難治性疾患である潰瘍性大腸炎およびクローン病に対する抗TL1A抗体治療薬RG6631の導入契約締結について

2024/08/07  中外製薬 株式会社 

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2024年08月07日

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難治性疾患である潰瘍性大腸炎およびクローン病に対する抗TL1A抗体治療薬RG6631の導入契約締結について

  • 潰瘍性大腸炎およびクローン病に対して開発中の抗TL1A抗体治療薬RG6631をロシュ社より導入。日本における独占的開発権および販売権を取得
  • 炎症と線維化の抑制を標的とする新規作用機序(TL1A阻害)により、寛解導入やその維持率が低い潰瘍性大腸炎およびクローン病の患者さんへの新たな治療選択肢の提供、および他の様々な疾患への応用が期待される

中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修、以下:中外製薬)は、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社(本社:スイス・バーゼル、CEO:トーマス・シネッカー、以下ロシュ社)と潰瘍性大腸炎およびクローン病に対し開発中の抗TL1A抗体治療薬RG6631について、導入契約を締結しましたのでお知らせいたします。本契約の締結により、中外製薬はRG6631の日本における独占的開発権および販売権の許諾を受け、その対価として契約一時金およびマイルストンをロシュ社に支払います。

代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「潰瘍性大腸炎およびクローン病は、寛解と再発を繰り返す難治性の疾患です。下痢や腹痛などの症状が繰り返し起こるため長期の通院をはじめ日常生活が制限されることも多く、進行すると大腸がんを合併するリスクが高くなります1。また、寛解を維持する治療法が十分に確立されておらず、依然として高いアンメットメディカルニーズが存在しています。RG6631を患者さんに早期にお届けするため、ロシュ社と緊密に連携してまいります。」と語っています。

RG6631は、TL1Aを標的とするファーストインクラスの可能性がある薬剤で、炎症と線維化を同時に抑制することで潰瘍性大腸炎およびクローン病に対して高い効果を発揮することが期待されており、他の複数の疾患に応用できる可能性があります。中等度から重度の潰瘍性大腸炎の患者さんを対象としたグローバル第IIb相試験(TUSCANY-2)2において、RG6631による治療により導入期および維持期で臨床的寛解など複数の評価項目で改善が確認されました。ロシュ社より、2024年中に第III相試験の開始が予定されています。中等度から重度のクローン病に対しては第II相試験が進行中です。

中外製薬は引き続き、ロシュ・グループの研究・開発資源を有効に活用した画期的新薬の探索により、アンメットメディカルニーズの解決に取り組んでまいります。

潰瘍性大腸炎およびクローン病について

潰瘍性大腸炎とクローン病は、慢性あるいは寛解・再燃性の腸管の炎症性疾患の総称である炎症性腸疾患であり3、腹痛、頻便、下痢、体重減少、倦怠感などの症状がみられます4,5。約80%が継続的な寛解を得られていなく6、寛解と再発を繰り返す患者さんが多数存在します3。薬物の効果が徐々に失われる二次無効が生じる場合もあり、特に小腸や肛門部の病変に対しての有効な薬剤が少ない状況です7

潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎は、発症ピークは20代で、大腸の粘膜(最も内側の層)にびらん(ただれた状態)や潰瘍ができる疾患です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります1。日本では指定難病の一つ(指定難病97)で、同疾患の令和4年度末の医療費受給者証保持者数は、141,387人でした8

クローン病について

クローン病は、主に若年層でみられ、非連続性の病変(病変と病変の間に正常部分が存在すること)を特徴とします。炎症や潰瘍(粘膜が欠損すること)は小腸と大腸を中心として特に小腸末端部が好発部位ですが、口腔から肛門にいたるまでのどの消化管部位にも起こりうる疾患です1。日本では指定難病の一つ(指定難病96)で、同疾患の令和4年度末の医療費受給者証保持者数は、50,184人でした8

出典:

  1. 難病情報センター(一部改変)
    https://www.nanbyou.or.jp/(アクセス日:2024年6月)
  2. Roivant社(2023年6月22日発表プレスリリース)
    https://investor.roivant.com/news-releases/news-release-details/roivant-reports-chronic-period-data-rvt-3101-tuscany-2-phase-2b/
  3. 日本消化器病学会ガイドライン
    https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/ibd.html(アクセス日:2024年6月)
  4. Ungaro R, et al. Ulcerative colitis. Lancet. 2017; 389(10080):1756-70.
  5. Torres J, et al. Crohn’s disease. Lancet. 2017; 389:1741-55.
  6. Sandborn WJ. The Present and Future of inflammatory bowel disease Treatment. Gastroenterol Hepatol. 2016; 12:438–41.
  7. Renisch W. et. al., Inflamm Bowel Dis. 2012 Feb;18(2):201-11., Feagan BG et.al. N Engl J Med. 2013 Aug 22;369(8):699-710., Amiot A. et.al. Therap Adv Gastroenterol. 2015; 8(2): 66–82.
  8. 政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)衛生行政報告例 / 令和4年度衛生行政報告例 統計表 年度報(2024年7月アクセス)

以上

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