製品開発品等の事業状況( 2 0 2 4 年12月期第2四半期)

2024/08/14  ソレイジア・ファーマ 株式会社 

2024 年8月14日
ソレイジア・ファーマ株式会社

製品開発品等の事業状況(2024年12月期第2四半期)

本日公表の2024年12月期第2四半期決算短信への補足説明として、当社事業状況をお知らせいたします。

1. 承認製品

 Sancuso(R)(開発コード:SP-01、中国販売名:善可舒(R)):経皮吸収型制吐剤(効能・効果:がん化学療法に伴う悪心・嘔吐)

・ 当社は、本製品の中国等の権利を有しており、中国では2019年から販売が行われてい ます。

・ 自社販売体制を廃し、2022 年 8 月より販売パートナーLee’s Pharmaceutical (HK) Limited 社(以下、Lee’s 社)にその業務を移管して、現在、中国全土でLee’s社が販売活動を行っております。

・ 2023年末に、製品原価削減に資する製造施設変更申請が中国当局から承認されました。一方、新製造施設での製造品へ移行する空白期間中の市場での欠品防止のために、販売パートナーが旧製造施設製品の在庫を積み増したことから、本年度前半での出荷量の低減が生じております。

 ダルビアス(R) (開発コード:SP-02、一般名ダリナパルシン):有機ヒ素製剤(効能・効果:再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫)

・ 当社は、本開発品の全世界権利を有しております。

【日本】

・ 日本化薬株式会社(以下、日本化薬社)に販売権等を導出しております。

・ 2022年6月に、「ダルビアス(R)点滴静注用135mg、効能・効果:再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(Peripheral T-Cell Lymphoma」として、厚生労働省より製造販売承認を取得いたしました。同年8月より、日本化薬社から販売を開始しております。

【その他地域】

・ 2018年に、南米地域の販売権をHB Human BioScience社に導出しております。同社は日本での製造販売承認取得を基に、南米地域での当局承認申請の準備を進めており、まずコロンビアにおいて2023年12月に新薬承認申請が当局に受理されました。他南米地域諸国においても承認申請準備を進めております。

・ 日本、南米以外の地域では、販売パートナー擁立による事業化を図っており、現在中国企業と権利導出の交渉に注力しております。

【NPP制度、その他】

・ 現時点で販売パートナー不在の国・地域、或いはダルビアス(R)が未承認の国・地域において、本製品を提供・販売することを目的とし、当該国での必要な手続きを経てその使用を求める医師に対して製造販売業者が個別に医薬品を提供する※NPP制度(Named Patient Program)を、欧州、インド、南米及び中国の一部地域を対象としてダルビアス(R)治療開始準備を整えております。

・ 再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に続く、他のがん種への追加適応に関する非臨床試験を実施しております。

※ NPP制度(Named Patient Program):未承認の薬剤であるが他に代わるものがないといった生命に かかわる疾患の治療薬を、必要な手続きを行った上で製造販売業者が特定の患者に提供する制度

 エピシル(R) 口腔用液(開発コード:SP-03):局所管理ハイドロゲル創傷被覆・保護材(使用目的:がん等の化学療法/放射線療法に伴う口内炎で生じる口腔内疼痛の管理及び緩和)

・ 2022 年に、Camurus AB 社より本製品の製造権を含む全世界事業権利を取得いたしました。引き続き現行の日本、中国及び韓国への製品供給に務めてまいります。

・ 日本において、製造施設移管の薬事承認申請を提出している状況にあります。

【日本】

・ Meiji Seika ファルマ株式会社との販売にかかるライセンス契約の下、2018年から販売が行われています。

【中国】

・ 2022 年 8 月より自社販売体制を廃して販売パートナーである Lee’s 社に移管し、現在、中国全土でLee’s社が販売活動を行っております。

【韓国】

・ Synex社との販売にかかるライセンス契約の下、2020年から販売が行われております。

【その他地域】

・ 上記の既販売地域以外について、導出活動を行っております。

2. 開発品

 SP-04(PledOx(R)): 細胞内スーパーオキシド除去剤(予定効能・効果:がん化学療法に伴う末梢神経障害)

・ 当社は、本開発品の日本、中国、韓国、台湾、香港及びマカオの権利を有しており、日本地域はマルホ株式会社に販売権等を導出しております

・ オキサリプラチンを含む多剤化学療法に起因する末梢神経障害を対象とした日本を含む国際共同第Ⅲ相臨床試験(POLAR-A試験、POLAR-M試験)の結果を受け、当該目的での開発を留保し、タキサン製剤に起因する末梢神経障害を対象とした開発の可能性を探索するため、権利導入元Egetis社(旧PledPharma社)の協力の下、タキサン製剤誘発末梢神経障害ラットを用いた動物試験を実施しております。既に終了した動物試験では、明確な発症抑制効果の確認には至りませんでしたが、いくつかの試験項目でSP-04 の効果が認められ、末梢神経障害の発症抑制効果の可能性が示唆されました。

