Indeedが「AIの業務利用に関する実態・意識調査【販売職(小売・アパレル)編】」を実施。販売職業務でのAI利用、約4人に1人(24.4%)が経験ありと、AI利用は進みつつある。

2024/08/23  Indeed Japan 株式会社 

接客業務よりも「在庫管理」「売上集計」などの定型業務での利用率が高い。業務でAI利用したい人は半数以上(56.3%)に上り、AI利用は今後広がる可能性あり。




世界No.1求人サイト* 「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com以下Indeed)は、18歳~59歳の正社員で販売職(小売・アパレル)に従事する男女計1,000名を対象に、「AIの業務利用に関する実態・意識調査」を実施しました。

< 調査結果 主要ポイント>
- 【AI業務利用率】販売職従事者の約4人に1人(24.4%)がAIの業務利用経験あり。現在もAIを業務利用中なのは18.8%
- 【AI業務利用意向】販売職従事者の半数以上(56.3%)がAIを業務に利用したいと回答
- 【AIへの期待と不安】AI技術全般に対し、期待している販売職従事者は約半数(49.6%)に上る一方、不安を感じる人も同程度(44.9%)いる。「AIに期待している」と「AIに不安を感じる」の両方が該当する約3人に1人(31.1%)はAIに対する期待と不安が共存している状況
- 【AIを利用している業務内容】利用率が高い1位は「在庫管理」(58.3%)、2位は「売上集計」(55.4%)と、定型業務でのAI利用が多い一方、利用率が低い1位は「顧客対応」(27.1%)、2位は「顧客との雑談」(31.5%)と、コミュニケーション業務(接客業務)でのAI利用が少ない状況
- 【AIの利用希望】「こんなことにAIを利用できたらいいなと思うこと」を自由回答で尋ねると、『お客様の状況から、お客様のクレームに対する怒りを静める最適なアンサーを導き出せる』『機会損失による売上減少を防ぐ指示が出たら良い。屋内に居ると気付きにくい降雨が開始したら、即座に雨天関連商品を店頭に出す指示が出てくる等』など、様々な希望の声が集まる

■調査実施の背景
AI技術の革新により、昨今、職場や業務のあり方が急速に変化してきています。特に ChatGPT などの生成AIの登場以降、AI に関する話題が急増し、AI技術を導入する企業も増えると共に、労働者においても業務でAI利用を検討する人も増えたのではないかと考えられます。

特に、日本においては少子高齢化が進み、今後ますます人材不足が進むことが予想されています。現在、労働市場は全体的に売り手市場の状態にあり、企業にとっては今後ますます採用が困難になると考えられます。不足する労働力をAIなどのテクノロジーで補完していくことも重要になってくるでしょう。一方、労働者においても働き方改革が進み、多様な価値観や働き方を実現したいと考える人が増えてきており、AIの活用による業務効率化が進むことを歓迎したり、逆に、将来の仕事のあり方に対する不安を感じる人もいると思われます。

そこでIndeedでは、現在の日本のビジネスシーンにおいて、AIが様々な業務でどのように利用されているのか、労働者はAIの業務活用をどのように捉えているのか等を明らかにするため、「AIの業務利用(※1)に関する実態・意識調査」を実施しました。AI利用は職種によって実態が異なると考えられることから、本調査は、様々な職種を対象に定期的に行ってまいります。

第1弾の今回は、産業別の就業者数(※2)が国内で最も多く、またコロナ前の2019年と2023年の比較で就業者数の減少幅が最も大きい(約23万人減少、「宿泊業、飲食サービス業」と同規模)(※3)「卸売業、小売業」に着目しました。その中でも、人手に頼る要素の大きい労働集約型の職種であり、人手不足が特に深刻化する中でAI等を活用した業務効率化が期待される代表的な職種として、「販売職(小売・アパレル)」の正社員を対象に調査をおこないました。

※1:本調査における「AI」は、「生成AI」と「生成AI以外のAI」の両方を含み、それぞれ以下の定義で聴取しています(「AIの利用率」等は、回答者本人がAIであると認識して利用している割合を示しています)。
・生成AI:文字などの入力(プロンプト)に対してテキスト、画像、動画、音声などを生成するAIを指します。
・生成AI以外のAI: 機械学習など大量のデータを用いて結果の予測を行ったり、事前に決められた行動を自動化したりするAIを指します。
※2: 総務省統計局「労働力調査(基本集計)」2024年6月分より
※3: 総務省統計局「労働力調査(基本集計)」2023年平均結果の要約より

調査結果に対するIndeed Hiring Lab エコノミスト 青木 雄介のコメント

Indeed Hiring Lab エコノミスト/青木雄介
現状の業務におけるAI利用率は18.8%と、卸売・小売業全体としてはまだ十分には活用が進んでいないことが確認されました。他方、回答者の56.3%は業務でAIを利用したいと考えており、AI技術への期待も約半数に上る状況から、今後AIの利用が広がる可能性は考えられます。特に、AIの導入による業務の効率化や正確性向上を実感している結果は、今後企業にとっての導入動機となり得ます。
 
