コンクリート廃棄物を利用しCO2を再資源化した合成炭酸カルシウムの製造・販売に関するMOUの締結 ― アスファルトで脱炭素・資源循環に貢献 ―

2023/06/15  出光興産 株式会社 

コンクリート廃棄物を利用しCO2を再資源化した合成炭酸カルシウムの製造・販売に関するMOUの締結 ― アスファルトで脱炭素・資源循環に貢献 ―

2023年6月15日
出光興産株式会社
日本コンクリート工業株式会社

出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:木藤俊一、以下「出光」)と日本コンクリート工業株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:塚本博、以下「日コン」)は、コンクリート廃棄物を利用したCO2再資源化技術(以下「本技術」)により生成される合成炭酸カルシウム(以下「合成炭カル」)の製造・販売事業に関して、両社で協力を進めることに基本合意しました。本取り組みでは、アスファルト混合物等に含まれるフィラー(混和剤/微粉末充填剤)として、人工的に製造した合成炭カルを使用します。合成炭カルは、ボイラー排ガス中のCO2とコンクリート廃棄物に含まれるカルシウムを反応させて製造し、道路舗装等へのCO2固定化を実現するとともに、廃棄物の有効活用・資源循環に貢献します。

※CO2再資源化技術
工場や発電所で排出されるCO2を炭素資源ととらえ、排ガスから回収したCO2を化学的に有用な物質に変換することで、様々な用途に再利用する技術。CO2を有用な資源として「使う」ことが可能になるため、技術の開発・普及に期待が高まっている。

両社がCO2再資源化技術で製造した合成炭カル

CO2を資源としてとらえ、再利用するカーボンリサイクルが世界的に推進される中、合成炭カルの製造は技術確立が比較的容易であることから、早期の社会実装が期待されています。社会実装には、用途開発が課題のひとつとなっており、両社はこれまで、合成炭カルの製造方法に関する基本特許の共同出願や合成炭カルを用いたアスファルト混合物の試験舗装を実施するなど、製造と用途の開発に向けた協力を進めてきました。このたび、合成炭カルをアスファルト舗装等のフィラー(混和剤/微粉末充填剤)として使用できる目途がついたことから、両社でMOUを締結し、事業化に向け以下の項目について共同で検討・実施します。

  • 合成炭カル製造設備(製造能力700t/年、以下パイロットプラント)の建設と性能確認
    (日コン100%子会社の“NC西日本パイル製造株式会社”滋賀工場内)
  • 製造する合成炭カルの品質評価
  • 製造された合成炭カルを使ってのマーケティング

本取り組みでは、両社の知見・強みを生かし、原則として製品製造は日コン、製品の販売を出光が担当する予定です。滋賀工場内のパイロットプラントの稼働後も順次、量産化へ向け装置を立ち上げていく構想で、2024年度内の商業化を目指します。

日本全国のアスファルト舗装材料出荷量は年間約4,000万トンですが、その中にはフィラーとして石灰岩を粉砕した石粉が約3%含まれ、使用量は年間120万トンになります。両社で開発した合成炭カルは、成分の約20%強がCO2となるため、フィラーのすべてを合成炭カルに置き換えることができれば、アスファルト舗装の中に年間約25万トンのCO2を固定することが可能となる試算です。
両社は本取り組みを通じ、カーボンニュートラル社会の実現へ向けた技術開発を進め、CO2を削減するだけではなく、「使う」技術の社会実装に貢献してまいります。

【参考】

  1. 合成炭カル製造過程
  2. アスファルト舗装への合成炭カルの適用イメージ

~お問い合わせ先~

出光興産株式会社 広報部広報課 https://www.idemitsu.com/jp/contact/newsrelease_flow/index.html

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