どこよりも早い「2025年 倒産動向レポート」を公開 ~10年間で最多、近年の物価高騰が大きく影響~

2025/12/17  リスクモンスター 株式会社 

 法人会員向けに与信管理クラウドサービスを提供するリスクモンスター株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:藤本太一、以下リスモン)は、リスモン調べ「2025年 倒産動向レポート」を発表いたしました。

■レポートの目的

 リスモン独自の収集情報に基づき、「どこよりも早い」(※1)2025年の倒産動向を速報いたします。
 本レポートは、速報性を重視し、2025年の倒産件数を2024年12月から2025年11月までに発生した倒産(※2)に基づいて集計しました。過年度も同期間でのデータを比較対象としています。

※1:当社調べ(2025年12月5日時点)
※2:倒産件数は、法的倒産(破産、特別清算、民事再生、会社更生)および私的倒産の件数を集計

■「2025年 倒産動向レポート」サマリー

●2025年 倒産件数
 前年7,538件から4.8%増加し、7,898件となりました。直近10年間で最多の倒産件数です。


●業種別
 18業種中11業種で前年を上回りました。「卸売業、小売業」(前年比+131件)、「不動産業、物品賃貸業」(同+46件)、「サービス業」(同+38件)、「製造業」(同+35件)の増加が目立つ一方で、「運輸業、郵便業」(同▲47件)は減少しました。


●地域別
 9地域中5地域において前年を上回りました。「関東」(前年比+149件、104.9%)、「関西」(同+121件、109.5%)では100件以上の増加となりました。増加率が最も高い地域は「北陸」(同+44件、118.6%)です。


●売上高規模別
 「10億円未満」の中小・零細企業が約95%を占め、そのうち約半数を「1億円未満」の零細企業が占めています。


●業歴別
 設立後10年未満の企業が24.4%を占め、最多となりました。特に、設立5~9年の倒産件数が顕著です。


●信用格付別
 リスモンが提供するRM格付別では、「低位格付」(倒産確率0.3%)が全体の94.8%を占めました。上位格付(同0.002%)と比較すると、約150倍の倒産リスクとなりました。



▼本調査の結果は、「リスモン調べ」掲載サイトよりご覧いただけます。
 https://www.riskmonster.co.jp/study/research/
リスモン調べを見る

調査結果

(1)倒産件数推移 : 2016年以降で最多件数を更新
 2025年の国内法人の倒産件数は、7,898件となり、前年(7,538件)から4.8%増加しました。コロナ禍のセーフティネット政策によって、2021年に倒産件数は大幅に減少したものの、2022年以降は増加を続け、2025年は10年間で最多件数に至っています。(図表A)


図表A 年別倒産件数推移


(2)業種別 : 「運輸業、郵便業」は減少、「卸売業、小売業」「不動産業、物品賃貸業」などで増加
 業種別では、18業種中11業種で前年を上回りました。「その他」を除くと、「卸売業、小売業」(1,614件 前年比+131件)、「不動産業、物品賃貸業」(299件 同+46件)、「サービス業」(400件 同+38件)、「製造業」(1,095件 同+35件)において、倒産件数の増加が目立っています。その要因としては、物価高騰とそれに対する価格転嫁難が挙げられます。価格転嫁が顧客離れにつながりうる小売業において、収支が悪化し倒産に至った企業が増加したものと考えられます。
 一方、「運輸業、郵便業」(282件 同▲47件)で最も減少している要因として、高騰した燃料価格の運賃への転嫁が徐々に浸透したことや、2024年以降の複数の法改正が業界全体の経営環境改善を後押ししたとみられます。(図表B)


図表B 業種別倒産件数


(3)地域別 : 「関東」「関西」「北陸」で増加が目立つ
 地域別では、9地域中5地域において前年を上回りました。中でも、「関東」(3,174件 前年比+149件、104.9%)、「関西」(1,399件 同+121件、109.5%)において、100件以上の増加が生じています。また、「北陸」(281 同+44件、118.6%)では、増加数は40件台ながらも増加率が最も高く、これらの地域の倒産リスクが高いことが表れています。
 都道府県別では、29の都道府県において倒産件数が前年を上回りました。「愛知県」(498件 同+65件、115.0%)、「東京都」(1,561件 同+60件、103.8%)の件数増加や、「福井県」(52件 同+18件、152.9%)、「徳島県」(50件 同+16件、147.1%)の増加率の高さが目立っています。(図表C)


図表C 地域別倒産件数


(4)倒産形態別 : 清算型倒産手続きが98%を占める
 倒産形態別にみると、「法的倒産」がほとんどを占めています。手続きの種類は、「破産」(7,439件)が全体の94.2%を占め、「特別清算」(303件)を含めた場合、「清算型」倒産手続きが全体の98%となっています。一方、「民事再生」や「会社更生」の「再建型」倒産手続きは1%未満に留まっています。(図表D)


