日本の強みと今後強化すべき技術を特定、内容は官民ロードマップ改訂版にも反映
株式会社三菱総合研究所(代表取締役 社長執行役員:籔田健二、以下 MRI)は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト」で要素技術に関する調査を実施しています。このたび、成果として空飛ぶクルマ分野の日本の強みと今後強化すべき技術を特定した「空飛ぶクルマに関する技術戦略文書」を取りまとめ、公開しました。
日本は現在、人口減少・少子高齢化に伴う都市部への人口集中や地域経済の疲弊、グローバル化の進展に伴う厳しい国際競争への対応、大規模地震などの自然災害のリスク、地球規模の気候変動や SDGs への対応といった多くの課題に直面しています。
こうしたさまざまな社会課題の解決手段として期待されるのが「空飛ぶクルマ」です。空飛ぶクルマは、電動化、自動化といった航空技術や垂直離着陸などの運航形態によって実現される、利用しやすく持続可能な次世代の空の移動手段で、都市部での送迎サービス、離島や山間部での移動手段、災害時の救急搬送などへの活用が見込まれています。
この空飛ぶクルマの社会実装に向けて、NEDOの「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト(ReAMoプロジェクト)」 の「全体アーキテクチャ・要素技術調査(以下、本調査)」では、MRIが中心となり、産業界・学識経験者等とともに要素技術の体系整理を行っています。
日本の産業競争力強化と経済安全保障の観点から、空飛ぶクルマの技術分野における「日本の強み」と「強化すべき技術」を特定し、成果として「空飛ぶクルマに関する成熟度レベル※4に向けた技術戦略文書」を取りまとめました。
日本の強みとなる空飛ぶクルマの技術分野について以下の3つの観点から特定し、技術開発の目標、目標達成のための課題および方策、市場獲得目標を整理しました。
1. 空飛ぶクルマの機体メーカー等への採用実績があり、現時点で強みを有している分野
<選定した技術分野>
動力、素材、アセンブリ技術、給電システム
2. 他産業での強みを空飛ぶクルマ産業へ活用することで強みとなりうる分野
<選定した技術分野>
自動運転の支援技術、素材
3. 今後技術力を強化することで強みとすべき分野
<選定した技術分野>
バッテリ、交通管理システム、通信システム、監視・衝突回避、制御・誘導、システム関連技術
図 空飛ぶクルマの要素技術のうち日本の強みとなる分野
技術戦略文書で示した技術的整理や技術開発の方向性は、「空の移動革命に向けた官民協議会」の議論でも参照され、同協議会が3月に策定した「空の移動革命に向けたロードマップ」および「空飛ぶクルマの運用概念」の改訂にも反映されています。
今後、空飛ぶクルマを段階的に社会実装していくために必要な技術を具体的に示すとともに、産業界における研究開発の推進や投資判断に資する将来の予見性向上に貢献します。
MRIは、技術戦略文書が、要素技術の開発メーカーや研究開発機関が技術戦略を検討する際や、国・地方自治体での空飛ぶクルマの社会実装・導入補助の際の参考にされることを通じ、空飛ぶクルマの社会実装に貢献することを目指しています。今後も本調査の活動を通して関係者との議論を深め、空飛ぶクルマの技術戦略に関する検討を進める予定です。
空飛ぶクルマに関する技術戦略文書 -成熟度レベル4に向けた技術戦略-
※ 成熟度レベル:多様な空飛ぶクルマの社会実装を実現するために、必要な技術の成熟段階を整理した指標。詳細は、NEDO「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(DRESSプロジェクト)/空飛ぶクルマの先導調査研究」の成果報告書(https://www.nedo.go.jp/content/100944265.pdf)をご参照ください。