リフトアップ印象のカギは上向きではなく「斜め外向き」の肌の移動

2024/07/16  株式会社 ポーラ・オルビスホールディングス 

官能評価×デジタル画像解析で発見

 ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:片桐崇行)は、肌が上向きに上がるだけではリフトアップの印象につながらず、頬下部の肌が斜め外向きに引きあがることがリフトアップの印象に重要であることを見出しました。肌の移動を画像から定量化することも可能となり、今後の研究に役立つと期待されます。





リフトアップ印象のある顔とない顔の肌の違いを探索
 たるみの改善の効果は、リフトアップ(フェイスリフト)と呼ばれています。しかし、どのような変化がリフトアップ印象につながっているかは未だ明確になっていませんでした。そこで、一定の期間、スキンケアやフェイシャルマッサージを行った方の施術前後の顔写真を用いて、官能評価試験(補足資料1)により、リフトアップした印象があるグループとないグループの顔を分類し、詳細に比べました。


リフトアップ印象がある顔では、肌は上向きだけでなく斜め外向きにも移動している
 リフトアップ印象があるグループとないグループの肌を解析した結果、リフトアップ印象があるグループでは、頬下部の肌が斜め外向きに移動していたことが分かりました。これにより、肌が上向きに持ち上がるだけではリフトアップした印象につながらず、顔の外に向かう移動を伴うことがリフトアップ印象に重要であることが明確になりました(図1、補足資料2)。本知見をもとに、肌ケア効果をより正確に把握することが可能となります。


肌のリフトアップが一目瞭然に:直観的に肌の変化を把握できる可視化
 肌の移動を実際に目で確認できれば、肌の変化がより分かりやすくなります。そこで画像処理技術を用いて、施術前後の2枚の写真を元に肌の移動を可視化しました(図2)。矢印の方向や色によって動いた方向や距離が視覚的に示されるため、より直感的に肌の移動を把握することができます。



本研究の成果は、たるみやリフトアップのさらなる研究に役立ちます。ポーラ化成工業では今後も、肌の変化を効果的に捉える計測手法の研究を継続していきます。
【補足資料1】 リフトアップ印象の官能評価試験
試験は下記の要領で実施しました。




◆試験デザイン
・一定期間、スキンケアやフェイシャルマッサージを行った女性36名の施術前後の顔写真2枚を用意(2021年2月と2021年5月に一眼レフカメラで撮影)。

・同一人物の写真2枚を評価者に提示。





◆評価者
男性2名、女性3名、30代~60代

◆評価
- リフトアップ印象の程度を3段階で回答(「変化なし」 「やや変化を感じる」 「変化を感じる」)
- リフトアップの変化を、顔のどの部位に感じるか回答(記述式)


◆解析
得られたデータから、リフトアップ印象を感じられたグループとそうでないグループに分け、肌のどのような変化が関係しているのかを解析。



【補足資料2】 リフトアップ印象を感じる顔の頬下部の肌の移動について
 リフトアップ印象が感じられたグループは、肌にどのような動きがあったのかを詳しく調べるため、同一の方の施術前後に撮影した2枚の写真の間で、毛穴、ほくろ、シミなどを目印として角度別に肌の移動を追跡しました。
真上方向の移動について比べると、リフトアップ印象が感じられたグループとそうでないグループの間に統計上の差は確認できませんでした(図4A)。しかし、水平に対して45度斜め外向きの移動について調べると、リフトアップ印象が感じられたグループの方がより引き上がっていることが判明しました(図4B)。この違いは、頬下部について確認されました。



つまり、頬下部の肌が「斜め外向き」に引きあがったことがリフトアップ印象を生んでいたと考えられます。



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