当社の「使用済み紙おむつから分離したSAPのケミカルリサイクル実証事業」が環境省の「脱炭素型循環経済システム構築促進事業」に採択されました。

2024/07/31  住友精化 株式会社 

2024年7月31日
住友精化株式会社

当社の「使用済み紙おむつから分離したSAPのケミカルリサイクル実証事業」が環境省の「脱炭素型循環経済システム構築促進事業」に採択されました。

住友精化株式会社(本社:大阪市中央区、社長:小川育三)が取り組んでいる「使用済み紙おむつから分離した吸水性樹脂のケミカルリサイクル実証事業」が、環境省の「令和6年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金脱炭素型循環経済システム構築促進事業(うち、プラスチック等資源循環システム構築実証事業)1(以下、「本事業」といいます。)」に採択されました。

1.紙おむつリサイクルの状況

日本国内では吸水性樹脂(以下、「SAP」といいます。)を含む使用済み紙おむつの多くが焼却処分されており、2030年には焼却量全体の約7%に達すると見込まれています。温室効果ガスの排出削減が求められている中で、使用済み紙おむつをリサイクルする取り組みが行われていますが、使用済み紙おむつに含まれるSAPについては、分離したSAPを再び紙おむつに使用する「SAPの水平リサイクル」が実現しておらず、その処理方法が課題となっています。

2.当社が実証する技術(詳しくは、別紙をご参照ください)

当社はこのたび、使用済み紙おむつから回収したSAPの水平ケミカルリサイクル2技術(以下、「本技術」といいます。)を実験室レベルで開発しました。本技術は、使用済み紙おむつから取り出したSAPを、いったん中間体に戻して精製することにより、既存製品と同じ品質のSAPに再生することを目的としています。国内外のほとんどの使用済み紙おむつに適用することを目標としています。

3.今後の展望

当社は、本事業を活用して、姫路工場に本技術の工業的製造法を実証するためのパイロット設備を建設し、2026年度に稼働させる予定です。また、資材分離などを受け持つパートナー企業と連携してリサイクルシステムの構築に取り組み、2030年度の社会実装を目指していきます。

以上

<お問い合わせ窓口>
コーポレートコミュニケーション部
住所:大阪市中央区北浜4丁目5番33号
電話:06-6220-8511
E-mailinfo_corporate-communications@sumitomoseika.co.jp

1環境省は、脱炭素社会構築に資する資源循環システム構築の加速化を図るため、従来型の化石由来資源利用を段階的に改めることとしています。

本事業は、化石由来資源の代替素材開発や、使用済みの化石由来資源のリサイクル技術・システム高度化など、技術的課題を解決し事業化に向けて必要な実証を行うものです。

令和6年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業(うち、プラスチック等資源循環システム構築実証事業)(補助)の公募結果について|報道発表資料|環境省(env.go.jp)

2水平ケミカルリサイクルとは、使用済み製品を化学的な処理により、製品の製造工程のいずれかの中間体に戻し、以降の工程を再度行うことにより、同じ品質の製品を作ることをいいます。

(別紙)

<当社が取り組むSAPのケミカルリサイクル技術>

①使用済紙おむつから分離したSAPを、化学的に架橋点のみ「分解」する技術SAPのエステル結合(架橋)を加水分解により切断し、中間体であるポリアクリル酸に戻します。

②分解後のSAPとそれ以外の不純物とを、「分離・精製」する技術

①で分解されたものを水に溶かして精製し、ポリアクリル酸のみを固体として析出させます。

③精製後のポリアクリル酸を、化学的に架橋点のみ「再結合」する技術

②で析出されたポリアクリル酸を再度架橋し、SAPに再生します。

この再生SAPの保水性や加圧下での吸水性などの性能は、当社が実施した実験において、当社が製造・販売している紙おむつ用SAPと同等であることを確認しています。

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