【訂正】2026年5月25日
キャプションを下記の通り修正
修正前:通信改ざんがEMS制御を介して再エネ設備の動作へ影響する様子
修正後:通信・制御・物理データから成るData4Cyberの構造
パナソニック ホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)はFraunhofer(※)と、現実的な実験環境で収集したデータに基づき、再生可能エネルギーシステムに対するサイバー攻撃の影響を分析可能な公開データセット「Data4Cyber」を共同開発し、公開しました。再生可能エネルギーの普及に伴い高まる電力インフラにおけるサイバーリスク分析や、検知・監視技術の開発を支援します。
近年、太陽光発電や蓄電池などの再生可能エネルギーの導入拡大により、電力システムのデジタル化・ネットワーク化が進んでいます。一方で、遠隔制御や通信技術の活用拡大により、サイバー攻撃によるリスクも高まっています。
しかし、通信データ・制御情報・物理データを統合的に扱い、かつ公開・再利用可能な形で提供されているデータセットはほとんど存在していませんでした。
こうした課題を背景に開発された「Data4Cyber」は、通信・制御・物理データを1秒単位で同期し、サイバー攻撃が電力システムの動作に与える影響を一貫して分析できる点を特長としています。
本データセットでは、攻撃の有無や、時間経過に伴うシステムへの影響を示すラベルが付与されており、サイバー攻撃が物理系に与える影響を時系列で追跡できます。
Fraunhofer(※)は欧州における応用研究の主要機関であり、本プロジェクトではFraunhofer FITおよびFraunhofer FKIEが中心となり実運用に近い実験環境を構築しました。パナソニックHDは、再生可能エネルギー制御やエネルギーマネジメントシステム(EMS)の実運用知見を活かし、攻撃シナリオ設計や制御挙動モデル化に貢献しました。
本データセットは、電力会社、設備メーカー、セキュリティ企業、研究機関におけるサイバー攻撃対策技術の高度化に活用されることが期待されます。
また、再生可能エネルギーの普及が進む中で、サイバー攻撃が電力インフラへ与える影響を可視化できる基盤として、社会的にも重要な役割を果たします。

図:通信・制御・物理データから成るData4Cyberの構造
「Data4Cyber」は、エネルギーマネジメントシステム(EMS)を模擬したサイバー・フィジカル実験環境から取得した統合データセットです。発電量、負荷、蓄電池状態、電力フローなどの物理データに加え、EMS制御指令や電力価格、Modbus/TCP(産業機器制御通信)やMQTT(軽量メッセージ通信)などの通信データを1秒単位で同期収集しています。
各時刻には攻撃有無や攻撃フェーズ(偵察・侵入・操作・影響)が付与され、通信異常が電力システムへ与える影響を詳細に分析可能です。
さらに、偽装された設備コマンド、改ざんされたメータ値、不正な価格信号などの代表的なシナリオを含んでおり、通信レイヤの攻撃が再生可能エネルギー設備へ波及する様子を追跡できます。
■公開情報
公開形式:オープンデータ(CC BY 4.0)
公開先:
https://zenodo.org/records/19965384
再エネ向けセキュリティ監視サービスについては、以下のウェブサイトをご参照ください。
本サービスは、再生可能エネルギー設備やEMS環境におけるサイバーリスクの可視化と監視を通じて、異常検知やセキュリティ対策を支援します。
https://tech.panasonic.com/jp/phd/rd-theme/cyber-security.html
※Fraunhofer-Gesellschaftは、ドイツを拠点とする欧州における応用研究の主要機関であり、70以上の研究所を有し、産業界との連携を通じて実用化志向の研究開発を推進しています。
本プロジェクトでは、Fraunhofer FIT(Fraunhofer Institute for Applied Information Technology:情報技術研究所)およびFraunhofer FKIE(Fraunhofer Institute for Communication, Information Processing and Ergonomics:通信・情報処理・人間工学研究所)が中心となり、産業制御システムおよびサイバーセキュリティ分野における高度な知見を活かし、実運用に近いサイバー・フィジカル実験環境を構築しました。