市販薬EC市場(小売りベース)を調査

2024/07/18  株式会社 富士経済 

第24065号

市販薬EC市場(小売りベース)を調査

― 2029年予測(2023年比) ―
国内の市販薬EC市場 1,126億円(24.6%増)
実店舗で購入しづらい製品、購入の緊急性が低い製品、持ち運び難い製品など、
ECチャネルからの購入は着実に増加

発毛剤EC市場 144億円(30.9%増)
実店舗購入への抵抗感、まとめ買いニーズもあることから今後も伸長

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、国内では初の試みとなる、各種ECサイトを経由して流通する市販薬市場(市販薬EC市場)の調査を実施した。その結果を「全面解禁により注目が集まるOTC医薬品ECチャネルの全容 2024」にまとめた。

この調査では、市販薬EC市場を、品目区分別、ECチャネル区分別に把握し、今後の動向を明らかにした。

市販薬は2014年6月12日の改正薬事法の施行により、一部を除きネット販売が可能となった。参入メーカーのECサイトや仮想ショッピングモール、ドラッグストア・調剤薬局ECサイトなどで販売が広がり、特に仮想ショッピングモールでの伸長により市場は拡大した。

医療用医薬品から市販薬に移行した直後の要指導医薬品については対面販売義務が残っていたが、2023年に厚生労働省が薬剤師のビデオ通話による服薬指導を条件に2025年以降ネット販売を解禁する見通しを明らかにしたことで、市販薬のネット販売は全面解禁に向かっている。

◆調査結果の概要

■国内の市販薬EC市場

2023年の市販薬EC市場は904億円、国内の市販薬全体市場における比率(EC比率)は6.9%となった。ECチャネルからの購入は徐々に増えており、EC比率も着実に伸びている。発毛剤やビタミン剤、ドリンク剤が市場拡大をけん引している。発毛剤は実店舗より気軽に買えることからEC適性が高く、ビタミン剤は購入の緊急性が低く、特に、ひざの痛みや関節痛に効くビタミンB1主薬製剤はリピート購入があるためECとの親和性が高い。ドリンク剤は購入量によっては重くかさばるためEC利用も多い。ECチャネル別では仮想ショッピングモールが市場の7割弱を占める。2割強を占める参入メーカーのECサイトはブランド指名買いによる安定した売上を確保している。ドラッグストア・調剤薬局ECサイトはチェーンによって注力度に温度差がある。

2029年の市場は2023年比24.6%増が予測される。EC比率も1.2ポイント上昇する。発毛剤やビタミン剤、ドリンク剤に加え、実店舗で購入しづらい製品、購入の緊急性が低い製品、持ち運びにくい製品、まとめ買いに向いた製品、大容量帯が好まれる製品など、また、実店舗の棚に入りにくいニッチな製品もECサイトでは検索により見つけ出すことができることから今後もECシフトが予想される。2025年以降には要指導医薬品のネット販売解禁が予定されていることも市場へのプラス要因になるとみられる。

◆注目市場

●発毛剤EC市場

発毛促進、育毛、脱毛の予防、ふけ・かゆみの防止、また、壮年性脱毛症や円形脱毛症、薄毛等における発毛、育毛および脱毛(抜け毛)の進行予防などの効果・効能をもつ市販薬を対象とする。ECチャネルでの展開をメインとするアンファーの「スカルプD メディカルミノキ5」や、実店舗でも同様に展開する大正製薬の「リアップ」シリーズなどがある。

2023年の市場は110億円となった。実店舗での購入は人の目が気になったり、抵抗感を感じたりする利用者が多いため、EC比率は32.2%と高い。毛髪が成長するまで時間を要することから、複数本のまとめ買いニーズに対応した展開(セット販売)や、実店舗や競合製品に対して価格面で優位性を打ち出す展開なども行われている。

◆調査対象

【調査対象】
・ECチャネルを介する市販薬(OTC医薬品) ※ドリンク剤は医薬部外品も含む

【品目区分】
・ビタミン剤(ビタミンB1主薬製剤、ビタミンB2主薬製剤、しみ改善薬)
・ドリンク剤
・総合胃腸薬
・痔疾用薬
・便秘薬
・総合感冒薬
・解熱鎮痛剤
・鼻炎治療剤(内服)
・外用消炎鎮痛剤
・皮膚治療薬
・発毛剤
・目薬
・その他市販薬

【ECチャネル区分】
・メーカーECサイト
・仮想ショッピングモール(メーカー・小売り出店分)
・仮想ショッピングモール(仮想ショッピングモール企業仕入販売分)
・ドラッグストア・調剤薬局ECサイト
・その他ECサイト

2024/7/18

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