AI利用経験者において、「在庫管理」「売上集計」など定型業務でAIが多く利用されていることは、AIがルーチンワークの効率化に寄与していることを示しています。これにより、従業員はより付加価値の高い業務に集中することができ、結果として業務の効率が上がったと回答しています。また、「商品陳列」「商品補充」「在庫管理」等、いわゆる身体的作業に相当するタスクで40%超利用されている結果(AI利用経験者かつ各業務の従事者ベース)も注目されます。卸売・小売業に従来必要であった身体的作業の負担が軽減されることに繋がり、シニア層など新たな労働者層を取り込む機会を増やすことにが繋がりうるためです。
 
他方、AIの利用が相対的に少ない業務は、「顧客対応」「商品説明」「顧客との雑談」「クレーム対応」など、コミュニケーションを必要とする箇所であることが確認されました。これらの業務は現時点では人間の状況判断が重要であるため、従って「人間の方が得意である領域」と考える回答も目立ちました。しかし、同時にこれら顧客対応(特にクレーム)の業務が「こんなことにAIを利用できたらいいな」と思う回答に多くあり、当該業務により仕事の負荷を感じていることも確認されました。将来的には自然言語処理技術や生成AI技術の進歩により、これらの業務におけるAI活用も進む可能性はあり得ます。
 
今後「導入していない企業が、AIが得意とする定型業務分野を中心に導入するようになるのか」「既にAIを導入している企業が、コミュニケーションを必要とする箇所や非定型業務でもAIを使うようになるのか」が焦点です。卸売・小売業においてはまだ前者で課題が多くありますが、潜在的にはいずれのパスにおいても少しずつ活用が進むことになるでしょう。




調査結果 詳細
<AIの業務利用実態>
1. 「AI業務利用率」および「AI業務利用経験率」
- 販売職従事者の業務における現在のAI利用率は18.8%、過去利用も含めたAI利用経験率は24.4%で約4人に1人が利用経験あり
- 企業規模が大きいほどAI利用経験率が高いが、従業員数が99名以下の企業でも17.1%と6人に1人以上が利用経験あり

販売職従事者(1,000名)のうち、現在AIを業務に利用している人は18.8%でした。過去利用も含めると24.4%で約4人に1人が、AIの業務利用経験があることがわかりました。

勤務先の従業員数別にAIの業務利用経験率をみると、「1,000名以上」では31.9%、「100~999名」では25.5%、「99名以下」では17.1%と、勤務先の規模が大きい(従業員数が多い)ほどAIの業務利用経験率が高い傾向にありましたが、従業員数が相対的に少ない企業においても6人に1人以上の利用経験があることがわかりました。






2. AI利用者による「AI利用業務」
- 販売職従事者においてAI利用が多い業務は、「在庫管理(58.3%)」「売上集計(55.4%)」「在庫発注(52.3%)」などの定型業務
- AI利用が少ない業務は、「顧客対応(27.1%)」「顧客との雑談(31.5%)」「商品説明(31.9%)」などのコミュニケーション業務


販売職業務を、具体的な業務別に20個(※4)に分けて、それぞれの業務従事者に対し、その業務における現在のAI利用状況を尋ねました。

現在AIを利用している業務は、多かった順に「在庫管理(58.3%)」「売上集計(55.4%)」「在庫発注(52.3%)」であり、定型化された業務におけるAI利用が多い傾向が見られました。一方、AI利用率が低かったのは、割合が低かった順に「顧客対応(27.1%)」「顧客との雑談(31.5%)」「商品説明(31.9%)」となり、販売職の特徴的な業務の1つである、接客時のコミュニケーションにおけるAI利用は、他の業務カテゴリに比べると少なくなっています。



※4:生成AIツールの一つであるOpenAI API(ChatGPT)を利用し、販売職の業務の類型化を実施。次の計20個の業務に分類し、調査を行なった。(20個の業務の内訳:「定型の事務作業」「定型の身体的作業」「非定型の身体的作業」「定型コミュニケーション」「非定型コミュニケーション」「タスク管理」「情報分析・課題解決業務」「企画立案・アイディア出しを行う業務」のカテゴリ別に、販売職の具体的な業務を抽出。「売上集計」「在庫発注」「商品の価格設定・値引き」「在庫管理」「商品陳列」「レジ業務」「商品の棚卸し」「商品の搬入」「商品の補充」「商品のレコメンド(おすすめ)」「商品説明」「顧客対応」「クレーム対応」「顧客との雑談」「販売目標達成のためのスケジュール管理」「スタッフのシフト管理」「売上分析」「顧客購買データの分析」「販促キャンペーン企画」「新商品提案」)

3. AI利用経験者による「AIの業務利用で実感した変化」
- 販売職従事者のAI利用経験者が、AI の業務利用で実感した変化は「業務の正確性向上(67.5%)」「業務の効率向上(64.3%)」「未活用だったデータや情報の活用(60.4%)」が上位

