BTK阻害剤AS-1763フェーズ1b試験 用量拡大パート開始決定のお知らせ

2024/09/02  カルナバイオサイエンス 株式会社 

2024年9月2日
カルナバイオサイエンス株式会社

BTK阻害剤AS-1763フェーズ1b試験 用量拡大パート開始決定のお知らせ

当社は、血液がんを対象疾患として開発を進めている次世代型BTK阻害剤AS-1763に関し、フェーズ1b試験 用量拡大パートの開始が決定されたことをお知らせいたします。

AS-1763は、2023年8月に、米国において多施設共同試験(主導:テキサス大学MDアンダーソンがんセンター 白血病科教授 Nitin Jain医師)として、患者を対象としたフェーズ1b試験の投与を開始しました。当該フェーズ1b試験は2ライン以上の全身治療歴を有する慢性リンパ性白血病(CLL)・小リンパ球性リンパ腫(SLL)およびB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-cell NHL)の患者を対象としており、用量漸増パートと用量拡大パートから構成されています。現在、用量漸増パートの5用量目(500 mg BID)の投与を実施中です。

当初、用量拡大パートは、用量漸増パートで計画していた最大用量(600 mg BID)の評価を行い、最大耐用量を確定した後に開始する予定でしたが、現時点までの用量漸増パートの途中経過において、すでにAS-1763の高い安全性と忍容性、並びに治療効果の期待できる十分な血中薬物濃度と高い全奏効率を確認することができていることから、治験責任医師の合意のもと、6用量目(600 mg BID)の開始を待たずに、用量拡大パートへ移行することを決定しました。本用量拡大パートは、CLL・SLL患者を対象としたコホート 1、B-cell NHL患者を対象としたコホート 2、及び ピルトブルチニブ投与歴のある患者を対象としたコホート 3の3つのコホートで構成されます。用量漸増パートの結果に基づき、コホート 1及びコホート 2については3用量、コホート 3については2用量を選択しています。今後、各コホートに速やかに患者エントリーを行い、安全性、有効性、薬物動態を評価し、フェーズ2試験の推奨用量(RP2D)を決定する計画です。また並行して、用量漸増パートも継続する予定です。

なお、本件が2024年12月期の連結業績予想に与える影響はありません。

以 上

BTK阻害剤AS-1763について

AS-1763は、CLLを含む成熟B細胞腫瘍の治療を目的として開発中の、野生型および薬剤抵抗性変異型BTKの両方を阻害する高選択性で非共有結合型の経口投与可能な化合物です。イブルチニブを代表とする共有結合型BTK阻害薬は、CLLや他の成熟B細胞腫瘍の標準選択薬として使用されています。しかしながら、多くの患者で、BTKの481番目のシステイン残基(C481)がセリンに置き換わる変異が生じて、共有結合型BTK阻害剤の結合が弱まり、薬剤耐性になることが報告されています。また、ピルトブルチニブを含む開発中の非共有結合型BTK阻害剤に対する新たな耐性変異も報告されています。AS-1763は、野生型BTKおよび薬剤抵抗性変異型BTKのリンパ腫細胞の両方の増殖を強く阻害することから、野生型のみならず薬剤抵抗性変異型BTKをもつ患者の治療にも有効と考えられ、次世代型BTK阻害剤として開発を進めています。

現在、米国においてフェーズ1b試験を実施しており、2024年6月に開催された欧州血液学会(European Hematology Association 2024 Hybrid Congress)においては、治験主導医師であるテキサス大学MDアンダーソンがんセンター白血病科教授 Nitin Jain医師が、本フェーズ1b試験に関する初期データを発表しました。この初期データは、AS-1763の良好な安全性、薬物動態プロファイル、並びに共有結合型BTK阻害剤およびBCL-2阻害剤を含む複数の標準的な全身療法による前治療歴を有する成熟B細胞腫瘍患者に対する有効性を示唆しました。

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