15万円~25万円
- 妊孕性温存療法で凍結した未受精卵子を用いた生殖補助療法 30万円~70万円
- 妊孕性温存療法で凍結した卵巣組織再移植後の生殖補助療法 50万円~70万円
- 妊孕性温存療法で凍結した精子を用いた生殖補助療法 30万円~90万円
※実際に必要となる治療費は、患者さんの状態や医療機関によって異なりますので、詳しくは各生殖医療機関にお問い合わせください。
(5)助成回数
初めて温存後生殖補助医療の助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が40 歳未満である場合は通算6回まで、40歳以上である場合は通算3回までとします。
※出産した場合は、住民票と戸籍謄本等で出生に至った事実を確認したうえで、回数をリセットします。
(6)申請時期
温存後生殖補助医療に係る費用の支払日の属する年度内に申請してください。
申請が年度末に集中すると、審査や支給手続きに時間がかかる場合がありますので、申請書類が整い次第、速やかに申請していただきますよう、ご協力をお願いします。
※治療の都合などのやむを得ない事情により、当該年度内に申請が困難であった場合には、翌年度に申請することができます。
(7)申請書類
申請書類は、次の1~8のとおりです。
- 様式第3-1号 事業参加申請書(温存後生殖補助医療分) (Excelファイル)(25KB)
- 様式第3-2号 証明書(温存後生殖補助医療実施医療機関用) (Excelファイル)(34KB)
※様式第3-2号は、必ず両面印刷してご使用ください。
- 様式第3-2号の領収金額に含まれない助成対象費用に係る領収書の写し
(温存後生殖補助医療にあたり院外処方され、薬局で支払った薬代に係る領収書など)
※助成対象の治療の一部を指定医療機関の連携機関で行った場合、その治療と費用の内容が分かる領収書及び治療明細又は様式第3-3号
様式第3-3号 温存後生殖補助医療実施医療機関の連携機関 (Excelファイル)(16KB)
- 様式第1-4-1号 原疾患治療実施医療機関証明書 (Excelファイル)(18KB)
- 様式第1-4-2号 化学療法および放射線治療による性腺毒性のリスク分類表 (Excelファイル)(75KB)
- 住民票の写し(原本) ※本籍・個人番号(マイナンバー)は省略したもの 事実婚の場合は、両人の住民票の写し(原本)
(申請時に、広島県内に住所を有していることが確認できる書類)
- 両人の戸籍謄本(原本)
(夫婦であることを確認できる書類)
※事実婚の場合は、事実婚関係に関する申立書(様式第3-4号) (Wordファイル)(9KB)を併せて提出
- 振込口座が確認できる書類
(口座の名義、種別、番号、金融機関・支店名の確認できる通帳やキャッシュカードの写し等)
留意事項(必ずご確認ください。)
- この事業は、「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用などに関する法律(いわゆるマイナンバー法)」の対象外事務です。添付書類(住民票の写しなど)は全て、個人番号(マイナンバー)及び本籍の記載のないものをご提出ください。
- 医療機関によっては、様式第3-2号、様式第3-3号、様式第1-4-1号及び様式第1-4-2号の発行に費用が掛かる場合がありますが、その費用は自己負担となります。(助成対象費用に含めることはできません。)
- 申請後は、参加決定通知書もしくは参加不決定通知書により、審査結果を県から文書で通知します。
妊孕性温存療法及び温存後生殖補助医療指定医療機関として、次の4医療機関を指定しています。(令和7年4月現在)
最新の指定状況を確認したい方は、健康づくり推進課(電話:082-513-3093)までお問い合わせください。
※よしだレディースクリニック内科・小児科では、現在、新規は受け付けておりません。
※【医療機関の方へ】指定医療機関に関する申請等については、次のリンク先を御確認ください。
郵送の場合
〒730-8511 広島市中区基町10-52
広島県健康福祉局健康づくり推進課がん医療・共生グループ 行
持参の場合
窓口:広島県健康福祉局健康づくり推進課がん医療・共生グループ
時間:平日(祝日、年末年始を除く) 午前8時30分~午後0時、午後1時~午後5時
参考(国の事業に係る実施要綱)
県は、この事業の妊孕性温存療法実施医療機関(検体保存機関)として、日本産科婦人科学会又は日本泌尿器科学会が承認(仮承認を含む)した医療機関のうち、実施要綱に定める事項を実施できる医療機関を妊孕性温存療法指定医療機関として指定します。
また、この事業の温存後生殖補助医療実施医療機関として、日本産科婦人科学会が承認(仮承認を含む)した医療機関のうち、実施要綱に定める事項を実施できる医療機関を温存後生殖補助医療指定医療機関として指定します。
指定医療機関については、指定証を交付するとともに、広島がんネットで公表します。
※次の申請に関する提出先等は、いずれも「4 提出方法」と同様です。
新たに指定を希望する場合
指定を希望する生殖医療機関は、様式第2号に必要事項を記入し、健康づくり推進課までご提出ください。
指定申請書の内容に変更等があった場合
指定申請書の内容に変更等があった場合は、速やかに次の届出書を健康づくり推進課までご提出ください。
特に、指定医療機関であることを辞退するため指定の取り消しを求める場合は、この事業の対象者の利用に支障のないよう、取り消しを求める日の属する月の2か月前までにご提出ください。
広島県では、「広島県小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」を患者さんやそのご家族の方に知っていただくため、リーフレットを作成しています。
リーフレットは県内の医療機関等で配布している他、このページからダウンロードいただくことも可能です。
対象となる方や対象となる妊孕性温存療法や費用、相談窓口などについて、記載しています。
※こちらをクリックするとダウンロードできます。(ファイルサイズにご注意ください。)
リーフレット(妊孕性温存療法研究促進事業のご案内) (PDFファイル)(4.31MB)
※両面印刷・短辺とじで印刷し、二つ折りにするとリーフレットになります。
「広島県がん患者妊孕性温存治療費助成事業」は令和2年度末をもって終了しました。
広島がんネットでは、ライフステージに応じて必要な情報のリンク先などを紹介しています。
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このページに関するお問い合わせ先
健康づくり推進課
〒730-8511
広島市中区基町10番52号
がん医療・共生グループ
電話:082-513-3093
Fax:082-223-3573
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