松本大臣記者会見(令和7年12月16日)
- 最終更新日:
- 2025年12月18日
松本デジタル大臣記者会見要旨
(令和7年12月16日(火) 9時10分から9時23分まで 於:デジタル庁20階会見室及びオンライン)
1. 発言要旨
本日は、私からGビズIDにおけるメールワンタイムパスワード認証の導入についてお話しさせていただきます。GビズIDにおける認証方式について、明日12月17日(水)から、今までのSMS認証、ショートメッセージサービスによる認証を廃止して、メールワンタイムパスワード認証を導入することとしました。
GビズIDは事業者向けの認証サービスで、1つのIDでもって国や地方自治体の240以上のウェブサイトにログインできるシステムでございますけども、現在11月末で約141万者のユーザーに登録いただいております。
このサイトに入る時のいわゆる認証方法として、利用者のスマートフォンに専用アプリをインストールして使ってもらうか、スマートフォンにSMS、ショートメッセージサービスを使った認証をするという方法を使ってきたのですけれども、例えば金融機関や地方公共団体では、職員のスマートフォン、個人持ちの中にアプリをインストールしたりしなければいけないと。公用のスマートフォンを支給されていない場所もありますし、そういったところでいろいろと業務環境により不都合が生じるというようなことで、改善を求める声があったということでございます。
そのために今回からはSMSによる認証をやめて、皆さん今手元にお使いのような、いわゆるPCを使ったメールによって認証をやるというような方法に切り替えていきましょうということでございます。従って、明日からはいわゆる自分で使っている公用の携帯、あるいは自分で私用の携帯にインストールしているアプリを使った認証方法か、あるいは手元にあるようなPCを使ったメールによる認証か、この2つによってGビズIDの認証を行ってサービスを利用していただくことになると思っております。
引き続き、このGビズIDのサービスを多くの方々に使っていただけるように我々としても努力をして参りたいと思いますので、今回のワンタイムパスワードの認証の新しいやり方に、皆さん是非ご理解いただきたいということでございます。
2. 質疑応答
(問)読売新聞は、本日の朝刊で国産AI開発に関する提言を行いました。提言では、国産AI開発にあたって自律性の確保が必要という点や、日本社会に根付いた倫理・価値観を反映させることなどを求めています。提言に関する評価があれば教えてください。
(答)本日の読売新聞の国産AIの開発に関する提言については、既に私も読ませていただきました。まず、デジタル庁としての見解としては、我々は今ガバメントAIの普及に取り組んでおりまして、生成AIの利用環境として、源内という各府省庁へのガバメントAIの展開、利用を促進しようとしています。それによって、政府職員の仕事が非常に効率化するということを期待しているわけですけども、そのAIの品質とか、セキュリティとか、あるいはコストというものを考えながら、より精度の高い、良いものを我々は府省庁に提供していこうと思っています。その上で、我が国の政府で使うAIですから、提言にもありましたけど、日本語を豊富に含む学習がきちんとできなければいけないし、それから特に政府の場合は、行政文書特有の記述様式とか、あるいは日本語の語彙、表現にきちんと適合したもの、それからなおかつ日本の文化や価値観を尊重したものを使っていきたいと思っているわけですね。ですので、とりわけ政府が使うAIについては、読売新聞の提言は非常に合致しているという、そういう評価になると思っております。その文脈の中で、先般もこの場でお話ししましたけれども、国内AI事業者のPreferred Networksが作っているPLaMo 翻訳を源内に実装することと、現在、国内企業や国内の研究機関に向けてAIモデルの公募をしているところです。大変好評を博して、多くの研究機関等からの応募があるところですけれども、そういった国産モデルの後押しをしていきたいと思っています。国産AIとの関わりでデジタル庁との取組を今お話ししたところでございます。ここから先は個人的な意見になりますけれども、6面の下の方にあった識者が2名コメントを出していますけども、やはり防衛とか医療というのは国産の方が良いだろうという意見には大いに私も賛同するところです。まずもって、今AIを作っているアメリカや中国が非常に企業としてジャイアントですから、そういったものに対抗できるだけの力が我が国にあるかというと、すぐにはあそことあそこみたいに出てくるわけでは決してないと思うんですね。ですから、そういった対抗できるような大きな塊というのを、民間の企業を集めて作っていけるかどうかということは少し議論が必要だと思いますし、一方で、では本当に対抗できるようなものができるかというとなかなかできないですから。セグメントを考えた上で、ここは国産の方がいいよね、この分野は日本がまだまだ世界のトップクラスを走れるよねといったようなところがここに書いてある防衛とか医療とかという分野でなかろうかとは思いますね。もう1つは、今グローバルに、パングローバルというかですね、共通したAIというものがこれからできるのかどうかというのを考えなければいけなくて、アメリカは作っている、中国が作っている、それぞれの視点と価値観でもって作ってくるということになりますから、それが本当にパングローバルに世界中の人が等しく使えるようなAIが出来上がるかというと、また少しそうではないような気がするので、日本が作るAIは日本人のAIだし、例えば韓国が作れば韓国のAIだし、それぞれの国がそれぞれのAIを作ってくるということは十分考えられると思いますし。ある1つの、例えば歴史の事実をとっても、この国から見たらこういう解釈になるし、別の国から見たらこういう解釈になるということは、今でも我々が言っていることと同じようなことがAIの世界でも起こりうるなと思います。ですから、各国がそれぞれ自分たちの価値観や歴史や文化や風習やそういったものに合わせてAIを作っていくということは、これは当然あり得る話だと思いますね。一方で、例えば医療に関して言えば、そういったものは関係なしに、これは科学ですから、どこの国も同じようなものを利用するということは十分可能性があるから、そういう意味では、日本はどの分野において世界をリードできるかということも考えて、先ほどのセグメンテーションを見て、そこに注力して国産のものを作っていくというのは、これは海外に展開するという点でも十分可能性があるものだなとは思います。もう1つは、慶応大学の先生がお話ししている、やはり思考力をAIに依存しすぎると人間の思考力を奪ってしまうだろうというのも全くその通りだなと思っていて、現状、AIは世界中のいろいろな知識というものを学習して、アウトプットしていると。それに依存してしまうと、我々は全く考えなくなってしまうから、人間が創造しなくなってしまうということは、今度は新しい創造物が生まれないのでAIは遂には学習するものがなくなってしまうから、学習するものがなくなってしまったAIを考えなくなった人が使っていくと全くAIも進歩しないし、人そのものも進歩しなくなるので、100年後になるか200年後になるか僕はわかりませんが、全く進歩しない世の中になってしまうというのはもう大敗を生むことしかあとは残っていませんから、そうならないようにするためには、やはり一定程度AIの利用というものに関して、しっかりと創造、人間が持つ創造力を失わないという歯止めというものは必要になるのではないかなとは思います。長くなりましたがAIに関する現状の考え方です。非常に良い提言だったと思います。
(以上)