AIによる人検知技術を活用したトンネル切羽作業の安全性向上
-「切羽遠隔監視システム」へのAI映像解析機能の導入により監視機能を強化 -
ニュースリリース
2025年11月06日
東急建設株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:寺田光宏)は、山岳トンネル工事の安全対策として、日本テクノ・ラボ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:松村泳成)および、マック株式会社(本社:千葉県市川市、社長:宮原宏史)と共同で、「切羽遠隔監視システム」にAI映像解析機能を導入します。これは、当社が試験導入を進めてきた監視システムを、さらに高度化するものです。
AIによる人検知技術により、切羽近傍などの危険個所に侵入する作業員をリアルタイムで把握し、監視機能を大幅に強化します。これにより、トンネル切羽作業の安全性の向上を確実なものとします。
1.開発の背景
山岳トンネル工事では、岩石の落下等による死傷災害リスクが存在するため、労働安全衛生規則に基づき防止措置が義務付けられています。また、令和6年3月26日に改正されたガイドラインでは、切羽監視におけるデジタル技術の活用が明記されています。
このため、当社は切羽遠隔監視システムの試験導入(有田海南道路1号トンネル工事(和歌山県有田市~海南市))を開始し、デジタル技術を活用した監視体制を構築してきました(※1)。監視位置を監視車両内へ遠隔化することで、切羽監視責任者自身の被災リスクと精神的・肉体的負担が軽減されることを確認しました。
今回、監視機能をさらに強化し、より確実な安全衛生水準の達成を目指すため、新たにAI検知システムを連携させます。
2.AI映像解析機能の仕組みとシステムの特長
(1) 確実な危険検知と警報発報
本システムは、日本テクノ・ラボの映像統合監視ソフトウェア「FIREDIPPER」を映像サーバに搭載し、高性能なAIサーバと連携させています。実際の現場映像を学習済のAIサーバがAIエンジンを使用し、切羽近傍や重機作業エリア等の危険個所への作業者侵入をリアルタイムで検知します。危険を検知すると、AIサーバは直ちに映像サーバに通知します。これにより、切羽監視責任者は、警報装置を作動させ、現場に設置された拡声器を通じて作業員に具体的な退避指示を行うことで、迅速に安全を確保します。
AI人検知稼働状況 切羽遠隔監視システム「i-SAFE Tunnel CAR」
※i-SAFE Tunnel CAR は商標登録出願中(商願2025-73278)です。
(2) 汎用性の高いシステム構築
FIREDIPPERを活用したAI映像解析機能は、既存のカメラ機種に依存しません。すでに選定されている複数の重機搭載カメラや後方監視カメラに対しても、迅速かつ柔軟に対応し、システム構築が可能です。
3. 今後の展望
東急建設は、今回、有田海南道路1号トンネル工事において、切羽遠隔監視システムへAI人検知技術を実装し、実運用を開始する予定です。AIによって得られた性能向上を踏まえ、今後も本技術の活用・展開により、さらなる安全性向上を目指していきます。
今後とも、長期経営計画に掲げるDXの推進を通じ、工事現場の安全性の向上を継続的に図ってまいります。
※1 参考「切羽遠隔監視システム」の試験導入を開始(2025年7月3日)
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