伊方発電所における通報連絡事象(令和6年8月分)および通報連絡事象に係る報告書の提出について

2024/09/10  四国電力 株式会社 

令和6年9月10日
四 国電力株式会社

伊方発電所における通報連絡事象(令和6年8月分)および
通報連絡事象に係る報告書の提出について


○ 令和6年8月に、当社から愛媛県および伊方町ほか関係自治体に通報連絡した事象は、以下の6件です。これらの事象は、法律に基づく報告事象に該当するものではなく、 また、環境への放射能の影響もありませんでした。

事 象

1.伊方発電所における作業員の負傷について 8月1日 8月5日 A
発生月日 発表月日 県の公表区分

2.伊方発電所3号機 1次冷却材ポンプ3C封水注入系統配管フランジ部からの水漏れについて 8 月1日 8月2日 B

3.伊方発電所3号機 原子炉コントロールセンタ3Aのケーブル接続端子の焦げ跡について 8 月5日 9月10日 C

4.伊方発電所 火災感知器の誤作動について 8月6日 9月10日 C

5.伊方発電所における作業員の体調不良について 8 月17日 8月21日 A

6.伊方発電所 自動火災報知設備の不具合 8月19日 9月10日 C

○ 過去に発生した以下の通報連絡事象について、その後の調査結果を踏まえた原因と 対策をとりまとめ、愛媛県および伊方町ほか関係自治体に報告書を提出いたしました。

事 象 発生月日 発表月日 県の公表区分

1.伊方発電所3号機 総合排水処理装置の砂ろ過器空気排出弁からの水漏れについて 7月9日 8月13日 C

2.伊方発電所3号機 資材保管庫におけるコンセントの焦げ跡について 7 月26日 7月26日 B

県の公表区分
A:即公表
B:48時間以内に公表
C:翌月10日に公表
PP:可能となった段階で速やか に公表

(別紙1)伊方発電所における通報連絡事象の概要(令和6年8月分)
(別紙2)伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要

以 上

別紙1

伊方発電所における通報連絡事象の概要(令和6年8月分)

1.伊方発電所における作業員の負傷について

8月1日、伊方発電所3号機のタービン建屋(管理区域外)において、2次系機器を点検作業中の作業員が前に屈んだ際に腰痛を訴えたため、同日11時42分、社有車にて病院へ搬送しました。

同日、医師による診察の結果、「腰痛症」により、約1週間の安静加療を要する見込みと診断されました。

なお、当該作業員の汚染、被ばくはありませんでした。

2.伊方発電所3号機 1次冷却材ポンプ3C封水注入系統配管フランジ部からの水漏れについて

伊方発電所3号機は、第17回定期検査中のところ、8月1日15時15分、原子炉格納容器内の床に水たまりがあることを確認しました。現地を確認したところ、水たまりについては、1次冷却材ポンプ3Cの点検のために開放した封水注入系統※1配管フランジからの漏水であることを確認しました。また、当該配管フランジより漏水が継続していたため、当該配管フランジに閉止蓋を取り付け、漏水は停止しました。

水たまりは原子炉格納容器内の1次冷却材ポンプ3C付近に留まっており、外部への漏えいはありませんでした。

漏水量は約14リットルで、分析の結果、放射能量は約2.7×105Bq※2と推定しました。

なお、本事象によるプラントへの影響および環境への放射能の影響はありませんでした。

今後、詳細を調査します。

※1 1次冷却材ポンプ軸シール部から、内部流体である1次冷却材が漏れ出ないよう、1次冷却材より高い圧力で水を注入する系統。

※2 国への報告基準(3.7×106Bq)の10分の1未満。

伊方発電所3号機 1次冷却材ポンプ3C封水注入系統配管フランジからの漏水概略図

原子炉格納容器
蒸気発生器
原子炉容器
1次冷却材系統3A
浄化設備
1次冷却材ポンプ3C
当該箇所
体積制御
タンク
封水注入系統
充てんポンプ

3.伊方発電所3号機 原子炉コントロールセンタ3Aのケーブル接続端子の焦げ跡に ついて

伊方発電所3号機は、第17回定期検査中のところ、8月5日11時7分、原子炉補助建屋1階にある原子炉コントロールセンタ※13Aの解線されたケーブルの接続端子に焦げがあることを保修員が確認しました。

このため、消防署へ連絡し、その後、消防署が現場にて火災ではないことを確認しました。

調査の結果、原子炉コントロールセンタ3Aは停電中であり、点検のため解線していたケーブルの下流側にある海水ピット回転バースクリーン※23Aを運転するために、仮設電源である海水淡水化装置コントロールセンタ3Aのスイッチを「入」としました(①)が、その後、誤って海水ピット回転バースクリーン3A用スイッチを「入」とした(②)ことにより、解線していたケーブルに電流が流れ、接続端子が焦げたものと推定しました。

