木造1時間耐火柱「モクタスWOOD(HC耐火)」の国土交通大臣認定を取得
-軽量化による施工性向上と、CO2排出量34%削減を同時に実現 -
ニュースリリース
2025年12月16日
東急建設株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:寺田光宏)は、当社の中大規模木造・木質建築ブランド「モクタス」の木造技術として、施工性の向上と環境配慮を両立するオリジナルの1時間耐火木造柱「モクタスWOOD(HC耐火)」※1(以下、本技術)を開発し、国土交通大臣の認定を取得しました。
※1 HC:ハイブリッドカバーの略。「モクタスWOOD」は東急建設株式会社の登録商標です(登録商標第 6566919 号)
一般技術の木造1時間耐火柱の告示仕様※3では、耐火被覆に強化せっこうボードの使用が定められていますが、重量が重く施工に手間がかかることが課題でした。そこで本技術では、燃え止まり層に2種類(ハイブリッド)の被覆材(カバー)を用いることで、同等の耐火性能を保ちながら、燃え止まり層の重量を約40%軽量化、CO2排出量を約34%削減しました。これにより、施工性向上と環境配慮を両立する耐火柱として、国土交通大臣の認定を取得しました。(特許取得済み※4)
本技術は、当社が戦略の軸に掲げる「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」と、建設現場の生産性向上に寄与する技術であり、今後、積極的に現場適用を進めます。引き続き、木造耐火梁などの技術開発を進め、建設業の課題解決に貢献してまいります。
※3 建築基準法に基づく国土交通大臣が定めた構造方法の基準。
※4 特許第7724355号
【耐火性能】
本技術は、大臣認定取得のための耐火試験を実施し(写真1~4)、1時間耐火性能を有していることを確認しています
【ハイブリッドな被覆材(カバー)について】
被覆材を構成する燃え止まり層の1層目には、「スラグせっこう板」を用いています。スラグせっこう板の原材料の80%程度は、従来、産業廃棄物として処理されていた工場等の副産物や古紙などを用いた環境にやさしい材料です。また、ボードの厚さを薄くすることで重量を軽くしています。
燃え止まりの2層目には、「けい酸カルシウム板」を用いています。けい酸カルシウム板は軽量であり、施工時の運搬・張付けの作業性向上を図っています。また、けい酸カルシウム板の20%程度はリサイクル材料を用いています。
燃え止まり層の固定は、2層とも接着剤を用いずビスのみを用いるため、張替えや解体を容易に行うことが可能です。
【使用木材について】
木質荷重支持部材は120~600mm角に適用可能で、製材、集成材、単板積層材、直交集成材を用いることができます。
仕上材には、厚さ18mm以上の木材(製材、集成材、幅はぎ集成材、単板積層材、羽目板)を用いることができ、木現しの温かみのある見た目を特徴としています。怪我を防止するためコーナーの面取りの有無を選択可能であり、子供や高齢者などの利用される施設においても安心して使用できます。
また、荷重支持部材および仕上材には、耐久性を高めるための塗装も可能です。樹種や産地の制限もなく、木材の地産地消にも貢献します。また、木材を使用することで建物に長期的に炭素を固定することで、脱炭素社会の実現にも貢献します(表2)
【本技術の適用先について】
本技術は、建物上層から4層までの柱に適用可能です。商業建築、オフィス、公共施設など建物用途に制限はなく、純木造だけでなく混構造への適用も可能です。また、柱の長さに制限はなく、吹き抜けなどにも設置可能です。今後、当社が施工する現場でも導入を予定しています。
※5 (一社)日本建築学会 建物のLCA指針 AIJ-LCAツールver.6.05にて算出(スラグせっこう板の材料のうち80%、けい酸カルシウム板の材料のうち20%、せっこうボードの材料のうち63%((一社) 石膏ボード工業会 石膏ボードハンドブック環境編より)はリサイクル材料としてCO2排出量を0とした。)
※6 林野庁 建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドラインにて算出
【関連リリース】
1時間準耐火構造の大臣認定を取得した「木被覆木製柱」を開発(2021年5月27日)
「モクタスWOOD(準耐火)はり」が国土交通大臣認定を取得(2023年3月6日)
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