吹付けコンクリートで環境負荷を低減

2025/11/26  鉄建建設 株式会社 

~寒冷地域の山岳トンネル工事に高炉セメントB種を用いた吹付けコンクリートを適用~

■概要

鉄建建設株式会社(本社:東京都千代田区、社長:伊藤 泰司)は、東日本旅客鉄道株式会社発注の山岳トンネル工事において、製造時のCO2排出量が削減できる高炉セメントB種を用いた吹付けコンクリートを適用し、CO2排出量の削減を実現しました。

当社では、これまで比較的温暖な地域にて高炉セメントB種を用いた吹付けコンクリートをトンネルに適用し、CO2排出量の削減を実現してきました。しかし、気温の低い環境下においては、高炉セメントB種を用いた吹付けコンクリートでは初期強度が低く、トンネルの適用に対して懸念がありました。
そこで、寒冷地域の山岳トンネルでの適用に向け、高炉セメントB種を用いた吹付けコンクリートの実用性を確認いたしました。

■寒冷環境下での実用性・施工性確認

実用性確認に向けては、まず国土交通省の仕様である吹付けコンクリート(設計基準強度18N/mm2、材齢28日)を目標として、寒冷地で使用予定のセメント(高炉セメントB種)、細骨材、粗骨材及び高性能減水剤(増粘剤一液タイプ)を用いて室内で試し練りを行い、良好なフレッシュ性状が得られる配合を選定しました。その後、選定したコンクリート配合から粗骨材を除いたモルタルに粉体急結剤を添加し、急結性や強度発現性に確認を行いました。
その結果、練上がり温度が20℃の場合において、急結性は普通ポルトランドセメントを使用した吹付けコンクリートと同等であり、強度発現性や圧縮強度が基準値を満足することを確認しました。

        モルタルの圧縮強度試験の結果

現場適用時は日平均気温4℃、最低気温-4℃であり、高炉セメントB種を使用した吹付けコンクリートを適用するには非常に厳しい環境下でしたが、所定の急結性や強度発現性を確保するため、現場のバッチャープラントでは、練混ぜ水と骨材を加温して、練上がり温度が試し練り時に20℃以上となるように製造管理を行いました。

吹付け状況は、普通ポルトランドセメントを使用した吹付けコンクリートと同様であり、付着性もよく,目視レベルでの跳ね返り量も少ない状況が観察され、良好な施工性が確認されました。
また、圧縮強度は平均で材齢1日が5.36N/mm2、材齢28日が26.0N/mm2であり、寒冷地域の使用においても、強度発現性に問題ないことが確認されました。

            吹付け状況

■今後の展望

一般吹付けコンクリートで標準的な単位セメント量360 kg/m3で、普通ポルトランドセメントから同量で高炉セメント B 種に変更することにより、吹付けコンクリート1 m3あたり114.5 kg※に相当するCO2排出量の削減が可能であり、今回の現場適用(トンネル延長L=138m,内空断面積75.1m2)では、約260tのCO2排出量の削減を実現しました。
鉄建建設は、これからも吹付けコンクリートのさらなる低炭素化に向け研究開発を進め、CO2排出量の削減に取り組んで参ります。


※ 一般社団法人セメント協会HP「セメントのLCIデータの概要(2025年5月20日)」のセメント品種
 別インベントリデータより算出
 https://www.jcassoc.or.jp/cement/4pdf/jg1i_01.pdf

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