【プレスリリース】「AIによる診断支援時代を見据えた論点」を公表

2026/05/25  特定非営利活動法人 日本医療政策機構 

産官学民のアドバイザリーボードによる議論を踏まえ、AI診断支援の社会実装に向けた6つの論点を提示

特定非営利活動法人 日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)(所在地:東京都港区、代表理事:乗竹亮治)は、難病の日(5月23日)に合わせて、「AIによる診断支援時代を見据えた論点」(正式名称:「AIによる診断支援時代を見据えた産官学民のそれぞれの役割 ~マルチステークホルダーで作る論点抽出ペーパー~」)を公表しました。



本ペーパーは、プログラム医療機器(SaMD: Software as a Medical Device)をはじめとするAI診断支援の社会実装を加速するために、市民・患者、行政、アカデミア、産業界の各セクターで議論されるべき論点を整理したものです。
現在、政府では、AI医療機器を含むデジタル医療の普及促進に向けた政策展開が進められており、「医療機器基本計画」の第3期計画への改定が2027年4月に予定されています。そのため、2026年3月に、中間とりまとめが厚生労働省から発表されました。
この中間とりまとめを受け、2026年4月17日(金)にチャタムハウスルールのもとで開催した専門家会合での議論、ならびにアドバイザリーボードメンバーへの個別ヒアリングを踏まえ、HGPIが独立した立場から、本ペーパーを取りまとめました。
AI診断支援は難病・希少疾患領域での活用が期待されるため、難病の日(5月23日)に合わせて、公表されました。

■論点抽出ペーパーの概要

本ペーパーでは、AI診断支援を「医師の判断を補助するツール」と位置づけたうえで、その社会実装が、医療従事者の負担軽減や診療効率の向上といった「日常業務の効率化」と、プライマリケア段階での希少疾患の検出など「専門性の補完」という二つの方向性で医療の質向上に寄与しうることを整理しました。そのうえで、社会実装を加速するための鍵として、既存制度の延長線上の改善(短期)と、非線形な制度改革(長期)を同時並行で進めることの重要性を指摘しています。
これらの基本認識を踏まえ、産官学民で議論されるべき論点を、以下の6つの領域に整理しています。

- 論点1:エビデンス構築
AI医療機器の臨床研究に対する公的支援の拡充と、AI時代に適したエビデンス構築方法の整備を検討すべき
- 論点2:PMDA審査体制・チャレンジ申請等の薬事制度
AI医療機器の進化スピードに対応した審査体制の強化と、「使いづらい」との指摘がある既存制度の運用改善を検討すべき
- 論点3:市販後運用
AI医療機器の継続的な性能変化への対応、現場の運用ルール(二重読影、広告規制など)の見直しを検討すべき
- 論点4:市民・患者の理解と信頼の醸成
AI導入の最大の障壁である「信頼」醸成のため、複数のステークホルダーによる中立的な情報発信基盤の構築を検討すべき
- 論点5:保険償還の「谷」と経済的インセンティブ
診療報酬上の評価の見直しに加え、暫定保険適用、保険外併用療養、補助金、バウチャーなど多様な経済的インセンティブを組み合わせた多層的支援設計を検討すべき
- 論点6:データ活用基盤と希少疾患領域での開発促進
希少疾患領域での診断ラグ短縮のため、プライマリケアへの導入支援、オーファン医療機器指定制度のAI/SaMD特性に応じた見直し、データ活用基盤の整備を検討すべき


本ペーパーで提示した論点は、いずれも合意形成された結論ではなく、第3期医療機器基本計画の策定をはじめとする政策議論の場、ならびに学会・医療現場・産業界・患者団体それぞれの場での検討において、議論の素材として活用されることを期待するものです。

■アドバイザリーボードメンバー(敬称略・五十音順)

大黒 宏司(日本難病・疾病団体協議会(JPA: Japan Patients Association)代表理事)
沖山 翔(アイリス株式会社 代表取締役社長/一般社団法人 AIセーフティ推進機構 代表理事)
鈴木 康裕(国際医療福祉大学 学長/初代 厚生労働省 医務技監)
多田 智裕(AI医療機器協議会 会長)
辻田 賢一(熊本大学 循環器内科学教授/心アミロイドーシスコンソーシアム(IMPACT)代表理事)
西村 由希子(特定非営利活動法人 ASrid(アスリッド)理事長)
濱村 美砂子(アレクシオンファーマ合同会社 社長)
八木 隆一郎(株式会社コルバトヘルス 代表取締役CEO)

■背景

高齢化の進展や医療ニーズの多様化を背景に、デジタル技術を活用した医療の変革が世界的に加速しています。なかでも、SaMDをはじめとするAI診断支援ツールは、医療の質向上、診断の効率化、医療従事者の負担軽減など多面的な価値が期待される分野として注目されています。

政府においても、AI医療機器を含むデジタル医療の普及促進に向けた政策展開が進められています。2027年度には「医療機器基本計画」の第3期計画への改定が予定されており、2026年3月には中間とりまとめが公表されました。一方で、AI診断支援の臨床的価値の可視化、診療ガイドラインへの組み込み、患者・市民の理解と信頼の醸成など、社会実装に向けては、産官学民の連携による継続的な議論が求められています。

こうした背景を踏まえ、HGPIでは、AI診断支援の社会実装の加速に向けた政策議論を推進するため、産官学民の有識者によるアドバイザリーボードを組成し、専門家会合の開催およびマルチステークホルダーによる論点抽出ペーパーの作成に取り組みました。

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本ペーパーは、専門家会合での議論および個別ヒアリングをもとに、独立した医療政策シンクタンクとして日本医療政策機構が取りまとめたものであり、アドバイザリーボードメンバー等の関係者、および関係者が所属する団体の見解を示すものでは一切ありません。

■日本医療政策機構とは: https://hgpi.org/

2004年に設立された非営利、独立、超党派の民間の医療政策シンクタンク。市民主体の医療政策を実現すべく、中立的なシンクタンクとして、幅広いステークホルダーを結集し、社会に政策の選択肢を提供しています。特定の政党、団体の立場にとらわれず、独立性を堅持し、フェアで健やかな社会を実現するために、将来を見据えた幅広い観点から、新しいアイデアや価値観を提供しています。日本国内だけでなく、世界に向けても有効な医療政策の選択肢を提示し、地球規模の健康・医療課題を解決すべく、活動しています。

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