米国Syros社が急性骨髄性白血病を対象とした臨床試験への新規の患者組み入れの中止を発表

2024/08/14  ラクオリア創薬 株式会社 

2024年8月14日
会 社 名 ラクオリア創薬株式会社

米国Syros社が急性骨髄性白血病を対象とした臨床試験への 新規の患者組み入れの中止を発表

このたび、当社連結子会社のテムリック株式会社(以下「テムリック」)の導出先であるSyros Pharmaceuticals Inc.(本社:米国マサチューセッツ州、以下「Syros社」)が、テムリックがSyros社に導出したレチノイン酸受容体α作動薬(タミバロテン/TM-411/SY-1425、以下「タミバロテン」)につきまして、急性骨髄性白血病(AML)を対象として現在実施中の第Ⅱ相臨床試験への新規の患者組み入れを中止することを発表しましたのでお知らせします。

タミバロテンはレチノイン酸受容体のαサブタイプ(RARα)選択的な作動薬であり、強い分化誘導活性を示すことから他の抗腫瘍剤との併用による相乗効果が期待される化合物です。Syros社は、2021年9月から、RARA陽性の未治療unfit※1)AMLを対象として、タミバロテン/ベネトクラクス/アザシチジンの三剤併用療法の第Ⅱ相臨床試験(SELECT-AML-1試験)を実施しております。2024年8月9日、SELECT-AML-1試験に登録された51例のデータを用いた中間解析が行われました。この中間解析には、事前に規定された拘束力のない無益性解析※2)も含まれています。中間解析の結果、SELECT-AML-1試験が最終解析で優位性を示す確率は低いと考えられたため、Syros社は新規の患者登録を中止する決定を下しました。タミバロテンをベネトクラクスおよびアザシチジンと併用することによる新たな安全性上の懸念は認められませんでした。Syros社は、2024年9月に開催される第12回血液腫瘍学会(SOHO)年次総会で、SELECT-AML-1試験のデータを発表する予定です。

Syros社は、RARA遺伝子が過剰発現しているHR-MDS患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(SELECT-MDS-1試験)において、タミバロテンをアザシチジンと併用する試験を継続しています。SELECT-MDS-1試験は、2024年第1四半期に無益性解析をクリアして予定通り進行しています。2024年第4四半期半ばまでにピボタルCRデータが得られる見込みです。

テムリックは2015年9月に、北米および欧州におけるタミバロテンのがん治療薬としての開発販売権をSyros社に許諾するライセンス契約を締結し、開発段階に応じたマイルストンおよび販売後のロイヤルティを受けとる権利を保有しております。本件による2024年12月期(2024年1月1日~2024年12月31日)の通期連結業績予想への影響はございませんが、テムリックおよび当社は、Syros社との連携をより強固にすることにより、必要とされる支援を遅滞なく実施するよう務め、今後のマイルストン収益およびロイヤルティ収益の早期獲得を目指して、効率良い業務マネジメントにおいて尽力して参ります。

[用語説明]

※1)unfit:高齢者など標準化学療法に不適な患者層を指します。

以 上

※2)無益性解析:事前に規定した仮説と評価基準に基づいて、試験結果を統計的に予測し、試験継続の要否を判断するための解析のことです。

以下の資料は、2024年8月12日(現地時間)付でSyros Pharmaceuticals Inc.(本社:米国・マサチューセッツ州)が同社ウェブサイトにて公表した資料(https://ir.syros.com/press

releases/detail/308/syros-provides-update-on-select-aml-1-phase-2-clinical-trial)の日本語翻訳です。この資料の正式言語は英語であり、内容および解釈については英語が優先します。

Syros 社、SELECT-AML-1第2相臨床試験の最新情報を発表

米国マサチューセッツ州ケンブリッジ--(BUSINESS WIRE) : 血液悪性腫瘍の最前線治療において新たな標準治療を推進するバイオ医薬品企業であるSyros Pharmaceuticals(NASDAQ:SYRS)(Syros社)は、本日、現在進行中の第Ⅱ相臨床試験(SELECT-AML-1試験※1))について、新規の患者組み入れを中止することを発表しました。SELECT-AML-1 試験では、新たに急性骨髄性白血病(AML)と診断され、かつRARA 遺伝子過剰発現のあるunfit※2)な患者を対象に、経口選択的レチノイン酸受容体α(RARα)作動薬であるタミバロテンをベネトクラクスおよびアザシチジンと併用した評価が行われています。本決定は、事前に規定された本試験の中間解析の結果に基づくものです。

2024 年8月9日、SELECT-AML-1に登録された51例のデータがレビューされました。このレビューの際には、無作為化された最初の40例において、約3か月間の試験薬投与または治療中止後に得られたデータについて、事前に規定された拘束力のない無益性解析※3)も行われました。完全奏効(CR)および不完全血液学的回復を伴う完全奏効(CRi)の率は、三剤併用群※4)(n=20; 65%, CI: 40.8-84.6)と二剤併用群※5)(n=20; 70%, CI: 45.7-88.1)でほぼ同程度でした。この結果、SELECT-AML-1試験が無作為化された80 名の患者データを用いる最終解析で優位性を示す確率は低いと考えられたため、Syros社は新規の患者登録を中止する決定を下しました。タミバロテンをベネトクラクスおよびアザシチジンと併用することによる新たな安全性シグナルは見られませんでした。SELECT-AML-1 試験に現在登録されている患者には、治験責任医師の判断により試験を継続する機会が与えられます。Syros 社は、2024 年9月に開催される第12回血液腫瘍学会(SOHO)年次総会で、SELECT-AML-1試験のデータを発表する予定です。

Syros 社の最高医学責任者のDavid A. Roth氏は次のように述べています。「予期せぬ試験結果に非常に落胆しています。特にAML患者さんにとっても予期せぬ結果であったと考えます。当社が先行して行った第2 相臨床試験では、タミバロテンとアザシチジンの二剤併用療法がRARA 過剰発現を持ち新たにAML と診断された患者さんにおいて61%のCR/CRi率を示しました。この結果は高リスク骨髄異形成症候群(HR-MDS)に対する二剤併用療法を追求する私たちの信念を支持するものです。私たちは、HR-MDSの治療にタミバロテンを提供するというコミットメントを堅持し、第4四半期半ばまでにSELECT-MDS1 の重要なデータを共有できることを楽しみにしています。」

Syros 社は、RARA 遺伝子が過剰発現しているHR-MDS患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(SELECTMDS-1 試験)において、経口選択的レチノイン酸受容体α(RARα)作動薬であるタミバロテンをアザシチジンと併用する試験を継続しています。SELECT-MDS-1試験は、2024年第1四半期において事前に規定された無益性解析をクリアして予定通り進行しています。2024年第4四半期半ばまでにピボタルCRデータが得られる見込みです。

[用語説明](本用語説明はラクオリア創薬株式会社にて追加したものです)

※1)SELECT-AML-1 試験:急性骨髄性白血病(AML)を対象としてSyros社が実施している、タミバロテンをベネトクラクス/アザシチジンと併用した三剤併用療法の臨床試験の名称です。

※2)unfit:高齢者など標準化学療法に不適な患者層を指します。

※3)無益性解析:事前に規定した仮説と評価基準に基づいて、試験結果を統計的に予測し、試験継続の要否を判断するための解析のことです。

※4)三剤併用群:SELECT-AML-1試験において、タミバロテンをベネトクラクスおよびアザシチジンと組み合わせて投与する患者さんのグループを指します。

※5)二剤併用群:SELECT-AML-1試験において、ベネトクラクスおよびアザシチジンのみを投与する患者さんのグループを指します。

以上

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