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最終更新時刻:17時16分

「お肌の曲がり角」に老化細胞の蓄積が関係している可能性

2023/07/14  日本メナード化粧品 株式会社 

皮膚の老化細胞の蓄積は30歳頃から加速していく

日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、藤田医科大学医学部(愛知県豊明市沓掛町田楽ケ窪1番地98)応用細胞再生医学講座(教授:赤松 浩彦)及び皮膚科学講座(教授:杉浦 一充)と共同で、10代から80代の皮膚における老化細胞の数について解析しました。その結果、30歳頃から皮膚の老化細胞の数が増え始め、その後、蓄積が加速していくことが明らかになりました。また、この要因として、皮膚において老化した細胞を除去する機能が若齢期から低下していくことを突き止めました。以上の研究結果から、老化細胞の蓄積が皮膚の機能低下に大きく関わっていると考えられました。


皮膚は、加齢や紫外線・酸化ストレスなどにより機能が低下していきます。この皮膚の機能低下について、30歳前後で感じ始める人が多く、この時期は「お肌の曲がり角」とも言われています。しかし、何故多くの人が30歳前後で皮膚の機能低下を感じるのかについては明確ではありませんでした。
そこで本共同研究では、皮膚の機能低下と老化細胞との関係について着目し、加齢にともなう皮膚の老化細胞の数の推移について解析しました。

10代から80代までの皮膚について老化細胞の数を解析した結果、表皮と真皮ともに老化細胞の増加と蓄積が30歳頃から加速していくことが明らかになりました。さらに、この要因として皮膚における老化細胞を除去する機能が、加齢とともに低下していくことが関係していると考えられました。以上の結果から、本来皮膚では老化細胞は除去されるはずですが、加齢とともにその除去機能が低下していき、その結果、老化細胞の蓄積が増大していくことが分かりました。
この発見から、皮膚の機能維持には、老化細胞の除去が重要であり、この除去機能を維持・改善することで、老化細胞の蓄積を防ぎ、皮膚の老化を予防し、健康な状態を保つことができると考えます。今後は、これらの研究成果を活用し、皮膚科学の進歩と新しい再生医療技術の開発につなげていきます。

なお、本研究の成果はExperimental Dermatologyオンライン版に掲載されています。


<参考資料>
1.皮膚における老化細胞蓄積の加齢変化
皮膚は全身を覆うバリアのような役割を果たしており、日々、紫外線などの外部からのストレスにさらされています。このようなストレスを継続して受けると、皮膚を構成する細胞がダメージを受け、老化が進行します。最近の研究から、老化した細胞は皮膚の機能を低下させるだけでなく、様々な炎症性サイトカインやコラーゲンなどを分解する酵素を盛んに分泌し、周辺組織を傷つけ、組織の老化を促進していることが分かってきました。10代から80代までの皮膚において、老化細胞マーカーであるp16INK4Aを発現する細胞を観察した結果、老化細胞は20代まではあまり見られず、30歳頃から顕著に蓄積していくことが確認されました(図1)。


2. 皮膚における老化細胞除去機能の加齢変化
本来、生体には老化細胞を除去するメカニズムが存在します。皮膚における老化細胞の除去メカニズムは表皮と真皮で異なります。表皮では基底層のケラチノサイトが発現するJAG1というタンパク質が、老化細胞の表面に結合することで、老化細胞が基底層から離れ、体外へ押し出されて除去されます(参考リリース1)。一方、真皮では免疫細胞であるマクロファージがSTAB1という受容体を介して老化細胞を特異的に貪食し、除去します(参考リリース2)。
今回の研究では、老化細胞の除去に重要なJAG1やSTAB1の発現を解析することで、加齢にともなう老化細胞除去機能の推移について確認しました。その結果、老化細胞の除去機能は10代と比較し20代からすでに低下しはじめていることがわかりました(図2)。


<参考リリース>
1 皮膚から老化細胞が排除されるメカニズムを解明
https://www.atpress.ne.jp/news/267970
2 肌の老化を加速させる「老化細胞の蓄積」のメカニズムを発見!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000048666.html

3.老化細胞除去機能の低い皮膚では、老化細胞が多く蓄積する
老化細胞の蓄積よりも早く、老化細胞除去機能が低下することから、老化細胞の除去機能の低下が老化細胞蓄積の原因ではないかと考えられました(図1、2)。そこで、老化細胞除去機能に重要な役割を果たすJAG1およびSTAB1と老化細胞数との相関関係を解析したところ、老化細胞除去機能の低い人では老化細胞が多く、除去機能の高い人では老化細胞が少ないという負の相関が認められました(図3)。以上のことから、老化細胞の蓄積には老化細胞除去機能が深く関与していると考えられました。


4.掲載雑誌・タイトル・著者について
雑誌名: Experimental Dermatology
論文タイトル: Changes of senescent cell accumulation and removal in skin tissue with aging
掲載アドレス: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/exd.14818
著者: 大形 悠一郎1、山田 貴亮1-3、長谷川 靖司1,3,4、杉浦 一充3、赤松 浩彦2

所属:
1 日本メナード化粧品株式会社 総合研究所
2 藤田医科大学 医学部 応用細胞再生医学講座
3 藤田医科大学 医学部 皮膚科学講座
4 名古屋大学大学院 医学系研究科 名古屋大学メナード協同研究講座

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