その後、焦げていた接続端子を取り替え、ケーブル等の健全性確認を行い、8月6日10時10分、通常状態に復旧しました。

なお、本事象によるプラントへの影響および環境への放射能の影響はありませんでした。

今後、詳細を調査します。

※1 電源を供給する遮断器を収納した装置。

※2 海水ピットに入る海水中の塵芥を除去するための回転式の集塵網。

伊方発電所3号機 所内電源概略系統図

原子炉コントロールセンタ3A(停電中)
海水ピットコントロールセンタ3A用スイッチ
当該箇所
海水ピットコントロールセンタ3A(停電中)
スイッチを誤って「入」とした( )
(点検に伴いケーブル解線中)
海水淡水化装置コントロールセンタ3A
海水ピット
回転バースクリーン
3A用スイッチ
仮設ケーブル

海水ピット回転バースクリーン3A
仮設電源用スイッチ「入」( )

4.伊方発電所 火災感知器の誤作動について

伊方発電所3号機の特定重大事故等対処施設において、8月6日0時21分、火災の発生を示す信号が発信しました。ただちに当直員が現場確認を行い、炎や発煙等がないことを確認しました。

当該火災感知器の取り替えを行い、火災発生を示す信号の再発信がないことから、火災感知器の誤作動と判断し、同日2時40分、通常状態に復旧しました。

なお、消防署の立ち入りの結果、火災ではないと判断されており、本事象によるプラントへの影響および環境への放射能の影響はありませんでした。

5.伊方発電所における作業員の体調不良について

8月17日15時30分頃、その前日に伊方発電所3号機の原子炉建屋(管理区域内)で、定期検査作業に従事していた作業員より、体調不良のため、病院を受診し、検査のため入院するとの連絡がありました。

その後、8月21日、医師による診察の結果、「急性腎不全、脱水症」と診断されました。

なお、当該作業員の汚染、被ばくはありませんでした。

6.伊方発電所 自動火災報知設備の不具合

8月19日22時28分、伊方発電所構内の旧塵埃焼却炉建屋(管理区域外)において火災の発生を示す信号が発信しました。ただちに、協力会社作業員が現地確認を行い、炎や発煙等がないことを確認しました。

原因調査のため、当該建屋の自動火災報知設備(火災感知器および火災受信機盤等)の確認作業を実施したところ、当該建屋の火災を示す信号が停止し、その後に、火災を示す信号の再発信がないことを確認しました。

当該建屋は倉庫として使用しており、消防法上、火災を監視する必要がない施設ですが、自動火災報知設備を自主的に設置していました。今後、当該建屋は使用しないこととし、自動火災報知設備についても使用を停止しました。

また、当該建屋の火災の発生を防止するため、立入制限措置を行い、8月21日、電気の供給を停止するとともに、当該建屋に保管している物品を搬出しました。

なお、消防の立ち入りの結果、火災ではないと判断されており、本事象によるプラントへの影響および環境への放射能の影響はありませんでした。

今後、詳細を調査します。

伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要

別紙2

1.伊方発電所3号機 総合排水処理装置の砂ろ過器空気排出弁からの水漏れについて

○事 象

伊方発電所3号機は、通常運転中のところ、7月9日9時56分、総合排水処理装置※1 建屋の地下階に広範囲にわたり水がたまっていることを作業員が確認しました。保修員が現場を確認し、たまっていた水は総合排水処理装置建屋およびその周辺の区画に留まっており、発電所外への流出や継続的な漏えいがないことを確認しました。総合排水処理装置建屋およびその周辺の区画にたまっていた水(約30m3と推定)は、すべて排水ポンプにてD沈殿池※2へ移送しました。

調査の結果、A沈殿池から総合排水処理装置の砂ろ過器※33Aへの水の移送時に、砂ろ過器の空気を排出する自動排気弁から漏えいしたものであることを確認しました。

その後、漏えいがあった当該弁を取り替え、総合排水処理装置を運転しました。当該弁からの漏えいがないことを確認し、7月18日11時0分に通常状態に復旧しました。

なお、本事象によるプラントへの影響および環境への放射能の影響はありませんでした。

※1 発電所の管理区域外の施設(タービン建屋、事務所等)から排出される放射性物質を含まない排水を浄化する装置。

※2 発電所の管理区域外の施設(タービン建屋、事務所等)から排出される放射性物質を含まない排水を一時的に貯留する設備。

※3 容器内に微細な砂が充てんされており、沈殿池に貯留した排水を通水することにより、浮遊物質・懸濁物質を除去する設備。

○原 因

調査の結果、排水を一時的に貯留する沈殿池から砂ろ過器に通水する過程で、砂ろ過器3A自動排気弁の大空気孔側のフロート弁体案内内面およびフロート弁体外面に装置の経年使用により付着した汚れがフロート弁体の上下動を阻害し、フロート弁体が途中で引っ掛かったことで大空気孔弁座を閉止できず、系統水の漏えいに至ったと推定しました。

