下水中から各種病原体遺伝子を検出できるキットを開発

2024/01/31  タカラバイオ 株式会社 

2024年1月31日

下水中から各種病原体遺伝子を検出できるキットを開発

タカラバイオ株式会社と国立大学法人山梨大学国際流域環境研究センター 原本英司教授は、下水中に含まれるインフルエンザウイルス A/B、腸管系病原性細菌の遺伝子を検出するリアルタイム PCR キット(以下、本シリーズ)を共同で開発しました。開発したキット(研究用)はタカラバイオ株式会社から本日より販売します注 1。

下水サーベイランスは、下水処理場で採取される下水試料を活用し、病原体遺伝子を定期的にモニタリング調査することで、広域な感染流行状況を把握できる手法です。現在、全世界で感染症の監視体制の強化のために、新型コロナウイルス感染症やノロウイルスなどの流行状況の早期アラートなどに使用されており、今後もますます利用範囲は拡大していくものと思われます。

タカラバイオ株式会社と国立大学法人山梨大学国際流域環境研究センター 原本英司教授は、共同研究を通じて既に下水中から新型コロナウイルスを検出できる方法を開発し、検査キットをタカラバイオ株式会社より販売しています注 2。

このたび、インフルエンザウイルス A/B および腸管系病原性細菌(腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌、赤痢菌)の遺伝子を検出できるキットを新たに開発しました。キット化によって、各種試薬を揃える必要がなく、煩雑な準備作業の省力化が可能となりました。さらに、検査の工程管理に有用なプロセスコントロール用 RNA 注 32 種(トウガラシ微斑ウイルスおよび Phi6 ファージ由来)を検出するキットを開発し、同時に発売します。

本シリーズは、リアルタイムPCRに必要な試薬(PCR 酵素液、プライマー・プローブ、陽性コントロールなど)を含むオールインワンキットであり、同一の反応条件を設定できるため、複数の病原体遺伝子を同時に検出することが可能です。これらの特長から、本シリーズは、下水サーベイランスにおける検査者の労力の低減、結果取得までの時間短縮などに貢献します。

今後も共同研究を続け、ノロウイルスや RS ウイルス等の遺伝子を検出する方法を開発していく予定です。

(注 1)本製品は研究用試薬です。出荷開始日は 2 月 9 日を予定しています。

(注 2)「下水中の新型コロナウイルスを検出する PCR キットを発売」(2021 年 9 月 15 日付 タカラバイオ株式会社 プレスリリース)

https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_21m0915Jek2_bv2659fr.html

(注 3)プロセスコントロールはウイルスの濃縮から検出過程で発生した PCR の反応阻害の検出に用います。トウガラシ微斑ウイルスは、下水中に高濃度で存在しているため別添加不要で利便性が高く、また Phi6 ファージは既知量を添加することで検出効率の計算に利用可能です。プロセスコントロールについてはマニュアル*に記載のものを採用しています。

*:公益社団法人日本水環境学会 COVID-19 タスクフォース発行「下水中の新型コロナウイルス遺伝子検出マニュアル」(2021 年 3 月)

【製品概要】

検出対象
製品名
製品コード
容量
希望小売価格(税別)

イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル スA/B
Influenza virus Detection RTqPCR Kit for Wastewater
RC382A
各 100 回
120,000 円

腸管系病原性細菌(腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌、赤痢菌)
Intestinal pathogenic bacteria Detection qPCR Kit for Wastewater
RC383A
各 100 回
160,000 円

トウガラシ微斑ウイルス(プロセスコントロール)
PMMoV Detection RT-qPCR Kit for Wastewater
RC380A
100 回
66,000 円

Phi6 ファージ(プロセスコントロール)
Phi6 Detection RT-qPCR Kit for Wastewater
RC381A
100 回
66,000 円

【製品情報 URL】

https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100009673

【製品画像】

左から PMMoV Detection RT-qPCR Kit for Wastewater
Influenza virus Detection RT-qPCR Kit for Wastewater
※画像はイメージです。製品の仕様、外観は予告なく変更する場合があります。

製品についての問い合わせ先
タカラバイオ株式会社 テクニカルサポートライン
TEL:077-565-6999(平日 9 時-17 時)
URL:https://www.takara-bio.co.jp/research/support/tsl/index.php

研究についての問い合わせ先
山梨大学国際流域環境研究センター 教授 原本 英司(はらもと えいじ)
TEL:055-220-8725
E-mail:eharamoto@yamanashi.ac.jp
URL:http://www.ccn.yamanashi.ac.jp/~eharamoto/

広報についての問い合わせ先
タカラバイオ株式会社 広報・IR 部
TEL:077-565-6970

山梨大学総務企画部総務課広報企画室
TEL:055-220-8005,8006
FAX:055-220-8799
E-mail:koho@yamanashi.ac.jp

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