引き続き、タキサン製剤誘発抹消神経障害での非臨床試験を実施しております。

 SP-05(アルホリチキソリン):抗腫瘍効果の増強 葉酸製剤(予定効能・効果:抗がん剤フルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強)

・ 進行大腸がん患者を対象とし、5-FU+オキサリプラチン+ベバシズマブ療法にSP-05を併用した群と、5-FU+オキサリプラチン+ベバシズマブ療法にロイコボリンを併用した標準治療群との比較検討を目的とした、日本を含む国際共同第Ⅲ相臨床試験(AGENT 試験)が実施されました。2022年に、当該試験の最終結果として、主要評価項目や重要な副次評価項目において、SP-05併用群は標準治療群に対して統計学的に有意な結果を示さなかったことが判明いたしました。

・ 2023年3月、権利導入元であるIsofol社は、本剤の臨床開発再開を念頭に、外部専門家によるAGENT試験結果の詳細な事後解析を行うと共に、新たな非臨床試験を実施しており、これらの全般的な評価は、SP-05がAGENT試験で使用されたものと異なる用法・用量で臨床効果が認められる可能性を示していると結論付けました。併せてIsofol 社は、新用法・用量を用いたSP-05の臨床効果を標準治療と比較して証明するために、まず時間とコスト効率の良い方法で小規模臨床試験の実施を計画していることを発表いたしました。

・ Isofol社が本剤の臨床再開発を決定したことを踏まえ、当社は将来の臨床試験参加を念頭に、Isofol社主導の臨床開発プログラムの詳細検討に参画することを決定しました。

・ 2024年7月、Isofol社は、外部専門家によるAGENT試験の事後解析結果とSP-05用量反応性に関する非臨床試験結果を公表いたしました。至適ではなかったと考えられるSP-05の用量が投与されたAGENT 試験においても、SP-05治療群が対照治療群に対し数値的には優位であったという解析結果であり、また AGENT 試験での用量より高い用量、すなわちSP-05の至適用法・用量で今後の臨床試験を実施するという戦略を支持する内容です。本年2024年末までに開始予定の第Ⅰb/II 相臨床試験でポジティブなデータが得られる可能性をさらに高めると考えられます。

3. 新規開発候補品・技術等

以下記載の開発候補品及び技術は、研究或いは臨床開発前の早期ステージのプロジェクトですが、将来、当社開発品として位置付ける可能性があり、各々のパートナー企業と共に研究開発活動に取り組んでいます。

 核酸医薬

・ 2020年に、本邦バイオベンチャー企業である株式会社ジーンケア研究所(以下、GC社)と同社の有する核酸医薬開発品RECQL1-siRNA 及びその関連技術の権利取得にかかる独占交渉権(オプション権)に関する契約を締結いたしました。現在GC社と共同で開発を行っており、今後の非臨床試験及び新製剤開発の進捗状況等に鑑み、オプション権行使による権利取得を検討してまいります。

・ RECQL1-siRNA は、米国 Alnylam Pharmaceuticals 社 (Nasdaq: ALNY) からのライセンス技術を基盤に、GC社で創成されたsiRNA(短鎖二本鎖RNA)であり核酸医薬品の一つです。がん細胞で過剰発現が認められるDNA修復酵素ヘリカーゼRECQL1に対して当該酵素のみを選択的に発現抑制することで細胞死を誘導する新しい作用機序が考えられています。既に複数の薬理試験において、様々ながん種での増殖抑制効果、また進行期の卵巣癌及び胃癌等で発現する腹膜播種モデル動物における延命効果が示されています。

・ 当社及びGC社は、東京大学大学院理学系研究科 程研究室との共同研究で創製された、より高い有効性と安全性が期待できるsiRNA新配列について、臨床開発段階に移行するためのさらなる薬効薬理試験及び新製剤開発を計画しております。

※ 腹膜播種は、卵巣癌や胃癌など腹腔内に発生した癌の腹膜への転移であり、癌細胞が種をまいたように腹腔内に散ら ばる状態です。病態が進行すると癌性腹水などを伴うことがあり、予後不良の状態になるとされています。全身化学 療法の腹膜播種に対する奏効は十分ではなく、腹腔内直接投与などの新たな局所療法も試みられています。

 RNA編集技術を用いた創薬事業(遺伝子治療)

・ 2019年に、九州大学発のバイオベンチャー企業であるエディットフォース株式会社と共同研究開発契約を締結し、中長期にわたる開発候補品獲得手段を確保いたしました。同社の核心的RNA編集技術を基にした新規がん領域等における遺伝子治療薬の創薬への展開を意図します。

