抗体-薬物複合体PADCEVTM(エンホルツマブ ベドチン) 中国で承認を取得

2024/08/20  アステラス製薬 株式会社 

抗体-薬物複合体PADCEVTM (エンホルツマブ ベドチン) 中国で承認を取得

- 中国の局所進行性または転移性尿路上皮がん患者さんに新たな治療選択肢を提供 -

2024年08月20日

アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、Pfizer Inc.(本社:米国ニューヨーク州、以下、「Pfizer」)と共同で開発を進めている抗体-薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)であるPADCEVTM (一般名:エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換え))について、白金製剤を含む化学療法およびPD-1またはPD-L1阻害剤による治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がん(locally advanced or metastatic urothelial cancer:la/mUC)患者における治療薬として、中国の国家薬品監督管理局(National Medical Products Administration:NMPA)の医薬品評価センター(Center for Drug Evaluation: CDE)から承認を取得しました。

今回の承認は、グローバル試験であるEV-301試験および中国で実施されたEV-203試験のデータに基づいています1,2 。EV-301試験は、エンホルツマブ ベドチンのグローバルでの申請の根拠となった第 III 相試験であり、EV-203試験はそのブリッジング試験です。 EV-203試験は、PD-1またはPD-L1阻害剤および白金製剤を含む化学療法の治療歴のある中国人la/mUC患者を対象にした単群非盲検多施設共同第II相試験です1 。独立審査委員会による客観的奏効率(Overall Response Rate:ORR)について、エンホルツマブ ベドチン投与群は37.5%(n/n=15/40、95%信頼区間:22.7-54.2)であり、過去の対照群と比較して有意な改善が認められ、主要評価項目を達成しました1 。また、有効性および薬物動態はEV-301試験と同様の結果であり、治療に関連する有害事象の大部分がグレード1-2でした1

尿路上皮がんは、下部尿路(膀胱と尿道)および上部尿路(尿管と腎盂)の両方に影響をおよぼす、侵襲性の高いがんです3,4,5 。中国では2022年に、92,000人以上が膀胱がんと診断され、約41,000人が死亡しました6 。la/mUCは生存率が特に低く、アンメットメディカルニーズの高い疾患です。

本件によるアステラス製薬の業績への影響は、通期(2025年3月期)連結業績予想に織り込み済みです。

詳細は2023年3月10日に開示したプレスリリース「抗体-薬物複合体エンホルツマブ ベドチン 局所進行性または転移性尿路上皮がんを対象とした生物学的製剤承認申請が中国で受理」をご覧ください。

以上

EV-203試験( NCT04995419)について
EV-203 試験は、中国人患者を対象にエンホルツマブ ベドチンの有効性、安全性および薬物動態を評価するための、中国における単群非盲検多施設共同第II相ブリッジング試験です。本試験にはPD-1またはPD-L1阻害剤および白金製剤を含む化学療法による治療歴のある、40例のla/mUC患者が組み入れられました1
独立審査委員会による客観的奏効率(ORR)について、エンホルツマブ ベドチン投与群は37.5%(n/n=15/40、95%信頼区間:22.7-54.2)であり、主要評価項目を達成しました。完全奏効は1例(2.5%)、部分奏効は14例(35.0%)の患者で認められました1

EV-203試験において、新たな安全性上の問題は確認されませんでした。治療に関連する有害事象の大部分がグレード1、2であることが示されました。2人の患者が、治療関連の有害事象(急性冠症候群および高血糖症、発疹)により、投与を中止しました1

EV-203試験の詳細は、www.clinicaltrials.gov.を参照ください。

EV-301 試験( NCT03474107)について
EV-301 試験は、国際共同、多施設、非盲検、無作為化第 III 相試験です。本試験は、白金製剤を含む化学療法および PD-1 または PD-L1 阻害剤による治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がん患者 608名を対象に、エンホルツマブ ベドチン投与群を、医師の選択する化学療法(ドセタキセル、パクリタキセルあるいはビンフルニン)群と比較しています7 。主要評価項目は全生存期間です。副次的評価項目には、無増悪生存期間、客観的奏効率、奏効期間、病勢コントロール率のほか、安全性/忍容性、QOL(Quality-of-Life)パラメータの評価が含まれます。

本試験において、全生存期間(Overall Survival:OS)の中央値はエンホルツマブ ベドチン投与群で12.88カ月、化学療法群で8.97カ月であり(ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.56-0.89、p=0.001)、エンホルツマブ ベドチン投与群は化学療法群に比べ、長い生存期間を示しました2 。無増悪生存期間(Progression-Free Survival:PFS)の中央値は、エンホルツマブ ベドチン投与群5.55カ月に対し、化学療法群3.71カ月でした(ハザード比:0.62、95%信頼区間:0.51-0.75、p<0.001)2 。治療と関連のある有害事象の発現率は、両群間で同程度(エンホルツマブ ベドチン投与群93.9%、化学療法群91.8%)でした。グレード3以上で治療と関連のある有害事象は、両群間で同程度(エンホルツマブ ベドチン投与群51.4%、化学療法群49.8%)でした2
本試験の結果はThe New England Journal of Medicineに掲載されました。