図表D 倒産形態別倒産件数


(5)売上規模別 : 中小・零細企業の倒産が95%
 売上高規模別では、「10億円未満」(構成比94.8%)の中小・零細企業が約95%を占め、そのうちの約半数を「1億円未満」(同52.3%)の零細企業が占めています。
 全倒産企業7,898社を対象にした場合でも、情報開示姿勢の観点から、売上高が不明の企業の多くは中小・零細企業であると考えられるため、この分布と大きく乖離しないと推察されます。(図表E)


図表E 売上規模別倒産件数


(6)業歴別 : 設立後10年に向かう中で企業淘汰が増加傾向に
 業歴別では、設立から10年単位での倒産件数を比較した場合、「0年~9年」(構成比24.4%)が最多件数となりました。「10年~19年」(同22.8%)と合わせると、業歴19年以内で全体の約半数を占めています。
 「0年~9年」の内訳をみると、「0~2年」(構成比0.7%)、「3年~4年」(同19.5%)、「5年~9年」(同19.5%)の順で徐々に構成比が高くなっています。これは、設立10年に向かう中で、淘汰される企業が増加していく様子が表れています。
 また、「50年以上」(同11.0%)の老舗企業では、10年単位での比較では最も倒産割合が低く、経営が安定している様子がうかがえます。(図表F)


図表F 業歴別倒産件数


(7)RM格付別 : 低位格付の倒産構成比は95%、上位格付150倍の倒産リスクを示す
 リスモンが提供する企業の信用力を示すRM格付別(6段階の格付を3区分に分類)にみた場合の倒産件数は、「低位格付」(3,851件 構成比94.8%)が約95%を占めています。倒産確率をみると、低位格付先(倒産確率0.30%)は上位格付先(同0.002%)の150倍以上高い値となっており、低位格付先は倒産リスクに注意を必要であることがわかります。(図表G)


図表G RM格付別倒産件数


(8)信用不安情報別 : 不安情報入手企業の倒産は45.7%を占める
 信用不安情報の有無別では、倒産企業の約半数(構成比45.7%)の企業で、過去に信用不安情報を入手しています。(図表H)
 1年以内に信用不安情報を入手した倒産企業を、入手から倒産に至る期間および情報種類別で集計すると、期間では「6か月超1年以内」(構成比36.0%)が最も多く、次いで「1か月以内」(同26.1%)から多く発生しています。情報種類別では、資金繰り難が表面化している「支払関連」や連鎖倒産のリスクが生じる「貸倒れ」において、「1か月以内」に倒産する割合が高く表れているため、それらの情報入手時は、速やかな警戒対応が必要といえます。(図表I)


図表H 信用不安有無別倒産件数


図表I 信用不安情報別倒産件数/倒産期間


総評

 2022年以降、倒産の増勢が続く中で、2025年では過去10年間で最多の倒産件数を更新しました。
 これまでは、コロナ禍の中小企業支援策である「ゼロゼロ融資」を受けた企業における返済難による倒産が目立っていましたが、2025年は、物価高騰によって売上高や利益の維持が困難となり、資金繰り破綻に至る企業の増加がうかがえます。
 今回の動向レポートでは、財政面が脆弱になりやすい中小・零細企業や、設立後10年に向かっていく途上の企業などで倒産が発生しやすいことや、「支払関連」や「貸倒れ」などの信用不安情報が発生している企業が短期間で倒産に至ることが読み取れました。
 これらのポイントを企業審査に活かし、企業審査担当者の与信管理業務の一助となることを期待します。


▼本調査の結果は、「リスモン調べ」掲載サイトよりご覧いただけます。
 https://www.riskmonster.co.jp/study/research/

リスモン調べとは

 リスモンが独自に調査するレポートのことです。これまでリスモンでは企業活動関連の調査として他にも「100年後も生き残ると思う日本企業調査」「環境への配慮が感じられる企業調査」や「この企業に勤める人と結婚したいアンケート調査」などを発表しており、今後も「企業活動」に関するさまざまな切り口の調査を実施することで、企業格付の更新に役立てていくとともに、情報発信を行うことで新しい調査ターゲットの創出、新サービスの開発などに取り組んでいます。


リスクモンスター株式会社
2000年9月設立。同年12月よりインターネットを活用した与信管理業務のアウトソーシングサービス、ASPクラウドサービス事業を開始しました。以来、法人会員向けビジネスを要として、教育関連事業(定額制の社員研修サービス「サイバックスUniv.」)やビジネスポータルサイト事業(グループウェアサービス等)、BPOサービス事業、海外事業(利墨(上海)商務信息咨詢有限公司)にサービス分野を拡大し、包括的な戦略で事業を展開しています。
リスモングループ会員数は、2025年9月末時点で14,710(内、与信管理サービス等8,072、ビジネスポータルサイト等3,034、教育事業等3,079、その他525)となっております。

【会社概要】
社名:リスクモンスター株式会社
本社所在地:東京都中央区日本橋2-16-5 RMGビル
代表取締役社長:藤本 太一
設立:2000年9月
上場区分:東証スタンダード市場(証券コード:3768)
HP:https://www.riskmonster.co.jp/

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