テクリスタマブ、少なくとも3つの標準的な治療歴を有する日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんにおいて高い奏効率及び深く持続的な奏効を示す

2024/10/11  ヤンセンファーマ 株式会社 

テクリスタマブ、少なくとも3つの標準的な治療歴を有する日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんにおいて高い奏効率及び深く持続的な奏効を示す

公開日:

2024/10/11

テクリスタマブは現在申請中であり、本邦未承認です。

テクリスタマブ、少なくとも3つの標準的な治療歴を有する
日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんにおいて
高い奏効率及び深く持続的な奏効を示す

テクリスタマブは、現在開発中のB細胞成熟抗原(BCMA)及びCD3を標的とする二重特異性抗体1

日本人を対象としたMMY1002試験、追跡期間中央値14.3か月において
患者さんの76.9%が奏効、61.5%が厳格な完全奏効を達成2,3

第86回 日本血液学会学術集会にて発表

Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「J&J」)は11日、多発性骨髄腫の患者さんを対象とするテクリスタマブの第I/II相MMY1002試験2,3の結果を発表しました。本試験は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療歴を有する、日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さん40人を対象に、テクリスタマブの有効性と安全性を評価する第I/II相、用量漸増、単群、非盲検、多施設共同試験2,3です。試験の結果、テクリスタマブの臨床的に意義のある、深く持続的な奏効が認められました2,3。これらの結果は、2024年10月11日から13日まで京都市で開催された2024年第86回日本血液学会学術集会(JSH)にて口頭発表されました。

多発性骨髄腫は、依然として治癒困難な血液がんであり、再発を繰り返し、再発の度に別の治療を行わなければならなくなる患者さんが多くいます1,4。そして、再発して症状の再燃を繰り返す度に、症状は悪化し、治療が奏効する可能性は低くなり、奏効持続期間も短くなる傾向にあります5

テクリスタマブは、現在開発中の投与前の調整不要な皮下注製剤です。そして多発性骨髄腫において日本で初めてかつ唯一*の体重に応じた投与が可能なBCMA及びCD3を標的とするT細胞リダイレクト二重特異性抗体で1、治療選択肢が限られた治癒困難な多発性骨髄腫の治療薬として、2024年5月22日に日本国内での製造販売承認申請を行いました。

*2024年10月現在、日本国内において

なおテクリスタマブは、2022年8月に、欧州委員会から条件付き承認を取得、2023年8月に承認を取得6し、2022年10月、成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得7しています。またこれまでの2年間、全世界で12,000人以上の再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんがテクリスタマブによる治療を受けています。

国内第I/II相MMY1002試験の第I相パート(n=14)では、海外第I/II相MajesTEC-1試験8,9で特定された第II相パートの推奨用量(RP2D)の、日本人患者さんにおける安全性及び忍容性を評価しました。また第II相パートでは、RP2Dの有効性を、全奏効率(ORR)を主要評価項目として評価しました。なお、第II相では26人の患者さんが組み入れられ、年齢の中央値は67.5歳でした。
追跡期間中央値14.3か月におけるORRは76.9%であり、最良部分奏効(VGPR)以上が76.9%、完全奏効(CR)以上が65.4%、厳格な完全奏効(sCR)は61.5%でした。奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)の中央値は未到達であり、12か月時点のDOR率、PFS率、OS率はそれぞれ89.7%、75.2%、76.0%でした。また、微小残存病変(MRD)の評価が可能であった患者さんのMRD陰性率は83.3%でした2,3

なお安全性に関する所見は、MajesTEC-1の結果と一貫しており、安全性に関する新たなシグナルは認められませんでした。血液毒性が比較的高い頻度で認められ、主なものは、好中球減少症(全グレード、73.1%;グレード3又は4、73.1%)、リンパ球減少症(全グレード、30.8%;グレード3又は4、30.8%)、貧血(全グレード、26.9%;グレード3又は4、23.1%)でした。サイトカイン放出症候群が80.8%で認められましたが、いずれの症例もグレード1(69.2%)又はグレード2(11.5%)であり、治療の中止や用量の減量をせずに全て回復しました。ほとんどのサイトカイン放出症候群は治療初期に発現し、漸増投与時及び初回治療用量投与時に認められました。感染症は76.9%の患者さんで認められ、グレード3又は4の感染症の発現率は19.2%でした。有害事象による治療中止は1例(3.8%)で認められました2,3

Johnson & Johnson Innovative Medicine Oncology Therapeutic Area Vice president Multiple Myeloma Disease Area LeaderのJordan Schecterは、次のように述べています。「MMY1002試験では、日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんにおいて、テクリスタマブは深く持続的な奏効を示しました。これらの結果は、さまざまなアプローチによるポートフォリオを通じ、多発性骨髄腫とともに生きるすべての患者さんのアウトカムに変革をもたらすことに重点を置く私たちの姿勢を強調するものです。私たちの最先端の研究を通し、患者さんのアウトカムを改善し続け、患者さんとしてのみではなく、1人の人間としての生活の改善に貢献できればと考えています」

