2025/01/08

臨床試験の結果を分かりやすく伝える「プレーン・ランゲージ・サマリー(PLS)」第三世代ALK阻害剤のロルラチニブのPLSがFuture Oncology誌に掲載~肺がん治療に関する最新情報を患者さんなどに日本語で分かりやすくお届け~

ファイザー 株式会社 

臨床試験の結果を分かりやすく伝える「プレーン・ランゲージ・サマリー(PLS)」
第三世代ALK阻害剤のロルラチニブのPLSがFuture Oncology誌に掲載
~肺がん治療に関する最新情報を患者さんなどに日本語で分かりやすくお届け~

報道関係各位

2025年1月8日
ファイザー株式会社

ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:五十嵐啓朗)は、患者さん、ご家族、一般の方々に臨床試験の結果を分かりやすく表現する「プレーン・ランゲージ・サマリー(Plain Language Summary。以下、PLS)」の取り組みを進めています。

臨床試験の内容や結果は医学論文として公表されますが、医療従事者など専門家に向けた情報であるために、患者さん、ご家族、一般の方々にとっては必ずしも読みやすいものではないと言われています。このような課題を解決する方法として、誰もが容易に理解できるようにまとめたPLSがあります。欧州では、すべての臨床試験に対して医薬品企業がPLSを作成することが求められていますが、その多くは英語で記載されています。一方で、日本ではそのようなルールが無いため、日本においてもPLSをはじめとした医療用医薬品の情報にアクセスできる環境の改善が期待されています1,2

当社の医薬品ではこれまでに、乳がん治療に用いられる抗悪性腫瘍剤のパルボシクリブ(販売名:イブランス)などのPLSがFuture Oncology誌に掲載3,4されていますが、このたび、ALK陽性肺がん治療に用いられる、第三世代ALK阻害剤「ロルラチニブ(販売名:ローブレナ)」についてのPLS日本語訳版が2024年12月24日に同誌に掲載されましたのでお知らせします。詳細は以下のURLからご覧ください。
ifon-2024-2406117-Crown-Japanese-PLSP-1735042821760.pdf 

論文の背景

  • 本論文は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC:Non-Small Cell Lung Cancer)患者を対象とした第3相試験(CROWN試験)についてまとめたものです。
  • 治験責任医師らがロルラチニブと当社のクリゾチニブ(販売名:ザーコリ)を比較して、薬の効果や安全性を5年にわたり調べた内容を、わかりやすく記載したPLSとして日本語に翻訳しました。

論文のポイント

  • 治療開始から5年の時点で、がんの悪化を認めず過ごしていた患者の割合は、ロルラチニブで60%、クリゾチニブで8%でした。
  • 副作用のために薬の量を減らした人は、ロルラチニブで23%、クリゾチニブで15%、休薬した人は、ロルラチニブで62%、クリゾチニブで48%、薬を中止した人は、ロルラチニブ、クリゾチニブともに11%でした。

PLSの推進および本論文の意義について、国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター本部副本部長の若尾文彦先生は次のように述べています。
「治療に取り組む患者さんにとって、臨床試験も重要な情報となります。2018年4月施行の臨床研究法に基づき厚生労働省が開設した臨床研究等提出・公開システム(Japan Registry of Clinical Trials。以下、jRCT)5の整備が進み、臨床試験情報を探す手段は整備されつつあります。しかしながらjRCTの臨床試験情報は医療者向けであるために、患者さんには理解が難しい場合も多く、また、臨床試験の結果が示されているものは限られています。そのような中、臨床試験情報をわかりやすい言葉で、結果を含めて解説したPLSを日本語で提供することは、患者さんが情報を理解するために不可欠な取り組みです。今後、日本語のPLS公開がさらに進み、必要な方に情報が適切に届くことが、がん診療を推進させると考えます」

