品質不適切行為の再発防止策の実行状況
カナデビア株式会社(以下、当社)は、2024年7月に舶用エンジン事業、2025年4月に当社ならびに当社子会社における5つの事業において確認された品質不適切行為をそれぞれ公表し、外部有識者による真因の調査を経て、各事業における再発防止策に加えて、 当社グループ全体で取組む6つの再発防止策 を策定しました。
当社グループの全役職員で再発防止ならびに企業風土改革に取組んでおり、これらの施策の実行状況を継続的に公表して参ります。
不適切行為が認識された経緯
国土交通省海事局から舶用エンジンメーカーへの注意喚起を受けて、当社子会社である日立造船マリンエンジン株式会社および株式会社アイメックスを対象とした社内調査を行った結果、お客さまの立ち合いのもとで実施した陸上運転における燃料消費率に関するデータを不適切に書き換えていることが確認され、2024年7月5日付で、これらの事実を公表しました。
外部有識者から構成される特別調査委員会を設置して調査を進めた結果、国際基準による規制対象である排ガス成分濃度や燃料消費量に関して、数値の書き換えや計測器の表示値の恣意的な操作が行われていることが確認できました。この調査結果を受け、2025年3月25日付で、不適切行為の原因および再発防止策を含め公表しました。
特別調査委員会では、舶用エンジン事業に関する不適切行為の調査と並行して、当社グループのすべての事業を対象とした品質に関わる不適切行為を調査しました。その結果、当社ならびに当社子会社における5つの事業において不適切な行為が確認され、その概要、原因および再発防止策を含めて、2025年4月30日に、これらを公表しました。不適切行為が確認された事業を下表に示します。
| 事業拠点 | 事業内容 | 不適切行為の内容 |
日立造船マリンエンジン アイメックス | 舶用エンジンの製造 | ・検査記録の改ざんやねつ造 ・計測器表示値の恣意的な操作 |
| 向島工場 | 橋梁を中⼼とする鉄鋼構造物の製作等 | ・無資格者による資格作業の実施 ・検査記録の改ざんやねつ造 ・顧客の了承のない仕様変更(鋼材) |
| 若狭事業所 | 鋳物製品として特殊装置の定盤および関連部品の製造等 | ・検査結果の改ざん ・検査不合格品の出荷 ・検査装置の4M※変更未申請 ・顧客の了承のない仕様変更 |
| 浅野アタカ | 水処理施設の運転維持管理等 | ・検査結果の改ざん ・不適切な水質サンプルの採水 |
カナデビア環境サービス (およびその子会社) | ごみ焼却施設およびリサイクル施設に関する運営管理等 | ・ごみ焼却量に関する不正測定 ・排ガスや炉内温度に関する記録の改ざん ・検査装置の不正操作 |
| ブイテックス | 特殊バルブ等の開発および製造等 | ・開発段階の評価試験における不正確な記録 ・顧客による承認を得ない4M※変更 |
※4Mとは人(Man)、設備(Machine)、材料(Material)、方法(Method)を示す。
原因分析
特別調査委員会による調査を通し、舶用エンジン事業における不適切行為の原因として、現場、二線・三線部門※、経営幹部に起因する問題点が認められました。詳細は、2025年3月25日付で公表した調査報告書に記載しています。
また、舶用エンジン以外の事業における不適切行為の原因としては、改ざんという不適切行為を発生させないための基本的な仕組みが確立されていないこと、法令や顧客合意を遵守する意識が低かったこと等に加え、品質コンプライアンスに関する監督不足、経営陣の意識の低さによる現場の問題把握不足が認められました。これらの詳細は、2025年4月30日付で公表した調査報告書に記載しています。
※二線部門:品質保証部門や法務部門など、現場の業務が所定のプロセスに沿って行われているかをモニタリングし、必要に応じて支援や是正指示を行う部門。三線部門:二線部門が適切に機能していることを確認する内部監査部門。
2025年3月25日付(開示事項の経過)当社グループにおける舶用エンジン事業に関する不適切行為について[PDF:2,150KB]
2025年4月30日付(開示事項の経過)当社グループにおける舶用エンジン事業以外の事業に関する不適切行為について[PDF:1,732KB]
当社グループ全体における不適切行為の再発防止策
前述の原因分析の結果に基づいて、不適切行為が確認された各事業では個別の再発防止策(2025年3月25日および2025年4月30日に公表)を設定し、すでに実行に移しています。また、各事業における不適切行為のうち、グループ全体での共通的な対応が必要と認識された施策について、以下の通り、当社グループ全体における再発防止策(2025年3月25日公表)として設定しました。
- 1 経営トップによるコミットメント
経営トップのリーダーシップにより、不正と決別する姿勢を役職員および社外に示します。 - 2 組織風土改革・意識改革
全職員が不正を拒絶できる倫理観を持つことができるよう、経営層、管理職が先頭に立って組織風土を変革するとともに、教育を含む人事施策を継続的に実施します。 - 3 業務プロセスの改善
重大な不正につながるプロセスの排除および見直しを行うとともに、業務プロセスの可視化・標準化を通した効率化を進め、不正を防止できる実効性のある業務管理規程に改訂します。 | - 4 品質不正防止の取り組み
経営トップが品質に関わる課題や取り組みをタイムリーに把握できる仕組みを構築し、役職員に向けて情報を発信します。また、各職員が品質に関わる疑念や考えを気軽に相談・確認できる仕組みを構築します。 - 5 品質保証部門の人員確保
品質保証部門の体制強化のため、人員を補強するとともに、品質保証業務に必要な素養・スキルが得られる研修・教育を実施します。 - 6 取締役会の監督機能強化
コンプライアンスに関する活動の取締役会への報告を増やすことに加え、重大なコンプライアンスリスク情報を共有するレポートラインを明確化し、取締役会の監督機能の強化を図ります。 |
2025年3月25日付(開示事項の経過)再発防止策に関するお知らせ[PDF:301KB]
2025年4月30日付(開示事項の経過)再発防止策に関するお知らせ(舶用エンジン事業以外の事業について)[PDF:213KB]
当社グループ全体における不適切行為の再発防止策の実行状況
当社グループ全体における再発防止策の実行状況は、四半期ごとの決算公表資料を通して、以下のとおり開示しています。
2025年8月5日付 2025年度第1四半期決算発表[PDF:1,646KB]
2025年11月6日付 2025年度第2四半期決算発表[PDF:910KB]
2025年11月6日付 (開示事項の経過)当社向島工場における不適切行為について[PDF:17,388KB]