Piezo Studio、位相ジッタが世界最小クラスのAIデータセンター用 312.5 MHz差動型水晶発振器を開発

2025/12/24  株式会社 Piezo Studio 

大真空製Arkh.3G水晶振動子を用いた 312.5MHz LVDS出力コンプリメンタリー・コルピッツ水晶発振器にて世界最小クラスとなる 17.9 fsの低位相ジッタ性能を実現

株式会社Piezo Studio(本社:宮城県仙台市、代表取締役 木村悟利)は、急速に普及している高速・大容量AIデータセンターに使用される低位相ジッタ基準クロックとして、株式会社大真空製(以下大真空製)Arkh.3G水晶振動子(※1)を用いて、今後主流となる発振周波数312.5MHzの差動型 LVDS出力C級動作コンプリメンタリー・コルピッツ(※2)水晶発振器を開発しました。重要性能である位相ジッタ(※3)は、312.5MHzにおいて世界最小クラスとなる17.9 fs(※4)を実現しました。

図1 大真空製Arkh.3G水晶振動子の外観


図2 大真空製Arkh.3G水晶振動子と差動型コンプリメンタリー・コルピッツICを ディスクリートで評価PCボードに実装した水晶発振器の位相雑音特性(キャリア周波数312.5 MHz, Vcc = 3.3 V, 出力: LVDS, 測定器: Keysight E5052B)


 近年、5G(第5世代移動通信システム)の導入により通信容量が増大すると共に、最近は生成AI(人工知能)を牽引するAIデータセンターの導入が急ピッチで進められており、データセンター/AIデータセンター機器は、伝送速度400/800 Gbit/sから1.6 Tbit/sへ移行してきています。このような高速データ通信における通信品質を実現するための基準クロックとして、低位相ジッタ水晶発振器の強いニーズがあり、加えて発振周波数は156.25 MHzから、今後はその2倍の周波数312.5 MHzへ高周波化が進んでおります。
 Piezo Studioでは、高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 宮原正也准教授との共同研究により、65nm CMOSプロセスを用いた超低位相ジッタのC級動作コンプリメンタリー・コルピッツ発振IC(※2)を開発して参りました。一方、水晶デバイスメーカー大手の株式会社大真空では、高周波化に向けた第3世代水晶振動子として独自開発したArkh.3G水晶振動子(※1)を実用化し(図1参照)、量産および販売を開始しています。
 この度、Piezo Studioは、株式会社大真空が開発した最新の超小型1008 (1.0 x 0.8 x 0.19 mm)サイズArkh.3G水晶振動子と差動型コンプリメンタリー・コルピッツ発振ICにより、低位相雑音および低位相ジッタの 312.5 MHz水晶発振器を開発いたしました。キャリア周波数 312.5 MHz, Vcc=3.3 V, LVDS出力において、オフセット周波数 10 MHzにおける位相雑音が -165.9 dBc/Hzで、位相ジッタは17.9 fs(※3)が得られたことから(図2参照)、世界最小クラスの312.5 MHz 低位相ジッタ水晶発振器開発(※4)に成功いたしました。
 現在、スタートアップのPiezo Studioは、水晶デバイスメーカー等の数社から協力をいただき、312.5 MHz低位相ジッタ水晶発振器ICの製品化を予定しております。

※1 大真空製Arkh.3G: https://www.kds.info/product/dx1008jt/
  なお、Arkh.3Gは株式会社大真空の登録商標です。
※2 高エネルギー加速器研究機構と共同開発した低位相ジッタ156MHz差動型コンプリメンタリー・コルピッツ発振器:
  https://piezostudio.com/wp/wp-content/uploads/2024/11/20241114_PR_PiezoStudio.pdf
※3 オフセット周波数 12 kHz~20 MHzにおける位相ジッタ
※4 2025年11月時点Piezo Studio調べ

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