・ 現在、可能性のある対象疾患及びその変異遺伝子を選択し、同社RNA編集技術に基づいて創製されたpentatricopeptide repeat(PPR)候補の効果発現を確認するための非臨床試験に関する諸条件の整備・検討を継続しております。

 新規抗体修飾技術を用いた創薬事業

・ 2022 年に、東京工業大学発のバイオベンチャー企業である株式会社HikariQ Healthと、当社から同社への出資を中心とする資本業務提携契約を締結いたしました。

・ 同社のQ-body 基盤技術は、Q-body 本体である抗体内部に蛍光色素が取り込まれ消光状態になり、当該抗体が抗原と反応することで取り込まれた蛍光色素が弾き出されて本来の蛍光を放つ仕組みです。このため、Q-body は抗原濃度に応じて蛍光強度が変化するバイオセンサーとして機能するとされ、この仕組みを利用した免疫測定技術は、現在の免疫反応を用いた検査に比べて大幅な簡素化及び低コスト化が期待されます。また、当該技術を医薬品に応用する次世代抗体薬物複合体(Antibody-drug conjugate: ADC)創薬の初期検討を進めています。

・ 同社では、免疫検査事業に関して他社との共同研究開発も進めており、当社は、同社と共にQ-body技術を応用した次世代ADC創薬の初期検討にも着手しております。

 機能性蛍光プローブ技術共同事業化の検討

・ 2023 年に、五稜化薬株式会社と、同社の技術に基づく機能性蛍光プローブを用いたがん外科手術向けナビゲーションドラッグなどの医薬品事業に係る事業開発活動及び臨床開発活動を共同で実施する可能性を評価・検討することを目的とした共同事業化検討契約を締結いたしました。

・ 最初の対象として、乳がんを対象としたナビゲーションドラッグ(GCP‐006)の日本及び米国での開発及び事業化について検討を継続しております。

4. その他

【2024 年12月期第2四半期累計業績等】

・ 既報のとおり、製品販売に関し、新製造施設製造品へ移行する空白期間中の市場での欠品防止のために旧製造施設製造品の在庫を当社販売パートナーが昨年度に積み増したことから、本年度前半での当社からの製品出荷量の低減が生じており、結果ダルビアス(R)(SP-02)製品販売等による72百万円の売上収益が生じました。

・ 研究開発費は223百万円発生いたしました。これは主に製品原価削減に資する製造施設変更への投資、ダルビアス(R)(SP-02)の追加適応及び中国臨床開発の検討、SP-04動物実験、新規開発品候補への投資によるものです。販売費及び一般管理費は、前中間連結会計期間と比べ169百万円減少し、390百万円となりました。

・ 上記等の結果、営業損益は611百万円の損失となり、中間損益は611百万円の損失となりました。

・ 本年3月4日に第13回新株予約権(2022年3月発行)の残数である5百万株相当を取得(本年3月4日)し、当該予約権は消滅いたしました。同日に普通社債500百万円と第14回新株予約権(43百万株相当)を発行いたしました。当該社債は5月7日に全部の償還が完了し、当該新株予約権の行使は7月31日に完了いたしまた。これら本年度に発行した有価証券による資金調達額は1,212百万円となりました。

【主要株主の状況】

・ 2024 年6月末時点の当社株主名簿上、筆頭は日本化薬株式会社(保有比率6.0%、ダルビアス(R)国内パートナー)であり、次いでマルホ株式会社(同5.66%、SP-04国内パートナー)となっております。

当社はがん領域を対象とする製品の開発事業化に特化するスペシャリティファーマで、バイオベンチャー企業の一種です。バイオベンチャー企業の成功事例を多数有する米国において、その大半の企業の単年度損益は赤字です(米国ナスダック バイオインデックス構成企業のうち、株式時価総額1,000億円超の企業は161社あり、うち営業赤字計上の企業は125社。2024年8月9日現在。当社調べ)。これは、当該企業の単年度損益への評価に比して、有望な医薬品開発への先行投資を積極的に図ることへの評価が、市場においてより重要視されていることによるものと考えられます。当社は、現時点においては同様の事業戦略によって運営されております。決算短信による業績等財務情報のみならず、主要な製品、開発品等の事業情報を一定程度詳細に投資家の皆様に対して適時提供することが重要と考え、本書による情報開示を行っております。

以上

注意事項:

このプレスリリースに記載されている業績見通し等将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。今後様々な要因により、実際の業績等が変動する可能性があることをご承知おきください。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、当社の事業領域を取り巻く経済情勢、為替レートの変動、競争状況などがあります。また、このプレスリリースに含まれている医薬品又は医療機器(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的なアドバイスを目的としているものではありません。

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