ロームがグリーンイノベーション基金事業の技術目標を2年前倒しで達成しました

2026/04/02  新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 

ロームがグリーンイノベーション基金事業の技術目標を2年前倒しで達成しました
―8インチSiCデバイス製造体制の構築完了―

2026年4月2日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOが実施する、グリーンイノベーション基金事業「次世代デジタルインフラの構築」プロジェクト(「次世代パワー半導体デバイス製造技術開発(補助事業)」)(以下、本事業)で、ローム株式会社が取り組む「8インチ次世代SiC MOSFETの開発」において、技術目標が当初計画より2年前倒しで達成されました。

ロームは、8インチSiCウエハ対応のエピタキシャル成長技術、低オン抵抗化技術を確立するとともに、これらの要素技術を統合した8インチSiCデバイス製造ラインを構築しました。その結果、本事業の技術目標である「電力変換器などにおいて電力損失50%以上の低減」と「低コスト化」を達成しました。

本事業の枠組みのもと、早期の社会実装に向けた取り組みとしてNEDOとロームは、パワー半導体を取り巻く世界の市場動向を的確に捉え、研究開発段階から社会実装を見据え本事業を推進してきました。

特に、SiCパワー半導体にあっては、今後世界での需要拡大が見込まれる中、市場を見据え、競争力のある技術を早期に確立する必要性を強く認識し、研究開発を前倒しで推進してきたことが、技術目標の早期達成につながりました。

図1 8インチSiCデバイス製造ラインのあるローム・デバイスマニュファクチャリング株式会社筑後工場外観

1.背景

NEDOはグリーンイノベーション基金事業の一環として、次世代グリーンパワー半導体や次世代グリーンデータセンターなどの実現を目指す「次世代デジタルインフラの構築」プロジェクトを推進しています。

本プロジェクトでは、電動車(xEV※1)、再生可能エネルギー、サーバー電源など、カーボンニュートラルの実現に向けて革新的な省エネルギー化が求められる分野を対象に、次世代パワー半導体(SiC、GaN)の高性能化・高効率化を図り、変換器などの電力損失50%以上の低減とSiパワー半導体と同等の低コスト化、さらには早期の普及促進を目指しています。

図2 NEDOグリーンイノベーション基金事業のロゴマーク

ロームは2022年4月より、本プロジェクトの中核テーマの一つである「次世代パワー半導体デバイス製造技術開発」において、「8インチ次世代SiC※2 MOSFET※3の開発」をテーマに本事業※4を開始し、このたび当初計画より2年早く技術目標を達成しました。本事業は2025年度をもって終了し、より早期の社会実装を目指します。

2.今回の成果

(1)8インチSiCデバイス製造ラインの構築

本事業でロームは、Siに比べ高温プロセスを要し製造難易度が高いとされるSiCにおいて、8インチ化による大口径化とプロセス最適化により低コスト化を実現しました。併せて、8インチ化に対応したエピタキシャル成長※5技術、低オン抵抗化技術を確立しました。さらに、8インチ化に伴う各種技術課題とSiC特有の高難度プロセスを克服し、これらの要素技術を統合することで、ローム・デバイスマニュファクチャリング筑後工場の専用棟に8インチSiCデバイス製造ライン(以下、本ライン)を構築しました。

(2)8インチSiCデバイスの性能実証

本ラインで製造した8インチSiC MOSFETデバイスをローム内製モジュールへ搭載し、想定されるインバータの実使用条件に基づく動作条件の下で電力損失の比較評価を実施した結果、従来のSi IGBT※6デバイスと比べて電力変換器の電力損失を50%以上低減できることを確認し目標性能を実証しました。

普及促進を支える安定供給に向けては、8インチSiC製造工程全体の課題を改善し、社会実装に必要な安定性・信頼性の確保に継続的に取り組んできました。この取り組みにより、ロームは8インチSiCパワー半導体の生産基盤を確立し、供給体制を整えることができました。引き続き、需要拡大に対応できる供給体制の強化を進めています。

図3 開発した8インチSiCデバイス試作ウエハ(イメージ図)

3.今後の予定

ロームは今後、世界的なパワー半導体需要の拡大を見据え、8インチSiC技術を基盤としたさらなる低コスト化と電力損失低減に向けた研究開発を継続します。

NEDOは2050年カーボンニュートラルの実現に向け、社会実装を加速し、次世代グリーンパワー半導体の普及を通じて、温室効果ガス排出削減へ貢献します。

【注釈】

※1 xEV
バッテリーEV(BEV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグイン・ハイブリッド(電気)自動車(PHEV/PHV)、(水素)燃料電池自動車(FCEV/FCV)といった電動化した自動車をまとめて表現したものです。
※2 SiC
Silicon Carbide (炭化ケイ素:炭素(C)とケイ素(Si)の化合物)のことです。
※3 MOSFET
Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor (絶縁ゲート電界効果トランジスタ)のことです。
※4 本事業
事業名:グリーンイノベーション基金事業/次世代デジタルインフラの構築/次世代パワー半導体デバイス製造技術開発
/8インチ次世代SiC MOSFETの開発
事業期間:2022年度~2025年度
事業概要:グリーンイノベーション基金事業/次世代デジタルインフラの構築」プロジェクト
NEDOグリーンイノベーション基金事業 特設サイト
次世代デジタルインフラの構築
ロームニュースリリースサイト
※5 エピタキシャル成長
基板となる結晶の上に新しい結晶を成長させる、薄膜結晶成長のことです。欠陥の少ない高品質な半導体薄膜を作ることが可能になります。
※6 IGBT
Insulated Gate Bipolar Transistor (絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)のことです。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 半導体・情報インフラ部 パワエレチーム TEL:044-520-5211

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 経営企画部 広報企画・報道課 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

  • ※新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。

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