がん患者の立場から、情報入手等への期待について、肺がんサロンALK会代表の三宅房世氏は次のように述べています。
「患者の立場で治療に関する正確な情報を探そうとしても、科学的根拠が乏しいと思われる情報や、医療従事者でないとアクセスできない情報も多く見られ、患者向けの情報が不足していると思われます。PLS論文はインフォグラフィックも使われていてとてもわかりやすく、専門的なことがわからない患者でも理解しやすく、難しい用語も少ないので、最後までしっかりと読むことができます。現状、良い情報があってもなかなか患者の元に届かない状況があると思います。今後、PLSのような最新かつ分かりやすい情報の提供や、どうしたら患者の元に正しい情報が届けられるのかということを、患者と一緒に考えて欲しいと願っています。医療従事者、製薬企業、患者それぞれが、どの立場にとっても良い形の情報交換ができるようになると、同じ方向に向かって、質の良い医療の実現につながると思います」

がん領域においては、昨年3月に閣議決定された「第4期がん対策推進基本計画」6で、取り組むべき施策のひとつに、「患者さんやご家族に向けた情報提供」が挙げられています。そのような中、「がん情報の均てん化を目指す会」が2024年11月5日に発表したディスカッション・ペーパー7では、45%の患者さんがオンラインでがん関連情報を入手することに困難を感じていること、その困難の要因として、「専門用語が多い」「自分に合った情報を見つけることができない」などが報告されており、情報収集の課題が浮き彫りとなっています。

当社は上記の「がん情報の均てん化を目指す会」および、「科学的根拠に基づくがん情報の提供及び均てん化に向けた体制整備に資する研究」9に参加し、がん患者さんやご家族のみなさんが、がんに関する正しい情報を入手できる仕組みづくりに向け協働しています。また、当社は従来から、治験にご参加いただいた方々へ、治験結果概要などを「治験結果のまとめ」としてお伝えする取り組みも進めています8

今後も当社は各ステークホルダーの皆さまと協働し、患者さんやご家族のさまざまな情報ニーズに寄り添い、治験および市販後の臨床研究における分かりやすい情報を発信し、ひとりでも多くの方々に貢献してまいります。

ファイザーについて:患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす

ファイザーはサイエンスとグローバルなリソースを活用し、人々が健康で長生きし、生活を大きく改善するための治療法をお届けしています。私たちは、革新的な医薬品やワクチンを含むヘルスケア製品の探索・開発・製造における品質・安全性・価値の基準を確立するよう努めています。ファイザーの社員は、生命や生活を脅かす疾患に対するより良い予防法や治療法を提供することで、日々、世界中の人々の健康に貢献しています。世界有数の革新的医薬品企業の責務として、信頼できる医療に誰もが容易にアクセスできるように、世界中の医療従事者、政府、地域社会と協力しています。人々の期待に応えるため、私たちは175年以上にわたり前進し続けてきました。詳細はホームページ、公式SNSをご覧ください。

(米ファイザー本社)www.pfizer.com

(日本法人)www.pfizer.co.jpInstagram

<出典>

1. RESEARCH_PAPER_SERIES_No83.pdf 日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所(2024年3月)
2. PPI JAPAN_レイサマリー作成の手引き_v1.0_231013.pdf PPI Japan
3. Japanese Translation: Prolonging the life of people with metastatic breast cancer in routine clinical practice by adding palbociclib to an aromatase inhibitor from a real-world database analysis: a plain language summary 
4. Plain language summary of the updated results from the CROWN study comparing lorlatinib with crizotinib in people with advanced non-small-cell lung cancer: Future Oncology: Vol 19, No 14 
5. https://jrct.niph.go.jp/ 
6. https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/001091843.pdf 
7. https://plaza.umin.ac.jp/~CanRes/wpsystem/wp-content/uploads/2024/10/Equalization-of-Cancer-Information.pdf 
8. https://www.pfizer.co.jp/pfizer/development/dj-approach#content02 
9. https://plaza.umin.ac.jp/~CanRes/info/info-about/ 

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