Elevidys(SRP-9001)、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する遺伝子治療用製品として、国内で製造販売承認申請

2024/08/14  中外製薬 株式会社 

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2024年08月14日

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Elevidys(SRP-9001)、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する遺伝子治療用製品として、国内で製造販売承認申請

  • 治癒困難で希少な遺伝性の筋疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するグローバル第III相臨床試験の成績に基づく申請
  • 承認審査は優先審査の対象として実施
  • 承認されれば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する国内初の遺伝子治療製品となる見込み

中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、開発中の遺伝子治療用製品delandistrogene moxeparvovec(開発コード:SRP-9001、海外製品名:Elevidys)について、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD:Duchenne muscular dystrophy)に対する製造販売承認申請を、本日、厚生労働省に行いましたので、お知らせいたします。投与対象は、DMDのうち、エクソン8及び/又はエクソン9を含む欠失変異を有さず、抗AAVrh74抗体が陰性である3~7歳の歩行可能な男児を目指しています。delandistrogene moxeparvovecは、希少疾病用再生医療等製品の指定を厚生労働省より受けており、優先審査の対象となります。投与前に実施する抗AAVrh74抗体の陰性の確認には、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社より、delandistrogene moxeparvovecのDMDの適応判定を補助するコンパニオン診断として、Elecsys Anti-AAVrh74(海外製品名)に関し、2024年6月18日に製造販売承認申請が実施されています。

代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「DMDは幼少期に発症し、学童期に症状が急速に進行していく生命予後の悪い難治性の筋疾患です。筋力低下により自立した生活や質も著しく低下する一方、根本治療はありません。delandistrogene moxeparvovecは1回の投与でDMDの原因となるジストロフィンの発現を補うよう設計されており、日本で本疾患初の遺伝子治療用製品となる可能性があります。DMDの新たな治療として患者さんに一日でも早くお届けできるよう、承認取得に向け取り組んでまいります」と語っています。

今回の承認申請は、歩行可能なDMDの4歳~7歳の男児を対象にしたdelandistrogene moxeparvovecの有効性および安全性を評価したグローバル第III相臨床試験であるEMBARK試験の成績等に基づいています。EMBARK試験の結果、主要評価項目である運動機能を評価するノース・スター歩行能力評価(NSAA)はプラセボに比し統計学的な有意差は認められませんでしたが、副次的評価項目(床から立ち上がるまでの時間、10メートルの歩行時間、Stride Velocity 95th Centile[SV95C]、4段上るまでの時間)において臨床的に意義のある改善が認められています。また本試験において新たな安全性のシグナルは認められませんでした。当社は、これまでに実施した本品のすべての臨床試験成績、及びDMD自然歴経過との比較結果に基づき、本治療薬のベネフィット・リスクのバランスが良好であると考えたことから本承認申請にいたりました。本品の承認に向け、規制当局と協議を継続してまいります。

【参考情報】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するEMBARK試験において、主要評価項目は未達の一方、時間機能に関する重要な副次的評価項目はいずれも良好な結果を示す(2023年10月31日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20231031120000_1341.html

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD:Duchenne muscular dystrophy)について
DMDは、小児の早期から急速に進行する、希少な遺伝性の筋疾患です。世界では、男児の約5,000人に1人程度で発症するといわれており、女児では非常にまれです1。DMDは、歩行能力、上肢機能、肺機能、心機能が失われ1-3、平均余命は28年です4。DMDと診断された方はフルタイムでの介護が必要となり、中でも親による介護が最も多いです1-3。また学業や仕事や家庭生活を行うことが困難となり、うつ病や身体的な痛みを患うことがあります。

DMDは、筋肉にかかわるタンパク質であるジストロフィンの産生に影響を及ぼすDMD(Duchenne muscular dystrophy)遺伝子の突然変異が原因で発症します。ジストロフィンは、筋線維を強化し、筋収縮時の損傷から保護するタンパク質複合体の重要な成分です。DMD遺伝子の変異により、DMDでは機能性ジストロフィンを体内で産生できなくなり、筋細胞は損傷に対する感受性が高まり、筋組織の瘢痕化や脂肪化が徐々に進行します2,3

delandistrogene moxeparvovec(SRP-9001)について
delandistrogene moxeparvovec(SRP-9001)は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対して開発中の遺伝子治療用製品で、標的とする骨格筋、呼吸筋及び心筋において、本剤により短縮型ジストロフィンの発現を介し、DMDの原因に働きかけるようデザインされています。日本においてDMDを対象として希少疾病用再生医療等製品の指定を受けています。米国において、DMDに対する初の遺伝子治療用製品として、2023年6月に承認されています。また、欧州でも2024年5月に申請しています。

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典

  1. Salvatore Crisafulli et al, Global epidemiology of Duchenne muscular dystrophy: an updated systematic review and meta-analysis. Orphanet J Rare Dis. 2020 Jun 5;15(1):141
  2. David J Birnkrant et al, Diagnosis and management of Duchenne muscular dystrophy, part 1: diagnosis, and neuromuscular, rehabilitation, endocrine, and gastrointestinal and nutritional management. Lancet Neurol. 2018 Mar;17(3):251-267
  3. 一般社団法人日本神経学会 デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン. https://neurology-jp.org/guidelinem/dmd.html(2024年8月アクセス)
  4. Broomfield J, et al. Life expectancy in Duchenne muscular dystrophy: reproduced individual patient data meta-analysis. Neurology. 2021. Dec 7;97(23):e2304–2314.

以上

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