2024/06/04

小児用肺炎球菌ワクチンの費用対効果に関する分析結果が英文学術誌Expert Review of Vaccinesに掲載~費用削減額は今後10年間で約1,789億円、生産性損失を含めると約3,526億円と試算~

ファイザー 株式会社 

小児用肺炎球菌ワクチンの費用対効果に関する分析結果が
英文学術誌Expert Review of Vaccinesに掲載
~費用削減額は今後10年間で約1,789億円、生産性損失を含めると約3,526億円と試算~

報道関係各位

2024年6月4日
ファイザー株式会社

ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:原田明久)は、当社の小児用肺炎球菌ワクチンにおける、費用対効果分析の結果に関する論文がExpert Review of Vaccinesに掲載されたことをお知らせします。本研究は、論文の筆頭著者である慶應義塾大学医学部小児科学教室 新庄正宜先生の助言に基づき、当社が分析を行ったものです。概要は以下の通りです。

  • 日本における小児の肺炎球菌感染症予防について、当社の沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー13(R)水性懸濁注(以下、プレベナー13)」の代替として、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー20(R)水性懸濁注(以下、プレベナー20)」を導入する意義について、医療経済学の観点から評価しました。
  • プレベナー20の導入により、より多くの肺炎球菌感染症を予防し、医療費の削減にも繋がる可能性が示唆されました。
  • 費用対効果分析モデルに入れるワクチンの価格については、プレベナー13は日本での希望納入価格である7,200円、プレベナー20は分析当時の米国での価格を参考に8,102円と設定しました。分析の結果、今後10年間で、ワクチンの費用として約250億円が追加で必要となるものの、約2,039億円の医療費削減効果があり、差し引きで約1,789億円の費用削減と試算されました。さらに、子どもの病気のために、介護者が仕事を休むことなどによる生産性損失も含めると費用削減額は約3,526億円と試算され、プレベナー20の導入による費用対効果は良好との可能性が示唆されました(8,102円は日本の希望納入価格ではなく、費用対効果分析モデル用に設定した価格であり、実際のプレベナー20の日本での希望納入価格はこれより低く設定されています)。
  • 本分析は、疫学情報や治療費、さらにはワクチンの有効性、接種率、接種費用といったワクチン関連情報などの複数の情報を組み合わせ、費用対効果分析モデルを構築してシミュレーションを行ったため、分析に用いるパラメータの情報源の選択や分析結果の精度には限界があります。


図:コンピュータ・シミュレーションによる確率的感度分析

注釈)プレベナー13の代替として、プレベナー20を導入する際の費用対効果について、1,000回シミュレーションした。1つの青色プロットが1回のシミュレーション結果を示しており、1,000回中996回で効果が改善し、費用が削減される結果となった。縦軸は増分費用(ワクチン費用、治療費、生産性損失)を表しており、 プレベナー20を導入することで、追加でかかる費用を示している。費用がマイナスという事は、プレベナー20の導入により総費用が削減されることを意味する。一方、横軸は増分効果を表しており、プレベナー20を導入することで、追加で得られる効果を示している。なお、赤色プロットは1,000回の平均値である。

論文の詳細は以下からご参照ください。
Shinjoh M, Togo K, Hayamizu T et al. Cost-effectiveness analysis of 20-valent pneumococcal conjugate vaccine for routine pediatric vaccination programs in Japan. Expert Rev Vaccines. 2024.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14760584.2024.2345670?src=exp-la 

本研究論文の筆頭著者である、慶應義塾大学医学部小児科学教室 新庄正宜先生は次のように述べています。
「本論文では医療経済的な観点から、プレベナー20の価値を示すことができました。プレベナー20はプレベナー13と比べてカバーする血清型が多いため、高い有効性が期待されます。ワクチンの普及により、侵襲性感染症全体は大きく減るものの、ワクチンでカバーされない血清型の感染症が増えるという、いわゆる“血清型置換”が課題となっている現状において、肺炎球菌感染症から子どもたちを守るため、多くの血清型をカバーするワクチンの早期の導入が待ち望まれます」

<参考情報>
小児肺炎球菌感染症について
肺炎球菌には約100種類の型(血清型)があり、急性中耳炎や肺炎、特に小児や高齢者においては、菌血症、髄膜炎などの侵襲性感染症をきたす重要な病原体です1
プレベナー1は13種(1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、23F)の血清型を含むワクチンで、予防接種法に基づく「定期接種」に用いるワクチンのひとつとして、小児の肺炎球菌感染症の予防のために現在使用されています2
プレベナー13の普及に伴い、本剤に含まれている血清型由来の小児侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease; 以下、IPD)は減少しました3。プレベナー13販売開始時の2013年、小児のIPDを引き起こす肺炎球菌のうち、本剤でカバーされる血清型は53.2%でしたが、2023年では2.5%にまで減少しました3。現在は、プレベナー13に含まれないその他の血清型による感染症の増加が課題となっています1,3

プレベナー20(R)水性懸濁注(一般名:沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン)について
プレベナー20はプレベナー13に含まれている13種に加え、新たに7種(8、10A、11A、12F、15B、22F、33F)の血清型が追加されており、より広範な血清型をカバーしています。
本邦では2024年3月26日に小児における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による侵襲性感染症の予防」に対する国内における製造販売承認を取得しました4
また、本邦では、高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者における肺炎球菌による感染症予防を目的とした製造販売承認申請を、2023年9月13日に厚生労働省に行っています5。本剤の販売開始は現時点で本年8月頃を予定しています。

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<出典>

1. 国立感染症研究所. 病原微生物検出情報(IASR): 今後期待される新規肺炎球菌ワクチン. 2023;44:3-5.
2. 厚生労働省. 肺炎球菌感染症(小児). 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/pneumococcus/index.html 
3. 小児と成人の侵襲性肺炎球菌感染症の疫学情報. https://ipd-information.com/ 
4. https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2024/2024-03-26-01
5. https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2023/2023-09-13-02

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