MajesTEC-1試験について

MajesTEC-1試験(第I相: NCT03145181、第II相NCT04557098)は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療歴を有する、成人外国人の再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんを対象に、テクリスタマブの安全性と有効性を評価する第I/II相、用量漸増、単群、非盲検、多施設共同、用量拡大試験です8,9。第I相パート(NCT03145181)は、用量漸増(パート1)と用量拡大(パート2)から構成されています8。本試験では、テクリスタマブの安全性、忍容性、薬物動態及び予備的有効性を評価しました8。また第II相試験(NCT04557098)では、週1.5mg/kg皮下投与で設定された、推奨される第II相試験の推奨用量(RP2D)でのテクリスタマブの有効性について、ORRを主要評価項目として評価しました9
MajesTEC-1試験では、追跡期間中央値30.4カ月において、テクリスタマブをRP2Dで投与した患者さん(n=165)のORRは63%で、46%がCR以上を達成したことが示されました10。またDOR中央値、PFS中央値、OS中央値はそれぞれ、24.0カ月、11.4カ月、22.2カ月でした10

安全性プロファイルは一貫しており、重度の感染症の新規発症は時間の経過とともに減少しました10。有害事象には、好中球減少症(全グレード、72%;グレード3又は4、66%)、貧血(全グレード、55%;グレード3又は4、38%)、血小板減少症(全グレード、42%;グレード3又は4、23%)、リンパ球減少症(全グレード、36%;グレード3又は4、35%)、感染症(全グレード、79%;グレード3又は4、55%)などがありました10。グレード5の感染症22件のうち、18件はCOVID-19によるものでした10

多発性骨髄腫について

多発性骨髄腫は、形質細胞が骨髄で異常に増殖することで生じます11,12。形質細胞が増殖し、がん化して骨髄腫細胞になり、多発性骨髄腫を発症します11。日本国内における2019年の多発性骨髄腫の新規診断者数は約7,600人13で、2020年の死亡者数は約4,200人13とされています。多発性骨髄腫は無症状の場合もありますが、骨痛や骨折、息切れ・倦怠感、免疫機能の低下、腎障害や血液障害などにより受診し、診断されることがあります14

テクリスタマブについて

テクリスタマブは、現在開発中の、投与前の調整不要な皮下注製剤です。BCMA及びCD3を標的とするT細胞リダイレクト二重特異性抗体で、免疫機能を活性化しがん細胞を死滅させます1

テクリスタマブは、成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫の単剤療法として、2022年8月に欧州委員会から承認を取得6しています。また2022年10月には、成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得7しています。

Johnson & Johnson について

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。

日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について

Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域ーがん、免疫疾患、精神・神経疾患、心血管疾患、肺高血圧症、および網膜疾患領域における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。新しいJohnson & Johnson Innovative Medicineブランドとともに、私たちは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。

Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。また、www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。

【本件に関するお問合せ先】

Johnson & Johnson Innovative Medicine コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部

E-mail: [email protected]

  1. Padala SA et al. Epidemiology, Staging, and Management of Multiple Myeloma. Med Sci (Basel). 2021;9(1):3.
  2. https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2061200050
  3. https://classic.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04696809
  4. Rajkumar SV, Kumar S. Multiple myeloma current treatment algorithms. Blood Cancer J. 2020;10(9):94.
  5. Yong K et al. Multiple myeloma: patient outcomes in real-world practice. Br J Haematol. 2016;175(2):252–264.
  6. European Medicines Agency. TECVAYLI Summary of Product Characteristics. October 2024.
  7. https://www.fda.gov/drugs/resources-information-approved-drugs/fda-appro... Last accessed: October 2024
  8. ClinicalTrials.gov. Dose Escalation Study of Teclistamab, a Humanized BCMA*CD3 Bispecific Antibody, in Participants With Relapsed or Refractory Multiple Myeloma (MajesTEC-1). Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03145181. Last accessed: October 2024.
  9. ClinicalTrials.gov. A Study of Teclistamab in Participants With Relapsed or Refractory Multiple Myeloma (MajesTEC-1). Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04557098. Last accessed: October 2024.
  10. Garfall, A., et al. Long-term follow-up from the phase 1/2 MajesTEC-1 trial of teclistamab in patients with relapsed/refractory multiple myeloma. 2024 ASCO Annual Meeting – American Society of Clinical Oncology. June 2024.
  11. Abdi J et al. Drug resistance in multiple myeloma: latest findings and new concepts on molecular mechanisms Oncotarget. 2013;4(12):2186–2207.
  12. American Society of Clinical Oncology. Multiple myeloma: introduction. Available at: https://www.cancer.net/cancer-types/multiple-myeloma/introduction. Last accessed: October 2024.
  13. 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/26_mm.html#anchor1 Last accessed: October 2024
  14. American Cancer Society. Multiple myeloma: early detection, diagnosis and staging. Available at: https://www.cancer.org/content/dam/CRC/PDF/Public/8740.00.pdf. Last accessed: October 2024.

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