抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ(R)の第Ⅲ相臨床試験(伝播抑制試験)の良好な結果について

2024/09/19  塩野義製薬 株式会社 

プレスリリース

2024/09/19

抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ(R)の第Ⅲ相臨床試験(伝播抑制試験)の良好な結果について

  • インフルエンザウイルス感染症の治療にゾフルーザ(R)を使用することで、家庭内におけるインフルエンザウイルスの伝播リスクを、プラセボに対して統計学的に有意に減少(主要評価項目を達成)
  • 呼吸器感染症において、治療に使用される抗ウイルス薬が伝播抑制を示した初めての臨床試験結果

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ(R)(一般名:バロキサビル マルボキシル、以下「ゾフルーザ」)のグローバル第III相臨床試験(伝播抑制試験:CENTERSTONE試験)において、主要評価項目を達成しましたので、お知らせいたします。なお、本結果につきましては、提携先であるF. Hoffmann-La Roche Ltd.(本社:スイス バーゼル、CEO:Dr. Severin Schwan、以下「Rocheグループ」)も発表しています。

CENTERSTONE試験は、インフルエンザウイルス感染症と診断された患者とその同居家族または共同生活者を対象に、「ゾフルーザの1回経口投与による家庭内でのインフルエンザウイルスの伝播抑制効果」の検証を目的に実施されました。

主要評価項目である「インフルエンザウイルス感染症患者が被験薬を服用後、5日以内にインフルエンザ陽性と判定された同居家族または共同生活者の割合」について、ゾフルーザはプラセボに対して統計学的に有意に低い結果を示しました。この結果より、インフルエンザウイルス感染症患者に対するゾフルーザの1回経口投与は、同居家族または共同生活者のインフルエンザウイルス感染リスクを有意に減少させることが示されました。また、安全性面での新たな懸念は確認されませんでした。

Rocheグループのチーフメディカルオフィサー兼グローバル製品開発責任者であるLevi Garraway医学博士は、次のように述べています。「ゾフルーザのインフルエンザ治療および曝露後予防における確立された有効性に加え、今回の伝播抑制に関する新たなエビデンスは、公衆衛生の改善に寄与する可能性を示しています。このデータをもとに、規制当局や公衆衛生機関と協議し、ゾフルーザの伝播抑制効果という有用性を、多くの方に届けられることを期待しています。」

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、啓発・予防・診断ならびに重症化抑制といった感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。引き続き、Rocheグループと連携し、本薬の有効性、安全性に関するデータの収集と解析に鋭意取り組み、適正使用に向けた情報提供活動に努めてまいります。

なお、本件が2025年3月期連結業績に与える影響は軽微です。

以 上

【CENTERSTONE試験について】

CENTERSTONE試験 [NCT03969212] は、インフルエンザウイルス感染症と診断された患者とその同居家族または共同生活者を対象に、「ゾフルーザの1回経口投与による家庭内でのインフルエンザウイルスの伝播抑制効果」の検証を目的に実施された、グローバル第III相臨床試験です。本試験は、世界272カ所の施設で実施され、4,000人以上が参加しました。主要評価項目は、「インフルエンザウイルス感染症患者が被験薬を服用後、5日以内にインフルエンザ陽性と判定された同居家族または共同生活者の割合」でした。このランダム化プラセボ対照試験は、米国FDAおよびインフルエンザの専門家の見解をもとにデザインされました。なお、試験結果の詳細は、2024年9月29日から10月2日にオーストラリアのブリスベンで開催される学会(OPTIONS XII for the Control of INFLUENZA)で発表される予定です。

【ゾフルーザ(R)について】

塩野義製薬が創製したゾフルーザ(バロキサビル マルボキシル)は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりインフルエンザウイルスの増殖を抑制し、1回の経口投与で効果を発揮します1。ゾフルーザ(R)は非臨床試験において、オセルタミビルに耐性を示すウイルスおよび、鳥インフルエンザウイルス(H7N9、H5N1)を含むインフルエンザウイルスに抗ウイルス効果を示しました2,3。本薬の開発および販売は、Rocheグループとの提携下で進めており、日本と台湾における販売は塩野義製薬が、それ以外の国ではRocheグループが行っています。日米を含め80ヵ国以上でインフルエンザウイルス感染症治療薬として承認されています。日本においては、成人および小児に対する「A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療および予防」を効能・効果として販売されています。

参考:

1. Hayden FG, et al. N Engl J Med 2018;379:913?923.

2. Noshi T, et al. Antiviral Res. 2018;160:109-117.

3. Taniguchi K, et al. Sci Rep. 2019;9:3466.?

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