2025年12月18日
JFEスチール株式会社
焼結鉱製造プロセスにおける造粒物の粒度分布センサを開発・導入
~焼結鉱の生産性向上を実現~
当社はこのたび、焼結鉱の製造プロセスにおいて、コンベア搬送中の造粒物の粒度分布をオンラインで計測が可能なセンサを開発し、西日本製鉄所(福山地区)の焼結工場に導入することにより、焼結鉱の生産性向上を実現しました。今後、本センサを各地区の他焼結鉱製造設備にも順次導入し、高炉のさらなる安定操業ならびに鉄鋼製品の安定生産を実現していきます。
焼結鉱の製造工程では、複数の鉄鉱石微粉に水分を加えて造粒し、造粒物を焼結機で高温焼成することで焼結鉱を製造します。この造粒物の粒径にばらつきがあると、焼結機上の原料層内の空気の流れや温度分布が不均一となり、焼結鉱の品質や生産性を低下させる要因となります。従来、この粒度分布の管理について、オペレーターがコンベア上の造粒物のサンプルを手作業で採取し、粒径に応じて分離する装置を用いて分析していました。しかし、人手による作業負荷が高いことに加えて、分析頻度が少ないため、分析結果を反映した操業条件の調整に時間を要することや、粒径のばらつき発生が課題となっていました。今回当社が開発したセンサでは、コンベア上に設置したレーザーとカメラにより造粒物の表面形状を立体的に取得し、画像処理によって粒度分布を常時算出します。これにより、粒度分布をリアルタイムで把握し、操業条件の即時調整が可能となり、造粒物の粒径のばらつき低減および焼結鉱の生産性向上を実現しました(図1)。また、本技術は当社の独自技術として、焼結鉱の製造分野への適用にとどまらず、ソリューションビジネス「コンベア搬送物のオンライン粒度計」として、鉄鋼業界も含めた製造業全般のお客様への展開も進めていきます。
当社は、DX戦略の一環として製鉄所全体にCPS*1 (サイバーフィジカルシステム)を活用した「インテリジェント製鉄所」の実現を目指しています(図2)。今後も製造プロセスや製品品質のCPS化を進めるなど、DXを積極的に推進することで、革新的な生産性向上および安定操業を実現してまいります。また、製造現場におけるあらゆる分野の課題を、DXを通じて解決していくとともに、そのノウハウをソリューションビジネス「JFE Resolus® 」として積極的にお客様に提供し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
*1 サイバーフィジカルシステム(Cyber Physical System)
実際の製造プロセス(フィジカル)から収集したセンサーデータをAIで解析して、独自の手法を用いてデジタル空間に高度な仮想プロセス(サイバー)を再現し、この2つをリアルタイムに繋ぐこと。仮想プロセスにより、現実では見えない設備の内部状態の把握や、将来の状態予測を行うことが可能となる。健全性の監視・異常予測の結果を実プロセスでの操業アクションにフィードバックすることにより、安定操業や生性向上が実現できる。
【図1】造粒物の粒度分布センサと焼結鉱操業フロー図
【図2】インテリジェント製鉄所のイメージ図
【関連URL】
・ソリューションビジネス「コンベア搬送物のオンライン粒度計」
https://www.jfe-steel.co.jp/products/solution/data-science/20-online-granulometer.html
・DX REPORT 2024
https://www.jfe-holdings.co.jp/common/pdf/investor/library/dxreport/2024/all.pdf
本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
| JFEスチール株式会社 | 総務部広報室 | TEL 03(3597)3166 |
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