EV-301試験の詳細は、www.clinicaltrials.gov.を参照ください。

膀胱がんと尿路上皮がんについて
尿路上皮がんまたは膀胱がんは、尿道、膀胱、尿管、腎盂、およびその他の臓器の内側を覆う尿路上皮細胞で発生します5 。尿路上皮がんは、膀胱がんの90%を占め、腎盂、尿管および尿道にもみられます7,8 。膀胱がんが周囲の臓器や筋肉に転移している場合、それは局所進行疾患と呼ばれます9 。がんが体の他の部分に転移した場合、それは転移性疾患と呼ばれます10 。症例の約12%がla/mUCと診断され、その予後は不良です11
中国では、2022 年の膀胱がんの発生率はすべてのがんの中で 11 番目に多く、新規患者は推定 92,000 例以上でした6 。中国における膀胱がんの 5 年生存率は、100,000例あたり2.5例、つまり276,102例と推定されます6 。継続的な治療と観察が必要になるため、膀胱がんは他のがん腫と比べて治療費が高額になると言われています12

PADCEVTM (エンホルツマブ ベドチン)について
エンホルツマブ ベドチンは、ほぼ全ての尿路上皮がん細胞に発現し、細胞間の接着に関連するタンパク質であるネクチン-4を標的とするファーストインクラスのADCです13,14 。非臨床試験データから、エンホルツマブ ベドチンの抗腫瘍活性は、がん細胞上でエンホルツマブ ベドチンがネクチン-4に結合して標的細胞内に取り込まれると細胞障害性物質であるモノメチルアウリスタチンE(Monomethyl auristatin E:MMAE)が放出され、細胞増殖抑制(細胞周期停止)および細胞死(アポトーシス)が生じることによることが示唆されています13

アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、世界70カ国以上で事業活動を展開している製薬企業です。最先端のバイオロジーやモダリティ/テクノロジーの組み合わせを駆使し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出に取り組んでいます(Focus Areaアプローチ)。さらに、医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベースに、最先端の医療技術と異分野のパートナーの技術を融合した製品やサービス(Rx+(R) )の創出にも挑戦しています。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えていきます。アステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。

Pfizerとの提携について
Pfizerとアステラス製薬は、全世界でエンホルツマブ ベドチンを共同開発しています。米国では、Pfizerとアステラス製薬が PADCEV(R) というブランド名でエンホルツマブ ベドチンを共同販促しています。Pfizerは、米国以外の南北アメリカにおいて、製品化にかかわる活動および規制当局への薬事申請に責任を負っています。アステラス製薬は、南北アメリカ以外において、製品化にかかわる活動および規制当局への薬事申請に責任を負っています。

注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

参考文献
1 Siming L, et al. EV-203: Phase 2 trial of enfortumab vedotin in patients with previously treated advanced urothelial carcinoma in China. J Clin Oncol . 2023;41(16):e1657.
2 Powles T, et al. Enfortumab vedotin in previously treated advanced urothelial carcinoma. NEJM. 2021;384:1125-1135.
3 Vartolomei L, et al. Bladder Cancer: Depression, anxiety, and suicidality among the highest-risk oncology patients. European Urology Focus . 2020;6(5):1158-1161.
4 Mayo Clinic. Bladder cancer. (March 2024). Available at:
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/bladder-cancer/diagnosis-treatment/drc-20356109. Last accessed: August 2024.
5 National Cancer Institute. What is bladder cancer? (February 2023) Available at:https://www.cancer.gov/types/bladder. Last accessed: August 2024.
6 International Agency for Research on Cancer (IARC). Global Cancer Observatory. China factsheet. (2022). Available at:
https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/160-china-fact-sheet.pdf. Last accessed: August 2024.
7 Leow JJ, et al. Optimal management of upper tract urothelial carcinoma: Current perspectives. Onco Targets Ther . 2020;13:1-15.
8 Petros FG. Epidemiology, clinical presentation, and evaluation of upper-tract urothelial carcinoma. Transl Androl Urol . 2020;9(4):1794-8.
9 National Cancer Institute. NCI dictionary of cancer terms: Locally advanced cancer. Available at:
https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/locally-advanced-cancer. Last accessed: August 2024.
10 American Cancer Society. If you have bladder cancer. (March 2024). Available at:
https://www.cancer.org/cancer/types/bladder-cancer/if-you-have-bladder-cancer.html. Last accessed: August 2024.
11 National Cancer Institute. Cancer stat facts: bladder cancer. Available at:
https://seer.cancer.gov/statfacts/html/urinb.html. Last accessed: August 2024.
12 Aly A, et al. The real-world lifetime economic burden of urothelial carcinoma by stage at diagnosis. J Clin Pathw . 2020;6(4):51-60.
13 European Medicines Agency. PADCEV EMA SmPC. Available at:
https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/padcev-epar-product-information_en.pdf. Last accessed: August 2024.
14 Challita-Eid PM, Satpayev D, Yang P, et al. Enfortumab vedotin antibody-drug conjugate targeting nectin-4 is a highly potent therapeutic agent in multiple preclinical cancer models. Cancer Res . 2016;76(10):3003-13.


抗体-薬物複合体PADCEVTM (エンホルツマブ ベドチン) 中国で承認を取得

関連業界

情報・通信業界のニュース