ニュースリリース
2025/12/16
「省電力でスマートな次世代無線通信システムの実現に向けた研究開発」で金子めぐみ教授(アーキテクチャ科学研究系)が令和7年度日本学術振興会賞を受賞
創造性に富む優れた若手研究者を顕彰する令和7年度の日本学術振興会賞の受賞者が12月16日に発表され、国立情報学研究所(NIIエヌアイアイ、所長:黒橋くろはし 禎夫さだお 東京都千代田区) からは、「省電力でスマートな次世代無線通信システムの実現に向けた研究開発」の業績で、アーキテクチャ科学研究系の金子かねこ めぐみ 教授が受賞しました。
日本学術振興会賞は、国内の優れた若手研究者を顕彰し、その研究意欲を高めるとともに研究の発展を支援し、日本の学術研究の水準を世界のトップレベルにおいて発展させることにつなげようと、平成16年に創設されたものです。受賞対象は、人文学、社会科学および自然科学のすべての分野の45歳未満の若手研究者で、論文等により、学術上特に優れた業績をあげている研究者です。
22回目となる今年度は、各分野の国内トップレベルの研究者による審査会で厳正な審査が行われた結果、25名の受賞者が決定され、このうちNIIでは、金子教授に賞が贈られることになりました。
受賞者に関する情報
氏名:金子 めぐみ(かねこ・めぐみ)
職名:国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 教授/東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授(併任)
受賞の対象となった研究業績
「省電力でスマートな次世代無線通信システムの実現に向けた研究開発」
(Research and Development to Create Energy Efficient and Smart Next-Generation Wireless Communication Systems)
受賞理由
金子めぐみ氏は、無線通信ネットワークの研究において、高通信品質・多数接続と省電力の両立を目指して、移動体通信システムのための無線資源割り当て、多数接続への無線アクセス設計、機械学習を活用した通信品質向上などにおいて優れた成果を挙げている。金子氏は、複雑な現実的条件を取り入れた数理モデリングと無線システムの性能解析によって、理論に裏付けられたシステム設計を可能としており、その独創的な研究手法は、国内外の企業や研究者からも注目されている。金子氏は、従来法の無線資源利用効率を2倍以上に高められることの証明、複雑な干渉環境でも同時に接続可能なIoTデバイス数を約3倍まで向上、ユーザ側のAI機能を活用し要求通信品質を高レベルで達成するなど、実用面でも重要な多くの成果を挙げている。金子氏はまた、国際的な研究活動を通じて、国際的な研究コミュニティからも高い評価と信頼を得ている。当該分野の国際的なリーダーとして、今後も更なる活躍が期待される。
※第22回 日本学術振興会賞受賞者略歴及び授賞理由より引用
金子教授 コメント
「私はこれまで、 有限かつ貴重な無線リソースを最大限に活用でき、高通信品質と省電力性の両立を目指した無線資源割当て法や無線ネットワーク設計の研究を進めてきました。15年以上にわたる研究成果をこのような形でご評価いただき、大変光栄で嬉しく存じます。長年、フランス・デンマーク・日本でご指導ご支援くださってきた皆様、共同研究者の方々、そして日常的に支えてくれる家族に、心から感謝いたします。
近年はAIを活用した無線通信ネットワーク高度化が益々重視されていますが、その電力消費が大きな課題となっています。6Gに向け、これまで注目してきた無線資源不足問題・電力消費問題は、更に深刻になりつつあります。これまでの研究と経験を活かし、増々複雑化・多様化していく通信品質要求を達成できる、より優れた無線資源・エネルギー資源の利用に向けて、国際的な研究・教育活動に一層尽力してまいります。」
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