販売職従事者のうち、AIの業務利用経験者(244名)に、AIの業務利用による変化として何を実感しているかを尋ねました。その結果、「業務の正確性が向上した(67.5%)」「業務の効率が上がった(64.3%)」「活用できていなかったデータや情報を活かせるようになった(60.4%)」がTOP3となりました。




<AIへの意識>
4. 「AI技術への期待と不安」
- AI技術に対し「期待している」販売職従事者は49.6%で、「期待していない」(30.8%)を18.8pt上回る
- AI技術に対し「不安がある」販売従事者は44.9%で、「不安はない」(35.3%)を9.6pt上回る
- AI技術に対する期待×不安を掛け合わせた集計では、「期待している」と「不安がある」が共存している人が31.1%で最多


AI技術に対し、「期待している」は49.6%(あてはまる21.3%、ややあてはまる28.3%の合計)で、「期待していない」の30.8%(あまりあてはまらない20.6%、あてはまらない10.2%の合計)を18.8pt上回りました。一方で「不安がある」は44.9%(あてはまる13.6%、ややあてはまる31.3%の合計)で、「不安はない」の35.3%(あまりあてはまらない26.1%、あてはまらない9.2%の合計)を9.6pt上回りました。

AI技術への「期待」と「不安」を掛け合わせて集計すると、「期待しているが、不安もある」人が31.1%と最も多く、約3人に1人がAIに対して期待と不安の両方を感じていることがわかります。








5. 業務における「AIと人間の得意領域」
- 販売職の業務において、AIの方が得意だと思われているのは「売上集計」「顧客購買データ分析」「売上分析」など情報分析業務
- 人間の方が得意だと思われているのは「顧客との雑談」「顧客対応」「クレーム対応」など非定型のコミュニケーション業務


販売職の各業務について、AIと人間どちらの方が得意だと思うかを尋ね、AIが得意だと思う割合と人間が得意だと思う割合の差を集計し、差分が大きい業務を確認しました。その結果、AIの方が得意だと思われているのは1位「売上集計」(差分60.8pt)、2位「売上分析」「顧客購買データの分析」(いずれも差分55.2pt)となり、情報分析業務が中心となりました。

一方で、人間の方が得意だと思われているのは1位「顧客との雑談」「顧客対応」(いずれも差分57.4pt)、3位「クレーム対応」(差分39.1pt)となり、コミュニケーション業務が中心となっています。

スコア差がそれほど出なかった業務は、「販促キャンペーン企画」(差分0.7pt)、「商品の価格設定・値引き」(差分7.2pt)、「商品のレコメンド(おすすめ)」(差分8.3pt)であり、これらの業務はAIと人間のどちらが得意かの意見が分かれる結果となりました。



6. 「AIの業務利用の意向」と「業務でのAIの利用イメージ」
- 販売職従事者のうち、自身の業務でAIを利用したい人は56.3%と、過半数がAIの利用意向あり
- 今後AIが利用できたらいいと思うことには『お客様のクレームに対する最適なアンサーを導き出す』『降雨が開始したら、即座に雨天関連商品を店頭に出す指示が出る』などの声も


自身の業務(販売職)においてAIを利用したいか尋ねたところ、「利用したい 計」が56.3%(利用したいと思う13.7%、どちらかと言えば利用したいと思う42.6%の合計)となり、過半数の販売職従事者がAIの利用意向を持っていることが分かりました。



さらに、販売職の業務において「こんなことにAIを利用できたらいいな」と思うものを自由記述で尋ねると、在庫管理やデータ分析に関するアイディアのほか、顧客対応(特にクレーム)に関連するアイディアも多数挙がりました。



これらの非定型コミュニケーション業務は、現時点でのAI利用率が低いほか、前述の「人間の方が(AIよりも)得意だと思う業務」として挙がっており、まだAIを利用しておらず、人間の方が得意な業務だと思いつつも「できることならAIに任せたい業務」と考えている販売職従事者が一定数いることを示唆しています。

■「AIの業務利用に関する実態・意識調査【販売職(小売・アパレル)編】」概要
- 調査主体:Indeed Japan株式会社
- 調査対象:「販売職(小売・アパレル)」の業務に従事する18歳~59歳の正社員の男女計1,000名
- 割付方法:年代4セル(18-29歳/30-39歳/40-49歳/50-59歳)にて均等割付
- 補正:令和2年国勢調査より、正社員の販売職従事者の年代構成比にあわせて補正
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2024年6月25日~6月28日
- 補足:本調査の一部設問の設計・作成(販売職の具体業務の一覧化)にあたっては、OpenAI API(ChatGPT)を利用しております。


Indeed (インディード) について
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*出典:Comscore 2024年3月総訪問数
**出典:Indeed社内データ 2023年10~2024年3月

※本プレスリリースは、以下からもご確認いただけます。
Indeed Japan Press Room:https://jp.indeed.com/press/releases/20240822





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