○対 策

・当該弁について、経年使用により外面腐食も進行していたことから、入手性や保守性をふまえ、当該弁と同等の機能を有する新型の弁に取り替えました。同様に、類似弁である砂ろ過器3B自動排気弁についても、同じ弁に取り替えました。

・砂ろ過器自動排気弁について、不具合が確認された場合に分解点検を実施することとしていましたが、当面の間、年1回、弁外部からの目視点検およびカバーを取り外して確認できる範囲の内部の目視点検を行います。また、3年に1回分解点検または取り替えを計画します。

伊方発電所3号機 総合排水処理装置 概略図

当該箇所
排水
砂ろ過器3A
処理水槽放水ピット
建屋内建屋外
総合排水処理装置建屋 1階
総合排水処理装置建屋 地下
排水ポンプ
A沈殿池
D沈殿池
空気を排出する弁
排水
周辺の区画
たまっていた水:約30m3
フロート弁体
フロート弁体案内

砂ろ過器3A自動排気弁 構造図

弁箱
弁蓋
小空気孔弁座
大空気孔弁座
弁座押え

カバー
約510mm
約260mm
約470mm

自動排気弁の動作原理図

通水開始後、充水する
までは空気のみ排気

系統内の充水によりフロート弁体に浮力
が働き、大空気孔および小空気孔を閉止し、水の流出を防止

2.伊方発電所3号機 資材保管庫におけるコンセントの焦げ跡について

○事 象

伊方発電所3号機は、第17回定期検査中のところ、7月26日10時50分頃に現場の運転員が、原子炉補助建屋(管理区域内)の発電課資材保管庫※1に入室した際、コンセント付近からバチバチと音がしていることを確認しました。

周囲の状況を確認したところ、コンセントに挿入されていた懐中電灯充電箱※2のコンセントプラグが抜けかかっており、コンセントプラグの充電部に聴診棒※3が接触したことでバチバチと音が発生していました。

そのため、コンセントの電源元である電源スイッチを切とし、電源系統から切り離しました。

同日11時18分に発電課資材保管庫のコンセントが焦げていることを運転員が確認したため、消防署へ連絡し、消防署の立ち入りの結果、同日13時22分、火災ではないと判断されました。

なお、本事象によるプラントへの影響および環境への放射能の影響はありませんでした。

※1 管理区域内で使用する懐中電灯・工具などの資機材を保管している部屋。

※2 運転員が巡視点検時等にて使用する懐中電灯を充電するための盤。

※3 聴診棒は細長い 80cm 程度の金属の棒状のもので、一方の端が玉部となっており、反対側は尖っている。聴診棒の玉部を耳に当て、先端部をポンプや送風機などの回転機器の聞き取りたい箇所に当てることにより、運転状態の異音を確認するための工具。

○原 因

聴診棒については、まとめて立て置き保管しており、その上部をコンセント付近の電線管に固縛しているのみで下部は固縛していなかったことから倒れやすい状態となっていました。今回、その立て置きした聴診棒の一つが転倒し、コンセントプラグの充電部分と接触したことで地絡※4が発生したものと推定しました。

また、現場を確認したところ、コンセントプラグの差し込み状態の視認を妨げる位置にごみ箱を設置していたことから、運転員がコンセント周辺に地絡リスクのある聴診棒や視認を妨げるごみ箱を置くことへの問題意識が低かったことが考えられます。加えて、当直管理者※5による整理・整頓の観点での現場観察が十分ではなかったことも原因と考えられました。

※4 電気回路が地面に接触し、大地に電流が流れる現象。漏電とも呼ばれる。

※5 プラントの運転において、機器の状態や性能等を常に健全に維持管理するとともに、運転員の指導 や育成を行い統率する役割を担う者。

○対 策

・聴診棒専用の保管容器を配備し、使用後は保管容器に返却することを運転員に周知しました。

・資材保管庫内の整理・整頓を継続的に実施するとともに、当直管理者による現場確認により、整理・整頓状況が維持されていることを確認します。また、当直管理者は、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)に着目した現場観察を実践し、自ら安全に対する感度を高めるとともに、運転員の安全に対する意識の醸成を図ります。

・伊方発電所長より、発電所従業員および構内協力会社作業員に対して、今回の事象を踏まえての注意喚起、およびコンセント付近への可燃物等保管ルールと整理・整頓・清掃の徹底について周知しました。

・発電所従業員および構内協力会社作業員を対象とした安全教育に「作業用電源の取扱い」の項目を追加し、コンセント周辺の環境整備やコンセントプラグの確実な差し込みを含む作業用電源の取り扱い方法に関する定期的な教育を行うとともに、本事象をヒューマンファクター教訓シート※6に整理し周知します。

※6 ヒューマンエラー事象が発生した際に、社内で原因と対策を整理し、類似事象の発生を防ぐために教訓として作成するシート。

コンセント電源 概略系統図

所内電源
「入」
焦げ跡の
発生個所
コンセント
電源スイッチ
コンセントプラグ
懐中電灯充電箱

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