2024年 国際アルツハイマー病学会(AAIC)において、アルツハイマー型認知症に伴う アジテーションに対するブレクスピプラゾールの有効性に関する新たなデータ解析結果を発表

2024/08/02  大塚製薬 株式会社 

大塚製薬株式会社
H.ルンドベックA/S

医療関連事業

2024年8月2日

2024年 国際アルツハイマー病学会(AAIC)において、アルツハイマー型認知症に伴う アジテーションに対するブレクスピプラゾールの有効性に関する新たなデータ解析結果を発表

  • 長期データの解析によると、ブレクスピプラゾールは24週間にわたり持続的かつ臨床的意義のある反応を認め、一貫した改善率を示しました。1
  • ブレクスピプラゾール群はプラセボ群と比較し、「落ち着きのなさ」「徘徊する、目的なく歩き回る」「悪態をつく、あるいは言語的攻撃」といった、最もよくみられるアジテーション症状の頻度を減少させました。2
  • 介護者が「最も困っている」と評価した行動において、ブレクスピプラゾール群はブラセボ群と比較してこれらの頻度を大きく減少させました。3
  • ブレクスピプラゾールは「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」の治療において米国食品医薬品局(FDA)から初めて承認された唯一の医薬品です。4

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)とH.ルンドベックA/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、以下「ルンドベック」)は、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション*1の患者さんに対するブレクスピプラゾールの安全性と有効性を評価するグローバルフェーズ3試験*2に関する新たな事後プール解析結果を発表しましたので、お知らせします1-3。本発表は、米国フィラデルフィア州で2024年7月28日から8月2日まで開催された2024年国際アルツハイマー病学会(Alzheimer’s Association International Conference: AAIC) にて行われました1-3
*1:本効能は日本国内では未承認 *2:日本は不参加

フェーズ3試験の延長試験の新たな解析により、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの治療にブレクスピプラゾールが有効であることが確認されました。当解析では、「アジテーション症状29項目の出現頻度を評価する指標CMAI*の総スコアから20点以上の減少」を「臨床的意義のある反応(clinically meaningful response:CMR)」と定義した上で、12週時と24週時(NCT03548584 試験および NCT03594123試験)における患者さんのCMRを調査しました。フェーズ3試験の最初の12週間において、ブレクスピプラゾール群の約62%、プラセボ群の約45%がCMRを達成しました。12週間の試験終了の後、患者さんは有効性を探索するための12週間の延長試験に参加しました。最初の12週間プラセボ投与を受けていた患者さんは延長試験ではブレクスピプラゾールに切り替え、12週間投与しました。24週時点において、全24週間ブレクスピプラゾールの投与を受けた患者さんの約82%がCMRを達成し、プラセボからブレクスピプラゾールに切り替えた患者さんの約73%がCMRを達成しました。1

二つ目の解析は、2本のフェーズ3試験(NCT03548584試験およびNCT01862640試験)において、ベースライン時に最も頻繁にアジテーション症状を示した患者さん(610名)について行いました。CMAIを指標に、「落ち着きのなさ」「徘徊する、目的なく歩き回る」「悪態をつく、あるいは言語的攻撃」などの 29項目を「1(全くない)」から「7(1時間に数回)」のスコアで評価しました。ブレクスピプラゾール群において、最も一般的なアジテーション症状の頻度が減少し、29項目のうち24項目で、プラセボ群と比較してベースラインから12週時の最小二乗平均CMAIスコアの減少が大きかったことが示されました。2

同じ患者群(610名)に対して、家族など無償の介護者が「最も困る」と考え、患者さんを介護施設へ入居させざるを得なくなるようなアジテーション症状に対するブレクスピプラゾールの効果についても検証しました。過度の運動行動、攻撃的発言、攻撃的行動などの「最も困る」とされる行動を頻繁に示す患者さんにおいて、ブレクスピプラゾールの固定用量(1日2mg または 3mg)の投与は、プラセボ群と比較してこれらの行動の頻度を大きく減少させました。3

大塚製薬取締役兼、大塚ファーマシューティカルD&C上級副社長兼医学責任者 ジョン・クラウスは、「アジテーションは、アルツハイマー型認知症の患者さんの介護において、複雑でストレスなものです5。今回、ブレクスピプラゾールが24週間にわたり持続的に臨床的意義のある反応と関連することが示されたことは、臨床医にとって実践に役立つ長期的な情報となります1」と述べています。

ルンドベック社の上級副社長兼研究開発責任者であるJohan Luthmanは、「このたびの新たなデータ解析の結果は、患者さんに最も頻繁にみられるアジテーション症状に対してブレクスピプラゾールが有効であることを示しています。今回の解析結果は、アジテーション症状が患者さんや介護者の生活におよぼすさまざまな問題に対するブレクスピプラゾールの可能性を示す、これまでの豊富な臨床エビデンスを補完するものです」と述べています。

*CMAI(Cohen-Mansfield Agitation Inventory)は、攻撃的行動と非攻撃的行動を含む29項目のアジテーション症状の出現頻度を7段階で評価する指標です。各行動は1(全くない)から7(1時間に数回)までスコアリングされます。攻撃的行動には「叩く」「蹴る」「押す」「ひっかく」「悪態をつく、あるいは言語的攻撃」などが、非攻撃的行動には、「徘徊する、目的なく歩き回る」「不適切な着衣、脱衣」「全般的な落ち着きのなさ」などが含まれます。

  • <Reference>
  • 1. Brubaker M, Wang D, Chumki SR, et al. Sustained clinically meaningful response in patients with agitation associated with dementia due to Alzheimer’s disease treated with brexpiprazole: post hoc analysis. Presented at AAIC (July 28-August 2).
  • 2. Brubaker M, Wang D, Chumki SR, et al. Efficacy of brexpiprazole on frequently occurring agitation behaviors in patients with dementia due to Alzheimer’s disease: post hoc pooled analysis of two randomized controlled trials. Presented at AAIC (July 28-August 2).
  • 3. Brubaker M, Wang D, Chumki SR, et al. Efficacy of brexpiprazole on agitation in patients with dementia due to Alzheimer’s disease exhibiting behaviors most bothersome to caregivers: post hoc pooled analysis of two randomized controlled trials. Presented at AAIC (July 28-August 2).
  • 4. FDA News Release. FDA Approves First Drug to Treat Agitation Symptoms Associated with Dementia due to Alzheimer’s Disease. Published: May 11, 2023. Last accessed: Feb. 20, 2024. Available at: https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-drug-treat-agitation-symptoms-associated-dementia-due-alzheimers-disease
  • 5. Halpern R, Seare J, Tong J, Hartry A, Olaoye A, Aigbogun MS. Using electronic health records to estimate the prevalence of agitation in Alzheimer disease/dementia. Int J Geriatr Psychiatry. 2019;34(3):420-431.

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